【3行要約】・「報連相」の重要性は認識されていても、具体的な基準が曖昧なため多くの職場で情報伝達の質に問題が生じています。
・情報伝達の失敗は、目的の不明確さや報告基準の欠如から発生しており特に若手社員にとって大きな障壁となっています。
・効果的な報連相のためには、目的の明確化、基準の構築、型の設定という3つのポイントを押さえ、組織全体で情報伝達の質を向上させましょう。
前回の記事はこちら 一般的に通用されている報連相の定義
三上真央氏:次に「じゃあ、認識齟齬を防ぐためにどのような判断基準を構築するか?」です。
前提として、一般的に通用されている報連相の定義について考えてみようかなと思っています。
「報告」は、仕事の進捗状況や結果、発生した問題などを上司や関係者に伝える。「連絡」は、業務に関する情報や決定事項などを関係者全員に知らせる。「相談」は、業務上の疑問点や問題点、判断に迷うことなどについて、上司や同僚に意見を求めたりアドバイスをもらったりすること。
「じゃあみなさん、これってできますか?」っていうところなんですよね(笑)。例えば「報告って何をどこまで細かく報告すればいいんですか?」とか、あるいは「連絡する関係者ってそもそも誰ですか?」とか。「相談するにしても、そもそも『迷う』ってどういう状態だったら『迷う』って言うんですか?」とか、たぶんモヤモヤすることがいろいろあるんじゃないかなって思います。そのあたりを考えてみましょう。
情報伝達の質をどう向上させるか
「何をどこまで細かく報告するのか?」っていうモヤモヤが生じるのは、情報伝達の質に起因するところとして、ゴールや背景が共有されていないとか、あるいは受け手の曖昧な指示があるだろうというところが想定されます。
心理的要因に起因することとして、「報告しても指摘ばかりで学びにつながらない」とか「報告が責められる場になるから、次からの報告はやめよう」とか、そういった心理的要因に起因するところがございます。
「じゃあ、解決の方向性としてどうしていく?」といったところで、ざっと4つあります。心理的側面のアプローチは次のアジェンダでご説明します。まずは「情報伝達の質をどう向上させるか?」っていう、技術的なところのお話をさせていただきます。
まず1つが、報告の目的の明確化です。もう1つは、報告の粒度と頻度の基準の構築です。最後に、報告の型を設定しましょうっていう話ですね。
報告についてみなさんが思い浮かべた時に、たぶんいろいろなことがあると思うんですよ。状況の報告とか、自分の感情の報告とか、プロセスとか、因果関係の報告とか。そこから何を取捨選択して報告するかがけっこう大事なところになってくるかなと思っています。
意図を明確化することで伝えるべき情報の内容は変わる
それを行うにあたって前提として考えないといけないのは、上司は報告を受けて何を行いたいのかという意図を明確化することです。
いっぱいあると思うんですよ。「現状把握をしたいです」「承認するか判断したいです」。もしくは「部下の育成・評価をしたいです」とか、たぶんこれ以外にもいろいろあると思うんですよ。
そうすると、伝えるべき情報の内容って変わってきますよね。現状把握したいんだったら進捗状況とか現在の課題・問題点とかを伝える必要があるし、承認するか判断したいんだったら、目的の背景とか具体的な内容・手順とか、必要なリソースとかを話さないといけない。部下の育成だったら進捗と成果とか、工夫とかチャレンジとか、評価にも関わるような話をしないといけない。
報告のいわゆる力点というか、重視するところが変わってくるんですね。現状把握をしたいんだったら、報告者の感情とかペラペラしゃべられても困るわけで。客観的な事実が中心とか、あるいは「要点をまとめて簡潔に報告してください」とか、定期的な報告で常に最新を把握しないといけないというやり方も発生するでしょう。
一方、「承認するか判断したいんです」っていうところで言うと、論理的に提案が最適な理由を説明しないといけない。あるいは意思決定に必要な情報に絞る。あとはリスクと対策も提示しないといけないとか。
「部下の育成とか評価につなげたい」だったら、部下の業務進捗だけじゃなくて、部下の思考プロセスや課題解決能力、成長意欲も知りたいので、感情とか思いとかも入ってくるでしょう。あと、リモートとかだとわからないので部下の様子とか。日報とかで伝えるべき情報の内容を記載してもらって上げてもらっても起こり得るでしょう。
「何のために報告しているのか?」を明確化する
というわけで、「報告を何のためにしているの? 何をやりたいの?」を明確化する必要があります。ここが明確化できていないまま報告しろと言ったところで意味がないわけで。
機嫌に左右されて、報告して、なんかワーッと言われる。ほかの理由もありますが、それっておそらく何をしたいかが明確になっていないんですよね。
それだとやはり意味がないわけで、そもそもとして「それってマネジメントとしてのスキルとして大丈夫か?」っていう話にもつながってくるわけでございます。
報告すべき力点のイメージ
(スライドを示して)それぞれの目的に応じた報告内容をイメージで作らせていただいております。
これはあくまでも参考ですが、やはり報告すべき力点は変わってきます。上司が「部下の育成とか評価とかしたい」ってなると、自分がどこをがんばったのかをけっこう盛り込んでいるような報告になってくるイメージですよね。
なので、上司が「何をしたいから報告してね」と言えるかどうかは、まず大前提として必要です。ここがないままで、機嫌に左右されてワーワー言うのは本当に意味がないです。

あとは報告の粒度と頻度の基準です。報告の粒度とか頻度とかって、おそらく個人とか感覚ベースで行っている方が多いと思うんですけれども、あえて組織として設定するのもお勧めです。
そうじゃないと組織として何を重視しているかっていう価値観だったり基準だったりが伝わらないので、明確にするのをお勧めしています。