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『ノーノーマル時代を生き抜く リーダーシップの教科書』出版記念イベント(全4記事)

過去の成功事例や実績に対する若手の本音 上意下達が通用しない時代のリーダーシップ

『ノーノーマル時代を生き抜く リーダーシップの教科書』の出版を記念して開催された本イベント。著者で、株式会社HRファーブラ 代表/組織人事コンサルタント&ファシリテータ/研修講師の山本紳也氏が登壇しました。本記事では、ノーノーマル時代の定義やリーダーが悩みやすいポイントについてお伝えします。

『ノーノーマル時代を生き抜く リーダーシップの教科書』著者が登壇

司会者:ここからHRファーブラ代表の山本紳也さんに、じっくりお話をおうかがいしていきたいなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

山本紳也氏(以下、山本):はい、山本と申します。よろしくお願いします。もう最初から(会場では)笑いも起こっているし、誰と言わなくてもすっと誰かが順番に発表されるし、そこでまた笑いも起こって。

今見ていてやはり思ったのは、要は「オフィスで常にこうなってりゃいいんじゃないの?」ということ。それができている会社の方もたぶんいらっしゃると思うんですけれども、「なんで会社だとできないの?」っていう。

だから、単純にそういう話かなと。でも「単純に」と言ったけど、これがなかなかできないからみんな苦労しているんだと思うんです。そんなことをモヤモヤ思いながら(この本を)書きました。

私の自己紹介をすると、こんな経歴なんですけども。「こんな経歴」と言いつつ、私もそこそこベテランで、もう30年プラスになっちゃいましたけど、組織人事系のコンサルをやっています。

実は、その前のソフトウェア屋さんがキャリアのスタートです。ここの話をし出すと長いので、後々でいいと思うんですが。30年ぐらい組織人事のコンサルをやっています。

PwCに長いこといたので、前半はやはり成果主義みたいな時代から始まって制度系の話をしています。その後はけっこうM&A、日本企業と外資系企業の買ったり買われたりみたいなものの組織人事系のお手伝いをすることが多かったかなと。

11年前にPwCを辞めて独立したんですけども。PwCの後半と独立してからは、「人事コンサルタント」という言い方をするのが僕はちょっと違うなという感じはあって、やはりどちらかというと組織開発系というか。

一人ひとりのマインドセットが変わっていく中で、やはり働きやすくて働きがいもあって、結果として生産性が高まるような組織をみんな目指していくんだよねと。「そうするにはどうしていけばいいの?」という意識でやっています。

過去の常識が通用しない…管理職のジレンマ

山本:もっとわかりやすく言うと、おじさん相手の仕事が多いんですね。大概、私よりは若いおじさんなんですけど。一生懸命、「がんばろうよ!」と言っているんですけど、がんばる気がないんだったら、もう退出していただくか、お願いだから若者の邪魔だけはしないで、と。

そういうことは言わないですけど、やはりここ何年かずっと仕事をやっていて、これが僕の頭の中にあります。もう正直10年同じ会社のお仕事をお手伝いしていたりするんですね。

じゃあ、僕が何か変えられているかというと、やはりなかなか難しいんですよね。でも変わってきているんです。何かというと、やはり世代が変わってきているんですよね。ハラスメントみたいなものを見れば、もうおわかりだと思うんですけれども。

ただ、その中でよく言われていることですが、上から言われて育った、ハラスメントという言葉もない時代から我慢してがんばってきた人たちが今マネージャー、リーダーになっている。「それじゃダメだというのはわかっているんだけど、どうしていいかわからない」みたいな。基本的には、みんなそんな中で生きている感じかなと。

あと、下のほうにいろいろ学校を書いていますけど。これの半分以上が英語の学部なんですが、基本的には若者たちや日本が大好きな外国人との接点を持っておくことが、僕にとってはすごく大事なので。そのためにこういうことをずっと続けているところはあります。お金にはなりませんので(笑)。

じゃあ、突然ですが質問です。手を挙げてください。「あなたは好奇心旺盛だ」と言われたことがありますか? あるいは「好奇心旺盛だと自分で思う」でもいいですよ。ここに来ているということは、けっこう手が挙がる人が多いということなんでね。

あなたは「こうなりたい」という明確な自分のビジョンがありますか? 「明確」と言うとキツイかもしれないですけど。おっ、こっちのほうが少ない?

