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【生成AI時代のプロダクト×マーケ戦略】DMM亀山会長語るAI事業の勝ち筋 / 終活ねっとを辞めた理由 / 品質が良くても売れない現実 / 後発でも勝てる / 広告費の考え方(全1記事)

OpenAIがGoogleと並べたのは“したたかな演出“の結果 DMM亀山会長が語るプロダクトのマーケティング戦略 [2/2]

OpenAIのしたたかな演出の結果

亀山:OpenAIとGeminiだっけ。どっちが優秀か俺はいまいち知らないんだけど。本来はもしかしたらGeminiのほうが上かもしれないけど、(OpenAIが)「早くやりますよ」とか言ったり、あれもマーケティングみたいなところもあるじゃない。

大野:そうですね。「75兆円、ソフトバンクと投資をします」と言ったり。

亀山:とかね。素人から見ると、どっちが上かはわかっていない。実際どっちが上だろう(笑)

大野:実際は拮抗していますね。でも、やはりブランドイメージや世界観を作るのがうまいのはOpenAIですし、ブレイクスルーをちょこちょこ起こしてくれているのはOpenAIではある。だけど、いろいろなサービスと連携できたり、ビジネス的に盤石の体制にいそうなのはGoogleのほうかなという感じがするので、際どい戦いです。

亀山:だとしようか。普通で言うと、GoogleとOpenAIが同時に出たら、Googleの勝ちと思っちゃうね。

大野:思いますね。

亀山:だって聞いたことがないよ、OpenAIなんて。でも、早めにマーケティングをするとか、予算をかけましたとかっていう、プロモーション的なものも含めて、今いい勝負になっている。

大野:そうですね。

亀山:というのが、Googleが先にやっていたら、出る幕がなかったかもしれないという気はするんだよね。

大野:そうですね。Googleが認知を取り切っていたら、世界はこうならなかった気がしますね。

亀山:だって、入口をけっこう押さえているじゃない。

大野:そうですね。

亀山:それで言うと、スタートアップ、OpenAIは「いや、Googleみたいなものを俺たちも作れますよ」と言うけど、それだけじゃ勝てなくて。ああいう、ちょっとしたたかな演出の仕方とかプロモーションがないと、やはり良いものだけじゃ駄目なんだよね。そこがちょっとビジネス上のまた別の世界かな。

大野:みんなの中で、「AIと言えばOpenAIだよね」みたいなポジションを取るということですね。

1位のポジションを取れば、その後の広告コストは抑えられる

亀山:そうだね。でも本当に物が良くないと、結局はそうならないんだけど。英会話の時なんかがそうだけど、DMMも英会話は後発で、10番目ぐらいだった。

大野:そうだったんですね。

亀山:オンライン英会話サービスはもともと他にもいろいろあったんだ。うちらはけっこう後発だったけど、担当者がフィリピンへ行ってサービスを作り出して、まあまあネット上で評判が良かったわけよ。評判が良かったし、比較しても内容が似たりよったりだったので、「だったら、ここはプロモーションで押していけ」みたいな話になるよ。

大野:他の競合と比べて、DMMが圧倒的にプロモーションの……。

亀山:プロモーションをわかりやすく言えば、まず他よりも半額にして。

大野:そういうことですか。

亀山:「赤字でいいから、しばらく事業計画を変えろ」ということで。もともとは2年ぐらいで黒字だったのが、「広告を打ちまくって半額でやれ」とか言って、ある程度市場で1番を取ったら、そこからは同じ値段でもいいやという話をするだけ。

