シリョサク株式会社のいのっち氏と外資系IT企業の岩本紘佳氏が、上手な指示・フィードバックのコツを紹介します。マネージャーが押さえておきたい3つのポイントを中心に、部下のやる気を引き出しながら成果も上げるコミュニケーション術を解説。二人が現場で実際に使って効果を感じた方法を中心に、すぐに試せる実践的なテクニックを語ります。
上手な指示・フィードバックのコツ
いのっち氏(以下、いのっち):仕事をもっと!
岩本紘佳氏(以下、岩本):おもしろく!
いのっち・岩本:「シリョサクTV」です! お願いしまーす!
岩本:はい。今日はシリョサクで営業マネージャーとエース講師として最多登壇されてる、いのっちさんに来ていただきました。
いのっち:よろしくお願いします。いのっちです。お願いしまーす。
岩本:今日はどんなお話をしてくださいますか。
いのっち:はい。今日はですね、リーダー、マネージャーに送る指示・フィードバックの方法になっております。指示・フィードバック。ヒロカさんはまだどっちかというと、受けるほうが多い?
岩本:そうですね、受ける側が多いかなと思います。
いのっち:「やっぱりこの上司うまいな」とか、逆に「この上司、うーん、ちょっとよくわかんないな」とかありますか?
岩本:(笑)。でも、そうですね。ちょっとざっくりしすぎてたりすると、こっちが困るなっていう時はあるかなと思います。
実は教わることが少ない技術
いのっち:今日はですね、そんなリーダー・マネージャーに、あなたたちはもう仕方ないんだと。なぜなら、指示・フィードバックの方法って誰からも教わっていないんですよね。

本日やりたいこの動画のキメヘン(聴き手・メインメッセージ・起こしたい変化)は、部下に依頼したアウトプットがイケてないと悩んでいるリーダー・マネージャーの方に向けて、シリョサク流のフレームワークを使えば一定悩まずいけるよと。
そして最終的にはこの指示・フィードバック・マインドセットのやり方がなんとなくわかった状態を目指して、この動画を作っていきたいと思っております。
岩本:ちなみにこのキメヘンは?
いのっち:ありがとうございます。キメヘンはですね、シリョサクの造語になっておりまして。こういう動画とかでも使える、ゴール設定をするためのものになっています。
キメヘンが明確になってくると、みなさんも「この動画はこういうことを学べるのね」って、たぶんクリアになったと思います。そういう効果があるので、みなさん、キメヘンを最初に設定するところからやっていきましょう。
今日の指示・フィードバックといったお話は、アーカイブ動画にもなっております。(動画ページの)概要欄からアクセスしていただければ、個人情報の入力が必要なんですけれども、みなさんいつでも見れる、より詳細の1時間ぐらいの動画になっておりますので、もっと深く学びたい方がいらっしゃいましたら、ぜひぜひというところでございます。
「とりあえず形にしておいて」はNG
いのっち:今日扱いたい悩み事から一緒に見ていきたいと思うんですけれども。1回資料作成を例にとりたいと思います。
資料作成を依頼する時とかに、例えば「ざっくり作って」とか「とりあえず形にしておいて」みたいな。こうすると、やっぱり悲しいかな、なかなか「思ってたのと違う」ってなると思うんですよね。
一方で、フィードバックも同じで、出来上がってきたものがありました。「もう少しわかりやすくならない?」「なんか微妙なんだよな」って言ってしまうと、修正したとしてもなかなかいいものが出てこないということで。
これはお互いにとって不幸だなと思っています。もちろんリーダー・マネージャー側もそうですし、このメンバー側も「なんかよくわかんないな」と思いながら暗中模索の状態になってしまうので、それは避けたい。
岩本:結果的に、時間もすごいかかってしまいますよね。
いのっち:そうなんです。すごくもったいない。じゃあどう解決するのかということで、スキルを身につけるのではなくって何を伝えればいいのかという言語化ですね。ここをお手伝いするのが、この動画の趣旨になっております。
つまり指示とはいったい何なのか。フィードバックとはいったい何なのかということを一緒に考えていく動画にしたいと思っています。
これができれば、言語化された作り方をそれぞれが知ることによって認識をすり合わせられるので、さぁ、一緒に言語化していきましょう。
岩本:はい。
「丸投げ」と「指示」の違い
いのっち:ということで、まずは依頼前の指示のお話からしていきたいと思います。

