ダイバーシティサミット-session1-アメリカのDEI転換を受け日本企業でのDEI推進について対談(全5記事)
部下の自己管理能力を伸ばす目標設定術 “逐一報告”に頼らないマネジメントの方法 [2/2]
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マイクロマネジメントの閉塞感
浜口:裁量労働かつテレワークとなると、例えば課長層とかマネジメント層にとっては、配下のメンバーが何をやっているかわからない状況が生まれるんです。
そうすると、たいていはマイクロマネジメントに寄って、「何時始業で何時に終わるか」「今日は何をやるかとかを全部報告をしろ」となっていくんです。そうすると制度の自由度に比べて、配下のメンバーの裁量がなくなっていくという課題がありました。
あと、見えないから評価も難しいみたいなこともあるんですけど、やはりこれは、最初に約束することが重要かなと思っていて。
例えば年度頭に上長と部下の方で面談をして、目標設定をするんです。それが達成すべきところだし、コミットするところかなと思っていて。
その目標設定をきちんとすることで評価の納得感も出ますし、それが達成できればマイクロマネジメントをしなくても、プロセスを配下のメンバーに任せられるようになるので。
一番重要だなと思っているのは、大きな目標設定と、個別のプロセスの目標があると思うので、そこをお互いちゃんと納得してコミットするところですかね。
河北:そうですよね。この制度って、一人ひとりが自己管理できなきゃ難しいですよね。ある意味マネージャーもセットというか、きちんとできなきゃいけない。それができたら一気にうまくいくんですよね。
浜口:そうですね。
自由を与えつつ、相談のハードルは下げる
河北:でも、どういう工夫をしたらいいんでしょう? 今の目標設定、個別のプロセス、言葉はとても理解できるんですけども、どのあたりを上手にやっているのか。工夫点を教えてもらうことはできるでしょうか?
自分の裁量を活かしながら結果も作らせて、時間ではなく成果で判断することが理想なわけですけれども、難しいところってありますよね。ここをクリアするマネジメントの腕が必要だと思うんですよ。
浜口:そうですね。必要ですね。
河北:そういう意味では浜口さんが自然にやっていることかもしれないけれども、イケてないマイクロマネジメントをしてしまい、うまくできない方とご自分はどう違うのかをちょっと知りたいところです。
浜口:それで言うと、目標設定にコミットしつつも、やはり部下が悩む場面が絶対にあるので、そこのハードルを下げるというのはあるかなと思います。
河北:なるほど。
浜口:成果だと言いながらみんなが常に自律してアウトプットしたり売上を上げたりできるわけではないので、好きにやりたい人はやればいいし、相談したい人は相談できるっていう、そっちの判断にも自由度を持たせるのは1つあるかなと思いますね。
個人の価値観に寄り添って生産性を引き上げる
河北:なるほど。ちゃんと手綱を握っているけどもけっこう自由度があるから相談もでき、解決するための支援もいただけて、という。これ、時間もけっこう使っているんですか?
浜口:そうです。マネージャーの仕事としてはけっこうメインというか、ならざるを得ないですね。1日の半分以上は会議とか、それぞれのメンバーが困っていることの相談だったりとか、そんな毎日です。
河北:成果は出ますか? 最初の時から洗練されてきていますけれども、やはりこれをやると、監視されるからではなくて主体的に動き、アイデアが挙がったりとかスピードが上がったりとか。悩みをモヤモヤさせたまま抱えないでやり取りして、ちゃんと目標達成につながっているなっていう実感はどうですか?
浜口:それこそテレワークも裁量労働も個人が選べるので、働く自由度が上がっています。やはりそれぞれの価値観とか働き方に寄り添っているところが、結果的に生産性を上げているなと思っています。
実は、私はかなり出社しているんですけど、それはみんなとコミュニケーションを取ったりとか、単純に家でやるよりはかどるっていうところもあって。
逆にテレワークのほうが会社の電話が鳴ったりとかしないのではかどるというメンバーも多いので、それぞれの事情や価値観に寄り添うことが一番のポイントかなっていう気はしますね。
河北:だから、意味のないことをしないというかね。何の意味があって出社するのかとか、ただ1on1をすればいいのではなくて、ちゃんとその方の悩みを解決するために、という意味では本当の実力が要りますよね。基本的にご自分はすでに使ってやっている感じですかね?
浜口:そうですね。本当にこの制度に助けられたこの2〜3年ですね。
管理職の姿勢が助け合う風土を作る
河北:なるほど。しかも今、営業部長でありながら開発部長なのでさらに大変ですけれども。こういう自由度を使って成果を上げながらちゃんと両立していくところにおいては、上手に時間を使う、周りに助けてもらう、自分の情報もみなさんにお伝えしてわかってもらう工夫って必要ですか?
浜口:そうですね。オープンにすることはすごく重要だと思います。自分の事情だけを主張するのではなくて、みなさん、いろいろな生活の事情も抱えているので。
昔の地域社会で「隣のおばちゃんが子どもを預かってくれた」じゃないですけど、オープンにすることで助け合えるところってあると思うので、私も心掛けていますし、自分が積極的にオープンにすることで配下のメンバーがオープンにしやすいっていう環境を作っているつもりです。
河北:ちなみに失敗したことはないんですか? なんか、「あぁ、やっちゃった」「やはりこのあたりを下手くそにやっちゃうとうまくいかないな」みたいな。ネガティブなことを言うようですが、何かありますか?
浜口:それこそ、コロナの始まりの頃ってフルテレワークになって、ほとんどの担当で半年くらい続いたんです。やはりチャットとかメールだけではなくて、オフィスにいれば「ちょっとすみません」って話しかけられるような軽い話ってあるじゃないですか?
河北:はい。
浜口:チャットするほどではないけど、でもそこがボトルネックになっている可能性もあるので解消したいなと思って、いつでも話しかけられるように、私、「『Zoom』をオープンにしておくのでいつでも話しかけてください」って言ったんですけど、結局あれはやられるほうからすると監視しているみたいになって嫌だったんだろうなと思って、早々にやめました(笑)。
河北:なるほど(笑)。でも監視されているとやはり違います? 萎縮したりとか信頼されていない感じって、伝わるんですか?
浜口:「自分がされたら嫌だな」と思ったのが一番大きくて、配下のメンバーから特段言われたことはなかったですけど、やはり居心地が悪いというか、やはり信頼されていない感じが嫌ですよね。 続きを読むには会員登録
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