PR2025.11.27
数理最適化のエキスパートが断言「AIブームで見落とされがちな重要技術」 1,300社が導入した「演繹的AI」が意思決定を変える
コピーリンクをコピー
ブックマーク記事をブックマーク

岸井隆一郎氏(以下、岸井):今日の趣旨である評価の納得度を高めていく上でのポイントです。大きく仕組みとして意識しているポイントと、運用上現場の中で意識してもらうポイントがそれぞれあるかなと思っていて、簡単にまとめています。
まず、仕組みとしてどう納得度を高めていきますか? というところです。私見もありますが、大事なポイントは3つかなと思っています。まず1つが「ポリシーの明確化」ということで、そもそも人事制度ではどういうスタンス、どういうことを狙いとしているのかがクリアになっているかどうかです。
先ほど、メルカリには「Mercari Culture Doc」というものがありますとお話をしました。この「Culture Doc」には、人事用語で言ういわゆるエンプロイージャーニーのそれぞれのタッチポイントにおいて、会社のスタンスとしてはどういうことを大事にしますよ、ということがけっこうはっきりと書いてあります。
その中には、例えば「メルカリのカルチャーと自身の今の大事にしたいものが合わなければ、メルカリを去ってもいいですよ」みたいなことを書いていたりします。
誰にでも万人受けするような文言というよりは、「メルカリは会社としてこういうスタンスで、こういうものを大事にしているので、それに合う人と一緒に働いていきましょう」ということを明確に書いています。それがあるので、「今の評価制度はこういう仕組みになってるんですよ」という根本のところが、人によって解釈がずれないようにしていくことは1つ大事にしています。
2つ目は、わかりやすさですね。これはもうシンプルに、制度設計があまりに複雑になったり、テクニカルにいろんなことが大きすぎると、やっている側がわからなくなっていってしまいます。なので、基本の骨格みたいなものは、あまり複雑にしないことも大事になるかなと思っています。
最後に3つ目は、浸透にかけるコミュニケーション量です。弊社は今の制度になってからもう3年で、私が入社する少し前ぐらいのサイクルから今の制度にアップデートされているんです。その期間の中で新しく入社をされる方もいたりするので、評価制度を3年前から変えてないかというと、まったくそういうことはなくて。
随所随所で、やる度にとどまらないようなアップデートも繰り返していたりするので、みなさんと現場の理解を浸透させていく、理解を揃えていくのには、けっこうな時間と量をかけています。
そもそもの評価の説明をするとか、それに対する対話の場を設けることもありますし、弊社は評価の中の運用でキャリブレーションというものを組んでいます。それぞれのマネージャーが自分のレポートラインの方を評価した後に、横の目線を揃えて、お互いの評価基準のブレがないかをすり合わせていくような場を設けています。
ここはかなり現場の負担も大きく、運用負担も大きいですが、マネージャーの目線を合わせていったり制度への理解を深めていく上では、かなり寄与している部分かなと思います。
岸井:次はあまりめずらしいことは書いていないですが、目標設定と期待値設定を意識していくというところです。具体はこの後の質疑の中でもまた出てくるかなと思うので、いったんここでは細かいところは話さないですが、まずは「目標設定・期待値設定を大事にしていますよ」ということですね。
あとは「フィードバックの機会とフィードバックの仕方」ということで、ここはメルカリの中で、まだ課題がたくさんあるところかなと思っています。まずフィードバックの機会は、日々1on1していただいてたりもするので、随所にフィードバックをしていく機会は比較的他社よりは多い会社かなと思っています。
もう1つは、そのフィードバックの仕方ですね。フィードバックの伝え方がうまくないとか、受け取り方のコンディションが良くなかったりすると、思ったとおりに伝わらなかったりします。なので、フィードバックの仕方をより良くしていくところがポイントになるのかなと思っています。
ちょっと足早ではありますが、いったん弊社の大枠のところはご紹介させていただきましたので、あらためて五十嵐さんからのご質問、みなさんからのご質問をいただきながら、お話を進められればなと思っています。じゃあ、いったん五十嵐さんにお返ししますね。
五十嵐未来氏(以下、五十嵐):ご説明ありがとうございました。みなさん、今の話の中でもいろいろと気になる部分が出てきているかなと思います。さっそくみなさんから質問もいただいていますが、ぜひみなさまからも投稿をどんどんしていただければなと思っております。
五十嵐:みなさまもいろいろと聞きたいところがあると思いますが、まずは先じて私からいくつかご質問をして、先ほどのお話を深掘りさせていただきたいなと思っております。順番におうかがいしていきますが、まず1問目ですね。
先ほど資料の中でも、「成果、OKRの達成率そのものをやっているわけではないよ」といったお話もあったかなと思いますが、その上で総合的に判断されている。これはよく私も情報としてキャッチしているところではあるんですが、なぜこれで成り立つのか、どう納得感を保つのかって、すごく私も気になるところでした。
(評価基準の)すり合わせの話もあったと思うんですが、得てしてマネージャーの判断、管理職の判断で終わってしまって、逆に公平感がなくなってしまうのでは? と思ってしまう部分もあるんですけれども。そのあたりの担保のさせ方や工夫について、少しおうかがいできたらと思います。
