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『ノーノーマル時代を生き抜く リーダーシップの教科書』出版記念イベント(全4記事)

「若い時に我慢しないと後で困る」がピンとこない若手社員 理想のリーダー像の変化と働きがいのある職場作りのヒント [1/2]

『ノーノーマル時代を生き抜く リーダーシップの教科書』の出版を記念して開催された本イベント。著者で、株式会社HRファーブラ 代表/組織人事コンサルタント&ファシリテータ/研修講師の山本紳也氏が登壇しました。本記事では、理想のリーダー像の変化と働きがいのある職場作りのヒントをお伝えします。

最近の人事はがんばりすぎている

山本紳也氏:「この本を書こうと思った背景」とここに書いていますけれども。『リーダーシップの教科書』というタイトルなんですが、私は組織人事のコンサルタントをずっとやってきているので、「最近、人事ががんばりすぎている。自分じゃ責任を負えないところまで手を出しすぎていないか」とすごく思うんですよ。

左側のインフラ整備の時は良かったんですよ。でも今はもう、ジョブ型だ何だって左側の議論もありますけれども、「モチベーションとかエンゲージメントとかウェルビーイングって何よ?」みたいな話になってきている。

実はそれだけじゃなくて、介護の問題とかメンタルの問題とか。これは個の問題でしょう? もちろんルールは決めなくちゃいけないしインフラ整備は人事の仕事なんだけれども、それを予防するのも対策するのも絶対現場なんですよね。人事ができないことまでやろうとしていないかというのをすごく感じるようになってきた。

だから現場でそれをやれる人たちをどうやって育てていくかが、人事のすごく大きな役割になってきている。そこの線引きというよりも、この連携みたいなものがすごく大事になってきているんじゃないのかなと思う。そんなことを思いながら(この本を)書いていたところは、すごくあります。

だから人事の本じゃないですよ。確かに人事の本じゃないんだけれども、入り口としては「人事の仕事って何だっけ?」と考えている中でこういうことを思うようになってきた。

「働きがいのある職場」は現場でしかつくれない

じゃあ、「ノーノーマル時代に求められる理想の職場って何なの?」。別に珍しいことは書いていません。やらされるのではなくて当事者意識を持ってポジティブな議論が絶えず、自ら働きたくなる職場。

これは前から私も言っているし、いろんな人も言っていると思うんですけど、働き方改革というのは、安倍政権の時に、電通さんの(過労自殺の)事件がきっかけになっていろいろあった。やはりこの動きは良かったし、大事なことをやってきたと思うんですけれども。

でも法律はもちろんそうだし、実は人事制度とか就業規則でもやれることは、働きやすい職場作りなんですよね。働きがいのある職場作りは、やはり現場でしかできないと思うんですよ。

モチベーション理論で言えば衛生要因というやつですよね。不満を持っている人をどう満足のいくレベルに引っ張り上げるかは人事の仕事だけれども、ある程度のレベルにいる人を、「めちゃくちゃやりがいがあるわ。もうガンガン仕事したくてたまりません」というところに持っていくのは、絶対に人事の仕事ではなく現場のリーダーの仕事なんですよ。

働き方改革で置き去りになってしまった「働きがい」

働き方改革と言いながら、働きがいのほうがちょっと置き去りになっちゃったのはすごくある。だからもちろん、ハラスメントをやっちゃダメとか、それも大事なんですけれども。

そっちよりも、どうやったら楽しいか、どうやったらやりがいがあるかみたいなところを現場が考えなくちゃいけないのに、人事からの「あれやっちゃダメ、これやっちゃダメ」みたいなことに引っ張られているところがけっこうあるかなとは思います。

