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なぜ、あの企業は強いのか? ⸺戦略を超えた「一体感」をつくる組織の感情マネジメント(全5記事)

組織のカルチャー変革で起きがちな“あるある課題”とは 『企業文化をデザインする』著者が説くプロジェクトの進め方

『企業文化をデザインする 戦略を超えた「一体感」のつくり方』の著者であり、企業文化の専門家である冨田憲二氏。一体感のある強い企業であり続けるための「組織の感情マネジメント」の視点から、組織のズレが生まれるメカニズムをひもとき、社員一人ひとりが企業の方向性に共感し、主体的に動くためのヒントを探ります。

社内の影響力は強いが、ネガティブな影響も与える人

髙原颯起氏(以下、髙原):次の質問も関連するようで、すごく難しい問いだなと思います。恐らく「テイカー」側に近いのかなと思うんですが、「成果は出していたり、社内の影響力は強いんだけれども、無自覚にネガティブなものも与えちゃうような方もいる時、キーマンの選び方はどうするのがいいのか?」という質問をいただいています。

冨田憲二氏(以下、冨田):ちょっと私がしゃべり過ぎている気がするんですけど、ちなみに髙原さんはこの問いについてどうなんですか?

髙原:そうですね。実態として、完全に無視っていうのはけっこう難しいと思うんですね。影響力がある中で、「あなたはキーマンじゃないです」という感じを取るのは難しいのかなと思っていて、段階的なアプローチが必要かなと思っています。

それこそ座談会やオンラインの社内SNSなど、自由に発信できるようなところでは、よりポジティブなオーラをまとった方をキーマンとして巻き込んでいく。そうしながらも、社内のインタビューとかコンテンツの登場人物としては、既存の影響力を持っている方にもお話していただいて、言葉を選ばずに言うと、承認欲求はちゃんとそこで満たしていただけるようにするとか。

実態として、そんなきれいごとではいかないところはあると思うので、アプローチは変えながら、徐々にポジティブ側の人が影響力を持っていくように育てていくのがいいのかなと思います。

冨田:ありがとうございます。そうですよね。私、この場ではわりとずっと「べき論」でしゃべっちゃいましたが、当然それがすべてうまくいくわけでもないので。ダブルスタンダードというか、それをやる一方でこういう方もちゃんと巻き込んでおかないと、ネガティブな影響が出るよねというところは、実態はダブルスタンダードで複合的にうまくやっていくしかないですよね。

髙原:そうですね。ありがとうございます。

企業カルチャー浸透プロジェクトのあるある課題

髙原:ちょっとお時間も迫ってまいりましたので、もし冨田さんのお時間が大丈夫であれば、最後の1問にも回答いただければなと思っています。ひとまず先に締めさせていただくんですけれども、お時間の許す方は残っていただければと思います。今後の取り組みの参考に少しでもなっていれば幸いでございます。

冨田:ありがとうございます。

髙原:では、少し残っていただける方向けに4つ目の質問(カルチャーの浸透プロジェクトが発足していますが、何をやっているかが末端まで伝わりきらなかったり、巻き込み方が難しい部分があります)。

冨田:居残りパートがあるわけですね。

髙原:せっかくなので、ラスト1問をお願いできればと思います。

冨田:そうですよね。居残りで若干時間があるのであれば話を広げちゃうと、これも本当にあるあるです。そもそもですが、たぶん「浸透」で切り出しちゃうというのが、入り口として辛いものがありますよね。なので、浸透だけをやるというのは片手落ちというか。

本当はもっと手前のプロセスがあって。わからないですが、この方の事例が「カルチャーを新たに可視化しよう」なのか、「今あるカルチャーを変革しよう」なのか、その次のフェーズで浸透という感じが出ているんだと思うんです。ただ、「そもそもうちのカルチャーって何だっけ?」みたいな問いから、連続して続けるべきものなんですよね。

結果として浸透されるという感じなので、前提の部分からしっかりキーマンを巻き込んで、最初の問いの部分から始めないと、「浸透だけがんばります」とやっても、その時点で負けているみたいな感覚があるので。この回答が本末転倒かもしれないんですが、前提としてこれ系は基本的にそういうものです。

なので、最初の問いのところから、最後の末端まで浸透しますというところまで一気通貫でやらないといけない。だから、よくある「可視化」と「浸透」を分けるとのは、けっこううまくいかないパターンが多いかなという感じがします。

現場のメンバーを巻き込むのが難しい……どう手を打つ?

