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井手直行さんとザッソウ(全6記事)

急成長した企業が失う“ベンチャー感” 優秀な人材が集まってもイノベーションが生まれないジレンマ

ソニックガーデンの代表・倉貫義人氏と仲山考材の仲山進也氏が、毎月さまざまなゲストを迎えて「雑な相談」をするポッドキャスト『ザッソウラジオ』。今回はヤッホーブルーイング 代表取締役社長の井手直行氏がゲスト出演。仲山氏がヤッホーブルーイングの「エア社員」という話から、両氏の出会いや、現在ヤッホーブルーイングが直面している課題を語ります。

仲山氏はヤッホーブルーイングの「エア社員1号」


倉貫義人氏(以下、倉貫):倉貫です。

仲山進也氏(以下、仲山):仲山です。

倉貫:『ザッソウラジオ』は倉貫と「がくちょ」こと仲山さんで、僕たちの知り合いをゲストにお呼びして「雑な相談」のザッソウをしながら、ゆるくおしゃべりしていくポッドキャストです。

4月のゲストは株式会社ヤッホーブルーイングの代表取締役社長、井手直行さんです。よろしくお願いします。

井手直行氏(以下、井手):はい、よろしくお願いします。

倉貫:「てんちょ」というニックネームで呼ばせていただきますが、初めにてんちょこと井手さんをご紹介させていただきます。井手さんは1997年に、創業したばかりのヤッホーブルーイングに営業として入社されました。

そこから2004年にはヤッホーブルーイングの楽天市場店の店長として、ネット通販事業を担当されます。そしてヤッホーブルーイングの代名詞であるファンとの絆を深め、V字回復に貢献されました。

その後、2008年から代表取締役社長を務めていらっしゃいます。がくちょともつながりが深く、実は、なんとがくちょはヤッホーブルーイングのエア社員。

仲山:エア社員1号。

倉貫:聞いたことない。あんまり説明しなくても大丈夫かなという話でしたが、社員だけど社員じゃないみたいな。エアギターの「エア」ですよね?

仲山:うーん、わからない。

倉貫:違うの?(笑)。

仲山:エアギターのエアかもしれない(笑)。

チームビルディングプログラムが出会いのきっかけ

倉貫:でもお二人は、前からお知り合いだったんですよね。いつからなんですか? 

仲山:僕がやっている「楽天大学チームビルディングプログラム」にてんちょが参加してくれて、それが社長になったあとの2009年だから、そこからのお付き合いですね。

倉貫:TBP(仲山進也氏と長尾彰氏によるチームビルディングプログラム)の、いわゆる外でやっているやつじゃなくて。

仲山:まだ楽天の中で店舗さん向けにやっていたやつの7期生です。

井手:すごい、よく覚えてる(笑)。そうなんです。その前から楽天市場のカンファレンスとかではがくちょが雲の上の存在で、仙人みたいに佇んでいて。

「よなよなエールの井手です」なんてごあいさつしたり、ちょっとお話ぐらいはしていたんですけど、ちゃんと絡んでいったのは2009年のチームビルディングプログラムからですね。

倉貫:じゃあ、もうだいぶ長いお付き合いですね。

井手:長いですね。エア社員になったのは2018年ぐらいからですよね? どうなんでしたっけ。

急成長した組織をチームビルディングで支える

仲山:エア社員になった経緯は、てんちょが2009年にTBPに参加をしてくれて、それで「社内への持ち帰り方がよくわからないから、そのまま見よう見まねでコピーしてやってみよう」って、年に1回5日間のプログラムをやり始め……。

倉貫:自分でやり始めたんですね。

井手:そうです。

仲山:自分でやり始めて9回やったあとに連絡がきて「次回いよいよ10周年になるんだけど、本物を呼ぶのはどうかな」って相談をいただいた。僕と相方の(長尾)彰を呼ぶのはどうかって。

それでちょっと考えたんですけど、10期目だけ僕らが行って、そのあとてんちょにまた戻るって、継続性があまりないし。

あと、10期の人が3ヶ月間一緒にやるから、てんちょとの距離感もだいぶ縮まるところにも意味がある。それを僕らがいきなり1回だけ行くのもな、と思って。

というか、人数が増えてきていて。それこそ2009年の時って20人ぐらいだったのが、今は二百数十人になってきていて。

これから人数が増えていくとしたら、てんちょが1人でずっとTBPのファシリテーションをやり続けるのも現実的じゃないから、「社内にそういうことをできる人を増やしていくプロジェクトはどうですか」みたいな話になって。

「それ、おもしろいかも」ということで関わり始める時に、エア社員という肩書きで……「エア社員って何?」って言われても困るんですけど。

(一同笑)

空気のような、必要不可欠の存在?