たぶん両方手が挙がった人は、この本を読む必要はないんですよ(笑)。

(会場笑)

山本:という感じかなと思います。10個のコンピテンシーの最初の入り口が好奇心で、最後がビジョン、ビジョナリーということなんですけど。やはりそれが備わっていると放っておいてもみんな一緒に働きたいと思うし、みんなと一緒にいい場を作れるような人なんじゃないかなと思います。

『ノーノーマル(常識のない)時代』の到来

山本:ここに来ている人は、会社の中で変人扱いされている……とまでは言わないですけれども。ここはサードプレイスなわけですから、やはりサードプレイスを持てるようにみんながなってくるといいなと。言われたことを決まった場所でずっとやっているだけだと新しいことが生まれないし、やはりいろいろ揉まれたい若者からするとおもしろくない。

もう前置きだけで10分使っちゃったかもしれませんけれども、こんな流れで今日はお話ししようかなと思います。

外で話す時はいつもそうなんですけど。10個のコンピテンシーについては、それが1個1個どうだという話ではなくて、ご自分でその言葉から発想して考えていただければ。それを考えるための参考事例というか私の経験談が本に書いてあります。

どちらかというと、なんでこの本を書こうと思ったかとか、なんでそれが必要だと思ったかという、そっちの話のウェイトを多めにしてきています。「ノーノーマル」という言葉を今までに聞いたことがある人はいますか? 

(この言葉を)使っている人は、あんまりいないですよね。僕は引っ込み思案でマイナーな人間なので、だいぶ前から使っているんですけど、誰も乗ってきてくれなくて。山口周さんは知り合いなんですが、彼はたまに使っています。

僕はニューノーマルという言葉が嫌いでこっちのほうを使うようになったんです。もう最近は「ニューノーマル」もあんまり言わないと思うんですけど。VUCAというのはみんな言っていますよね。最近は英語でBANIという言葉が使われたりするんですけれども。

Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)ということで、ひと言で言うと「一寸先は闇」だと僕は言うんですけれども。先が見えない、正解のない時代かなと思います。このVUCAという言葉は、もう20年ぐらい前からたぶんアメリカなんかでは使われていた言葉だと思います。

正解を求めるのではなく「ベター」を追い求めていく

山本:やはり一番僕が「これかな」と思ったのがコロナになった時だから、ちょうど5年前の今頃。安倍政権で緊急事態宣言を出すのかとか、5類(感染症)にするのか2類(感染症)にするのかとかの議論をしていた時に野党の議員が、「総理、そこに根拠はあるんですか! 根拠を示してください!」と国会で詰め寄っていたんですよ。根拠なんてあったら誰も困らねぇよという話じゃないですか。

「あっ、これをVUCAというんだな」と。要は、根拠なんかなくてもデシジョン・メイキングをしなくちゃいけない。そういう時代が来たということなんだろうなと。

これは別にコロナだけじゃなくて、まさに今、「トランプというおじさんが毎日違うことを言い出す」というのがあるじゃないですか。ちょっと前だって半導体がなくなるとかAIが出てきたとか、みんなそうで。

だって、2年後、3年後にどんな車がどれだけどこで売れるかなんて誰もわからないじゃないですか。でも、工場はその準備を今からしておかないと間に合わないんですよね。だから、もうそれがあらゆるところで起こってきているのが今の時代なのかなと。

だから正解を求めるんじゃなくて、やはりみんなでその時考えられるベストは何か。ベストじゃないかもしれない。ベターの、できるだけ先をずっと追いかけていくのかもしれないけれども、やはりそういう世界なんだろうなと思います。

言葉としては、常識があったのが常識がなくなったということかなと。だから僕はニューノーマルは嫌だったんですね。これはアメリカでできた言葉ですけれども。

要は、ニューノーマルというと、ダイバーシティの話もそうですけど、日本人はカテゴライズして属性にはめないと考えられないじゃないですか。すると、「いや、常識が変わったんだから」と言って、「次の常識は何ですか?」「新しい常識はこうです」「じゃあ、それに従いましょう」。そうじゃないんですよね。

「それに従いましょう」と言っていたらもうそれは古くなっているのが今の時代なので。だから僕はニューノーマルというのはすごく怖いな、ノーノーマルだと考えたほうがいいなと思ってこの言葉を使い出しました。

