期待値セッションで役割の見える化を
堀田:続いて、期待値を明文化するというところのお話をします。弊社では、チーム結成時やプロジェクトのフェーズ開始時などに、チームがどのように進みたいのかという方向性の認識を合わせて、そこから自分がやるべきこと、各メンバーに期待することについて認識を揃える、期待値セッション(ロールセッション)というワークの実施を推奨しています。

具体的な内容をかいつまんでお話しすると、あらためて自己紹介をしてお互いの期待値を揃えるということをやっています。
プロジェクトの体制図ってよくありますよね。こういった体制図で各自の役割を確認をしていると思いますが、みなさんここには表現できない役割を担っていたりして、この体制図だけでは役割の確認が不十分だと思います。
期待のすれ違いを防ぐフレームの活用
堀田:例えばこの体制図には現れていない情報として、マネージャーが「若手エンジニアの育成のために、このプロジェクトを通して、Bさんの知見と経験を若手エンジニアに伝えてもらえたらありがたいなぁ」という期待を持っているとします。だけど、このベテランエンジニアBさんは、先ほどの体制図から、自分にそんな期待がされているということを読み取ることはできませんよね。


なので、期待値セッション、ロールセッションをすることでそれを可視化していければというところです。フォーマットを見ていただくと、Aさん、Bさん、Cさんというチームメンバーがいたとして、自己紹介のパートでそれぞれどんな仕事をやってきたのか、好きな仕事は何か、趣味は何か、このプロジェクトへの意気込みなど話してもらえれば、相互理解が深まります。

プラス、このプロジェクトに対する期待値交換というフレームですね。例えば、まずAさんが考えている自分の役割、やるべきことを書いて、そこにサポートしてほしいことを書きます。他の人への期待、○○さんにはこうしてほしい、「こういうサポートがあったらうれしいです」みたいなことを書いたり、最終的に自分がやるべきだと納得できたことを書く欄を設けています。

これをAさん、Bさん、Cさん、各自に書いてもらった後、お互いシェアすることで、自分の役割の再認識、再確認ができたり、相手への期待も伝えることができるワークになっています。
というところで、コミュニケーションの可視化のおさらいになりますが、まず感情、状態(感情)を共有して、関係性の構築をする。最後に、期待値(ロール)セッションなどを実施することで、期待値の明文化をします。
不安や停滞感は見えなさから生まれる
堀田:ここまで、本当にバーッと話してきましたが、最後に、まとめとなります。なんとなくチームが機能していないなぁと感じる時は、見えないから、不安やずれ、停滞感が生まれています。それを可視化が解消して、チームの信頼と連携を作っていきます。
本日、短時間で紹介した手法を並べてみました。会議のアジェンダの言語化から始まり、周りから見て状況がわかるようにスケジュールを入れましょうとか、チェックイン、ムードメーターを使ってみましょうとか、思いを伝える日々のリアクション大事ですよとか書いています。

今日のお話を聞く中で、みなさんが今から再設計できるアクションは何かありましたか。本日の内容が、みなさんのチームやプロジェクトマネジメントの一助になれば幸いです。
リモートワークを管理するために必要なスキルとは
司会者:本編としてはこちらで終了になりますので、質疑応答をしていきたいと思います。
まず「リモートワークを管理するために必要となるスキルを知りたいです」というご質問をいただいています。堀田さん、回答お願いできますか。
堀田:管理には、自己の管理で意識することと、チームメンバーの管理で意識することの2つ観点があると思っています。
まず、自己の管理を意識していただきたいというところは、セルフマネジメントスキル(時間管理やタスク管理の部分)と情報共有スキル、メンタルマネジメントスキルの3点があると思います。
その上でチームメンバーの管理で意識することは、可視化を設計をするスキル、会議、進捗、成果、状態を可視化する仕組み作りをするスキルですね。あとは情報の整理整頓も大事になってくるかなと思います。
また対話、関係構築のスキルも、チームメンバーの管理という意味では求められます。今、管理とお伝えしましたが、状況確認を管理ではなく、伴走支援として捉えるというのも大事なポイントだと思っています。
やはり上から管理されているという状況はあまり好ましくないので、一緒に改善していこう、一緒に良くしていこうという前提で関わっていくことが重要だと思います。
最後に、期待値調整スキルというところで、相手に求める期待と役割を具体的に伝える。これは対話スキルにも関連しますが、伝えることと、相手が理解できているかどうかを都度確認しながら進めることも、重要となるスキルじゃないかなと思います。
プロジェクトの初動時にチームの一体感を出すためのポイント
司会者:では、次の質問にいかせていただきます。(質問を見て)特にこのプロジェクトの初動時にチームの一体感を出すにはどうしたらいいのか悩んでいらっしゃるというところですね。
プロジェクト初動時は今まで一緒にやったことがない方も集まることがあるのかなぁとは思います。堀田さん、回答お願いできますか。
堀田:このお悩みもけっこうあるかなと思いますし、私も本当に初めましての人と一緒のプロジェクトになる時は意識していることではあるのですが、まず前提として、この一体感というのは、みんなが仲良くいることではないですよということを、私の認識としてお伝えしたいなと思います。
一体感がないと困るケースとしては、(スライドを示して)ここに書きましたが、予測できない変更やトラブルが多く、情報共有や相談が必要な複雑なタスクが多いとか、メンバー間の気づきや相互補完が必要というケースがあると思いますが、これは仲が良い悪いというところとは関係ないと思っています。
その上で一体感を出すためには、まずはそのプロジェクトの目的や期待役割を丁寧に共有することですね。先ほども期待値セッションのお話をしましたが、チームが共通の地図を持つことが一体化の土台になると思います。
そこに目的、ゴール、成功イメージ、どんな姿を目指すのか。(スライドには)役割と期待値を明文化することと書いていますが、初動時はけっこうプロジェクトを早く走らせようということに意識が向きがちなんですね。例えば早く次の要件定義の工程に移ろうとか思いがちなんですけれども。
あえて進める前に立ち止まる時間を作るということがポイントです。関係性と共通理解に投資すると捉えていただくといいのかなと思います。この投資をする時間を持つことで、その後のプロジェクトの推進力がぐっと上がります。ぜひ最初のキックオフや最初の顔合わせの会は意識して、この目的・期待・役割の共有と共通の地図を持つということをしていただきたいなと思います。以上です。
司会者:本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございました。みなさまの業務に何かしらのかたちで貢献できるといいなぁと思っています。今後ともコパイロツトもよろしくお願いいたします。
というところで、本日のイベントはこちらで終了になります。みなさま、ありがとうございました。
堀田:ありがとうございました。