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ダメ上司は部下を管理する。優秀な上司が共通して行う真のマネジメント論(全3記事)

部下に仕事を振る時の「ダメ上司」の振る舞い 優秀な管理職との決定的な違い 

一代で東証プライム上場を成し遂げた木下勝寿氏の仕事術や、北の達人コーポレーションの社員の働き方などを通して、「リアルな北の達人コーポレーション」をお届けする「北の達人チャンネル」。本記事では、仕事の割り振り方でわかる、優秀な管理職の共通点についてお伝えします。

「良い上司とダメな上司の決定的な違い」を解説

——木下社長、質問が来ています! 「今の上司があまりにもダメで、将来的に自分が管理職になった時には、こんな上司にはなりたくないと思うのですが、悪い上司を反面教師にするだけだと、どうしても限界がある気がしています。実際、“良い上司”って何なのか、木下社長の考えが知りたいです」。

木下勝寿氏(以下、木下):そうですね。ダメな上司を反面教師にするだけだと、理想のリーダーにはなれないと思います。今日は、「良い上司とダメな上司の決定的な違い」を説明します。

また、これまでにリーダーシップを発揮するような経験がなかった人でも、結果を出せる良い上司になるための方法もお話ししたいと思います。他にも、仕事がはかどるような動画を出していますので、今日もあなたの学びになったらうれしいです。今日の動画が良かったら、他の動画もぜひ見てみてください。

また、ただ聞いているだけの場合よりも、アウトプットを行ったほうが、記憶への定着率が向上することが科学的にも証明されていますので、動画を見て気づきがあった時は、ぜひコメント欄に書いてアウトプットしてみてください。

上司ではなく「単なる先輩」になってしまっている人

木下:ではまず、「悪い管理職ってどういう管理職?」というのから、反面教師になるようなお話をしたいと思うんですけども。「上司=管理職」と考えた場合に、管理職の仕事というのは、そもそも「人のマネジメント」ではなくて、「仕事のマネジメント」なんですね。

仕事のマネジメントをしていく中で、その中の一部として、人のマネジメントが関わってきます。なので、どれだけ人のマネジメントを一生懸命していても、仕事のマネジメントができていない上司や管理職は、部下からも、もしくはその上司の上司からも嫌われてしまいます。

部下からすると、この人の言うことに従っていても成果が出ないということは、自分自身も会社から評価されないと。そうなってしまうと、どれだけ良い人だったとしても、上司としてはなかなかついていきたいとは思えなくなってしまいますよね。

悪い管理職の典型例としてどういうパターンがあるかというと、まず、上司ではなくて、「単なる先輩」になっている方がけっこう多いんですね。ちゃんとした管理職教育を受けていない人は、そこの違いがわかっていなくて、単なる先輩になっていることがけっこう多いです。

先輩レベルのマネジメント

木下:管理職というのは、自分の管理するチームの仕事の状況を、まず把握しなければいけません。この把握の仕方が間違っている場合があります。チームの状況を把握する方法には、実は3段階のレベルがあります。

まずレベル1ですね。手段としては、何か問題があった時にチームのメンバーから報告させるということです。このやり方では、問題を発見する人は部下本人ですよね。

このやり方って実は課題があって、部下がそもそも問題に気づかなかったとしたら、チームの仕事の流れの中にある問題を発見できない。もしくは、部下が問題に気づいたとしても、報告をしなかった場合には、問題が発見できないということです。

なので、「何か問題があったら報告してくださいね」というレベルの報告のやり方だと、まったく問題解決しないんですね。このやり方を、「先輩レベルのマネジメント」と言います。

職場のリーダーレベルのマネジメント

木下:次の段階、レベル2の「何か問題がないか常に聞く」ですね。


このやり方も、問題を発見する人は、やはり部下本人なんです。もちろん先ほどと同じように、部下が問題に気づけなかった場合は問題が発見できません。もしくは、部下が問題に気づいたんだけども、強がりなタイプの場合、「問題がないか?」と聞かれても、「大丈夫です。問題ありません」と答えたりします。

こうなってくると、やはりチームの中の仕事は、問題が起きたままになってしまいます。これを「職場のリーダーレベルのマネジメント」と言います。

問題が起きているかどうか、管理職自身が発見する仕組みを作る

木下:そして、レベル3が本当の管理職のレベルですね。これは、詳細だったり進捗状況を、常に管理職自身が把握して、問題を発見します。この場合、問題を発見する人は上司自身なんですね。

