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数理最適化のエキスパートが断言「AIブームで見落とされがちな重要技術」 1,300社が導入した「演繹的AI」が意思決定を変える
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高橋浩一氏:数字をどう見たらいいのかという話なんですが、よく言われるのが、KGI、KSF、KPIという階層があります。
KGIは「Key Goal Indicator」。そしてKPIは「Key Performance Indicator」。KSFは「Key Success Factor」というものです。KGIが「売上を上げる」だとすると、それを分解したものがKSFで、KSFを分解したものが各種KPIになるわけですね。
これらを見ていくんですが、課題を絞り込む必要があると言いました。絞る必要があるということは、GoodとBadを見た時に、メリハリを付けて「さぁ、これが一番の優先課題だ」というふうに決めてあげる必要があるわけです。ここが大事なのでもう1回言いますよ。「さぁ、ここが優先課題だ」というふうに決めてあげる必要があります。
どうしたらいいのかということなんですが、(優先課題を)決めてあげるためには分解が重要です。計算式で分けたりプロセスで分けたり対比で分ける。ロジカルシンキングで言うところのMECEの考え方です。
計算式で分けるというのは、例えばこんな感じです。「売上」=「新規のお客さま社数」×「新規のお客さまのお客さま単価」+「既存のお客さまのリピート社数」×「既存のお客さまの単価」というふうに分解されますね。
「新規顧客の単価を上げる」に赤が付いていますが、それぞれを標準と比べた時に、一番標準と乖離して上げられる余地があるのはどこか? というふうに考えていって、ここが課題だと見極めていくわけですね。プロセスで見る場合も同様なんですけれども、このように絞り込んでいくことが大事です。
プロセスで分ける場合も、提案の活動のプロセスで見た時に「案件化が特に問題だ」となったら、KSFは案件化プロセスの改善であり、KPIは案件化率になりますよね。
そして売上を商談のフェーズで分解する場合、「フェーズ02のところで停滞している。やけにフェーズ02だけ滞在日数が長い」だとすると、ボトルネックを解消しようというふうになるわけです。繰り返し言いますが、KPI管理をする時には絞ることが大事ですね。
「対比で分ける」の4パターンを出していきます。業界で見ていくというのは、「特定の業界を伸ばす余地があるんじゃないか」とか。あるいは(従業員規模で分解すると)「中小企業か大企業向けでいくと、中小企業向けを特にやっていこう」とか。
案件の発生経路でいくと「セミナー経由をもうちょっと増やそう」とか、個人単位で見ていくと「誰々さんが特に上げ余地がある」みたいに、分けることによって課題を絞り込んでいきます。
課題を絞り込んでいったら、次はどう改善していったらいいのかということなんですが、実は数字の改善の入れ方にある種の定石なるものが存在します。KPIが思ったよりも上がらないということになったら具体的にこうする、という定石の方法論があります。
方法論といってもそんな大げさなものではなくて、例えば欲しい成果に直結するフェーズがあるとして、提案件数を増やしたいとしますね。具体的には、毎月コンスタントに12件提案できるようにしたいという状況だとします。
やってはいけないのは、「12件提案しろ」「12件の目標をなんとか達成しろ」というふうに掛け声だけして、あとは任せるよというスタンスです。先ほどからかねてより申し上げているように、当然ながらこれでは(目標達成まで)いきません。
もうちょっと具体的に考えます。12件の提案を出すためには、そもそも訪問をして接触する必要がありますよね。だから何件の訪問をする必要があるよ(という目安がある)。標準的に、30件訪問すれば40パーセントは案件化して提案のチャンスがもらえるとします。
これが1つの前提だとすると、なかなか12件の提案にいかないとなったら、上げ余地があるのはどこでしょうか? 訪問件数かここ打率ですよね。すなわち量を増やすか質を上げるということです。
量を増やすためには、シンプルに時間を固めて集中してその行動をやるか、1回の行動にかかる時間を縮めるか、仕事のための仕事をなくす。「量を増やせ」という号令ではなく、増やすための具体的なマネジメントアクションが必要です。
質を上げるためには、カテゴリ分類の集計+定性コメントというものが必要です。これは具体的にどういうことなのかを解説いたします。
例えば、「案件化を増やしたい」と「受注率を上げたい」という2つの例を挙げます。「有効商談に進んだ決め手」「進んだ決め手の詳細」「有効商談に進めなかった理由」「有効商談に進めなかった理由の詳細」というふうに、ポジティブとネガティブの両方を取っています。ポイントは、あるKPIを上げたいと思ったら、ポジもネガも両方記録するのが大事だということです。
カテゴリ選択と自由記入の両方が必要で、カテゴリ選択とはこういう感じで選ぶことで、自由記入はどんな文章を書いてもいいよということです。例えば受注率を上げたい場合も一緒ですね。失注しても「理由と詳細」というふうに、ポジとネガの両方を入れておきます。
カテゴリ選択とは何のためにやるかというと、集計のためです。数で記録すると分析・集計ができますよね。自由記入は何のためかというと細かく知るため。なので、両方必要です。
カテゴリを作る上では仮説と意思が必要と書いておりますが、カテゴリの中で意図して増やしたい・減らしたいものが出てくるわけですね。こういうものを、当社の場合だとアルファベットで分類をしております。
