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法改正対応、これで十分?企業がハマる3つの落とし穴 ー2025年 育児・介護休業法改正ー(全3記事)

育介法改正は“働き方改革フェーズ2” 人事や管理職が押さえるべき法改正の“本質” [2/2]

テレワーク導入時の混乱が推進の足かせに

松井:これに対してどう対応すればいいかは……これはQ&Aなんですが、ちょっと全部は読めないですけれども。今、赤枠をつけているところで、配慮義務への対応は事業主として、その意向の内容を踏まえた検討を行うことが必要で、何らかの措置を行うか否かは事業主目線で自社の状況に応じて決定する。

これは施行規則をQ&Aに直したものなんですけれども、まず戦略決定をして、管理職クラスまで浸透させるかたちで多様性の推進を行ってください。これが法令で求められていると、しっかり理解することがすごく重要ですね。

割愛気味でいきますけれども。例えば今のようなこととはまたちょっと違う話なんですが、4月改正のテレワーク努力義務化みたいなものがありました。

例えば「コロナの時にテレワークをしていたけど、成長が遅くなった」とか、経営的な意味で、今の現象だけを見て多様な働き方をあんまり進めたくないという意見がすごくたくさんあるんだと思うんですけど。

ただ、線を引いてあるところで、育成・業務管理・コミュニケーションの観点でテレワークの範囲が絞られている場合は、改善の可能性を踏まえた積極的な検討をしないといけないというのに、趣旨がすごく近い。そういうテレワーク努力義務ですね。

なので、とにかく環境改善をしていければ解決する問題も多い。こういう経営的意見に対して、テレワークの方法や管理上の工夫が足りないだけかもしれないということを会社で浸透させることが必要ですし、この観点でもって戦略的に検討することが促されている法令なわけです。そこを捉えて、経営観点でどうするかの方針を決定するのがすごく重要じゃないかと思います。

自社の業務の特性を踏まえた制度作りが重要

松井:3点目に出ていた業種別特性の把握。これについても、選択的措置ということでさっきちょっと言及しましたけれども。

この5つの措置から選択するみたいなところで、自社の現場状況をしっかり捉えることをあんまりせずに、今ただやっているものがあるのでそれでいいのかどうかみたいな検討になっちゃうというのも、けっこう複数お聞きするんですね。

そういう話じゃないんですね。これはまず1回多様な働き方がどうかということを検討する機会にした上で、施策をどうするかに絞り込んで、初めていろんな法令の改正の機会が活かせるわけです。

今日配布する資料では、細かい定義に則って考えると、従業員さんのメリット、企業のメリット、前提条件がどうかという選択的措置に関してまとめています。

さっきのホンダさんの事例だと、休暇をすごく重んじるとか、シフト勤務的なものを工夫するというのが、たぶんメーカーの業務特性から生じているものなんでしょうけど。どんなところに留意すればいいかを3つぐらいに分けるとすごくいろいろあるかなと思いまして、まとめております。

このへんを参考にしていただいて、ぜひ検討いただければと思います。私からは法改正の対応状況と、やはりさっき3点ご提示があったこのあたりの話というのはすごく重要だし、具体的な検討において不可欠な視点じゃないかと思っていますから、このへんについてお伝えしました。すごく貴重な機会ですので、ぜひご一緒にいろいろと考えていければなと思っております。私からは以上でございます。

富樫:松井先生、ありがとうございました。

松井:ありがとうございます。

10月の改正に向けて何から始めるべきか

富樫:質疑応答に移らせていただければと思います。私からお話ししたアンケートとか、そこから見える落とし穴、先進事例。そして松井先生の法改正の解釈も合わせると、ちょうど立体的に見えるところがあるかなと思っております。

その中で不明点とか気になる点があれば、どちらに関してでも大丈夫ですのでぜひご質問いただければなと思っております。

松井:ありがとうございます。1個(質問を)いただいていますね。

富樫:では1点、ご質問が来ていたようなので。「今回の考え方を踏まえ10月施行に向けて具体的に進める場合は、あらためて何から始めればよいでしょうか?」。松井先生、こういった観点から始めたらいいんじゃないかみたいな、何かありますでしょうか?

松井:ありがとうございます。ご質問いただいてものすごくありがたいです。10月施行に向けて具体的に進める考え方みたいなことは自分からお話しした、まさにそのものだと思います。

このご質問の趣旨は、業種特性とか全体方針として多様な働き方をどうするか? を決めるということなので、それも踏まえた上でさらに具体的に何をすればいいかみたいなお話なんだと思うんですよね。

経営戦略にも密接に関連

松井:それは、今ご質問いただいた御社内、自社内でどこまですり合わせができているかという話ともすごく関連しますし、けっこうそのぐらい大きな機会です。もしもこれが上場企業さんであれば、人的資本経営の全体戦略とものすごく関わるところなので。

労務担当の方だけでとどまっていたり、「法改正がまたあった」ぐらいの認識になっていたりするのであれば、人材戦略部とか経営企画部の方に接続していただくことをしないと絶対にバラバラになりますから。

社員さんから見て、「ダイバーシティ推進はこんなことを言っているのに法改正で同じような別の資料が来た」という状態になりそうな企業さんがすごくあって、なんでそんなにバラバラになるのかなという感じなんですね。なので、そのあたりのすり合わせも必要です。

あと、そういう中で既存のやっていることと法改正対応がどういう関係性にあるかは、けっこう問題対応的な考え方をする必要性もすごく高いんですよね。

なので、そういうものを要素分解して、ちゃんと何が一番重要なのかを現場の状況に応じて考えるという、コンサル的アプローチで整理しないとよくわからない感じかもしれません。

illumista社さんは、まさにそういうコンサルをやっていらっしゃるところですよね。自分も法令的な専門対応でぜひ絡めてやれればと思いますし、例えばそんなことが考えられる手段の1つかなと思います。ちょっと長くなっちゃいました。富樫さんもぜひお願いいたします。

制度を定着させるために必要な2つの視点

富樫:ありがとうございます。私の回答もけっこう近かったんですけど、大きく2つあります。1つが、やはり現場の課題感の把握は前提としてあるかなと思います。

それが取得者だけではなくて管理職の方、同僚の方も含めて、現状の運用の中でどういう課題感が生まれていくのかを、ぜひすくい上げていただきたい。というところが、まずは全体の把握かなと思っています。

そして先ほど「コンサル的な」という話もありましたけど。じゃあ、うちの会社としてどういった大上段からこの取り組みを当てはめながら落としていくのかというところで、先ほどの「じゃあ、働き方だけ制度とすればいいよね」だと、ほかの部署の方となかなかうまく合わない。

よく聞くのが、DEIの部署さんが「こういったことをやるんだ」と進めるんだけども、結局配置とか、あとは労務管理が結局あんまり連携されていないとか。何だかんだで逆に(従業員の)不満をあおってしまうみたいなケースは聞かれたりします。

そこらへんも大上段としてなぜやるのか。先ほどの伊藤忠さんですかね、目的を持って、大上段を掲げて、それに対してどういうふうに落としていったのか。それがあれば、役員の方、管理職の方をけっこう巻き込みやすいところもあるので、そこの2点をぜひご参考いただければなと思っております。

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