すみません、人事の方々はやることがいっぱいで大変で、もう目の前のことで手一杯なのはわかっているし、言うのは簡単だよということなんですが。

話が脱線しますけど、前向きな仕事と後ろ向きな仕事は、もっと分けなきゃダメだと思う。小さい会社でそんなことはできないんですけど。

だって、懲罰規程を書いて、懲戒をどうするかという委員会も進行している人がウェルビーイングを語れるかという話じゃないですか。組織としてはどっちも重要なんだけど、それを両方やれというのは酷だよというのは、すごく思うところはあります。

現場のリーダーの役割

キレイに言うとこんな感じなんですけど、やはり働きがいがある職場のインフラ整備という、こっちはリーダーの役割ですよと思いますね。

これも今言ったような話。求められる社員といって、社員に「こうなれ!」とか言ったってダメなんですよ。やはりこうなりたいと思う場をどうやって作っていくかなのであって。

やはりポジティブで当事者意識を持ってとか。この真ん中は本当に忙しい中で大変だと思うんですけども、ウェルビーイングやエンゲージメントの話をしている時に、人事制度やルールの話だけしていたって変わらないですよね。そこじゃないですよね。

やはり「みんな何を求めているんだっけ?」とか「みんなはどういう場、どういう働き方を求めているんだっけ?」というところから入らないと。「どういう会議をしましょう」とか「どういう休みの与え方をしましょう」とかじゃないと思うんですよね。

心理的安全性の高い職場をつくるサイクル

下は流れがちょっと違いますけども。あんまり言っていなかったですが、ダイバーシティというか多様性は絶対に大事だと思います。社員もお客さんもこれだけ多様になっていきている世の中では、やはりそこを議論できる体制は、多様な人が中にいないと無理なので。

ここはもうさっき話したからいいかなと思いますが、これをとにかくアジャイルなビジネスサイクルでガンガン回していくのがリーダーの役割です。

ここからこの話(10コンピテンシー)をしていきますけれども、そんな中でやはり好奇心がないと情報を取りにはいかないですし、いろんなものに興味を持たなくちゃいけない。次のページから話すことをここでしゃべっちゃうとアレなんですけど。

でもそうすると、いろいろ自分と違うものを知りたいと思うようになるはずなんですよね。おじさんも謙虚になって、「教えて」と若者に言えるようになるはずなんですよね。それを教えてほしいからちゃんと傾聴しますよね。正直に言って、この1、2、3、4まで来ればもう御の字なんですよ。そうするとたぶん、心理的に安全な場はかなりできてくるはずです。

リーダーが「俺についてこい!」と引っ張る時代は終わった

あとはちょっと違う視点で、倫理観と公平性みたいなものがやはりすごく求められる。ここにいるみなさんは、もう言わなくてもわかっていることかもしれませんけれども、やはり私が若かった時代と今とで倫理観はだいぶ違う。そこで昔の昭和を引きずっていると絶対マズイよねと。

いろんな不祥事が出ているのを見ればわかると思うんですけども。やはり今の50代、60代の中には、価値観、倫理観が今の時代とズレている人たちがいますから。

過去の実績ではなくて、人についていくんだから、リーダーはどんな倫理観、どんな価値観を持ってどういうビジョンを持ってやっているのかが見えなくちゃいけない。だから、この透明性というのは必要。で、世の中の流れを考えると変化にちゃんと適応する。俊敏性というのは、早く行動するという意味で使っています。

朝令暮改、大歓迎。いや、でも下はたまったもんじゃないよね。それでも一緒に働きたい上司ってどんな人? といったら、やることは変わるけれども、「何を達成するために」というビジョンがブレていない人だと思うんですね。だからこの好奇心とビジョンが軸だと思っています。入り口、出口と言っていいのかどうかわからないけど。

今まで私が散々話してきていることですし、今は「俺について来い!」と言う人はあんまりいないかもしれないですけどね。要は、言えたら大したものなんですよ。今は上がみんな悩んでいますから。

やはり「笑顔で、前向きに、真剣に、議論し」、さっき言ったこの1、2、3、4のところができれば、これがかなりできるようになってくる。そうするとそこでやはり新しいアイデアが出てくる。

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