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ビジネスリーダーのための「部下を動かす質問力セミナー」(全4記事)

やると言ったのにやらない部下への指導法 相手の行動を「悪意」に捉えない…イラっとした時の切り替え方 [1/2]

【3行要約】
・部下育成では「ティーチング」と「コーチング」の両方が重要だが、多くのマネージャーはその使い分けに悩んでいます。
・林英利氏と橋本ゆり香氏は、経験や状況に応じた両手法のバランスが効果的であり、心理的安全性の確保が前提だと指摘。
・部下の成長を促すには、マニュアルを尊重しつつも改善の余地を認め、相手の話に耳を傾け、良き意図を前提とした関わりが大切です。

前回の記事はこちら

部下への「ティーチング」と「コーチング」の使い分け

平岡洋平氏(以下、平岡):じゃあ質問が続々来ていますので、続いては傾聴と指示のバランスの部分ですね。すばらしいご質問をいただいています。

「自分で考えられないというより、今まで考えてこなかった習慣が原因で成果が出ていない部下に対しては、ある程度指示をしないといけないのかなぁと思いますが、林先生のお考えや導き方でアドバイスがあれば教えていただきたいです」というご質問です。

林英利氏(以下、林):はい。わかりました。我々はよく「ティーチング」と「コーチング」なんていうふうに言いますけれども。「どっちがいいんだ」という話と、「割合はどうか」という話があると思います。

やっぱり部下育成において、ティーチングもコーチングも両方大事だというふうには思います。特に入ってきたばかりの新入社員とか、他部署、専門外のところから異動してきたばかりの人には、ティーチングで基本的なことを教えたりする必要が当然あると思います。

一方で、じゃあティーチングしかする必要がないのかっていうと、そうではなくて。例えば会社として「この部署においては」とか「こういうやり方でやることがいいとされているルールがあるよ」とか、「そういうマニュアルがあるよ」と教える。

その上で、「さらにうまくやるためには、君だったらどんな工夫ができそう?」と工夫の部分を引き出してみることもできるわけです。

また、簡単なこと、初歩的なことをティーチングして、まずはやってみてもらう。「やってみてどうだった?」と振り返ってもらう。「自分の中で気づいたことはどんなこと?」「次、うまくやるためにはどんなふうにやるとよさそう?」というふうに、簡単にティーチングして行動してもらった後に、振り返りのところでコーチングを使う。

ブレーキとアクセルじゃないですけどね。ティーチングとコーチングをうまく使い分けながらやっていくのが実用的なのではないかなと思います。

一般的には、経験が多い人ほどティーチングの割合は低くなり、コーチングの割合が高くなるとも言われています。また、緊急事態なのか、そうではないのかということでも、ティーチングとコーチングの使い分けはあるかなと思います。質問の答えになっているでしょうか?

平岡:「ティーチングしなければいけないのか」ってことなので、いいかと思います。ありがとうございます。

「意見を言っても意味がない」と思い込んでるパターンも

橋本ゆり香氏(以下、橋本):もう1つ、言ってもいいですか? 今言ってくださったことに、そうだよねと思いながら。「今まで考えてこなかった習慣が原因」と書いてあるんですけど、そういった習慣が原因なことももちろんあると思うし。

あともう1つ、私が関わってきたクライアントさんたちでパターンとしてあるのが、「意味があると思えない」「自分が言ったところで変わると思えない」とか「何も組織に影響を与えられる気がしていない」ということだったり。

自分にできるという自己効力感がない。「意味があるか」「自分にできるか」というところで傷つきたくなくて考えないとか、自分の意見を出さない方がいらっしゃるようにも思っています。

そういった場合は、たぶんティーチングは楽なんです。欲しいと思っていると思うので。でも、もしかしたら勇気付けが必要な方なのかもしれないなぁと、少し聞いていて感じました。

林:そうですねぇ。「考えちゃダメだ」というような習慣・環境の中で育っちゃった人は、まさにそうなっちゃっている可能性がある。「考えていいんだよ」「自分の意見を言っていいんだよ」という心理的安全性と言われているような環境作りをするところ。

質問の前に、まずはそういう環境を整えてあげることのほうが最初は必要かもしれませんね。ありがとうございます。

マニュアルが重視される製造現場のマネジメントは?

平岡:ありがとうございます。どしどし(質問が来ていて)、あと5問くらいあるんですが、残り10分~12分くらいなので全部いけるかはわかりませんけど、続々といきますね。

続いては、「所属している会社の中で、オフィス職場は組織開発や対応を促す方法をワークできるんですが、製造職場ではマイクロ対話などしかないかなと思っております。製造職場の管理職に必要なことなど、アドバイスがあれば」というご質問をいただいています。いかがでしょう?

林:古巣のトヨタでは、自働の「働」は、「動く」じゃなく、人偏がつく「働く」ということになっています。工場のラインであっても、そこでは人が動いている、人が働くということで。工夫しながらやることによって、仕事がおもしろくなったりするなんて話はよくあります。

製造現場は特に、マニュアルとか決まっているものがあると思います。それは大切にしなくちゃいけないことだけれども、一方でマニュアルが100点満点というわけでもないと思うんですね。

なので、マニュアルというか、やり方をさらに効率良くするためには、改善の意識ですよね。そういったところは製造現場においても非常に重要だと思います。管理職においては「マニュアルは大切だけれども、さらに良くすることができるものである」と。

「そこにはみなさんの工夫、みなさんのアイデアが有効なんだ」ということを伝えた上で、意見を発信しやすいような環境を作っていくのが大事なのかなと思います。

マイクロ対話、いわゆる1on1で30分とかやるのではなく、10分の会話の中でもそういったやり取りはできますよね。『1分間マネジャー』というような本がありますが、まさに1分間マネジメントは、コーチング的なやり取りをしていますよね。それは製造現場にも有効じゃないかなって思います。

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