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組織を蝕む「静かな退職」現象って? 現代組織の課題と対策(全3記事)

仕事への意欲を失った“静かな退職者”の心理とは? 4タイプ別に見る特徴と企業の対応策 [1/2]

【3行要約】
・会社には在籍しているものの、仕事への熱意を失った「静かな退職」が話題となっています。
・静かな退職を4つのタイプに分類し、それぞれに応じた対策の必要性を指摘。
・企業は各タイプの特徴を理解したうえで、面談の強化や評価制度の見直しなど具体的な施策を講じるべきだと語ります。

前回の記事はこちら

4タイプ別に見る「静かな退職」の特徴

中山拓哉氏:ここまでは問題提起をさせていただいたんですが、ここからは4タイプに分けて、それぞれに対しての特徴や対策の部分をお話しさせていただきます。

タイプ別に分けますと、1つ目が不一致タイプ、2つ目が評価不満タイプ、3つ目が損得重視タイプ、4つ目が無関心タイプ。この4種類を1つずつ見ていきたいなと思います。

まず1つ目の「不一致タイプ」なんですが、何が不一致しているかというと、いわゆる職場環境と本人のニーズが不一致、マッチングしていないということです。特徴としては、仕事・環境の不適合による意欲低下、スキルと業務のミスマッチ、職場環境への不適応が挙げられます。

実際に私もいろんな会社さんの新卒・若手の受講生から耳にするのが、「思っていた仕事と違いました」「面接の段階で聞いていた業務内容とは違いました」「希望している部署に配属されませんでした」「職種を設計希望で出したのに営業に行かされました」とか、そういった愚痴がけっこう飛んでくるんです。そういったきっかけで、不一致タイプの静かな退職が生まれる懸念はあるかと思います。

典型的な本人の声としましては、「今の職場にはやりがいがある仕事がない」「自分のスキルを活かせる業務がない」ということで、いずれのタイプも総じて他責になってしまっているということが共通点としてあるかなと思います。

「自分が成長してやりがいを見いだしていこう」「自分がスキルアップして、このスキルを活かせる業務を見つけていこう」というふうに自責的に捉えられずに、周りの環境、会社、上司に責任を考えてしまっている他責思考の方が多いかなという印象は持っております。

「不一致タイプ」に対して企業側ができるアプローチ

こういった「不一致タイプ」は、いわゆるギャップが発生してしまっているケースですね。ミスマッチが出てしまっているケースで言うと、それぞれ短期的、中期的、長期的の対策を羅列させていただいておりますが、まずは短期的な対策として、ぜひ面談はしていただきたいなと思います。

本人がどういうところをミスマッチと捉えているのかとか、もしかしたら勘違いの場合もありますし、本人のニーズや「こういうふうにやってみたい」「こういう仕事をしていきたい」ということをきちんと面談の場でヒアリングできれば、もしかしたら企業側も歩み寄れる可能性があるかと思います。

面談によって、本人の考え、意見、ニーズをきちんと拾い上げていく。ここのあたりが緊急策になってくるかと思います。あとはスキル・適性診断の実施です。今、適性検査などは世の中にごまんとあるかと思いますので、そういったところであらためてマッチングを精査していくのも1つかと思います。

暫定的な業務調整ということで、もし可能であれば部署異動で仕事内容を切り替えるとか、担当業務を差し替えるとか、可能な範囲で調整してあげるところも歩み寄れる部分かと思います。

中期的な対策になってきますと、職務の再設計、配置転換の検討、スキル開発研修の提供、メンター制度の導入です。このあたりになってきますと、対個人に対しての対策というよりかは、不一致が起こらないようにするために組織があらかじめ手を打っておくべき対策というふうに、視座が変わってきます。

最終的に長期的に見直すべきは、何をどうがんばればどうなっていくのか、どんなキャリアを積んでいけるのかというキャリアパス設計の見直し。あとは、職種転換制度で職種や仕事内容を変えていけるような整備。社内公募制度も1つありかなと思っております。

評価に対する不満が「静かな退職」につながるケースも

続きまして、2つ目が「評価不満タイプ」でございます。こちらに関しては特徴に書かれていますとおり、会社側からの評価に対して正当性を感じられていないので、「じゃあ、会社からの評価がそうなんだったら、私はもう最低限でいいですよ」というふうに静かな退職に陥ってしまうタイプです。