そのためには、まず問題が発見できる仕組みを作ることが大事になります。各自やっている仕事状況を、一覧表だったり、何かのツールで、できれば数字で進捗状況がわかる仕組みを作る。そしてその数字の表を見ることによって、「ここの状況がおかしくなっていないか」と気づけるようにしておく。

一方で数字化しにくい仕事もたくさんあると思うんですけども、一人ひとりの部下の癖を見ることなんですね。多くの人は、何らかの癖を持っています。「こういうのはすごく得意なんだけども、ここまで行った後に、こういうミスしてしまう」とか、みんな何か不得意な部分を持っていますので。

上司が「この人については、この仕事の後の、ここの部分をちゃんと見ておこう」とか、「ここについてはこう見ていこう」と、常に上司自身が問題を発見するスタンスでやる。これが管理職レベルの問題発見方法になります。

もし、レベル1・2のやり方で、問題が的確に発見できるような場合は、その部下自身がとても優秀な状態なんですね。なので、その部下にとっては、あなたという上司は、実はあまり必要ないんですよ。なので、部下が自分の30~60パーセントくらいの能力であると想定して接するのが、一般的な管理スタイルです。

「問題があったら上げてきてくれよ」というかたちでマネジメントをしていて、うまく回っていますという状態は、あなたは実は管理職として、あまり機能していないということなんですね。

自分自身で問題が発見できないメンバーを抱えて、ちゃんとした成果を出していくのが管理職の仕事なので。必ず問題が起きているかどうかを、管理職自身が発見する仕組みにしてください。

「振られた業務の責任は、振られた側にある」は間違い

木下:そして、仕事を割り振る場合も、先輩レベルのやり方と、管理職的なやり方は変わってきます。例えば、部下の仕事を割り振る場合は、間違った管理職の人は、業務を分担していって、「振られた業務の責任は、振られた側にある」と思っています。これだと、ただの先輩なんですね。

正しい管理職というのは、まずは自分のチームの仕事は、上司が責任を持って「自分の仕事なんだ」という認識を持ちます。その上で、部下にアシストしてもらうというスタンスですね。

このアシストの範囲が、部下の能力によって、例えば自分の部署としては10のレベルがあるんだけども、部下のスキルがそんなに高くない場合は、1だけアシスタントとしてがんばってもらう場合もあれば、部下の能力がすごく高い場合は、10のうち9までやってもらう。最終的には全部管理職が見るようにして、責任を負う必要があります。

良い管理職は、いつでも自分が代わりにできる準備をしている

木下:ここからは、「良い管理職ってどういうやり方をしているか」というお話をしたいと思います。良い管理職というのは、「いつでも自分が代わりにできる準備をしている」ということですね。

例えば、20の仕事の量があります。あなたのチームでやらないといけません。「これを1週間以内にやりましょう」となった時に、まずこの図のように、管理職自身が8を請け負います。他の部下のA・B・Cの方が全部、4ずつを抱えたと考えてください。そして、この仕事が割り振られて毎日が進んでいきます。

それぞれの進捗状況をチェックしていくと、どうも部下Bが4の責任を請け負っているのに、2しかできない状態だったとします。これが先ほどのレベル1とかレベル2の、自己申告によるチェックの方法だと、締切当日になって、「Bが2しかできてなかったので、部署としては18しかできなかった」みたいなことになってしまいます。

この場合、責任は部下Bにあるのではなくて、管理職の管理不行き届きということになるんですね。なので、レベル3のチェック、管理職自身が、今状況がどうなっているかを見るようにして、問題を早期発見するようにしてください。

そして、部下Bさんが「4のうち2しかできないな」となってくると、この浮いた2を部下AさんとCさんに持ってもらって、もともと4だったのを5にしてもらう。もしくは、部下AもCも手一杯で仕事量を増やせない場合は、自分自身が10を持つとか割り振ります。良い管理職というのは、トラブルがあった時に、すぐに自分が代わりに仕事をする準備をしているということなんですね。

管理職は1つの仕事なので、まったく違う部署の管理職になる場合もまれにあります。「制作部門の管理職だった人が、営業部門の管理職になりました」となった時に、その段階ではマネジメントはできるけども、プレイヤーの仕事はぜんぜんできないみたいなことが、まれにあります。

この時に管理職の人が、「僕はプレイヤーの仕事はできないから」と言っていたら絶対にダメで、もちろんメンバーにも助けてもらいながら、何かあった時に自分が代わりにできる状態になるということですね。絶対にこれはやってほしいなと思います。

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