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変化を生き抜く 適応型リーダーシップと人事が導く組織のつくり方〜「学び」を起点にした個と組織のあり方を考える〜(全5記事)

人事が陥りがちな「1人の社員の幸せ」に偏ってしまうパターン 組織で最大のパフォーマンスを出すための考え方 [1/2]

【3行要約】
・人事制度は整っているのに組織に活気がない――多くの企業で「型」はあるが「血」が通っていない問題が起きています。
・坪谷邦生氏は「型を作って血を通わせる」ことの重要性を強調し、仕組みだけでなく魂を込めることが必要だと語ります。
・人事担当者は、制度設計時に「血をどう通わせるか」をチェックポイントとし、理論と実践を循環させる仕組みを作るべきです。

極端にならず「ちょうど良い1点」を突くのがリーダー

坪谷邦生氏(以下、坪谷):(黒川氏が考えるリーダーシップについて)じゃあ、被せて感想的な……。

黒川公晴氏(以下、黒川):ぜひぜひ。

坪谷:習慣なのがすごく素敵だなと思いましたね。基本的に複雑なものですよね。「こういう時はこうしたらいいよ」という答えが書いてあるわけではなくて、体系的になっているのがすばらしい。あと習慣を目指しているというのがすばらしいなと思って。

私は最近アリストテレスをけっこう好きだなと思っています。野中郁次郎さんという経営学者の方が、アリストテレスのフロネシス、賢慮。まぁ、知恵ですね。賢さみたいなことが「リーダーシップに大事だよ」と言っていて、「どういうことを言っているのかな?」と。

アリストテレスとかをちょっと読んでみると、実はまったく同じことが書いてあって、「中庸、一番良い1点をリーダーは選ばなきゃいけない」と言っているんですよね。極端に走らない。突然無謀なこともしないし、かといって動かないわけでもなく、「勇気を持って良い行動をする」みたいな、「ちょうど良い1点」を突くのがリーダー。

それってなかなかすぐに答えがあるものじゃないと言っているんですね。それをやるためにはフロネシス、賢慮が必要だと言っている。

でもね、アリストテレスの賢慮は、2年間読んでいても複雑でよくわからないんですよ。ただ「習慣が大事だ」とは書いているんですね。「そうか、習慣を見つけるのか」とは思ったんですけれども、それが現在の知見を体系化されたことで、「こうやればできる」がちゃんと図示されているところに感動しましたね。

仕組みは整っていても血が通っていない組織

黒川:そう。プログラムに来られる方は、もう経験を積んだマネージャー以上がけっこう多かったりするんです。なので今もいろんなことをやっているんですよね。

この効果は、「私、こんなことをやっていたんだ」というのにラベルがついていくんです。ラベルがついていくと再現性と練度が高まりますね。ラベルをつけていくと、「私、ここのラベルがあんまりないな」ということにも気づいていく。

なのでそれを意図的に、こういうことに対して、こういうことに使われる、こういう思考を、例えばチームから見てみるとか、システムから見てみるとか、EQの観点から見ることを何度も何度も意識的にやっていくと習慣化されていき、引き出しが増える。だから両方ですね。自分の引き出しに気づく、そして引き出しを増やす、そんなアプローチで全体をカバーしていく。

坪谷:壺中人事塾に来てくださっている方にはおなじみかもしれないですけど、「型を作って血を通わせる」という言葉をよく使うんですよ。「カタチにする」と表現するんですけど、「カタチ」は「型」と「血」の両方からできていて、片方だけではうまくいかない。

「型」を作った後に「血」を通わせるんですね。型だけだと形骸化しちゃう。人事のみなさんは覚えがあると思うんですけど、「仕組みはすごくきれいなんだけど、ぜんぜん乗っていないね」みたいな。血が通っていない。ダメですよね。仏作って魂入れず。

逆に創業社長とかがいる時なんですけども、勢いとイメージがある。逆に創業者とかに多いですけど、勢いと強い想いがある。血は通っているわけです。しかし型がないので、血が流れでていってしまって、何も蓄積されていかない。型がしっかりあった中で血を通わせて「カタチ」にする。これを人事として目指したいと思っているので、まさに血を通わせるための型を今示していただいたのかなと思いました。

