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法改正対応、これで十分?企業がハマる3つの落とし穴 ー2025年 育児・介護休業法改正ー(全3記事)

育休取得に“申し訳なさ”を感じるのはなぜ 制度の利用を阻む、社員と企業の“課題感のギャップ” [1/2]

2025年4月の法改正に続き、10月にはより多くの対応が求められる育児・介護休業法改正が控えています。制度運用でつまずかないための実践的な対策を、illumista株式会社 代表取締役CEOの富樫憲之氏が解説。今回は育児・介護休暇を中心に、多様な働き方の実現に取り組んでいる企業の実例を紹介します。

育児・介護休暇の推進に取り組む企業の例

富樫憲之氏:「じゃあ、ほかの会社はどういうふうにやっているんだ」と、みなさん気になると思いますので、それぞれの3つの観点について、いろんな会社さんが取り組んでいる事例を1つずつご紹介できればなと思っております。

まずは1つ目。現場の課題と、それを戦略的に活用していきましょうというところとして、伊藤忠商事さんをご紹介します。もしかしたら2024年に育休の必須化でちょっとニュースにもなったのを、ご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。そこの変遷も含めてご紹介できればなと思っております。

ちなみに、これからご紹介する資料には、すべて出典とリンクをつけております。もうちょっと細かく見たいなというところはアンケートをいただければお送りできますので、ぜひご覧ください。

伊藤忠商事さんは、まずは女性活躍推進を大上段に掲げながら、その中に両立支援、育休支援も含まれています。

これについては2003年から人材の多様化推進計画ということで、女性社員をどんどん増やしていこうという取り組みからスタートしました。その結果、採用はできたし、両立支援制度も整っていたはずなのに、結局離職につながってしまっていた。

表面的な制度はあったんだけども、実際の使いやすさにけっこうリンクしていなかったと(結論が)出ています。それを踏まえて、やはり一律ではなく現場の声を踏まえた個別支援が必要になっていくんじゃないかと、いったん結論として出されて取り組まれています。

それを踏まえて目的というところで、やはり経営全体、会社全体として、「なんでやるのか?」をちゃんと据えているのも重要なポイントかなと思っています。

株主向けの発信としての意義も

特に、プロダクトアウト型のビジネスを脱しましょうということで、マーケットインの発想で考えるためには、やはり多様な考え方が組織として必要ではないかという結論に至った。そして、こういった取り組みから、ジェンダーも含めて、企業価値の向上につながるというところも1つの重要な観点になっています。

実際、いろんな会社さんにおうかがいしていても今、人的資本経営という観点がありますけども、やはり株主向けというところも含めて対応していきましょうと。だからこそ経営陣も動きやすいというような、逆に(株主の視点を)活用することで巻き込む動き方をされている企業さんもいらっしゃいます。

そして、目的を踏まえて活用した結果というところで、先ほどの女性活躍とかそういったことも含めて、全社員の働き方改革につながり、その結果、女性社員のキャリア継続や定着につながったということです。

先ほどの女性活躍推進、そして両立支援で、特に「働きながら子育てできると思ったんです」という回答がけっこう出てきたことで、それが社内の雰囲気、文化につながっています。

複数の施策を連動して実施する

伊藤忠さんは施策としても紆余曲折というか、「改善、改善」でいろんなことに取り組まれている。1回で全部が作り上げられるものではないんだなというところも参考になるかなと思います。そしてその結果、さっきの仕事と育児の両立支援ということで、2024年の4月から男性育休を必須化する取り組みに至ったと思っています。

もちろんこの法改正があったからやったということではないんですが、なぜ全体でこれに取り組むのかという課題を踏まえて戦略的に取り進めている事例なのかなと思っております。

なので最後は、先ほどの2024年2月のプレスリリースをご紹介して、伊藤忠さんの話はおしまいなんですけども。

一番ニュースになったのは男性育休の必須化ですが、もちろんそれだけではなくて、女性役員の数値目標を設定しました。あとはフェムテックを中軸としたキャリア継続支援に取り組む。あとは看護師・助産師さんによる「育児・健康コンシェルジュ」を正式導入しましょうと、包括的に取り組んでいらっしゃいます。ただ単発の取り組みではなく、うまく統合しながら進めていくところも、ぜひ参考にしていただければなと思っております。

仕事と家庭を両立できると答えた社員が倍増

では2つ目、先ほどの経営陣目線の参考として、リクルートさんをご紹介できればなと思っております。まず社長自ら育休を取られているようなところもありますけれども、なんなら伊藤忠さんより先に、この「必須」を設定されています。

ちなみに、義務ではなく必須というところで、強制的な感じを与えないような、表現まで思いを馳せながら丁寧に作られています。

そして、こちらも伊藤忠さんとちょっと近いところはありますけども、実際に取り組むことによって、社内調査の「女性社員が仕事と家庭の両立をしているイメージが持てているか」という質問では、導入前が「両立できる」がかなり低い30パーセントだった。

それが1年後、「両立できる」が70パーセント近くまで上った。もちろんこの制度が利用されたからだけでなく、社長を含めて会社として必須化する、そのぐらい本気でやるんだと。

ほかの会社さんも同じですけども、別に男性だけがいいというような話ではありません。男性育休を進めることについては、女性も働きやすくなるであろうという期待が一気に高まるのはよく聞くところでありますので、そういった結果にもつながるのかなと思っております。

社外への情報発信も組織づくりの一環

そして、こちらのDEI推進室の管理職の方のインタビューもちょっとご紹介できればと思っております。

こういった風土作りに取り組む中で、まずは会社として「こういう方向性で人を大事にしていくんだ」というポリシーに則って実際の施策を動いていきますよと。

逆に言うと、これに則っているからこそ、みなさん、あまり反論ができない。こちらに通ずるからこそ、評価とか動き方にも納得感を持っていただきながら、みなさんを巻き込んでいったところも特徴としてあるのかなと思います。

その中の2番目で、「リクルートで働く誰もが、自律的に自分の働き方や休み方をデザインしてほしい」ということがベースにある。だからこそこれを、育休とかそういったところで両立支援に取り組むんだという大上段をちゃんと設定したのが社内でも進めやすかったということを書かせていただいております。

取り組みとしては、「リクルート子育てコミュニティ」に1,600人ぐらい行きましたというところもあったり、『育休という機会 HAND BOOK』を自社で用意されていたり。その中で、育休を取るメリットとかロールモデルとなるような社員のご紹介もしていたり。

あとは、2022年度まで男性育休アンバサダーということで、実際これまで(育休を)取得された方が社外も含めて発信することを設定して、本当に文化として落とし込むようなことにけっこう本格的に取り組まれました。

実際、現場での動き方はどうだったのか? というところで、こちらはコメントのままではあるんですけども、特に進める上で、会社やチームが男性の育休取得者をイレギュラーとして捉えないこと。そして、会社の課題と個人の課題を分けなくてはいけないということをおっしゃっています。

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