仲山:エア社員はもともと、本当の始まりは楽天OBでスターフェスティバルという会社を立ち上げたキッシー(岸田祐介)っていう人がいるんですけど、ある日Facebookで「人員拡大をしていくので大募集です」みたいな投稿をしていたんです。

「正社員、契約社員、アルバイト、エア社員まで、なんでも募集してます」みたいなことが書いてあって、エア社員って何だろうと思って「エア社員、興味あります」って送ってみたら「えっ? ちょっと考えてみます」って。

(一同笑)

それで、僕と彰がエア社員として、スタッフ向けにチームビルディングのプログラムをするような関わり方をしていたんですよ。「じゃあ、ヤッホーのエア社員で」って言って、今に至る。

倉貫:いやあ、すごい。

仲山:空気のような、いるのかいないのかよくわからない。

井手:「エア」ですからね(笑)。

仲山:でも、なくなったらなくなったで「あれ? なんか息苦しいんだけど」みたいな。

井手:ああ、なるほど。

仲山:「実は大事だったかもね」みたいな、そういう感じですか。

「ヤッホーの仕事が一番多いんだけど」

倉貫:じゃあもうお互いによく知った中で、という感じだった。

仲山:それが2018年の終わり頃です。

井手:ああ、2018年ですね。そこからがっつり入ってもらって、チームビルディングの研修だったり、ファシリ養成の研修だったり。僕はちゃんと数えきれていないんだけど、今はオンラインとオフラインと両方で、いろんなレベルに合わせた複数のプログラムにタッチしてもらっていて。

それで2024年かな、がくちょとか彰と個別に話している時に「ヤッホーの仕事が、1年の量的に一番多いんだけど」みたいなことを(笑)。

(一同笑)

仲山:稼働日数が一番多いです(笑)。

井手:「すいません……」みたいな(笑)。

仲山:やっていることのレベルが高い。

倉貫:長くやっていると、みんなだんだん練度が上がってくる。

仲山:そう。1.0、2.0……みたいな感じです。なので毎月、御代田っていう軽井沢の隣町にヤッホーの会社があるんですけど、だいたい月に1、2回、多い時は3回ぐらい通ったりしています。

井手:すいません(笑)。

倉貫:けっこうな密度でやっていますね。

ザッソウラジオでつながる出会い

仲山:倉貫さんとてんちょは?

倉貫:1、2回お会いしたぐらい。

井手:たぶんがくちょがICC(INDUSTRY CO-CREATION)で紹介してくれたんですよね。ちょっとお話をして「倉貫さんっていう方がいるんだ。社員がみんなオンラインでお仕事する、珍しい、でもすごく良い会社の代表なんだ」みたいな話を紹介してもらって。

それで「おぉー」と思って……っていうぐらいな感じなので、そんなに深くお話したことがないんです。

倉貫:なので今日はお話しできるのを楽しみに。

井手:こちらこそ(笑)。がくちょがいつも仲良くお話ししているのは知っているので、ということはきっと気が合うだろうなと勝手に思っているんですけど(笑)。

仲山:間違いないです。

倉貫:でも今日はザッソウラジオなので、僕はてんちょがご自身でチームビルディングをしていた話とか、ファンのみなさんとのコミュニティ作りみたいなところとかも聞きたい気もしますが、事前に楽屋でそこじゃないっていうのが。

仲山:講演のネタだからね(笑)。

倉貫:講演のネタではないところを話そうという話になっていましたが(笑)。

キーワードは「共創」と「ベンチャー」

仲山:さっそく「じゃあ雑な相談、何かありますか」みたいな話を控室でしていましたけど。ちょうど、ちょっと前にヤッホーの全社員集会があって、「ベンチャーマインド」がテーマだったんですよね。

なので「最近のホットアイテムなのでは?」みたいな話を楽屋でしていたところですが、そこから入っていきますか。

倉貫:いきますか?

