目的達成への道筋を描く
具体的な役割として3つほど挙げられればと思っています。1つ目のところが、目的達成への道筋を描くっていうところ。単に勝利を追い求めるのではなくて、チームやプロジェクトが目指す目的を達成するための独自の道筋を描くことがすごく似ているなと思っています。
例えばで言うと、「メンバー一人ひとりの個性とか能力を最大限に引き出して目的へ導くには、いかなる戦略が必要か?」っていうところを考え続けたり。
あとは、私自身は野球の経験者ではないんで、野球のセオリーみたいなものは本当にファンレベルぐらいしか知らないですっていう感じです(笑)。
あと、私はずっとITのプロジェクトをやっていたんですけども、エンジニアさんほど専門知識はほとんど持っていない状態でもありました。そういったところで、そこまで詳しくなかったとしても、「でもこのチームで成果を出すためにはどうしたらいいんだろうか?」という勝ち筋を見抜く力がすごく大事になるのかなと思っています。
(スライドを示して)「独自の」と記載させていただきましたけど、これは「プロジェクトが変われば」とか、あとチームメンバーが替わったらどんどん変わっていくものだとは思うので、「このチーム、このプロジェクトの場合は何が勝ち筋となり得るんだろう?」というところをいろいろと見極め続けるところが役割としては必要なのかなと思っています。
チームの強みを結集して成果へ導く
2つ目のところ。チームの強みを結集して成果へ導くっていうところです。選りすぐりの才能が集まったとしても、相乗効果が生まれなければ目標を達成できるとは限らないというようなことですね。
よく野球で例えられますが、4番打者がそろえば勝てるわけではないということはけっこう言われたりしています。事実そうかなっていうところなんですが、個々の能力が高いだけではチームとしては成功しない。
これは私もずっとやっていたプロジェクトでも同じで、優秀なエンジニアさんであったり、ITの技術者の方が揃ったからといってプロジェクトが必ずしも上手くいくわけではないっていうのは、何度も経験をしてきました。
なので、みんなが同じ役割を担う必要はなくて、やはりそれぞれの強みを相乗効果が生まれるようなかたちで活かしながら、チームの必要な役割を全うするというところが、チームスポーツやチームで行う業務は成功への鍵となってくるのかなと思っています。
スポーツというよりプロジェクトのほうでよくあったのは、1足す1が2にしかならない、もしくは2以下になる。1人ではすごく才能にあふれた方なんだけど、誰かと組んだ瞬間にその才能がなぜか半減してしまうようなことをしょっちゅう目にしてきました。
なので、メンバー同士の連携が取れていないと、成果は最大化できないんだなということを常々思っていたりしました。
「個々人の特性っていったものを結集をして相乗効果を生み出すためには何が必要なんだろうか?」とかっていうところを、プロジェクトマネージャーなり監督なりがやはりデザインする必要があるのかなと感じています。
チームの勝ち筋と最適解を模索する
もう1つ、あとはチームの勝ち筋と最適解を模索することも大事な役割かなと考えています。目的達成のアプローチは決して1つではないととても感じています。
ちょっと似たお話になりますが、成果を出すためには、それぞれのチームとかプロジェクトが置かれた前提条件を深く理解する必要があるかなといったところです。
ビジネスの世界でもここはすごくあるかなと思っていて、社長さんの交代や、「外からアサインをしました」っていう場面で、よその会社ですごく実績がある方が、ここの会社に来たらまったく歯が立たなかったというようなお話も世の中にはいっぱい転がっていますが、おそらく前提条件が違うところがあるんじゃないかなと。
なので、チームやプロジェクトの状況に応じて、達成の定義だったりとか、取り組むべき課題の優先順位だったり、あと必要な時間軸みたいなものは異なって当然かなと思っています。それぞれの特性に合わせた唯一の勝ち方を模索し続ける必要があるのかなというところです。
まさにここが成果を出すためのあり方といったところで、状況をしっかりと見極めながら、「何が最適なかたちなんだろう?」を模索し続けるような要素になってくるかなと考えています。
勝ち筋と負け筋
勝ち筋っていう言葉を使わせていただきましたが、勝ち筋の逆で負け筋もあるかなと考えています(笑)。
ちなみにこれは私自身が思ったわけではなく、知人に「勝ち筋があるなら負け筋もあるんじゃないんですか?」と指摘されたことがあったので(笑)。考えてみて、「あっ、なんとなくこれかな」というようなところで記載したものになっています。
勝ち筋でいくと、これまでお話ししてきた内容と重複はしますが、「勝ち方は1つではないと思っている」とか「状況に応じて変化していくものだよ」というものとか、個やチームの特性を活かす構成になっているかどうか。あとは目的に沿った連携と役割分担ができているかどうか、チーム全体を見渡した戦略設計になっているか。
こういったものが勝ち筋だとすると、負け筋は対比のとおりになりますが、勝ち方を1つに決めつけてしまうとなると、負けてしまう可能性が高くなります。
あとは同じように、状況を無視した一辺倒な戦術もけっこうリスクが伴います。個やチームの特性を活かせない構成になっているのも、先ほどと一緒で、パフォーマンスが最大限に発揮されない状態になってしまうので、「勝ち」に乗っていくのはなかなか難しいのかなっていうところです。
4つ目のところが、目的が曖昧で連携が取れていない。これも1足す1が2以上にならない要素になっていきます。
あとは、自分自身が正解で、他者の意見を軽視してしまうところもリーダーとしてはすごく危険かなと思っています。
最初にジャッジをするのはリーダーであるべきだとは思っていますが、「自分が正しいんだ」「正解はこれなんだ」と思い込んでしまうのは、かなりリスクが伴うんじゃないかなと思っています。
これは単純に私が感じている勝ち筋、負け筋にはなるので、みなさんにとっても「こういうことをしたらきっと、負けというか失敗のほうに傾くんじゃないか?」って思う部分はあるんじゃないかなと思うので、そこを区別しつつ、判断の手助けにしてみるのも良いのかなという気がしています。
負け筋を知っているから勝ち筋がわかるっていう、本当に書いてみるとそのとおりなんですが、ここの区別は非常に大事なのかなと思います。
特にスポーツとかだと、強いチームの監督さんは、「どうしたら負けるのか?」「どうしたら失敗するのか?」をしっかりわかって戦っているんだろうなとすごく思ったりはするので、仕事、ないしはプロジェクトでも一緒だなと思っております。