パーパスを起点に、共感する人たちとつながり行動をしているフロントランナーたちをゲストにお呼びするトークイベントシリーズ Project MINT Luminary talk! シリーズ。今回は、大人が知るべき「リフレクション(内省)」と「ダイアローグ(対話)」をテーマに、教育・組織開発コンサルタントの熊平美香氏が登壇しました。本記事では、中小企業やベンチャー企業でリフレクションや対話を取り入れるヒントをお伝えします。
今、熊平美香氏が注目していること
植山智恵氏(以下、植山):ありがとうございます。続いて、3番目(のトークテーマ)。今お話いただいた、熊平さんの日常生活で(リフレクションを)こういうふうに実践しているとか、最近気になるテーマをうかがえますか?
熊平美香氏(以下、熊平):そうですね。サスティナビリティと言っていいのかアレなんですけれども、やはり今、世の中を大きく塗り替えようとしている人たちがすごく増えている。特に海外で増えていることにすごく注目しています。
やはりこの延長線ではないよねという時に、例えば資本主義のことをみんなが否定したりする時があると思うんだけれども、もはやそこにとどまらず、経済学をリフレームしようというようなお話をしている人たちもいる。本当にリフレクションとかアンラーンとか、そういういろんなエネルギーで社会を変えていく、社会のフレームワークチェンジを起こそうとしてる人たちがいるということに、すごく勇気づけられています。
植山:確かに。トピックがかなり大きくなってしまうんですけど、例えばDEI(多様性、公平性、包摂性)とかトランプ政権になって、今まで積み上げてきたものが別の意味で壊されてしまうような、そういう政治環境にもあったりしつつ。
でもそこでも、やはり人の力でつながりとか創意工夫でいろんなものを乗り越えて、その資本主義の格差をもっと埋めるようなことで、いろんな分断が起きてしまっていることを自覚して。
そんな時代の中、それをあらためて経済学で最低限大きくしようと前向きに行動に起こしてる人たちに、すごく勇気づけられるということ。
今の時代こそリフレクションとダイアローグが必要
熊平:本当にそうなんですよね。だから、表にはトランプさんとか、負の話がやたら出てくるじゃないですか。「悪いニュースが好き」っていうのも今の人間の課題なんだけど。
でもだからこそ、その裏側で、同じぐらいのエネルギーでそれに負けないようにがんばろうとしてる人たちにもすごい力がついてきている。それが5年前とかとぜんぜん違うなと思って。私もがんばらなきゃとすごく勇気づけられた。
植山:いや、本当にそうですよね。それこそやはりリフレクションとダイアローグを広める意義というのは、特に今この時代だからこそ本当に大切ですよね。
熊平:と、思いますね。
植山:そうですよね。日本社会でもやはり世代間のいろんな価値観があって、違いも大きくあるのかなとも思うんですけども。世代とか男女差とかもそれぞれありますが。そういった中でやはり若手社員が会社に馴染めなくて早く辞めちゃうとか。そういうテーマを今、課題として抱えてる会社も多いんじゃないかなと思うんです。
そこでやはり、価値観の違いをきちんとみんなで受け入れる。なのでリフレクション、ダイアローグを会社の中で広めていくのは、本当にすごく意義深いことなんだろうなと思っていますね。
熊平:そう思います。
「リフレクションやダイアローグは時間がかかる」という思い込み
植山:あと、私が聞いてみたいなと思ったこと。またちょっと話が最初の1番に(戻りますが)。やはり会社の中で内省の共通認識がない人とか。
今、先進的ないろんな会社も増えてきて、そういった人事領域の中でもすごくこういう対話、リフレクションを取り入れようという組織も増えてきている。大企業は比較的ゆとりがあったりもして、そういう対話をしようとか、DEIや多様性をちゃんと受け入れようとかはあるかもしれないですけど。
一方で、例えばベンチャーとか中小企業とか、なかなか余裕が持てず人手不足で悩んでいる中小企業とかは、やはりトップの方に余裕がなかったり。
対話、ダイアローグ、リフレクションも大切であると認識している一方、余裕が持てないみたいな。そういった組織の中で(リフレクションを)どう広めていけばいいのかなというのが気になっています。
熊平:なるほどね。ただ、リフレクションとダイアローグは時間がかかるものだというメンタルモデルが、まず世の中にあると思うんですよ。だけど、上手にやれば時間はかからないと言いたい。あと、やはり今、浅く考えるのはダメなんだけど、深く早く考えることが求められているんですよね。
この訓練は誰にとっても大事なことで、深くじっくり考えている場合じゃないんですよね。やはり仮説検証のスピードが大事なので、深く早く考えて決めてやってみるという。行動に移して、またそのリフレクションを深く早くやっての繰り返しのスピードが勝負を決めるから。
なので、もし「時間がかかる」と思っている中小企業の社長さんがいるとしたら、「いやいや、早くできるんです」「早くやりましょう!」と言いたい。
植山:確かに。
中小企業の経営者に伝えたいこと
熊平:でも、浅く早くやっていると、永遠にそのゲームから抜け出せないから、それはあまりおすすめじゃない。結局やはり深く早くしないと、価値を生めないから。というところは訴えたいかなと思います。
植山:ありがとうございます。私も今のメッセージを受けて、すごく勇気づけられました。やはりパーパスも、まさにちょっと近いかなと思っていて。企業もパーパス経営とか、個人のパーパスと企業のパーパスを丁寧に見て対話してとか、先進的な企業さんも増えてきているんですが。
中小企業からは「そんなことを言ってられないよ」という声を聞いたんです。でも、今の時代、深く早く考える中で、社員さんの創造性と可能性を本当に引き出すには、やはりこういったリフレクションを取り入れることが、特に中小企業さんも必要だということですね。
熊平:必要。そうしないと、やはり付加価値が上がらないから、けっこう辛いゲームを走り続けなきゃいけなくなってしまう。
植山:ありがとうございます。勇気づけられました。