指示なんですけど、日本語としてみなさん知ってると思います。1回定義を見ていくと、丸投げと指示の2つに分けられると思っています。多くの方が指示だと思っていることっていうのは、けっこう丸投げになっていることがあるんですよね。
この差は何なのかというと、依頼された側、指示された側が何をすべきかに対して迷うか迷わないかだと思っています。指示というのは迷わずにできる、ここまでいって初めて指示と呼べるものになると考えています。
じゃあ、これ、資料作成に例えるとですね、基本的に「資料を作ってね」という指示は難しいです。なぜかというと、実はすごく複雑な工程が隠れているので。
岩本:そうですね、資料作成と一言に言っても、いろいろやることありますよね。
いのっち:そうなんです。だから「10ページの資料をなんか1週間後までに作ってね」だけだとけっこう難しいです。
ダメ出しは誰でもできる
いのっち:できる人はかなりレベルが高いです。なので、やるべきことは、必要な情報と目的を2つ示してあげる。何のための資料なのか、そのために何をすべきなのかという2つを示してあげると少し迷わずにやることができるし。

100パーセント作らなくていいので、途中でチェックをしながら進めていく。このあたりの具体的な話はアーカイブ動画にもなっていますので、いったんここで止めたいと思うんですけど、この考え方って本当に生成AIとかプロンプトの考え方に近いと思っております。
どういう指示を出せば、相手からどういうアウトプットが書いてあるか。この想像ができるものを出していくべきだなと考えております。というのがまず依頼前の指示ですね。
次、依頼後のフィードバックの話にいきたいと思います。このフィードバックの定義、実は割れやすくですね、ダメ出しになっていることがけっこうあると思います。「ここできてないね」「ここ改善してほしいよ」、それだけを伝えることは、正直誰でもできると思っています。
そうではなくて、フィードバックというのは、自分の部下とか、作った人ですね。その人だけでは気づけない視点を渡すことによって、リーダー・マネージャーが介在することによってアウトプットが良くなる状態。これがフィードバックの理想系というか、目指したい姿だと考えています。
ゴールラインを明確にする
いのっち:なぜかというと、そもそも修正の指示なんて出そうと思えば大量に出せるんです。気になるところ、細かーい1ミリのレイアウトとかにまで目にすれば、もういくらでもできると。ただ、もうきりがないのでインパクトの大きいポイントに絞ろうっていうのはいつも言っています。

インパクトの大きいポイントって何なのかというと、ゴールイメージとして、完璧なものを時間かけて作るよりも、最短距離で最低ラインが超えられたものを作るほうがビジネスシーンにおいては価値が高いというふうに考えています。
いのっち:先ほど時間がかかるって話もしましたけど、まさに、こだわればこだわるほどきりがないんですね。なので「ここまででOK」というゴールラインを明確にして、「そこにいくためにはこのポイントとこのポイントを抑えてください」までやると、迷わずにより良いものができるということなので。
岩本:なるほど。
いのっち:こういうフィードバックをできると思った以上のアウトプットを出して、チームとして生産性の高い働き方ができると考えています。
岩本:これ、けっこう難しくないですか。
いのっち:難しいんですけど、まず意識として、例えば100点を目指すんじゃなくて、どこまでになればクリアなのかを少なくともリーダー・マネージャー側は意識しておく必要があるし。逆にメンバー側がそこをちゃんと確認したほうがいいですね。
「今回ってどこまでの基準を求められていますかね」みたいなコミュニケーションが取れると双方が寄り添えるのかなと考えております。
というのが依頼前と依頼後という話だったんですけど、最後にそれらを総括して、そもそものマインドセットの話をしたいと思います。