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数理最適化のエキスパートが断言「AIブームで見落とされがちな重要技術」 1,300社が導入した「演繹的AI」が意思決定を変える
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髙原颯起氏(以下、髙原):じゃあ、2つ目が「『組織のズレ』はなぜ起きるのか?」ということで、組織のダイナミズムのところも含めて、あらためてお話をうかがえればと思います。まずは解説をお願いしてもよろしいでしょうか。
冨田憲二氏(以下、冨田):ありがとうございます。「そりゃそうだよね」という話を今からします。あらためて明文化し、見える化し、そこに対して客観的な目線で引いてみて、「どこにどう介入していくのがカルチャーデザインとしていいんだっけ?」というところが、組織構造としてすごく重要だと思っています。
先ほどのディスカッションでもありましたが、前提として現場やミドル層、もしくは特定の組織に介入するような部署の方が「どうしても企業風土・カルチャーに問題があるんだよな」と思った場合に、なかなか上部レイヤーを変えることができない。あとは、そこにどう介入していけばいいのかというのが、具体のお悩みとして出るかなと思っています。
あらためてそれを図にして引いてみると、1つはこのピラミッドモデルですね。恐らく99.99パーセントぐらいの会社が基本的にはヒエラルキーで、「どフラットで正社員が10万人います」みたいな会社はほぼないと思うんですが、こういうヒエラルキー構造の中で、それぞれのマネジメント・レポートラインがある。
思いっきり上位レイヤーと現場を分けた時に、下から上に行くアテンションと、上から下に行くアテンションというのは、人の数が違うからボリュームがぜんぜん違う。当たり前ですね。
人の数以上に、みなさんもいろんなレイヤーにいたらご経験があると思うんですが、例えば自分が上司になると、「いかに現場のメンバーが自分の一挙手一投足を見ているか」みたいなことにびっくりすると思うんです。ただ、どうしてもこれは人間の習性らしいんですよ。
コミュニティの中で、明確な役職とか、もしくは単純に振る舞いで「偉い」「偉そうだ」という人がいると、脳の生存戦略としてミラーニューロンが働いて、その人をなるべくマネする。その人をよく観察して、観察した結果をインプットして、そこに対してなるべく害意がないように振る舞うとか、積極的に介入していく。何にせよ、やはり観察をめちゃめちゃする。これは人間の本能ですね。
当然、上位レイヤーになると組織ばかり見ているわけでもないですし、横や上や遠くの海外とかをいっぱい見る中で、どうしてもアテンションが足りなくなってくる。これは構造の話なので、「ここを変えよう」というのはそもそも無理です。なので、この構造の下でどう振る舞って、どこにどう介入していくかというのが、動きの設計として重要であるというシンプルな図ですね。
冨田:ここからわかることはシンプルに、下から上への総和が上から下の総和を上回るということです。かつ、これは仮説も含めてですが、実際の事例のボラティリティを踏まえた上で言えることは本当に無数にあります。
無数にある中で、この場のコンテキストで言えることは、構造的にどうがんばっても上は下を理解しきれない。ゆえに、上から見える景色と下からの景色は必ずズレるわけですよね。
ズレるのは当たり前なんだけど、「なんかズレるよね」とか「理解してくれないよね」と、不満が出てくるのが組織、人間という生き物であるという感じです。なので、フラットに認識として重要なのは、前提としてズレるという構造があります。
これだけ抽象化するとよくわからないんですが、実態は上と下だけじゃないですよね。さらに横や斜めとか、ありとあらゆるコミュニケーションライン、協業・協働ラインがありますので、そこでもいろいろズレていきます。
何がズレていくのか? いろいろズレますよね。いろいろズレるんだけど、1つ重要な切り口で言語化すると、それが「期待値」であると思っています。期待値を英語で言うと「Expectation」ですね。
組織を見る上で、キーワード・KPIを1つ挙げるとすると何かと言われたら、この期待値(Expectation)でしかないなというぐらい、重要なキーワードかなと思っています。私は毎日、「期待値」「Expectation」を2桁以上は必ず言いますね。それぐらい頻出ワードです。なので、「期待値です」と(スライドに)思いっきり書いてあります。
冨田:もう1つ。これは単純に私の好みなんですが、本当にそうだなと日々思います。組織・コミュニティって、1人以上の人間が関わっているので、自己増殖的であったり自己再生的であったりするものなんですが、個の人体と本当に一緒だなと思うんです。
個の人体で起きるロジックのアナロジーとか、個の人体で出てくることのメタファーを扱うことは、複雑極まりない組織の挙動を理解する上で、ものすごく役に立つフィルターかなと思っています。なので、絵でもあえて人体っぽいものを載せたんですが、根本にある歪みとかズレとか滞留が、慢性的な組織的欠陥を生み出すんです。
先ほどの氷山モデルを横からレイヤーで見て、表出している部分と深層にある部分がすごく大事だと思っているんですが、人間の疾患もそうですよね。
肩こり1つ取っても、それが眼精疲労から来ているのか、体の冷えから来ているのか、もしくはその両方とか。いろんなものが重なって、結果として症状として表れるのが人間の疾患なんですが、組織も本当に一緒だなと思っています。
だいたい体もそうなんです。私も40代で、ちょっと年齢が上めの40代以上の方はだいぶ実感があると思うんですが、慢性的な痛みが出てきた時に「原因が何個あるの?」というぐらい、いろんなところがズレたり歪んたり滞留していたりする。
ということなので、慢性的な組織的疾患を生み出している歪み・ズレ・滞留みたいなものをいかに直していくか、矯正していくか。もしくはどう揃えていくかという上で、コミュニケーション上では「期待値」、こちら側が考えていることがものすごく大事です。
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