処遇・評価に対する不平不満、「自分ががんばってもがんばっても、会社は自分のがんばりをわかってくれない」といった、評価されない感覚。

あとは昇進・昇格、キャリアアップしていきたいにもかかわらず頭打ちになったりする。最近でいうと、若年層からは年功序列に対する反発の声が上がってきているのも実情でございます。

こんな評価不満タイプの静かな退職をしている本人からの典型的な声としましては、「自分で仕事を行って、面談時にがんばって一生懸命アピールしても評価されない」「がんばってもがんばらなくても評価が変わらない。なら、がんばらなくていいや」という考えに陥ってしまう。

まずは短期的な施策としまして、これは会社側の都合ももちろんあるかと思うんですが、評価制度の中身を社員に開示していない企業さんは、「私はこういう基準であなたを評価していますよ」という評価制度の中身は社員に開示するべきかなと思っております。

これによって本人たちも、「自分はこういう基準で評価されているのか。じゃあ、ここに取り組めば会社は評価してくれるな」というふうに、開示するだけでお互いにWin-Winになると思うんですよね。

本人は「ここに注力すれば評価してもらえるなら、ここをがんばろう」というふうに、「最低限でいいや」から、がんばる糸口が見えてきますので、評価制度を透明化、可視化、開示する。

あとは、あらためての説明会なんかがあってもいいかなと思います。我々も評価制度の構築、運用、サポートをさせていただくこともあるんですけれども、全社員に対する説明会は必須で行っています。新たに評価制度を構築・運用をスタートされるタイミングで全社員を集めて、「こういう内容で、こういう軸でみなさんを評価します」という説明会を行う。

別途で管理職を集めて、「管理者、いわゆる評価者になるみなさんはこういう観点や基準で評価してあげてくださいね」と説明会を行うとか。甘辛の基準とか、いわゆる鉛筆なめなめではなくて、「こういう明確な評価基準で社員を評価してあげてくださいね」という管理職向けの説明会がなされてもいいかなと思います。

上司・部下の関係性が希薄になると起こる「勘違い」とは

(評価不満タイプへの短期的対策として)「フィードバック頻度の増加」とあるんですが、会話量を増やしていただくことは、評価不満タイプを少しでも減らすための対策になってくるかと思います。これは上司と部下の関係性にもなるんですが、上司と部下のコミュニケーション量がどんどん減っていってしまいますと、当然ながら関係性も希薄化します。

(上司と部下の)関係性が希薄化するとどういった錯覚に陥るかというと、上司は部下に対してなんとなく仕事をしていないように見えてしまう。部下は上司に対してなんとなく横暴に感じてしまう。お互いの相互理解が薄まってしまうので、そういった認識にも陥りやすい。要は、勘違いですよね。決して(実際には)そういうことはないんですが、そう思ってしまうところがあります。

常日頃から部下本人の行動や結果・成果に対して定期的にフィードバックする機会があれば、「自分が行った結果はこうだったんだな」「行動が合っていたんだな」「間違っていたんだな」と、評価をしてもらえているという感覚になりますので、評価不満も少しは防げるのではないかなと思います。

中長期の施策になってきますと、こちらも同様に仕組み化の観点になってきますが、まずは評価制度の見直し・改善。がんばったらがんばった分だけ、きちんと評価される評価制度になっているのか。あとは1人の主観ではなくて、横軸で同僚や本人の後輩・部下からの評価とか、いろんな軸からの評価を取り入れるという観点もあります。

360度評価の対に位置する評価制度としては、成果連動型ですね。いわゆる絶対評価なんて言われたりしますが、「達成率100パーセントならこういう評価で、120パーセントならこういう評価」というように、Sランク、Aランクなどで絶対的に評価ができる制度の検討も1つでございます。

あとは長期的な対策になりますが、公正な評価システムの構築。いわゆる平等な部分ですよね。がんばったらがんばった分だけとか、がんばってもがんばらなくても全員がB評価とか、そういうふうにはならないような公正なシステム構築、評価の構築。

これは管理職の方がほとんどになるかと思いますが、評価する側の育成・研修の充実も1つかと思います。評価に限らず、「会社としてあなたの成長を支援していますよ」というところを見せてあげるためにも、キャリア開発支援制度の整備も1つの対策としては考えられるかと思います。

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