職場で上意下達が通用しない

山本:まったく余談ですけど、僕は「ノーノーマル」という言葉を本のどこかにタイトルでも入れたかったんですけど、出版社と揉めたんですよね。

要は、有名人が言うんだったらいいんだけど、僕みたいな無名の人間が題名にノーノーマルと入れると、逆に「よくわからない本だな」となっちゃうからというので揉めたんですけども、まぁ、入れることになりました。

なんでこの話をしているかというと、見る人、聞く人が聞くと、「あっ、もうこの言葉が鍵だ」「これは気に入った」と言ってくれる方がやはりいらっしゃるので、良かったなと思っている。という自己満足をお話ししました。この本を書こうと思った背景はそういうことですよね、常識がない時代だから過去の成功事例のコピペが効かない。

この後にも書いているからいいんですけど、やはり僕が若かった頃とよく比較をするんですよ。ここでもベテランの方々はなんとなくわかると思うんですけれども。

常識があって敷かれたレール上で物事が動いていた時代は、ちょっと気に食わない上司とか先輩でも、すごい成功事例を持っているとか。「あの人、すごいんだよ」と言われたら、「あっ、この人と2年、3年がんばれば、なんか得るものあるかな?」と思って我慢をするとか。そういう時代で僕は育ってきているんですけどね。

今の若者は、そんなことは絶対あり得ないと思うんですね。「へぇ、それ、将来のこととなんか関係あるんですか?」って。ちょっと過去の成功のリスペクトぐらいはしてほしいんですけども、「でもそれって将来と関係ないですよね?」と、やはりそういう時代になっている。

だから、過去の成功をひけらかすのはもう論外ですけども、そうじゃなくて、それをベースに「こうすればいい」なんていうことはもう言えなくなって、もう上意下達で物事はなかなか動かない。やはり先輩方が解答、正解を持っている時代は終わったなというのがすごくあると思います。

これは今ひと回り違うぐらいのイメージでしゃべっていますけれども、もう大学に行くと4年生と1年生でも別人種みたいな、宇宙人みたいなことをお互いに言っていますから。やはりそのぐらい変化は激しくなってきているんだと思うんですよね。

多様な考え方をポジティブにぶつけ合う

山本:これだけ変化が激しくて新しいことが起こってくると、やはり常に情報をアップデートすることが不可欠で、今までみたいにじっくり調べてじっくり考えるという方法論は通用しない。正解がないし、社員もお客さんもみんな多様化してきているわけだから。

もうこれは散々言われていますけれども、やはりその中でいろんな意見を戦わせるというか、出てくるような場からビジネスが生まれる。というのは、言葉だけじゃなくて、僕がいろんな経験をしている中でやはりそこだろうなと感じるところはあって。

そうするとやはり多様な考え方をぶつけ合う、かつ、これが常にポジティブでなくちゃいけない。昭和を引きずった、さっきの「そこに根拠はあるんですか?」「いやいや、昔こうやって1回やったけど失敗したよ」とか昭和を引きずるのではなくて。

「できると楽しいよね、じゃあ、どうやってやるかみんなでもう1回考えてみようぜ」という、やはりポジティブな場を作っていかないと。答えがないだけに、ネガティブなことを言っていたら本当に何も出てこないので。

だから、いろんなところでいろんなことは言われているんだけど、やはりこの「場作りのリーダー」が一番大事なんだろうなと、とても思います。それがこの本を書こうと思ったきっかけです。これを思ったのは、実はコロナ前なんですよね。コロナ前に実はこの本の7、8割を書いていた。書ききれないところがあったところにコロナが来た。

みんなが在宅でオンラインになった途端にコミュニケーションの取り方が変わったとか、わーっと言い出した時に、僕もそれに引っ張られてというか翻弄されて、「あっ、常識が、前提が全部変わっちゃったから、この本はダメだ」と思って1回諦めたんですよ。もう捨てていたんですけど。

2年ぐらいして落ち着いてきてからもう1回、「でも、本を出さなきゃ」と思って見返したら、「事例として書いていたものは陳腐化しているけれども、本質はなんにも変わっていないじゃん」ということにあらためて気がついた。それで「もう1回やらせて」と出版社に話をして書いた、というところです。

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