これは今、何の話をしているかというと、質を上げたい場合にどうしたらいいかという話です。がんばってはいるんだけど質を上げなくちゃいけない。どうしたらいいのか? このように考えていった時に、ターゲットKPIさえ定まれば、量を増やすか、質を上げるかという話ですからシンプルですよね。
このターゲットKPIをどこに設定するのかというのは、実は定石があります。それは、最初は上流寄りから設定することです。
具体的にどういうことかというと、例えば受注を増やしたい時に「さぁ、今月の目標は何件だ。この受注目標を達成せよ」みたいな感じで、受注件数をKPIとしていきなり成果は上がりますか? という話ですよね。当然、いきなり受注は生まれないじゃないですか。
「じゃあ、提案件数を増やせ」という話だとしても、「そもそも提案までいかないんです」みたいな。だったらどんどん上流にさかのぼって、例えば「まずは1日30件電話をかけよう」という感じになるわけです。ということで、まずは上流のほうがやりやすいわけです。
ただし、これはそのうち陳腐化して、KPIとしての賞味期限が切れてくるわけです。そこで進捗するに従って、だんだんとそのターゲットKPIを下流に移していく必要があります。
具体的にどういうことかというと、「1日30件コールするんだ」みたいなものはやりやすいですが、それだけをずっとやっていると目的化してきます。「ぜんぜん数字が達成できていないんだけど、30件のノルマは果たしました」という感じになってくるわけです。
そうではなくて、ある程度これで数が増えてきたら次は質を上げるために、「じゃあ、フェーズの2番から3番に上げた件数を月に6件作ってください」みたいな感じで、KPIをだんだん下流寄りにしていくわけです。
これがうまくいけば、KPIは受注件数みたいなもので(設定しても)機能してくるわけなんですけれども、ターゲットKPIはちょっと流動的です。すなわちどういうことかというと、最初は上流に立てるんですが、だんだん下流寄りになっていくんですね。
ターゲットKPIにおける注意点なんですが、確かにコンタクト件数とかは計測しやすいです。ただ、もうちょっと下流寄りにいくと、商談作成件数というふうに質も含めて見ていく必要がありますよね。
コンタクト件数だけ見ていくと、「コールはしている」とか「訪問しているけど案件化していない」ということがあったりします。そこで商談作成件数を見ていくとか、フェーズアップの件数を見ていくという話です。
そして、パイプラインの金額をいくらぐらい積んでいるのか。例えば、月初を迎えた時には「今月分を何割は積んでおこう」みたいな言い方になると思います。要するに、「7月の目標を達成するためには、7月1日時点で目標全体の7割は計上されていないと達成が厳しいよね」という感じです。
そして現時点での売上目標達成率なんですが、多くの営業組織は一番上(コンタクト件数)と一番下(現時点での売上目標達成率)ばっかり見ていることが多いんですよ。「何件行っている」とか「今、売上達成率が何パーセント」といった部分だけを見ているケースが非常に多いです。ですが、これだけだとヘルシーに目標達成する営業組織にはなかなかなりません。
真ん中の3つ、見るべきだけど見落としがちなところがあります。さぁ、どうでしょうかね? みなさんも自分の会社のKPIを見ていただいて、ちゃんと正しくKPIが設定されているかどうかをちょっとお考えになってみてはいかがでしょうか。
もう少し細かくいきますと、ルート型とアカウント型は少しずつ変わってきます。ルート型の場合は、見ていく際に行動量が大事になっていくわけなんです。
マネジメントの肝としては、行くべきところに行っているかとか、考えずにただ行動するんじゃなくて、ちゃんと(質問をして)気づかせる。メンタルがやられないようにケアをする、行動目標に対しての意味付けをしてあげるといったことが必要です。特にルート型の場合はこういうケアが必要になってまいります。
アカウント型は1件1件がけっこう大掛かりで複雑です。ですから、単純に何件行動したということではなくて、質を見ていく必要があります。
キーパーソンに接触しているかとか、まずはこのあたりを特に見ていただきたいです。ちゃんと1社をしっかり見て、細かく見ていくのがアカウント型のマネジメントになります。質を伴うKPIを見ていくということですね。
アカウント型は情報戦ですから、ちゃんとお客さまに関する情報が溜まっているかどうかとか、お客さまのビジネスを理解できた上での課題整理ができているか、お客さまの意思決定プロセスがちゃんとわかっているか、比較検討状況を捉えているかといったポイントを見ていきます。長期化する商談が多いのがアカウント型です。
ということで、KPIの読み解き方の話をしてまいりました。まず、何でもかんでも見るというのは、やはり人間の限界が来ますよね。「Aさんはこれ、Bさんはこれ」みたいに、ある時点において注力するKPIを人それぞれ絞ってあげることが大事です。絞るということをやりさえすれば、あとはやることはシンプルで、行動の量を増やすか質を上げるかです。
量を増やすためには1回当たりのまとまった時間を取るとか、1回の動作にかかる時間を減らしてあげるとか、あるいは仕事のためのムダな仕事を減らすことが必要です。質を上げるためには、カテゴリごとの集計と自由記入欄を見ながらのPDCAということになります。
そしてターゲットKPIの話をしましたが、特に商談作成件数やフェーズアップの件数やパイプライン金額を見ていない場合は、ぜひ見ていただくようにお願いします。
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