冨田:一方で、とはいえ浸透だけ進んでいますといった場合に、「何をやっているかが末端まで伝わりきらなかったり、巻き込み方が難しい部分があります」とのことですが、これも具体のどのへんが難しいのかがわからないので、抽象的な回答しかできなそうなんですが。

「キーマン」と言っちゃったがゆえに、巻き込むべき人をすごく限定し過ぎてしまっている感覚もあるんです。ただ、恐らくどこまで行っても、その都度その都度の問いに対して、重要な人をいかに巻き込んでいくかというところは本当にベースラインだと思います。

発信の仕方をどう変えるかとか、巻き込み方をどう変えるかよりも、このプロジェクトに対して誰をどう巻き込んでいるかが根本な気が私はするんですが、髙原さんはいかがですか?

髙原:そうですね。どうなったら浸透しているかというのがすごく難しいんですけれども。先ほどの氷山モデルじゃないですが、やはりどのレイヤーで改革をするのかがけっこう大事なのかなと思っていて。

特に現場の方が「変わったな」と実感するのはどういう瞬間か? というボトムアップで考えると、制度が変わるとか、組織の構造が何か変わるとか、目に見えやすい大きな変化がないと、なかなか現場の方には伝わりづらい。

恐らくご質問いただいている方も、「経営陣がワークショップをやっている」とか「若手リーダーも巻き込んで、社内でこういうプロジェクトが進んでいます」みたいな発信はされていると思うんですよね。それがあった上で、伝わり切っていないという感覚があられると思うんですけれども。

そうなると、ただ情報発信をするだけだと難しいところがあって。爆発的なお祭り感じゃないですが、「変わったな」ということを直接的に感じられるような仕掛けがないと、なかなか難しいのかなとは思っています。

そう考えると、「こういうワークショップをやっているよ」とか「こういうプロジェクトが進んでいるよ」ということが伝わっているというのは、過程においてはそこまで必要ないんじゃないかというのも私は思っていて。

それで、中途半端に進捗を定量的な指標として取っていくみたいなことをして、「なんか若手にプロセスが伝わっていないな」とか「現場に伝わっていないな」というところで一喜一憂するよりは、スパッと切ってしまって、大きなお祭りというか花火を打ち上げるみたいな。そういったことで、ガラッと変えていくほうがいいのかなとは感じますかね。

冨田:ありがとうございます。

髙原:いや、難しいですよね。

冨田:難しいですね(笑)。

カルチャー浸透プロジェクトは小さく始めるのがカギ

髙原:あとは、オセロじゃないですが、情報だけで変えていくのはすごく難しいとは思います。この「浸透プロジェクト」というのは、どういうものが動いているかは存じ上げませんが、色はどっちでもいいんですが「まずは、この組織のこういう人を黒から白に変えよう」みたいなことをやる。

「じゃあ、次のクオーターではこの人たちを巻き込んで変えていこう」みたいなかたちで、ちょっとずつプロジェクトに入っていただくメンバーを入れ替えながら、直接的に変えていくほうが、ただ情報を大量に投げ続けるよりはいいのかなと。

冨田:やはり時間軸が難しいですよね。

髙原:そうですね。

冨田:本当に時間がかかるものなので、「プロジェクトを3ヶ月やります」「浸透プロジェクトでこんなことをしました」ということを仮にみんながすごく理解したとしても、結果、そのカルチャーが本当に浸透しなければ意味がない。

仮に「カルチャーの浸透は半年、1年かかるわ」という話だったとすると、「それって本来の目的を達成したんでしたっけ?」みたいな話になりかねないので、この問いはどこまでの部分にフォーカスしているかによるんですが。

最初の私の解にもありましたけど、何をやっているかというよりは、カルチャーの浸透プロジェクトはちっちゃくてもいいからまずは本当にスモールに、「こういう部分で成果が見えてきました」みたいにしっかり成果を出すことを続けて、どんどん広げていくのも大事なんじゃないかなと。これが、今の髙原さんのお話を聞いて追加で思ったところですかね。

髙原:ありがとうございます。

時間はかかるが絶対に外せないのがカルチャーデザイン

髙原:残っていただいたみなさん、大変ありがとうございました。

冨田:ありがとうございました。

髙原:ご質問いただいたみなさんもありがとうございます。テーマとしてもすごく難しく、抽象度も高いですし、時間軸としても長い。一方で会社としては絶対に外せないというテーマで、情報量も多かったかなと思うんですけれども、ぜひ明日以降のアクションにつなげていただければと思います。

各社みなさま、個別のご事情もあって悩みもさまざまかと思うんですけれども、今日ご参加をいただきまして、同じような悩みを持っている方も多いというところで、1つ安心ではないですが、みなさんが孤立はしていないということでご安心いただければと思います。

私たちも今後も組織改革、カルチャーデザインというところで、参考情報等もお届けしていければと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。あらためて冨田さん、今日はご多用の中、お時間をいただきましてありがとうございました。私自身もすごく学びになりました。

冨田:こちらこそ。

髙原:では、こちらでセミナーは終了とさせていただければと思います。ご参加いただいたみなさま、冨田さん、今日はありがとうございました。

冨田:ありがとうございました。

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