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数理最適化のエキスパートが断言「AIブームで見落とされがちな重要技術」 1,300社が導入した「演繹的AI」が意思決定を変える
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中山拓哉氏:ここまで1から4のタイプ別にお話をさせていただきましたが、共存戦略という考えを持っていただくのも1つかなと思います。
「静かな退職が絶対悪で完全排除」というよりかは、組織全体のバランスを保ちながら適切に管理するということが、正直、力業よりかは現実的なアプローチになっていくかなと思います。
(共存戦略を)まとめますと、まず1つ目が多様性の受容。いろんな価値観が認められるべきという時代背景にもなってきましたので、さまざまな働き方や価値観だったり、考え方を少なからず認めていく必要はあるのかなと思います。
2つ目。じゃあ、この多様性がすべて許されるかというと、組織に属している以上はボーダーラインは設定いただく必要があるかと思います。「その考えを持って仕事をしてもいいけど、うちの会社で働く以上はここを最低限は担保してね」と、業務品質、結果・成果の部分、行動の部分といったところはラインを引いていただく必要があるかと思います。
3つ目。これが難しいところなんですが、そんなにいろんな考え方の社員が集まる組織においても、「どういう手段で戦略を打ち出していくのが全体最適か」を考えていただく必要がございます。この3つが、共存戦略の3原則になってまいります。
実際の組織構成バランスとして1つの例です。みなさんも「262の法則」をお聞きになったことはあるかなと思うんですけれども、若干割合が異なりますが、これぐらいのバランスが共存戦略としては適切かなと思います。
いわゆる「牽引役」である高エンゲージメント層。エンゲージメントというのは、会社に対する貢献意欲が高いことですね。あとはハイパフォーマーといった層は、30パーセントいればかなり理想的なラインかなと思います。
約半数が安定層ということで、どちらにも属さない「中間層」。20パーセントぐらいは静かな退職層(基盤層)を許容しつつ、共存していくという考え方も1つあるかと思います。冒頭でお伝えしましたが、(会社組織における静かな退職者は)全体で約半数近くおりますので、2割ぐらいにとどめていただけると組織の健全化も図れるかと思います。
あとは、明確に役割を決めていただくことですかね。先ほどお見せした高エンゲージメント層のハイパフォーマーに対しては、イノベーションの創出、組織変革、マネジメント、問題解決とか、自分で考えてどんどんPDCAを回していけるような人材にしかできない仕事を役割として与える。
静かな退職層については、基幹業務、安定性のある仕事、知識・ノウハウの蓄積とか、イノベーションを起こすというよりかは裏側で支える、安定感を作っていってもらうような役割を与えると、全体最適も見えてくるのではないかなと思います。
静かな退職者に対する具体的なマネジメントとして推奨するのは、明確な業務指示と期待値を設定する。「最低限でいいや」になってしまっているので、具体的に「これはお願いしますね」というところは、組織に属している以上、指示・命令を出していただく。
定期的な業務確認とフィードバック。ハイパフォーマーはわざわざ事細かに確認せずとも勝手にPDCAを回して、どんどん業務は進められるかなと思います。ただ、進捗がきちんとうまくいっているのか、順調に進んでいるのか、最低限を下回っていないかといった確認も含めて、定期的な業務確認やフィードバックも重要になってきます。最後のポイントとしては、価値観を尊重してあげるということですね。
非推奨としましては、無理くりモチベーションを上げようとしないことです。「自分の考えそのものを否定されてしまった」という感覚に陥りかねないので、無理くり上げようとはしない。「日々の行動、日々の業務の中で、何かきっかけを見いだしてもらえたらな」ぐらいの期待で関わっていただくのが、ちょうどいいあんばいかと思います。
(静かな退職者の気持ちとしては)「最低限でいいや」なので、無理くりの残業や追加業務には、かなり反発が出てくるかと思います。
あと、これは静かな退職者に対するマネジメントに限らないんですけれども、従業員との比較・競争ですね。ふだんのマネジメントでもしていただきたくはないんですが、「なんでAさんはできているのに、あなたはできていないの?」というのはメンツが潰れてしまうので、基本的には比較はしない。
価値観の否定というのは考えの否定になりますので、極論、最終的には人格否定につながってしまう可能性がありますので注意が必要でございます。
では、まとめさせていただきます。あらためてですが、「静かな退職」というキーワードをニュース記事で読まれたことがある方とか、私も調べてみたんですがYouTubeで静かな退職について解説されている方もいらっしゃいましたが、ニュース記事や動画、各種SNSでキーワードを見られた方もいらっしゃるんじゃないかなと思っております。
これからトレンドとしてもう少し広まっていくかなとは思っているんですが、「絶対に排除」というよりかは、多様性がだいぶ普及してきた昨今ですので、排除はなかなか難しいのではないかなと思います。
組織全体のバランスを保ちながら活用していただくということと、静かな退職という一言を取っても、なぜそうなってしまったのかとか、どういう考えによってそうなってしまったのかというふうに、それぞれ考えが異なります。
なので、考えが異なるためそれぞれに対して適切なアプローチを取っていただいて、「この社員にはこう」「こういうタイプにはこう」というような画一的な対応は避けることが大事になってきます。
これは静かな退職の対策のみならず、組織をどんどん拡充、充実、より大きなものにしていくという観点においては、「虫歯になったから痛み止め」というような短期的な対症療法ではなくて、根本的な根っこからの治療とか、中長期的な目線で組織文化そのものを見直していくという観点が大事になってくるかと思います。
静かな退職の対策のカギは、現場をよく知る管理職が鍵を握っているかなと思います。管理職の対応が組織の命運を左右すると言っても、私は決して過言ではないと思います。
管理職の方が部下のタイプを適切に見極められているか。それぞれに応じた対応ができているか。1対1、一人ひとりではなく組織全体もきちんと見られているか。あとは一番起こってほしくない、静かな退職の伝播・伝染を防いでいけるかというところが、組織のカギを握っていくかなと思います。
なんですが、おそらく管理職のみなさまは日々ご多忙にされているかと思います。直面する現実としては、従来の管理手法、自分が実際に育ってきた経験・体験をそのままマネジメントに置き換えて行ってしまうと、「あれ? なんかうまくいかない」となってしまう。
「価値観が多様すぎて対応し切れない」とか「あっ、そういう価値観もあるのね」というような、おっかなびっくりみたいなところもあるのではないかなと思います。
あとは管理職といっても、みなさまはほぼほぼプレイングマネージャーで、ご自身のプレイヤーとしての業務も持ちつつマネジメントもしないといけないという側面がある中で、そもそも部下とのコミュニケーション量が不足してしまっていたりする。
パフォーマンスが高く、結果・成果が出たから管理職のポジションに就きますという方がほぼ100パーセントかと思いますので、「そもそもマネジメントスキルを学んできませんでした」というような、スキル的な部分での不足も少なからずあるのではないかなと思います。
というところで、なぜ管理職が大事なのか、カギを握っているのかというところですが、現場の最前線で部下と直接的に接する存在の方ですので、部下の変化にいち早く気づける、適切な対応もできるというところが1つございます。
あとは、経営層と現場をつなぐ橋渡し役として経営方針を現場に浸透させたり、現場から(意見が)上がってきた際は上層部に伝えたりとか、そういった役割も担っている。(管理職は)組織の中核、コアですよね。
ということは、チーム全体や組織全体の雰囲気とか方向性、文化を左右する影響力を持つ存在でございますので、組織変革を成功させるカギは、やはり現場を知る管理職のみなさまの成長から始まるかと思います。
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