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なぜ、あの企業は強いのか? ⸺戦略を超えた「一体感」をつくる組織の感情マネジメント(全5記事)

ふだんは目立たない“献身家タイプ”ほど企業文化のカギを握る 隠れたキーパーソンを組織で活かすためのヒント [1/2]

『企業文化をデザインする 戦略を超えた「一体感」のつくり方』の著者であり、企業文化の専門家である冨田憲二氏。一体感のある強い企業であり続けるための「組織の感情マネジメント」の視点から、組織のズレが生まれるメカニズムをひもとき、社員一人ひとりが企業の方向性に共感し、主体的に動くためのヒントを探ります。本記事では、企業文化のキーパーソンを組織で活かすためのポイントを解説しました。

企業文化のキーマンになりやすいのは“献身家タイプ”

冨田憲二氏(以下、冨田):(企業文化の)キーマンとなる人は、100社いれば本当にいろんな人がいるとは思うんですが、1つの傾向や資質として、わりとこんな人がなりがちですというのは「ギバー」の人なんです。

「ギバー」と「テイカー」ってわかりますかね? たぶん、聞いたことのある人のほうが多いと思うんですが、簡単に言うと成果を何でも取っていっちゃう人はテイカーであると。(成果を)取っていけるだけの実力や行動力があったりと、当然良い部分もあります。

逆にギバーは裏側ですごく献身的に動いていて、組織、チーム、テイカーに対してもいろんなかたちで貢献している。だけどそんなにエゴも強くなく、我も強くないから、結果として表にあまり出ないけど、ものすごくエネルギーをチームに与えている。

エネルギー視点で見ると本当におもしろいですね。短期的な成果はわりとテイカーが出しがちなんですが、テイカーは短期的にもエネルギーを奪っていく。逆にギバーはエネルギーを担保してくれたり、維持してくれたりする。見る人が見ればわかるし、わからない人はわからないみたいな話なんですが、ここが本当におもしろくて。

なのでキーマンはいろんな人がいると思うんですが、1つの傾向として言えるのは、あくまでカルチャーという観点ではギバーな人がキーマンである可能性が高いですね。

ちょっと事例が古いんですが、2010年ぐらいのワールドカップで川口能活さんが第3のゴールキーパーとして起用されたんです。その当時の岡田(武史)監督、岡ちゃんがこう言っています。「彼はほぼ(試合に)出ないんだけど、彼の日々の振る舞いがめっちゃ模範になるから、彼がいてくれると絶対にチームにいいんだよ」と言って入れたというエピソードがあって、こういうのが私は大好きなんです(笑)。

実態はわからないですが、そういった視点からバイネームで「こいつだ」と言って選んで、川口さんが現場レベルで日々模範を見せた結果、組織の規律やカルチャーとか良いものができて、結果につながるような部分があったのではないかという話です。

コミュニケーションは「コスト」ではなく「投資」

冨田:これが最後です。本当に繰り返しなんですが、具体のところでの「How」は本当にいろいろあるんです。「この課題に対して、バリューを作る上でどうしたらいいですか?」みたいな「How」はいくらでもあるので、ぶっちゃけ何でもいいんです。ただ、大事なポイントがいくつかあって、コミュニケーションをちゃんとやりましょう。

対話を避けていると、何をやっても絶対にうまくいかない領域が感情デザインであり、カルチャーデザインである。なので1つ重要な認知は、コミュニケーションは「コスト」ではなくて「投資」だなと思って、大変なんですがやり続けましょうということですね。

ギバーじゃない場合もありますが、キーマンの貢献をいかに可視化するかが本当に大事です。オンライン上で明示的に可視化する場合もあれば、口コミで可視化する場合もあれば、何か表彰という仕組みもあるかもしれないです。ただ、これも「How」は正直どうでも良くて、この視点をちゃんとやるということ(が重要)ですね。

ほぼ同じことを言っていますけど、バイネームのキーマンを中心に、あらゆるレイヤーをしっかり巻き込んで施策を行っていくという感じです。

繰り返しなんですが施策自体はどうでも良くて、この観点をいかにちゃんと満たしてやりきるかというところが、カルチャーのデザインや組織のデザインにおいてはすごく重要だなと、日々実感しております。私からは以上です。

髙原颯起氏(以下、髙原):ありがとうございます。

大規模な組織でキーマンの影響力をどう波及させるか

髙原:ディスカッション2つ目のところは、大規模な組織において大事なキーマンの影響力をどうやって波及させていくのが良いかをうかがいたいです。

その前段として、組織の感情をマネジメントするとか、カルチャーをデザインするというのは、模範となって体現しているキーマンを中心にそれを波及させていくということ。ふんわりと言葉やキーワードだけでカルチャーを伝播させていくというよりは、それを体現している人を中心に、影響力を伝播させにいくという理解で認識は合っているんですかね?

冨田:ありがとうございます。カルチャーによる感情という観点での影響について広い視点で見たら、本当はもっといろいろあるわけですよね。

一番広い視点で言うと、そもそもカルチャーが明確で、そのカルチャーに対してめちゃめちゃフィットしていますという組織や人は、当たり前なんですがめちゃめちゃエネルギーが出るというか。湯水のようにエネルギーが出るのは、自分の体験もそうだし、客観的に見ていてもそうだなと思います。

そういう全体感の話もあれば、具体のところでキーマンをいかに巻き込んでいくかという話で言うと、まさにおっしゃるとおりの部分はあるかなと思っています。

髙原:ありがとうございます。

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