上司と部下、経営陣と現場……必ず生じる「ズレ」の原因　“組織の慢性疾患”への対処法とは [2/2]

上司と部下の間でズレが広がる原因

冨田：人としての、上司としての、会社としての期待値。会社が社会に対して持っている期待値。もしくは、顧客がプロダクトに対して持っている期待値。顧客もしくは普通の人々が、その会社のブランドに持っている期待値というように、いろんな期待値があります。

当たり前なんですが、これがピシャっと揃うとものすごくエネルギーが出て、ものすごくストレスがなくなるんですね。こういう話をしている時はお医者さんになった気分なんですが、まさに期待値をいかにアライメントして（揃えて）いくかというところがものすごく大事です。

これが「言うは易し」で、本当に難しいから組織でいろんな問題が起こっているし、カルチャーがズレていくわけなんです。というのも理解した上で、そこに対していかに真摯に介入していくかとが大事ですと言いたいです。

次のページでも同じことが書いてありますかね。アナロジー的に分けると2つで、「歪み・ズレ」と「血流の滞留」ですね。歪み・ズレというのは、まさに期待値のすり合わせをするのが大事だよねということです。なので、組織と組織、上司と部下、経営陣と現場で何かがズレているのであれば、当たり前なんですが対話が重要である。

「何かがズレている」の「何か」というのは期待値なんです。その期待値のズレをしっかり合わせにいくことが、ものすごく重要であると思っています。これは重要でありながら、夫婦間とかでもめちゃめちゃ難しいと思うんですが、対話不足・コミュニケーション不足でズレが広がっていきます。

そこに対してまた別の視点で言うと、「血流の滞留」なので、まさに対話がない、もしくは対話の質が低いというところがもう1つの視点です。やはり、より良質なコミュニケーションを作っていくことが大事かなと思っています。

企業カルチャーにおける「キーマン」の重要性

冨田：これもおさらいみたいな感じなんですが、本当に組織は人体です。組織が拡大し続けていれば、人の体が拡大するように、末端まで神経と血管を張り巡らさねばならない。

その中に流れる血液や血液型が、まさにバリューや文化と呼んでもいいぐらい重要なものです。なので、ポイントで重要な幹部に誰がいるのか、心臓である経営陣は大丈夫かとか、そういった診断ができるなと思っています。

より具体の話でいくと、血流、ズレ、歪み、良質なコミュニケーションを現場レベルで実践していく上で、当たり前なんですが重要なのがキーマンです。キーマンというのは、冨田さんとか髙原さんとか、いかに「この人」とバイネームでデザインしていけるかが重要です。

わりと抽象的な議論で終始している場合があるんですが、そうじゃなくて本当に人ですね。「この文化的課題を解決する上においては誰が重要なんだ？」という話がものすごく重要だなと思っています。

私が企業文化の壁打ちや相談をいただく時に、必ずする問いがあって。「あなたが思う、あなたの会社のカルチャーを代表する人を1人選ぶとしたら誰ですか？」と必ず聞くんですが、みんな100パーセント「ああ、この人」って出てくるんですよね。

なので、「うちの会社のカルチャーって何かな？」というふうになっても、そうやって聞くと、だいたい「この人です」と出てくる。「じゃあ、その人はどういう価値観を持っていて、どういう振る舞いをするんですか？」みたいにひもといていくと、「この会社はこういうカルチャーで、こういった人を良いとしているのね」というものが出てくる。

まさにおもしろいのが、現場の人に聞いたり、ミドルの人に聞いたり、経営陣に聞いたりすると、ズレている場合がけっこうあって。なので、そもそも自社のカルチャーに期待している部分がズレている場合がありますね。

なので、「キーマンは誰か？」ということを通じて、バイネームで「うちのカルチャーとは何なのか？」というすり合わせをしていくことも大事だし、その期待値が整った上で、しっかりキーマンを巻き込んでいく施策が具体的には大事になってきます。