アイデンティティー・パートナーズ株式会社主催イベント「ダイバーシティサミット-session1」より、株式会社イトーキの女性限定コミュニティ「SPLi(サプリ)」の取り組みを紹介します。女性社員が主体となって立ち上げたコミュニティが、どのように組織の課題解決につながっているのか。多様性施策を推進する現場の実例として、その具体的な活動内容と成果を報告します。
多様性推進に取り組む登壇者とセッション
河北隆子氏(以下、河北):今、「DE&I、本当に必要ですか?」というテーマがあらためて出てまいりました。ご覧のように浜口さん、一階さん、その前に頼木さんにお話しいただいて私、というかたちになります。

私、アイデンティティー・パートナーズ株式会社、オーセンティックリーダーズ・アカデミアというビジネススクールの学長を務めております、河北隆子と申します。どうぞ名前と顔を覚えていただければうれしいです。
日本の喫緊の社会課題解決から入りまして、働き方改革、ダイバーシティ推進、女性のリーダー育成から始めまして、2015年1月に日本女子経営大学院というビジネススクールを立ち上げました。
立ち上げから10年経ちまして、アップデートしていく、イノベーティブに組織を動かしたいというニーズがあり、立ち上げ当初から名称を変更して、今はオーセンティックリーダーズ・アカデミアとさせていただいております。
参加者の男性が25パーセント、女性が75パーセント。社会の比率と逆転する、とてもユニークなスクールになっています。いろんな業種、業界の方がお越しになって切磋琢磨して、化学反応を起こしていけるようなイノベーティブな場をご提供いたしております。名前を覚えてくださいませ。今日はモデレーターとして活動させていただきます。よろしくお願いいたします。
というようなことで、早口でお話をしましたが、私だけではなく一階さん、そして浜口さんのパートに入りたいと思います。
DEIの推進には“現場のメリット”が重要
河北:プロフィールと施策の話も併せて進めていきたいと思っているんですけれども、まずは、「今のアンケートの分析、そして提言のどんなことが印象に残った?」みたいな話を少しうかがってみたいと思います。まずは、そうですね、一階さん、お願いできますか?
一階裕美子氏(以下、一階):そうですね、いろんなことは思ったんですけど、総括されていた中で「どんなことが必要なのか」っていうところで、トップや現場のリーダーのコミットメントのお話が出ていて。おそらく当社で実践していることが今日、リアルな事例としてご紹介できるんじゃないかなと思いながらお話を聞いていました。
河北:ありがとうございます。私も思ったとおりにつながるなと思いました。浜口さんはどうでしたか? 納得度、ありましたか?
浜口麻里氏(以下、浜口):そうですね。やはり、将来的な労働人口の減少は日本の最大の課題の1つなので、とても納得感がありました。
考察の中で日常的な業務に落とすことが重要だというお話もあったと思うんですが、私はずっと現場にいるのですごく実感していて、現場で働く人たちがメリットを体感しないとどうしても浸透しないし、長続きしないところがあるので。
やはり1つの施策として、対外的に発信するツールみたいに見えがちなので、そうではなく、企業がサステナブルに続くために必要なことなんだなと思いながら、お聞きしていました。
河北:あらためて日常的なことに落とし込まないと本物になりませんもんね。ありがとうございます。ということで、今のアンケート、分析と併せて一言お話しいただきました。
今日はこの2名と私、モデレーターで話し合っていくわけなんですけれども、今、頭出しをしましたが、この後は「DE&I、本当に必要ですか?」を、施策や効果を深掘りしていきたいと思います。
時間は短いながらですけど、「それってどう思う?」といったところを総括させていただきたいと思っています。それに対してメッセージなり、なぜそう思うのかっていう回答の理由などもお二人にうかがうことができたらおもしろいかなと思っております。
イトーキの女性活躍推進のコミュニティ事例
河北:そんな流れで進めていきますが、さっそくまずは一階さんから、ご本人からのパワーポイントもとっても素敵なので、それと併せてご紹介させていただければと思います。
自己紹介およびイトーキさんの場合は、もともと事業企画の人事の方でもいらっしゃり、そしてダイバーシティのプロジェクトのリーダーでもあり、今、第1支店の支店長さまでいらっしゃいます。そういったさまざまなご経歴とお役割の中から、お話をうかがえると思います。
では、一階さん、ご準備よろしいでしょうか?
一階:ご紹介ありがとうございます。現在は営業として働いております。もともと入社時から営業だったんですけれども、2年前まで3年間ほど人事におりまして、その時、ダイバーシティ関係を担当させていただいていたりとか、この後ご紹介する女性活躍推進のコミュニティのリーダーは、営業に戻った今もやらせていただいています。
ちょっと会社のお話とコミュニティの話と、リアルなマネジメントとして、みたいなところをかいつまんでご紹介させていただきたいなと思っております。
当社は今、2024年から中計(中期経営計画)が走っておりまして、今2025年なので2年目が始まったところです。その中の「7Flags」の1つの柱として人的資本経営を掲げております。これは対外的にも公表している資料なので、ご興味があれば見ていただけたらなと思います。
女性活躍からエンゲージメント向上を目指す
一階:もちろん目的先行ではなくて、女性活躍をバロメーターとして、当社の人材一人ひとりがしっかりパフォーマンスを発揮できていれば、結果的にエンゲージメントも上がるし、女性管理職比率もこうなるよねという、大きなKPIとして掲げさせていただいています。
ちなみに現在、こちらのエンゲージメントの指数は2024年時点で82.5パーセント。もうあと一歩というところと、女性管理職比率も4月時点で12.6パーセントで、まだまだどうなるかわからない部分はありますけれど、いい状態で進んでいます。
もちろん女性活躍だけではなく、多様性を活かしていくところで、グローバル人材であったりとか一人ひとりの専門性の強化であったりとかもしっかり組み込みながら、会社全体でいろんな取り組みをやらせていただいています。
今日はその中でも、「アクションの中のコミュニティの醸成」のお話を少しさせていただきます。
女性限定コミュニティを発足
一階:私は、2022年に「SPLi(サプリ)」という、今の時点では女性だけが入れるコミュニティを発足しました。2022年から当社トップに就任した湊(宏司)が、当社に入ってきて一番初めにやろうと掲げたのが、女性活躍推進のコミュニティでした。ここに非常に強いコミットメントがあって、今もそれは継続しています。
私も含めて5名のリーダーメンバーがいて、いずれも全員、人事以外のメンバー。私は2年前まで人事におりましたが、現場でマネジメントをリアルにやっているメンバーがリーダーシップを取っています。
リーダーシップを開発するためのコミュニティなんですけれども、必ずしも組織の長になることだけを意味しているのではなくて。
今の時点では、女性は社会の流れや構造上の問題で、ライフだったりキャリアを主体的に描きづらい状態であるので、まず「自分自身の仕事観を主体的に持つこと」を大事なリーダーシップの要素として掲げているコミュニティです。
これに強制的に参加させているのではなくて、女性向けに、自ら参加したいメンバーを募っています。現在、2025年から4年目に差しかかるんですけれども、2022年に始めた時は67名のメンバーが手を挙げてくれました。この時でもかなり多かったんですが、初めは「気づき」のフェーズということで、さまざまな取り組みをしてきました。