CLOSE

限られた時間で成果を出すマネジメント術(全2記事)

「尻拭いしない」上司が部下の能力を育てる 経営学者が語る、“任せて見守る”マネジメント実践術 [2/2]

マネジメントは“タスク処理”より“意味づけ”が大切

赤坂:なるほどです。今日のテーマのマネジメントというところ、たぶん私もそうなんですが、いかにしてタスクをこなすか、成果を出すかというところに注目していると思います。

それこそが経営というのが、もともと経典みたいなところから来たりというように、本当に人と人とのつながりでできているものなので、「ちょっととそっちをきちんと見直さない?」みたいな話も含まれているのかなと思いました。

中川:それで言うと、あなたが上手に怠けるための方法であり、また部下が上手に仕事を受け取って、仕事をやるためのポイントというのが、部下にとってみればご機嫌に働けるような状況を作ることだし、結論は同じだよなと(思います)。

「この仕事は何のためにあるのか? どういう意味がある仕事なのか?」ということを、上司が自分できちんと理解していれば、それをきちんと部下に伝えることができる。

“とりあえず見せる”が、仕事を速くする近道

中川:自分自身も部下も心掛けるべきは、とにかく手離れ良くいくということですよね。これはやや技術論になりますが、例えば1つの工夫として、これも経営学ではエビデンスがあるんですけれども、「とりあえず」で人に見せるのは重要なんですね。

99パーセントの出来栄えにしてから人に見せるのではなくて、5割ぐらいのタイミングで、「こんな方向でいいか?」というのを関係各方面にやっていけば、そこからヒントをもらえてくるので、結果早くなる。手離れ良く、「まぁ、こんなもんやろ」で見切り良くパスする。

繰り返しますが、日本は他国よりも200時間労働時間が長いんですよ。つまり1日あたり1時間長いんです。でもこの1時間ダラダラ働くことがプライベートの時間を削ぎ、学ぶ時間を削ぎ、結果としてローパフォーマンスになっていることに私たちはいいかげん気がつくべきなんです。

いつまでも低技能でやたらと仕事に対してストレスフルで時間ばかりかかって、家族と向き合う時間も減ってしまって、それが悪循環になっているということに、私たちはいいかげん気がつくべきなんです。

“ご機嫌な職場”が、エンゲージメントを高める

中川:あとはこれを実現するためには、とにかく職場が笑顔で明るくあること。笑顔でいることはめちゃくちゃ大切です。この場を良いパフォーマンスで仕事しようと思えば、一番大切なのは私が笑顔でいること。

いいですか、私が真顔になったら、今の話、ぜんぜん変わってくるということを今実証しますよ。いきますよ。

(※真剣な表情で話す)いいですか、みなさん。仕事のパーパスというものをあなたはわかっているんですか? あなたがわかっていないことには、部下なんて付いてこられませんよ?

この調子、嫌でしょう? この調子、嫌でしょう?

赤坂:怖いですね。

中川:だからめちゃくちゃ重要なんですよ。雰囲気1つですよ。職場というものはこういうもんなんです。営むというのはこういうことなんです。経営するというのはこういうことなんですよ。

このあたりをきちんと整えていくと、みんながご機嫌にできるようになって、結果すべての人のエンゲージメントが高まる。繰り返しますが、それが本当の意味での組織のサステナビリティにつながるので、上手に怠けるというのは、笑顔で仕事をするということであり、多少技術論的なことを言えば、手離れ良く働くということであり、そして一番根っこの部分でパーパスの理解というのは大切なのかなと(思います)。

(コメントを見て)そうです、私が笑顔でいるというのはめちゃくちゃ大切なんです。いいですか、わかったならばあなたから実践すべきだよということを強調しておきます。変えられるのは自分自身。コントローラブルなところから変えていくという意味では、あなたのありようを変えるというのが大切なことじゃないかなと思います。


Doingより“Being”に目を向けるマネジメントへ

赤坂:ありがとうございます。今日のお話を聴いていると、本当にマネジメントとか、私たちの日々はDoing、やることばっかり、「これしよう、これしよう」で成り立っていますけど、それよりもBeingというか、あり方。「笑顔でいるよ」とか「明るくいよう」みたいなあり方のほうにちょっと注目したいなって(思いました)。

