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なぜ、あの企業は強いのか? ⸺戦略を超えた「一体感」をつくる組織の感情マネジメント(全5記事)

組織に根付いた“無自覚な思考パターン”のややこしさ 企業文化を変えることが難しい理由 [1/2]

『企業文化をデザインする 戦略を超えた「一体感」のつくり方』の著者であり、企業文化の専門家である冨田憲二氏。一体感のある強い企業であり続けるための「組織の感情マネジメント」の視点から、組織のズレが生まれるメカニズムをひもとき、社員一人ひとりが企業の方向性に共感し、主体的に動くためのヒントを探ります。本記事では、企業文化の根深さについて語りました。

「組織の感情」をマネジメントし、主体的な組織を作るには

髙原颯起氏(以下、髙原):今日は大きく3つあります。この後、登壇者のご紹介をさせていただいて、2つ目のパートは冨田さんと私の対談形式で、今日のセミナーの趣旨であるテーマについてお話をさせていただきます。最後にみなさんからご質問をいただいて、それに回答するというかたちで進んでまいります。

ごあいさつができていなかったんですが、今日モデレーターを務めます、コミューンの髙原と申します。私はコミュニティが専門領域でございまして、もともとはBtoCのファンコミュニティとか、お客さま向けのコミュニティ作りからスタートしています。

その後、コミューンの中で「Commune for Work」という、社内のコミュニティ作りをご支援する事業を立ち上げて、今は責任者を務めている者でございます。

今日は冨田さんにいろいろとお話をお聞かせいただきながら、私も気になったところにご質問させていただいたり、コミュニティというテーマとひも付けて、みなさまにも知見の提供ができればと思います。よろしくお願いいたします。

コミューンのことについてはご存じない方もいらっしゃるかと思いますので、さらっとだけご紹介させていただいて、冨田さんにバトンタッチできればと思います。コミューンという会社は2018年の創業でございまして、今は170名ほどの規模感でございます。主にコミュニティという領域で、企業さまのご支援をしているところです。

ファンコミュニティや社内コミュニティなどのコミュニティづくりから、カスタマーサクセスに寄り添うご支援をしているような企業でございます。エンタープライズの企業さまを中心に、コミュニティのマーケットリーダーとしてご評価いただいています。コミューンのことについては、さっとこのあたりで閉じさせていただきます。

この後もご紹介を差し上げるんですけれども、今日は冨田さんにお話をいただくんですが、ゴールとしては「組織の感情マネジメント」。もしかしたら、著書をお読みになっている方にはご存じのキーワードかもしれませんが、初めてお聞きになる方もいらっしゃるかと思います。

組織の感情をどうマネジメントしていくか。自然に流れていくものではなくて、いかにデザイン性を持ってマネジメントしていくかというところから、組織においてなぜズレが生まれるのか。

そのメカニズムであったり、組織の感情をデザインしていくことによって社員一人ひとりが企業の方向性に共感したり、主体的に動く組織を作っていくにはどうすればいいのか。そういったところを、ぜひヒントとしてお持ち帰りいただければと思います。

今日ご参加いただいているみなさまは、経営企画や人事であったり、コーポレート領域のみなさんが多いかなと思います。今が期初という中で、今期をどうしていくか、あるいは中計の中で来年度、再来年度をどうしていくか、いろいろと施策をご検討されているかと思います。なので、ぜひ少しでも明日以降の動きにつながるような情報をお持ち帰りいただければと思います。

『企業文化をデザインする』の著者がゲスト登壇

髙原:では、少し前段が長くなりましたけれども、今日のメインスピーカーである冨田さんからお話をいただければと思います。あらためて、『企業文化をデザインする』の著者であり、現在は株式会社ラントリップで取締役もお務めをされている、冨田憲二さまでございます。冨田さん、今日はよろしくお願いいたします。

冨田憲二氏(以下、冨田):よろしくお願いします。

髙原:簡単にごあいさつと、今日の意気込みじゃないですけれども、「こういうことをお話しする予定だ」というところも併せておうかがいできれば幸いです。

冨田:ありがとうございます。髙原さんの進行がすばらし過ぎて、しゃべるハードルが上がっておりますが。

髙原:いえいえ、とんでもないです。

冨田:私はふだん、だいぶカジュアルにお送りするタイプなので、なるべくカジュアルにお話しできればと思います。

髙原:では、私もカジュアル寄りで。

冨田:(笑)。よろしくお願いします。

髙原:お願いいたします。

冨田:ウェビナーというかたちなので、みなさんボーっと聞けたりもするとは思うんですが、ぜひリアクションもしていただいて。私も問いを投げかけたりしますので、一緒に学びを作っていければとも思っております。