岸井:そうですね。ここからはもう少し柔らかい部分もお話しできればと思うんですが、まずは前段でお話ししたとおり、メルカリは会社の環境がかなり複雑になってきているので、すべてにおいてうまくいっているということはぜんぜんなくて。ずっと課題を抱えながら、日々どうにかトライしてるということが前提にあります。
そういう意味では、胸を張って「これはめちゃくちゃきれいに成立してますよ」とは、まだまだ言えないという感じではあるんです。その上で、どういうふうにできる限りの工夫をしているかという観点で言うと、やっぱりキャリブレーションですかね。目線合わせについてディスカッションしていきます。
岸井:評価の納得度や考え方については、他のチームのマネージャーさんが5〜6人ぐらいいる中で、それぞれのマネージャーが自分のレポートラインの方を評価した判断軸を、だいたい1人7分ぐらいかけて(議論します)。
評価に関して基準としてる観点、フィードバックもらいたい観点とかを話していきながら、その人に対する評価の妥当性を議論していきます。なので運用としては、まずはそういうところで(評価の妥当性を)担保する工夫をしています。
とはいえメルカリの仕組みで言うと、バリューを重視するというのが基本の思想なので、成果に対してバリューのほうがウェイトが高い仕組み作りにはなっているんです。
ただそれをやると、弊社では「KR0」というふうに言ったりしますが、ビジネスの浮き沈みなどのいろいろなタイミングで、全社的な優先度が高いものにみんなで急ぎで取り組まなきゃいけない時が起きます。
そういう時には短期的にすごくがんばった人とか、バリューにかかわらず成果でしっかり評価しなきゃいけないタイミングがあったりと、ちょっとしたチューニングみたいなことは都度都度起きているという感じですね。
なのでそこに関しては、レーティングのウェイトだったり、どれぐらい意識してバリュー偏重で今回は決めるのかをやりながら都度ディスカッションして、経営方針としていったん判断を決める。それをマネージャーなどにしっかり伝えた上で、評価の観点に組み込んでもらうということが、ほぼ毎サイクルに何かしら入っているという感じですね。
五十嵐:ありがとうございます。
五十嵐:キャリブレーションに相当力を入れているのかなと思うんですが、実際はどれぐらい時間がかかってくるんですか?
岸井:フルフルでちゃんとやると、HRとしては1ヶ月ぐらいはかかります。
五十嵐:1ヶ月ぐらい(笑)。おぉー、そんなに。
岸井:弊社は7月期なので、7月から12月のぶんを1月に評価して、1月から6月のぶんを7月に評価するんです。もちろん、まるまる全部が入っているわけではないんですが、キャリブレーションも横並びで全部じゃなくて、縦階層にもキャリブレーションが存在するというか。
ディビジョンの中にチームの階層があったりすると、一番下の階層でキャリブレーションしたものをまた上の階層で揃えていくといったように、縦でキャリブレーションが進んでいく部分もあるので。そういうことをやっていくと、最終的に評価が確定するまでに1ヶ月ぐらいかかりますね。
ただ、ここから先はAIの文脈もあったりするので、単純に1人の準備期間やかけるディスカッションの時間が多くなっているから、「1ヶ月でよくやっているなぁ」というよりは、もっと効率よくやらなきゃいけないという課題でもある。
五十嵐:ありがとうございます。とはいえ、1ヶ月かけるぐらいの意気込みを全員がかけて、キャリブレーションをやっているということが社員にも伝わり、納得しているというところはあるのかなと思いました。
岸井:そうですね。ただ、そのキャリブレーションの負担が大きすぎるということで、直近ではウェイトを変えるというか、キャリブレーションを少しライトにしていくというトライもしたりしているんです。ただ、それをすると今度は基準が揃わなくなってくるというか。
なんやかんやみなさん大変だとは言いつつ、「やっぱり評価は大事だね」というのを意見として持っている方が多いので。感覚としてキャリブレーションが薄くなると、特に上の階層のリーダーになればなるほど、「現場全体感が評価の分布で適切なのか?」と、自信が持ちきれなかったりする。
だから、一定の時間を取ってディスカッションするタイミングも必要だねという意見は、リーダーの中でもけっこうあったりしますね。
五十嵐:ありがとうございます。いきなりメルカリさんのキャリブレーションを(他社で)やるというのは、なかなか取り入れづらいとは思います。
とはいえ、何かをしっかり説明するレポートを作るとか、キャリブレーションをやっているということを見せられるぐらいの時間を取っていくのは、やっぱりどの会社でも納得感を保つために大事なのかなというふうにおうかがいしました。ありがとうございます。ちなみに今、めちゃくちゃ質問が来てますね。
岸井:(笑)。
五十嵐:めちゃくちゃ来ていて、我々の質問で埋めていいのかというところがあったりするので、こちら側もサクッとやっていきます。
岸井:そうですね、失礼しました。
五十嵐:とんでもないです。深い内容が聞けてありがたいなと思いました。
続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。
会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
スピーカーフォローや記事のブックマークなど、便利な機能がご利用いただけます。
すでに会員の方はこちらからログイン
名刺アプリ「Eight」をご利用中の方は
こちらを読み込むだけで、すぐに記事が読めます!
スマホで読み込んで
ログインまたは登録作業をスキップ
この記事をブックマークすると、同じログの新着記事をマイページでお知らせします