そしてそのあり方を助ける知恵は、このスライドのとおりなので、みなさんもパーパスとビジョンをがんばって勉強してもらって、悲観した顔じゃなくて(笑)、笑顔で実践をしていけばと思います。

中川:だいたいお伝えすることはお伝えできたんですけど、いくつかTipsをお話ししたいと思います。

ポイント、1つ。マルチタスクはしない。これ、めちゃくちゃ重要なんです。マルチタスクというのは、脳みそがそれぞれのところにリソースを取られてしまって、楽しむための余力を何にも持てなくなってくるので、1個1個の仕事がつまらなくなるだけなんですね。

もう1回強調しますが、あなたが笑顔で働くのが大切だということで言えば、マルチタスクをしない。その瞬間、その瞬間に1つに絞ったほうが、結果、生産性は上がりますよということ。

赤坂:「今ここ」ですね。

中川:はい、そうですね。


「がんばらない」ためには、信頼と任せる力が必要

中川:それからTipsということで言うと、がんばらない秘訣は、基本はリーダーシップ。みんなに仕事の意味を与えていくとか。これ、先ほどお話ししたことですね。

信頼して任せる。職場に足りないのは信頼なのだよと。尻拭いのタイミングをもう一歩遅らせてみよう。みんなができる可能性を信じて、ここのところにこそ、人間力を見せる。

あとね、(スライドの)左下、これは本当にコツなんですが、悩まないこと。さっさと決める。悩んでもたぶん結論は同じなのでさっさと結論を出す。

(スライドの)右下が言いたかったことなんです。どうあるべきなのかということと、事実としてどうなのかという理想と現実は常に存在している。あなたは常にパーフェクトなマネージャーじゃなくていいんです。現実に沿うのも正しいんだということです。



これもピーター・ドラッカーという人が言っていることなんですが、そのためにはまず理想論を知っていなきゃいけない。リーダーとは何か? コミュニケーションとは何か? 信頼とは何か? わかっていなきゃいけないんだけども、すべてをすべてそれでやり切ろうとするのはめちゃくちゃ大変なことです。

良きマネージャーの理想はこうだと。だけどもこの問題は現実論で解くんだと。この理想と現実のバランスの取り方がうまくなった時が人の習熟なんだよと。けっこう刺さる言葉で重要だなと私は思っています。

あくまで理想は追求できている。だけど上手に現実論を使ってうまく折衷できている。これができるというのがマネージャーだというのは、なるほどなと私もけっこう思うところです。これで本当に全部になります。

マネジメントは“上司”だけのものではない

赤坂:ありがとうございます。マネージャーという言葉がありましたが、マネージャーって別に上司とかそういうわけじゃなくて、みんながみんな自分を幸せに生きるためのマネージャーみたいなかたちです。

もう万人が、今日先生がお話しくださった、笑顔でいたいねみたいな、あり方のほうを実践していけばいいなと思っています。今日が、そのきっかけになればと思いますので、ぜひみなさん、実践してください。

中川先生、どうもありがとうございました。ぜひ今日の知恵をみなさん聞いて、「ためになった」だけじゃなくて、ぜひ実践していただければと思っています。それでは中川先生、どうもありがとうございます。

中川:こちらこそです。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
スピーカーフォローや記事のブックマークなど、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

すでに会員の方はこちらからログイン

または

名刺アプリ「Eightをご利用中の方は
こちらを読み込むだけで、すぐに記事が読めます!

スマホで読み込んで
ログインまたは登録作業をスキップ

名刺アプリ「Eight」をご利用中の方は

デジタル名刺で
ログインまたは会員登録

ボタンをタップするだけで

すぐに記事が読めます!

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

人気の記事

    新着イベント

      ログミーBusinessに
      記事掲載しませんか?

      イベント・インタビュー・対談 etc.

      “編集しない編集”で、
      スピーカーの「意図をそのまま」お届け!