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数理最適化のエキスパートが断言「AIブームで見落とされがちな重要技術」 1,300社が導入した「演繹的AI」が意思決定を変える
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高橋浩一氏:安定して目標達成するメンバーが身に付けている習慣ということで、これまで当社が4万人以上の営業の方々をご支援してきた中で、こういう人は安定して達成しているなという共通点がありますので、5つほどご紹介します。
まず1つは「上流の原則」。受注間際よりも案件発生段階で実質的な決着をつけにいく。要は「案件ができました」という時に、最後のクロージングでがんばるんじゃなくて、発生段階にエネルギーをかけるということです。
「間接の原則」は、今すぐのお客さまだけでなく、そのうちのお客さまも大事にする。今すぐのお客さまだけを大事にしているとすぐ枯れてしまいます。「悲観の原則」は、「たぶんうまくいく」ではなく、「うまくいかないリスクは何か」で考えてちゃんとリスクを解消すること。
そして「分散の原則」は、一部のロイヤルお客さまに売上を依存するのではなく、お客さまの数を増やしておく。「先行の原則」は、期末にがんばるんじゃなくて期初に貯金を作っておくということです。
さぁ、どうでしょうかね? これを見ていただくと、「確かに安定して目標達成しているメンバーってこういうことをやっているな」というふうに見て取れるんじゃないでしょうか。
「これができていないから意識が低いんだ」というふうに片付けていたら、いつまで経っても進まないです。なので、私が言いたいことはどういうことかといいますと、標準に基づいて計画をする。標準がないと、そもそも考える土台がありません。
計画どおりにいかない時にサポートする。これは、さっきの優先順位の判断ですよね。優先順位の判断をサポートした結果として、いい状態が習慣として身に付くようにするということです。
そのために、どんなPDCAを回していったらいいのかという話に移っていきたいと思います。今までのが大まかな考え方だとすると、(ここからの話は)具体的にどういうふうにしていくかなんですが、だいたいマネージャーが見ている目線があります。
「受注や売上の目標が達成できそうか?」「行動目標は達成できそうか?」「活動や商談内容がきちんと報告されているか?」という3つのポイントです。
「よくある」というふうに書いていますけれども、「あれ? 高橋さん、これって悪い着眼点ということですか?」とお思いになるかもしれません。悪い着眼点というわけではありませんが、これだけでは足りないというのが私が言いたいことです。どういうことか、1つずつ見ていきたいと思います。
マネージャーの中にはこういう方がいらっしゃいます。「いやぁ、高橋さん。私はとにかくメンバーに細かいことは言いません。信じて任せます」「結果を出してくれればプロセスは問いません」。
そういうマネージャーの下ではメンバーはどういう行動を取りやすいかということなんですが、報告をあまり前もってせずに、ぎりぎりになってから積み上げてこようとする。
なぜかというと、プロセスが問われないということですから、前もって「案件がありますよ」とか「これを提案中ですよ」と言って下手に期待をあおると、失注した時にがっかりされたり叱責されるおそれがありますよね。
「どうせプロセスを見ないマネージャーだったら、ギリギリまで隠し玉にしておこう」となる。これだったら、メンバーからしても余計なことを突っ込まれません。ただし、この隠し玉が明るみに出ているのがもうちょっと早めだったら、受注確率はもっと上がっているんじゃないでしょうか。
こういう話をすると、このようなマネージャーの方が現れます。「高橋さんね、結果を出せばプロセスを見ないなんていうのは甘いんです。プロセスをきっちり見ます。私はプロセスKPIのあるものを設定しています」。
訪問件数、提案件数、受注件数、リピート件数とあります。だいたい訪問KPIとか提案KPIみたいな感じで見られたりするわけなんですが、そういうマネージャーの下だとメンバーはどういう行動を取りやすいか。プロセスを問われないわけではありませんので、プロセスは見られます。ただ、ここ(訪問件数と提案件数)をばっちり見られるわけですよ。
どういうふうになりやすいかというと、受注や売上がきつくなってくると、「行きやすいお客さまを訪問し、とりあえずこの数字だけ伸ばしておこう」「とりあえず見積もりを出しておいて、このノルマだけクリアしておこう」というふうになりがちです。これはちょっと困りますよね。
そうすると、こういうマネージャーの方が出てきます。「いやいや、やはりKPIだけを設定してもダメなんです。1件1件を細かく見るんです」と、商談報告をきっちり書かせるマネージャーの方が出てきます。さて、そういうマネージャーの下だとメンバーはどういうふうに行動しやすいでしょうか。
商談報告がきっちり見られるとなると、しっかり仕事をしているようにちゃんと細かく書かないといけません。でも、ちょっと冷静に考えてください。初めから勝負が決まっているような楽勝案件とか惨敗案件の報告を事細かに書いている時間って、接戦の営業時間に充てたほうがよくないですか? ということで、実はこれらの3つの観点だけでは足りない。