仲山:じゃあてんちょにバトンをお渡しして。

倉貫:そうですね。その話でもいいですし別の話でもいいですが、今まであまりない、第1回から雑な相談がないか振ってみるというのが今回。

(一同笑)

井手:今、一番口から出ることが多い単語が「ベンチャーマインド」なんですよ。この11月の終わりぐらいからそうなっちゃったんですけど、なんでかというと、うちは11月が期末でして。

期末のちょい前、11月の後半のお休みの土曜日に、1日かけて全社員を集めた研修をやるんですよね。終わったあとはお疲れさま会をやるんですけど。

それで毎年、来年から中期にかけた戦略の大枠を私からみんなに話す時に、「来年はこういうコンセプトでいこう」っていう一言のキーワードを、今期は「共創ベンチャー」にしているんですよ。

パートナーさんと一緒にいろんなことを作り上げることが多くて、そういう意味でいくとがくちょも共創のパートナーです。共に良いチームを作って、世の中に還元していくお手伝いを一緒にやってもらっているんですけど、それが共創。

優秀な社員ばかりなのに“優しすぎて”物足りない

井手:ベンチャーっていうのが、コロナぐらいから人の採用も増やしたり、コロナ中はうちもほぼオンラインで仕事をしていたこともあって、文化浸透の面が少し弱いかなと思っていて。

みんな優秀でちゃんとしているがゆえに、ちょっと物足りなさを感じ始めていたんです。ちょっと失敗を恐れちゃったり、みんな優しいから、チームビルディングをやっていてもみんなの顔色を過剰に受け止めすぎている。

イノベーション的な芽もちょっと生まれにくくなっていることにジレンマを感じていたので、そこを1年かけてやっていく。実はその前の年も似たようなところはあったんですけど、2年続けてベンチャー絡みの共創ベンチャーということを言っていて。

まずはこの1年、私が直接みんなにいろいろ刺激を与えたり、「僕はこんなところがベンチャーマインドだと思う」みたいなことを伝えていく。

この1年そうやってみたいと伝えたところから、ことあるごとに「ベンチャーマインドとは」みたいなことを言っているので、ちょっとホットな話題なんです。

成長後に入社した社員は“ベンチャー感”がわからない

井手:それでがくちょに、ベンチャーマインド絡みで聞きたいザッソウなんですけど。楽天で前に三木谷(浩史)さんも「どこかのタイミングでベンチャーみたいなことをもう1回みんなに言いたい」と、いろいろやり出したみたいに聞いているんだけれども。

具体的に三木谷さんは「もっとベンチャー的にやってほしい」って言って、どういう行動をみんなに示していたり、やっていたのかなと。

今、僕もみんなに言葉だったり、いろんな会議に参加して「そこはベンチャーだったらこういう感じでいいよ」なんていうのを一緒に伴走している感じなんですけど、三木谷さんはどうだったのかなと思って。

仲山:ちょっと一言では表せないですけど、それこそたぶん10年以上前、15年ぐらい前なのかな。毎月標語が壁に貼られる時期があったんです。で、「Back to the Venture」って書いてあったんですよ。

朝会とかでもこの話をしたあとにポスターになっていくんですけど、個人的にはそれを見た時の、素朴な疑問というか感想が「『Back to the〜』って言われても」。

どベンチャーな時にいた僕からすると「ああいう感じね」っていうのはわかるんですけど、最近入ってきた人とか、会社規模が大きくなってから入ってきた人が「Back to the〜」って言われてもな、みたいに思ったことがあって。

倉貫:その時期いないな、みたいな。

仲山:そうそう。ピンとこないだろうなっていうのはすごく思ったんですよね(笑)。なのでまあ難しいなと。

三木谷さんの場合は本を何冊か出して、自分の考えとか言葉の定義とかも繰り返し書いてきているけど、本になるとそれはそれで全体のボリュームがありすぎるから、全員がそれを日常使いするのってハードルが高くなりますよね。

ポッドキャストはこちら
「井手直行さんとザッソウ第1回 てんちょとがくちょ(#164) 」

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