PR2025.11.27
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(2025年再掲版)『ゆるい職場』著者・古屋星斗さんと考える、キャリアに悩む若手は、なにをすればいいのか?(全1記事)
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古屋星斗氏(以下、古屋):選択の回数が増える時代に、私が注目しているキャリアのお悩みポイントを列挙していこうと思ってます。1点目が「ゆるい職場」ですね。
ご存知の方も多いと思いますが、「経営幹部のマインドが変わった」「上司がゆるくなった」とか、そういったふんわりした原因ではなくて(要因は)法改正なんです。OJTやOFF-JTも減ってますし、労働時間が減って、休暇取得率はものすごく上がってますよね。
上司・先輩のコミュニケーションスタイルは「褒める」が基本になっているわけですよ。私の本にデータは全部載っているので、全部は申し上げませんが、データを取ってみると、厳しい指導ってほとんどされてないんですよね。あと、質的負荷。ストレッチな経験みたいな実感も減っている。あらゆるデータが職場がゆるくなっていることを示唆しております。
なんですが、お伝えしたいのは、ゆるい職場って「選択の時代」とめっちゃ相性が悪い可能性がある。「最低必要努力量」という概念を神戸大の金井(壽宏)先生がおっしゃっていますが、別の研究者が「1万時間の法則」とも言っています。これって、たぶん普遍の原則なんです。
なぜかというと、人間って社会で生きてるじゃないですか。だから、自分の専門性に対して高いお金を払おうという方がいる状況って、周りの人よりも自分の専門性が相対的に高い状況だということなんです。それが(習得するための時間が)1万時間だったということなんですよ。
そういう意味では、みんな同じ条件じゃないですか。周りの人に、相対的に「これは『自分ならでは』です」と言うためには、一定の投資が必要だという状況は変わってない。だけど、それを職場から調達しづらくなっているんですよね。本業の職場だけでそれを調達することが、かなり難しくなっている。
つまり、職場だけで今までどおりにがんばっていても、最初の選択のタイミングまでに間に合わない。最低必要努力量に到達しないことになり得るという意味で、「選択の時代」と「ゆるい職場」は、めちゃくちゃ相性が悪い可能性があるということです。これが1点目。
古屋:つまり、職場で得られるものに対して、考えざるを得なくなっちゃっているということです。こういうお悩みポイントがある方もいらっしゃるかもしれませんね。
実際に2019年ぐらいから2020年にかけてインタビューした時に、まさにこういう意見が挙がりました。「思ったより厳しくない」「待ってるだけでは成長機会はない」「会社は好きだが、これが当たり前だと思ったらまずいな」とか。
「待ってるだけじゃなくて、自分で何かをしなきゃいけないんじゃないか?」といった悩みを抱える方が、ゆるい職場によって顕在化してるのかなと思いますね。
2点目は、さっきちょっと申し上げましたが、「ありのまま」か「何者か」という点です。これ、どうですかね? ありのままでありたいというのは、私の定義では「自分が良いと思うものを大事に仕事をしたい」。
例えば、自分が好きな場所で働きたいとか、休みを好きな時に取れる職場で働きたいとか、家族を優先するスタイルでできる仕事をしたい。「自分が後悔なく仕事をしたい」という気持ちは、誰しもありますよね。私もあります。でも、強い・弱いはありますよね。というのは、「何者かになりたい」という非常にアンビバレントな気持ちが同時に並列してるから。
「何者かになりたい」の定義としては、「社会から良いと思われる仕事をしたい」「この職種で一人前になりたい」「とある分野の第一人者になりたい」「『この道の人間です』と言えるようなレベルになりたい」「30代前半までに大きな成功体験をしたい」といった声がいろいろあります。
「社会から良いと思われる仕事をしたい」という気持ちと、「自分が良いと思うものを大事に仕事をしたい」という2つの気持ちを同時に持って、現代の社会人はキャリアを作っているという特徴がございます。
これを両立するのは相当難しいですよね。どこかのタイミングから両立できるようになるかもしれませんが、たぶん右(「何者かになりたい」)が先で、両立できる場合は左(「ありのままでありたい」)が徐々にできていくという状況なんだと思います。
みなさんは今この瞬間、どっちが強いでしょうか? もしくは去年と比べてどうでしょう。ありのままであるお仕事、できてますか? それとも何者かである仕事ができてますか?
古屋:3点目が「不満」か「不安」か。その気持ちって不満ですか? それとも不安ですか? と、ご自身のネガティブな感情にぜひ向き合っていただきたい。
20〜30代の若手社会人の不安要素を分解すると、「職場でスキルや技能の獲得が十分できていない」「周りと比べて成長速度が遅いように感じる」という不安を述べられる方が、他年代と比較して顕著です。
今の自分のお仕事へのネガティブな気持ちを、私は「キャリア不安」と呼んでいます。たぶんこれがない人はいないと思うんですが、もしあった場合に、その気持ちは不満が大きいか、不安が大きいかを考えていただきたいなと思いますね。例えば不満とは、「待遇が良くない」「自分があんまり評価されてない感じ」とか、満足してない状況。
大西拓馬氏(以下、大西):ちょっといいですか?
古屋:どうぞ。
大西:私もすごく(キャリア不安を)感じますし、自分の周りとかも……。
古屋:言っちゃった。
大西:(笑)。感じていた時期もありましたし、社内でも後輩とかから「このままここにいて大丈夫なんだろうか?」と聞くことは多かったり、大学の友だちもけっこうそういうタイプの人がいるんです。
一方で上司の方というかマネージャー層の方も、「若手がぜんぜん成長してこない」みたいに、同じ悩みをお互い違うところから見てるというか。これってそういうものなんですかね?
古屋:そうですね。みんな現代社会で生きる社会人ですからね。だから、そういう話を率直にすればいいと思っていて。「マネージャーはすごく強いもの」という一種のマッチョイズムがある中で、相談相手がいないし、部下のケアもしなきゃいけないし、大変になっていますので。
古屋:そういう中で、「自分はこう思っている」「自分はこの職場の仕事を続けて、昔はこういう不安を持ってたんだけど……」と、不満・不安の感情を共有する。こういうコミュニケーションを「自己開示のキャッチボール」と呼んでます。
大西:確かに、昔はそういうのがあった。残業後の飲み会とか。
古屋:そうそう。
大西:週に何度も(飲み会に)行っていた時代に育ってきた上司たちだと思うんですが、今はそれがなかなかできない。そういった時代の変化から、お互いに悩んじゃうところがあるんですかね。
古屋:飲みニケーションって不満型のマネジメントですよね。不満は解消できるわけですよ。「社内で評価されてない」と思ってる時に、尊敬する上司や先輩が肩をポンと叩いて「ちょっと一杯行こうよ」と、飲みの席で「俺はお前のことを評価してるよ」って言われれば、その不満はふわふわーっとどっかへいっちゃったんです。
ただ、「この仕事をしていても別の会社や部署で通用しなくなるんじゃないか?」と思っている、キャリア不安を持っている若手に同じことをしても、なんの解決にもならない。
大西:確かに。
古屋:「そうですか」と思うだけですよね。自分が社会で通用するかどうかと考えた時に、不満型のマネジメントはなんの解決にもならないです。
大西:今までは飲み会で解決できていた不満が不安に変わったから、飲みに行ってももはや解決できない。そういった時代になってきているということですかね。
古屋:まったくですね。
大西:ありがとうございます。
古屋:私の本にもそういう話を書いてますが、今、本当にマネジメントは大変ですよね。
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