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ビジネスリーダーのための「部下を動かす質問力セミナー」(全4記事)

部下の内発的モチベーションを高める3つの要素 「やらされ感」をなくすマネジメントのコツ [2/2]


特に成長してほしい部下の顔を思い浮かべる

林:ここで、ちょっとしたワークをやってみたいと思います。今日ご参加いただいている方の多くは、部下を抱える管理職の方だと思います。そして、日頃から部下の成長を考えているのではないかなと思います。

みなさん、今、頭の中に、みなさんの部下の中で、特に成長を願う部下の1人の顔を思い浮かべてみてください。そして、これまでの私の話を踏まえて、次の問いについて考えてみてください。今、頭の中に1人の部下の顔が浮かびましたかね。

その部下の自走力を高めるために、あなたはどんな工夫ができますか? 具体的にはどんなことでしょうか? 今から1分間時間を取りますので、ちょっと考えていただいて、思いついた方からチャットに(入力して)、ぜひ私に教えていただけますでしょうか。では、考えて書き出してみてください。どうぞ。

すみません。眺めていたらあっという間に1分が過ぎていました(笑)。続々と書いていただきました。「その人が何に関心があるかを理解する」とか「本人がわくわくする目標をヒアリングして、共通の目標として一緒に前に進む」。いいですね。

「困っていることを聞いてみる」「自走力を阻む障害の存在」。そうですね。足かせを外してあげるような感じでしょうね。「否定しない」とか「チームのゴールがその人のゴールになっているか」「目線を合わせてみる」とかね。

「心理的安全性」「わからない時、相手がすぐに質問できる。アドバイスができる距離感」。そうですね、なんでも相談できる距離感。「安心」「その人が持っている大切な価値観、ありたい姿を明確にしてあげる」と。いいですね。

ありがとうございます。後でゆっくり見させていただきたいと思います。すばらしいことが書かれていらっしゃると思います。どうでしょうか? 「どんな工夫ができるか?」と質問を受けることで、少し前向きに考えている自分がいたような気がしませんでしたかね。

部下育成はあなたの未来にどんなプラスの影響を与える?

林:私、やっぱり工夫って言葉が好きなんですね。工夫って言葉は、ポジティブなエネルギーを持っているんじゃないかなと思います。

そして管理職の立場のみなさんに、先ほどの『モチベーション3.0』の他のポイントを使った質問を私がするならば、例えば「今、あなたが経験している部下育成は、あなたの未来にどのようなプラスの影響を与えると思いますか?」。ちょっと長いですけどね。熟達や成長(に結びつける質問だと思います)。

また、「あなたの人生観や価値観を反映した、あなたらしいリーダーシップとはどのようなものですか?」。これは本人の目的や価値観に結びつけるような質問だと思います。

こういった質問は、先ほどの質問と同様に少し気持ちが高まって、「こんなことをやってみようかな」と思う方も多くいらっしゃるのではないかと思います。

先ほど『モチベーション3.0』から、自律、成長・熟達、価値観・目的といった3つのキーワードをお伝えしました。私は他にも「自己重要感」や「貢献欲」も、相手の内発的な動機付けにつながるキーワードではないかなというふうに思います。

簡単にご紹介すると、例えば「あなたの得意なことが発揮できる役割は何だと思う?」という質問であったり、「あなたにしかできないチームへの貢献って何だと思う?」とかですね。

このような質問は、自己重要感や貢献欲の観点から、相手の自走力を高めることに役立つと思います。

良い質問を受け続けた人は、やがて自分自身に質問するのも上手になっていきます。これがセルフコーチングの始まりです。

「良質な問いかけ」を続けると部下はどう変わる?

林:私の体験談をお話ししたいんですが、以前私がコーチとして長くサポートしていた経営者の方が、サポート終了から2年後に私にこういうふうに言ってくれました。「この2年間、私はエア・コーチングをしていたんです」と。

私はエア・コーチングという言葉は後にも先にもこの時しか聞いたことがないんですけれども。エアギターってありますね。ギターがないのに、さもあるかのように弾いているふりをする。

まさにそのエアギターのように、そのものがなくてもあるかのようにして行うこと。彼はそういう意味でエア・コーチングと表現したんだと思います。つまり、それはセルフコーチングだと思います。

そして彼は、続けてこういうふうに言ってくれました。「2年間林さんがいない中で、今ここにもし林さんがいたら、どんな質問をしてくれるんだろうな。林さんはこんな質問をしてくれるんじゃないかなって。その質問を自分に問いかけていた」と言うんですね。

その言葉を聞いた時に、私は「え、コーチの残像がクライアントに影響を与え続けるなんてことがあるのか」と驚きました。

同時に「そっか、私の残像がコーチングをしていたってことは、お金をもらえるかな?」なんつってね(笑)。冗談ですけれども、そんなふうにも思った記憶があります。

つまり私がいなくても、問い・質問がその人の中に生き続けていたということですね。これは「良質な問いかけを続けることで、相手の思考力を高め、セルフコーチング力を高め、部下の自走力の向上につながる」ことの好例だというふうに思います。

良い質問には3つの力がある

林:自走力は、放任、ほったらかしにすることとは違います。上司が問いかけて、信じ、見守る。その繰り返しが、部下の中に、気づき、行動、成長といった循環を生み出していくということですね。

逆に言えば、問いかけがない職場では、部下の自走力は育たないというふうに思います。今日のセミナーでは、質問が部下の行動にどう影響し、関係性をどう変えていくかを見てきました。振り返ってみると、良い質問には3つの力があります。

1つ目、部下の思考を開く力。相手に考える余白を与え、思考を引き出す力ですね。2つ目は、関係を深める力。信頼のある関係性の中で、本音が生まれてくるということですね。3つ目は、行動を引き出す力。やらされ感から自分で動くように変化していくということですね。

でも、これらの力を引き出すには、先ほど言ったようにテクニックだけでは足らないということですね。大切なのは、相手の可能性を信じて耳を傾けること。

そして問いの裏には、質問する側の人としてのあり方がにじみ出てくるということですね。私はこれまで多くの現場で、問いが変わればチームが変わるという瞬間を見てきました。

最後にお伝えしたいのはこれです。問いは、気づきを引き出し、行動を促すだけではなく、「あなたを信じているよ」というメッセージでもあるというふうに私は思います。

最後になりましたが、もし、もっともっと良い質問ができるようになりたいと思われている方に、私の2冊の子どもたち(『いい質問が部下を動かす』『一瞬で自分を変えるセルフコーチング』)がお役に立てばうれしいと思っています。

また、コーチングのスキルを本格的に学んでいくプロセスは、スキルの習得だけではなくて、人間力の向上に大いに役立つことを自信を持ってお伝えします。ですので、「コーチングスキルを本格的に」と思っている方は、銀座コーチングスクールの無料体験講座をご受講されてみてはいかがでしょうか。

もう1つだけ。私の今の取り組みは、組織開発や従業員エンゲージメント、1on1ミーティングの立て直しとか、そういったことをしています。そして、社内の推進者を対象とした「エンゲージメント向上委員会」という無料のオンラインイベントを開催しています。

もしご興味がありましたら、今日のアンケートからご表明いただければ、後日メールでそのイベントの案内をさせていただきたいと思います。

短い時間ではありましたが、本日はご清聴いただきましてありがとうございました。

(一同拍手)

平岡洋平氏:英さん、ありがとうございました。

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