人事が設計の時にチェックすべきポイント

黒川:そう、「血」も大事ですよね。

坪谷:「血」は大事。

黒川:やはり「血」がない学び方がけっこう多いので、論理とセオリーを学んで、「あっ、こういうふうにやればよかったんだ」と感動して帰るんですけど、血が通わないみたいな。血をどういうふうに学びの場にちゃんと組み込むかが、人事をされている方も、設計の時のチェックポイントとしてすごく大事にすべきだなとは思いますね。

坪谷:黒川さんのご本を読ませていたただいても、各章ありますもんね。各章の前に問いがあって、読み終わった後にも問いがあって進ませてくれないんですね(笑)。血を通わせないと進ませてくれない型になっているなと思って。

黒川:ありがとうございます。そう。教えではあんまり学びが起きていかないというのが実感するところで、本人が起こすしかないですよね。

いろんな理論、セオリー、世界の数ある偉人が作ったセオリーから学んでいくんですけれど、それを咀嚼して、「あっ、これに照らし合わせると自分の体験ってこうだったんだな」とか、「今抱えている課題ってこうなんだな」って、やはり自分なりの思考を凝縮して再解釈していくと、ここでインサイトが起きるんですよね。

それを実践すると実践知になり、そこからまたここに戻ってくる。自分の思考凝縮に帰ってくるという、それを起こせるかどうかがやはり大事だなみたいな。

坪谷:なるほど。本当にそうですよね。最後に野中さんに寄せちゃうと、形式知と暗黙知をグルグルと回すようなSECIモデルはまさにその構造ですよね。

「システム思考」を教育に取り入れてみる


黒川:……コメントを拾ったほうがよいでしょうか?

坪谷:じゃあ、オンラインの人を。

司会者:オンラインの声を読み上げると、「システム思考を子どもたちに言語化して伝える時の練度に悩みます」。「システムを捉えることだけでも前進する気がする」。あともう1個は、「エラスティックリーダーシップという言葉もありますよね」というコメントが出ています。

黒川:最初は、「システム思考を子どもたちに……」。こういう仕事をしていると、ここはたぶんテーマになるのでその話をするんですけど、子どもの頃だからこそ、この教育を絶対にやったほうがいいと思っています。

そういうことを思って話していると、わりと初等教育のデザインとかをやらせていただくようになって。子どもは体験的に楽しんで、おもしろいほど吸収しますね。

坪谷:へぇ。

黒川:要は世界に対しての諦めがないので、「自分が問題だと思ったものを変えられるんじゃないか」という発想に至りやすいんです。自分がシステムを構成しているという、つなぎさえできれば、「これ、やったほうがいいんじゃない? これ、やったほうがいいんじゃない?」と発想をしやすい思考の柔軟性があって、それはすごく勇気づけられる体験でもあります。

「柔軟な思考」をしづらい40代〜50代の管理職

坪谷:めちゃくちゃわかりますね。今、目標管理を世の中に広めようともがいていて、目標管理のボードゲームとかを作ったり、いろいろやっているんですけど。人事の人たちに言うと、「自分はよくわかります。でも学生さんとか新入社員は、こんなに難しいのはわからないですよね」と決めつけに来るんですけど、学生のほうがやるんですよね。

学生のほうが頭が回って、人事のほうが頭が固いじゃんと思うことが多いです。一番苦労するのが40代、50代の管理職なんですよね。彼らはもう自分のパラダイムでしか物事が見えなくなっているので、学生のほうがぜんぜん回せるんですよ。なんならたぶん高校生とか中学生のほうが回せるだろうなと思います。今のお話はすごく共感していそうですね。

黒川:やはりシステムは、概念を捉える考え方がどんどん凝り固まっていきますよね。「あれは違う組織の話だから」というのがまさに典型的なせりふだと思うんですけど。ありがとうございます。

なんか場を見ていると、子どもは世界に諦めがないからと言った時、すごく共感している……大人は世界を諦めているのか? とも思いながら……時間的に(先に)いったほうがいいのかな。そのへんのくるみんさんマネジメントは大丈夫そうでしょうか?

司会者:もうちょっと聞きたいなと思ったんですけど、いきますか? (今のお話を)聞いていて、この後に続く話かなとは思いました。問2。

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