大野:1位のポジションを取れば、その後から価格の競争力もつくから、そこから回収するということですね。

亀山:やはりそこを取ると、広告コストがあまりかからなくて済む。OpenAIも、今だったら、広告を打たなくていいわけよ。

大野:打たなくていいですね。

亀山:ここ2~3年ですごく投資していたとしても、ここから先はGoogleと似たようなライバル、同等ぐらいの立場に立ったじゃない。

大野:そうですね。GoogleとVS(バーサス)で並ぶだけでもすごいですからね。

亀山:これはすごいよね。だって、それまで誰も知らない名前だったもの。

大野:そうですね。お金をどう使うかもそうだし、いろいろな手段があると。サプライズが。

「未完成だけど出しちゃう」という決断が正しかった

亀山:そう。時代の流れを作るためだった。その時に「ぜんぜんこれ使えないわ」となるのは駄目だよ。それなりに「けっこう使えるじゃん」というものを出したじゃない。

大野:確かに。そうですね。

亀山:たぶんその時に、Googleは同じようなものを出せたけど、未完成だから出さなかった。

大野:それはそう思いますね。

亀山:でも、「未完成だけど出しちゃう」みたいな。これが決断として正しかったみたいな話じゃない。

大野:実際そうですよね。今、音声生成の領域だと、Algomaticでは「にじボイス」をけっこう広く知っていただいています。僕らもサービスとしては本当に早く出すチームで、いろいろ機能開発したり、「にじボイス」を使ったサービスも今ちょこちょこ作っています。企画から出すまで、早ければ1ヶ月ほどで、そういうやり方をしていたりします。

亀山:でもぶっちゃけ言えば、「(投資した)20億円使い切っておけよ」という感じ。「2年間あったのに使ってないのかよ」みたいな。

大野:(笑)。それはそうですね。

亀山:だから、スピード感的なもので言うと、投資のお金をまだ1割か2割しか使っていないとしたら、何のために入れたかわからないじゃない。

大野:確かに。ただ貯金されているみたいな。

亀山:それこそバンッとそのお金を置いておくか、人材に投入するか、開発とかいろいろな実験に使うか、プロモーションに使うから価値があるんだよね。他に比べたら早いかもしれないけれど、俺からすると「まだ遅いな」という(笑)。

大野:がんばって使っていきます。

亀山:がんばって。無駄遣いはしなくていいんだけど。

80点から60点に落としてでもお金を使う

大野:やはりけっこうお金を使うのは難しいなと思うところもあって。いや、「使っていこう、使っていこう」という考えはあったのですが、無駄にはできないじゃないですか。例えば、どう考えてもやる意味がないテレビCMにお金を使えるとしても、やってもしょうがないじゃないですか。

亀山:それはそうだね。

大野:お金をめちゃくちゃ使うとしたら、マーケティング費用ですね。人員は増やすのにちょっと時間がかかるので。

亀山:人員の中で、自分たちが80点の人間を入れようと思ったら、俺だったら60点まで落としてでも増やすかな。

大野:そういうことですね。より幅広く。

亀山:「逆にチャンスを多くやってみよう」とかする感じかな。

大野:そうですよね。

亀山:だって、たぶん求人はけっこう来ていると思うのね。

大野:はい、来ていますね。

亀山:意外とその中から、おもしろいものが出る可能性もあるじゃない。

大野:そうですね。でも今年(2025年)はお金をけっこう使います。

亀山:そうなの?

大野:はい。まだ亀山さんにはしゃべってないんですけど、僕の中でけっこう使う予定があって。

亀山:2年ぐらいでそれを使い切って、おかわりが来る頃かなと思っていたのが、来年おかわりぐらいでした。

大野:亀山さんからすると、だいぶ堅めの経営になってしまった。

亀山:(笑)。

大野:普通のスタートアップからすると、だいぶ使っているほうなんですけど。

亀山:まあまあ、そうかもしれないけどさ。

大野:僕的には、人員もそうですけど、やはりサービスの認知とか、アクセルを踏むタイミングで一気に使いたいなというのがあって。今年はいくつかいけそうだなというのがあるので、それをちょっとだけ踏んでいこうかなと思っています。おかわりはまだです。20億円の次の……。

亀山:(笑)。

大野:これだけ「おかわりしよう、おかわりしよう」と会うたびに言われているので、いざ「おかわりさせてください」と言ったら、「嫌だよ」と言われたらどうしようかなと思うんですけども(笑)。

亀山:その時はまた考えるけどね。

(一同笑)

大野:焚きつけるだけ焚きつけて。

亀山:いやいや、ちゃんと伸びていればぜんぜん大丈夫だよ。

大野:そうですよね。ありがとうございます。じゃあ、そんな感じですかね。

亀山:みんながんばって投資しようね。

大野:はい、がんばっていきます。じゃあ、ありがとうございました。

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