【3行要約】・個人の成果を追求するプレイヤーと組織の成果を追求する管理職では、求められる視点が大きく異なります。
・マネジメント理論の第一人者ドラッカーは「マネージャーは組織の成果に責任を持つ人」と定義し、現代では結節点としての役割がより重要になっています。
・管理職への準備としては、目標設定・組織化・動機付け・評価・人材育成の5つの役割を意識し、特に部下の動機付けを重視した行動を心がける必要があります。
前回の記事はこちら 管理職になる前に視座を変えながら行動する
佐久間大輔氏:続いて、管理職がやる仕事。管理職の役割と仕事にどんなことがあるかを見ていきましょう。
もともとプレイヤーとして活躍されていた方は、個人でしっかりと仕事を行って、結果を追い求めていくことが大事なので、プレイヤーだけの視座にとどまっていると「個人としてどう結果を出せばいいか」っていうところを見ていくようになります。
プレイヤーとして結果を出してきた方の仕事の考え方としては、今目の前にあることにしっかりと集中しながら結果を出していくことだったと思います。
一方で、管理職のマネジメントの仕事を考えた時には、目の前のことだけをやるだけではなかなかうまく回らないと思います。なぜかというと、メンバーの人たちに売上を立ててもらったり、人員の配置を考えたり、新しいサービスを考えたりっていうかたちで、どちらかと一手、二手先を読んでの行動をすることになりますよね。
プレイヤーとしての仕事はどちらかというと、「現時点でどうしなければならないのか」。管理職は「一手先、二手先を見据えて部や課を動かしていく」ことが大事になります。
なので管理職になってから視座を変えるのではなくて、管理職になる前に視座を変えながら行動することが必要になってくるんじゃないかなと思います。
最終的には、チームのメンバーの力を活かして、組織として結果を求めることが大事になります。
ピーター・ドラッカー氏が説くマネジメント
「(このことの根拠は)どこから来ているのかな? なぜこんなことが言えるのかな?」っていったところで。これは私個人が思っていることではなくて、みなさんも本とかで見たことがある、もしくは聞いたことがある人が多いかと思いますが、ピーター・ドラッカーさんが説くマネジメントに同じようなことが載っております。
マネジメントの本は本当にたくさんあります。自己啓発などで、みなさんもいろいろな書籍を読んだことがあると思います。いろいろな知見があり、定義も多少異なってくるんですよね。
本当に何を大事にしなければならないのかっていう核の部分にしっかりと触れているのが、私はドラッカーさんのマネジメントだと考えております。
マネージャーは自分の組織の成果に責任を持つ人
(スライドを示して)特に1つ目です。「マネジメントとは組織に成果を上げさせるための機関、機能、道具」と言っております。今日は「機関、機能、道具」というところはそこまで深く考えなくていいので、「組織に成果を上げさせる」というところを考えてください。
先ほどから話しているように、マネジメントは自分自身が成果を上げることではなく、組織に成果を上げさせるために何をしなければいけないかになります。
特に組織に成果をもたらすことというのが、「顧客が何を考えているか」「企業の目的が何なのか」「働く人をどうやって活かすか」。その強みを活かして成長を促すことが、最終的には次に示すような、「マネージャーとして組織の成果に責任を持つ人」になります。
なのでマネジメントをするっていうことは、組織に成果を上げさせるために、いろいろな工夫をして、最終的に自分の組織の成果に責任を持つ人ということになります。
(ドラッカー氏の)本を何回も読まれていて、「その内容は知っているよ」という方も多いかもしれないんですけれども、ドラッカーさんが言っていることが広く知れ渡っているのは、具体例が本の中で豊富で、普遍的な内容があるからだと思います。なので、みなさんにも広く知れ渡っているのかなと思います。
「ヒト・モノ・カネ・情報」を総合的に考える
じゃあ、実際にドラッカーさんが説くマネジメントを少し細かく見ていきましょう。
マネージャー、「組織の成果の責任を持つ人」というのがどんなものなのか。役割を見ていただければと思います。
経営資源の統合による成果創出っていうことで、経営資源にはいろいろありますよね。ここをぶつ切りで考えていてもなかなかうまくいかないです。
なので1つ目に関しては、経営資源を単体で動かすのではなくて、「ヒト・モノ・カネ・情報」を統合して総合的に考えていくことで、より高い成果を生み出すと考えております。
4つ全部掛け合わせなくても、「ヒトとモノ」「ヒトとカネ」のような2つの掛け合わせでもいいと思いますし、3つの掛け合わせでもいいと思います。状況によっては4つ掛け合わせてもいいと思います。ただ単に、1つだけで考えないっていうことですね。
現時点と未来を見るバランス
続いて、先ほども話したように、プレイヤーは現時点を見ることが多いです。管理職は一手、二手先を読みましょう。もちろん現場の意見とか、現場で何が起こっているかも重要なので、現在と未来、未来と現在、これを天秤にかけた時にどちらが大事かというわけではなくて、どちらもしっかりとバランスを取りながら見ていくことが必要になります。
このバランスっていうのは5:5ではなくて、あくまでもその時のバランスになりますので、より未来を見据えて行動したほうがよくて6:4になる時もあれば、時代の変化の流れが激しいので今すぐやらなきゃいけないことがあるよねってなれば、現在のほうに注視していただく。そんなようなかたちになると思います。
みなさんふだんやっている仕事も多いとは思いますが、どんな仕事が管理職には必要かを次に示させていただきたいと思います。
縦断的な結節点であり、横断的な結節点でもある
企業にとって、マネージャーとは極めて重要な役割を担っています。特に現場とトップの経営層のところを間でつなぐ潤滑油、「結節点」とも書いてありますが、双方の橋渡しをするような役割も担っております。トップからの意見を単に伝えるのではなくて、現場の意向や意見、あとは動機付けをして関与していくのも必要です。
また、縦断的な結節点だけではなくて、横断的な結節点、つまり部署を通り越しての、同じ管理職同士の横のつながりも大事になります。