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変化を生き抜く 適応型リーダーシップと人事が導く組織のつくり方〜「学び」を起点にした個と組織のあり方を考える〜(全5記事)

リーダーシップは後天的に身につけられる「スキル」 新時代のリーダーの“核”となる3つの力 [1/2]

【3行要約】
・リーダーシップの定義は多様ですが、「適応型リーダーシップ」という新しい概念が注目されています。
・ミネルバ大学認定講師の黒川公晴氏は、「リーダーシップは思考スキルであり、複雑な状況に適応して影響力を発揮する能力」と説明。
・現代のリーダーに求められる3つの核となる力と、それらを身につけるための「18の思考習慣」とは。

リーダーシップとは何か?

司会者:ここからは、お二人にバトンパスをさせていただきたいなと思っております。

坪谷邦生氏(以下、坪谷):初めの問いは「リーダーシップとは何か?」ですね。

黒川公晴氏(以下、黒川):みなさんに考えていただくようなかたちでいきますか?

坪谷:はい。

黒川:けっこうざっくりしたワードで、それこそ(関連)書籍は書店に無限にありますけど、日々みなさんがどんな語感で捉えていらっしゃるのかをお聞きするところから始めていきますか?

坪谷:そうですね。チャットの方はぜひチャットに……正解じゃなくていいですよ。持論、経験則、思いつきで。「こんなの言っていいのかな?」というのこそぜひ書いてください。会場のみなさんには、聞きますか?

黒川:隣の人とかと2分くらいお話しいただいたほうが(意見が)出やすいですかね? シーンとなっていますけれども。準備ができたら、こっちにアイコンタクトを送っていただければマイクを届けにまいります。

(会場の方々同士で話し合い)

黒川:では、お願いします。

話者1:そうですね。本当に今、「(リーダーシップって)何だろうね?」という、モヤモヤしたままというのが正直なところでした。やはりリーダーのかたちはいろいろあるのかなと思いました。

ここからは私の思うところなんですが、必ずしも先頭ではなくていいと思うんです。何か新しい動きを導き出せるという、そういう動きが取れることがリーダーシップなのかなと思います。

人によっては(みんなを)引っ張ったり、みんな(の仕事)を円滑に進めたり、いろんなかたちがあると思うんですが。そういう「何かを動かしていくことができるか?」みたいなのが、1つリーダーシップとしてあるのかなと思いました。以上です。

黒川:必ずしも引っ張るというわけではないと。いいですね。ありがとうございます。もうお一人、お二人ぐらいお聞きできると……目線を逸らしますね(笑)。あっ、でも、いい笑顔で、ありがとうございます。

「リーダー」と「リーダーシップ」は違う

話者2:ありがとうございます。私たちはここの2人で話していたんですけど。(先ほどの方と)まったく同じような考え方を持っていて、人やチームを介して、そこを巻き込んで、何かビジネスの目標やゴールを達成していく。そういったものをリーダーシップと呼ぶのかなという、同じような考えを持っていました。

坪谷:ありがとうございます。

司会者:オンラインの方からもコメントがけっこうあるので、ちょっと紹介しますね。やはり「オーナーシップみたいな捉え方をしています」「責任を持ってチームを正しい方向に導くこと」「いい方向への影響力」「相手に影響力を与えて推進する力」「組織を前進、変革に導く力だと思います」。やはり「推進する」というワードがけっこう多く出ているかなと思います。

黒川:ありがとうございます。「推進」「チーム」「巻き込む」「動きを作る」みたいなキーワードですかね。これはどんなふうに進めていきましょうか?

坪谷:この後、黒川さんはこう思うよ、という話をされますよね。

黒川:そうですね。

坪谷:その前に、「坪谷はこう思う」を一言、二言ぐらい言いましょうか?

黒川:ぜひぜひ、お願いします。

坪谷:(そのほうが)相互感があって、いいですよね。私のリーダーシップの定義は、まず「リーダー」と「リーダーシップ」は違うというところから始まって、リーダーは役割です。どんな役割かというと、指し示す。私はいつも人差し指を立てて写真に写っていますけど、これがリーダーの役割ですね。「こっちに行くよ!」と言うのがリーダーの役割。

リーダーシップは、能力ですね。どういう能力かというと、影響力。リーダーが「こっちに行くよ!」と言って後ろをパッと振り向いた時に、誰もついて来ていなかったら失敗です。「あっ、そっちに行くの? じゃあ、行くよ」とついて来ている人がいたら、それは影響力を発揮できた。つまり、その人はリーダーシップがあると私は定義しています。以上です。

『ミネルバ式 最先端リーダーシップ』著者の黒川公晴氏

黒川:ありがとうございます。「影響力」は僕もずっと使っているキーワードで、たぶん今日はそんなことをお話しさせていただけると思います。どのへんでまた交差するのかとか、その(影響力の)観点から見ると、みなさんの日々周りにいるリーダーがどう見えるのかみたいなところもぜひおうかがいできればなと思います。じゃあ、そんな感じで進めていきますね。

僕は日本の外交官を12年間ぐらいやっていた時も、それから独立して今8年ぐらい経ちますけど、ずっと「組織」とか「人」というキーワードに個人的なパッションがあって考え続けています。

独立して、組織開発、人材開発という領域でいろんな企業向けのサポートをずっとしてきました。実は組織開発をやっているとはいえ、けっこう基本的なことがわかっていないなという時は、坪さん(坪谷邦生氏)の『(図解) 組織開発入門』を辞書のように見たりしております。

ここ3年ぐらいは、ミネルバ式も「適応型リーダーシップ」という言葉を掲げて、いろんな企業のリーダーたちの学びを作るお仕事をしております。

今日はここから5分ぐらい、僕のリーダーシップに対する考え方をお伝えした上で、自然発生的に対話を楽しめればなという気持ちでおります。このミネルバ式リーダーシップの開発プログラムはもう4年ぐらいやっているんですが、いろんな企業の人たち600名超ぐらいが参加してくださっています。

基本は10週間、3ヶ月、濃密な体験をご一緒するというプロジェクトで、僕自身が運営の責任者とファシリテーターも務めております。

リーダーシップは「思考スキル」である

黒川:ミネルバ大学って、聞いたことがある方はどれぐらいいらっしゃいますか? 半分ぐらいですかね。あんまり知らないという方がもしかしたらいるかもしれないですね。ミネルバ式という言葉は、ミネルバ大学から来ているんですけれども。

ミネルバは2014年に開校した新しい大学で、特徴としては、全部オンラインでやりますとか、世界7都市を回りながらやりますとか。2025年から東京に開校して、世界中の学生が東京で数ヶ月間過ごすみたいなローテーションの地域に含まれていたりします。

最近は3年連続で「最も革新的な大学」のランキングに選ばれたりしていて、けっこう「ハーバード(大学)を蹴ってでも入りたい」とか、「東大を中退して入りました」みたいな学生がいて、知名度が急速に高まっている。

僕が何が一番すごいと思うかというと、リーダーシップとかいう曖昧な能力を本当に体系的に整理して、これは思考スキルなんだと。能力という話もありましたけど、これは身につけられるんだと。

リーダーシップはいろいろと研究の歴史があって、一時は「素質」だと。持って生まれた素質で、その素質を研究して再現性を高めていくべきなんだという研究もあれば、「行動」だと。リーダーが取るべき行動を研究する流派もあったんですけど。

今はコンセプト理論が中心で、「こういう状況ではこういうふうに振る舞うべきだ」ということがさまざまな型で定義されています。

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