危ない予兆を確認するための基準
「危ない予兆ってどうやって確認するの?」という話ですが、危ない予兆かどうかのためには、やはり基準が必要なんですよね。(スライドを示して)このマトリクスでは横軸が行動の量、縦軸が行動の質と取っています。
行動の質は、ある程度定量化できるように分母・分子で表現できるもの。例えばアポイント獲得率だったら、コールの件数に対してアポイント獲得件数みたいに分数で表現すれば、パーセンテージが出ますよね。受注率なら、提案した件数分の受注件数みたいなかたちで数字で表すことができます。ポイントは、質であったとしても、ある程度の数字に表しておいたほうがいいということです。
これを基準として置いて、その基準に対してGood、Badで見ていくということですね。中央値は全体の真ん中にいる人の数字を見たりとか、平均で見たりとか、あるいはトップの決めの問題というかたちで決めていくわけです。

見ながら危なかったら介入というのが、任せるタイプのマネジメントなんですが、「指示する」モデルとちょっと違うのは、考えさせるということです。
例えば「先ほどの商談はどうだった?」と聞いて、メンバーが「いやぁ、ちょっと盛り上がらなかったんです。反応が薄かったんです」となったら「どんな表情をしていたのかな?」と。ここを見ていただきたい。
先ほどの「指示する」のほうのティーチングとだいぶ違いますよね。「指示する」のほうのティーチングは、マネージャーが正解をあげてしまうわけです。ただ「任せる」の場合は、ちょっとまどろっこしく感じられるかもしれませんが、ちゃんと導いていくわけですよね。正解をマネージャーが言わない。
「指示する」とか「任せる」について両方見ていただきましたが、対照的じゃないですか。私がこのブランコ理論で提唱したいのは、もちろんどっちも必要なんですけれども、いきなりほどほどを狙うんじゃなくて、片っぽもちゃんとしっかりやる、もう片っぽもちゃんとしっかりやる。ただ、片っぽをやっていて危なくなったらすぐ反対側に振る。これをやっていくうちに、だんだんバランス感覚をつかんでいくということなんですね。
行ったり来たりするタイミングの見極め方
この見極め方をお伝えしておきたいと思います。例えば「指示する」ということをやるとするじゃないですか。やっていたんだけど、メンバーの依存度が高まってきていないかなと。毎回確認してくるとか、工夫をしなくなったとか。あるいは、動きが遅いんじゃないかとかですね。
「それによってモチベーションが下がってきたんじゃないか」みたいなことが起こったら、「任せる」に行きます。
「任せる」というのをやっても、例えばばらつきが大きくなってきたとか、目的とか方向性がずれてきたかなとか、放置によってメンバーの焦りが生まれているんじゃないかとか、品質の不安が出てきたみたいなことが出てきたら、今度は「指示する」のほうに行こうかということです。
「『指示する』で絶対安定ですよ」っていうわけじゃなくて、行ったり来たりするということが意図的に狙ってできるから安定だという、これがブランコ理論の考え方です。