どういうことかというと、「結果だけを見ますよ」って言われても、隠し玉で期末に追い上げる人が出てきますし、「プロセスKPIを見るよ」って言われると、プロセスKPIで行きやすいお客さまに行く営業が出てきます。そして「報告内容をきちんとチェックしよう」となると、みんな一生懸命報告を書きます。
こうなると何が起こるかというと、がんばっているアピールが習慣化してしまうわけですよね。要するに、マネージャーから見ていかにもがんばっているように見えるような行動をメンバーが取るということです。どうでしょう、これは目標達成に近づいていますか? 遠ざかっていますか? ということで、もう一段踏み込んでみる必要があります。
受注や売上の目標だけじゃなくて、パイプラインの状況や商談フェーズの前進を見ましょう。「ちゃんと進んでいますか?」ということですよね。行動の量だけではなく質も見ます。ちゃんと報告を書いているかどうかだけではなくて、異常や抜け漏れが発生せずに、優先順位が合っているかどうかをウォッチする必要があります。
となったら、どういうふうにマネジメントをやる必要があるかというと、やはりフェーズに区切っていく必要があるわけですよね。商談フェーズを細分化してプロセスマネジメントをしましょう。
例えば提案中といっても、今は商談の見極め段階という商談もあれば、課題を特定している段階の商談もあれば、メリットを訴求している段階の商談もあれば、意思決定者の賛同を得ている途中という商談もあります。
ここで、フェーズを区切るといろんな着眼点が生まれてきます。その着眼点を代表的な3つに絞ったのが「ダッシュボードのATM」です。プロセスマネジメントの着眼点といった時に、マネージャーが何でもかんでも細かく見るのは大変だと思いますから、この3つを逃さず見ましょうということを提唱したいと思います。
まず1つは「Alert(停滞や抜け漏れ)」。これを放っておくとまずいよということを見える化しておいて、これをメンバーと共有することによって、マネージャーがいちいちチクチク言わなくともメンバーが自分で気づいて停滞や抜け漏れを解消しにいく。
そして2つ目が「Targeting(アプローチ先のリスト)」。メンバーが優先順位を間違えないようにしたいので、「ここのお客さまをずっと放置していないかい? 今、ちょっと優先順位を上げてアプローチしようよ」ということです。
車の運転で例えると、Alert(停滞や抜け漏れ)は黄色信号で、Targeting(アプローチ先のリスト)は青信号。黄色信号であったら止まりなさい、青信号であったら進みなさいというものです。
ちゃんと信号を守って、カーナビゲーションで「目的到着まであと何分」みたいな感じで、しっかりと順調に進んでいるかどうかを見ていくわけです。このままいくと目的は達成できるかどうか? ということですね。
これを私は「Alert」「Targeting」「Monitoring」というふうに、3つの頭文字を取って「ダッシュボードのATM」と呼んでおります。
具体的に見ていきたいと思いますが、アラートのダッシュボードというのは、次のアクションが更新されていないとか、あるいは過去の日付になっているとか、放っておいたらまずいやつです。決定予定日が空白だったり、クロージング段階まで来ているけどネックや対応策が空白というのはまずいですよね。
フェーズがずーっと動いていないのもちょっとまずいですよね。「フェーズが後退したまま何もやっていなかった」というのもいけません。
そして「特定のフェーズに来たら必ずヒアリングしてほしい項目」というのは、例えば予算とか、意思決定権限者がどなたか、スケジュールはどうか、BANTCHの情報が入っていないとかです。こういうものはちゃんとピックアップして解消していく必要があります。
ターゲティングのダッシュボードというのは、「こういうお客さまに行きなさい」「このお客さまにアプローチしましょう」というものです。
特にこの時期にセミナーやキャンペーンを案内すべきお客さまだったり、案件化が見えているんだけどアポイントやアクションがまだ設定されていなかったり、クロスセルやアップセルを提案できる既存のお客さまのリスト。
過去に失注したままフォローされていないとか、あるいは過去に接触しているけれどもフォローが十分でなく掘り起しが必要だとか、提案前の段階からずっと動かない状況で何かしらのフォローが必要だということです。
「あれ? アラートとターゲティングでどう違うんですか?」というふうに思われるかもしれません。ざっくり申し上げると、アラートは緊急度が高いということです。緊急度が高いので、もうこれをやらないとまずいことが起こります。ターゲティングは緊急度が高くないので、放置されがちなものについて優先順位を付けるということです。
仮にアラートとターゲティングが適切に設定されていたら、数字が伸びてくるはずですよね。進行中の接戦案件がちゃんと積み上がってくるわけですし、パイプラインも増えてくるはずです。
そうなってくると見込みの売上も増えていくわけですが、量だけではなく質も見ましょうと申し上げました。例えば、受注率や単価を見たりというふうに、質と量を併せて見ていく。場合によっては、もっと細かいところまで見ていくということです。
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