あらためまして、冨田と申します。IT企業、スタートアップでずっと働いてきて、今は4社目です。すべてのキャリアで、気がついたら組織文化や組織に引っ張り出されたり、自分でいろいろゴリゴリとやるみたいなことが本当に多くて。

前職では、たまたま創業期のスマートニュースという会社に入りました。後半の2~3年ぐらいはグローバルに組織を伸ばしていく過程で、本当に試行錯誤をやっていました。かなりカルチャーの強い会社だったので、今も本当にすばらしいんですが、そこでの学び・気づきを発信して、気がついたら本も書いていましたという感じです。

ラントリップという、代表の大森(英一郎)と一緒にやっている会社がありまして、フィジカルなランニングを対象としているような会社です。走らない方もいるとは思うんですが、まさにランニングってけっこうコミュニティなんですよね。本当にいろんなコミュニティが日本中にも世界中にもあります。

そのコミュニティに対して、どう働きかけていくかということを実業でもやっています。なので当然、今の組織だけではなくて広い意味でのコミュニティに対して、カルチャーがどうあるべきか、どういう影響を及ぼすものなのかを最近はずっと考えて、実践してきているような人間でございます。今日はよろしくお願いします。

髙原:よろしくお願いいたします。

noteで続けていた発信が出版のきっかけに

髙原:この後メインのテーマでお話しいただく前に、「そもそもなぜこの本を書こうと思ったのか?」という背景であったり、きっかけみたいなところも簡単にうかがえればなと思うんですが、このあたりってどういうものがあったんですか?

冨田:ありがとうございます。当然、「本を書こう」と思っていたわけではないんですが、スマートニュースを辞める直前ぐらいですかね。本当にいろいろと学びがあって、noteというブログみたいなプラットフォームに思いの丈をつらつらと書いて発信していたんですが、それがたまたま目に留まって「本にしましょう」みたいな感じになりました。

私自身は2006年新卒の代なんですが、当然その時からインターネットはありました。ブログプラットフォームがけっこう出てきていたので、ブログはプラットフォームを変えてずっと書いていたんですよね。なので、そういう物書き性な部分もあって。

学びとか気づきを体系的にまとめて外に出すという営みの中で、たまたま企業文化に関するものがわりと時代のニーズにはまって、たくさんの人に読んでいただき、結果的に出版というかたちにもなり、今に至るみたいな感じですかね。

髙原:ありがとうございます。今日は私も非常に楽しみにしておりましたので、よろしくお願いいたします。

冨田:お願いします。

髙原:では、さっそく1つ目のパートに移っていければと思います。このパートの中でも2つにテーマを分けておりまして、まずはそれぞれについて冨田さんから基本的な情報、考え方をお話しいただいて、それに対して対談というかたちでディスカッションを深めていければと思います。

まず1つ目が、「企業カルチャーが組織に与える影響と、あるべき姿」というテーマでお話をいただければと思います。では、ここから私はページを送ってまいりますので、冨田さん、よろしくお願いいたします。

冨田:ありがとうございます。あらためまして、みなさまよろしくお願いします。今、(セミナーを)聞いている方の中には、もしかしたら本を読んでいただいた方もいるかもしれませんし、(『企業文化をデザインする』を)出版したのが2~3年前なので、そこから私の思考もだいぶ先に進んでいます。

思考だけじゃなくて、自社だけではなく本当にいろんな会社さんの事例や悩みに併走する中で、また新たに深まった部分、見えてきた景色、新しい切り口といったものを織り交ぜて、ちょっとお話しできればと思っています。

“企業文化とは何か?”を定義するのは難しい

冨田:何から話そうか考えたんですが、「企業文化とはそもそも何か?」とか「そもそもなぜ大事なのか?」というところって、引き続き定義が難しくて。逆に、定義にこだわっても仕方がないみたいなところがあります。

(スライドに)「架空の自動車メーカーZ社の場合」と書かせていただいたんですが、この事例をもって、まずはみなさんと「そもそも企業文化って何だっけ?」というところを深めていければと思っています。

左の図が、いわゆる氷山ですね。かつ氷山の4レイヤーで事象を切り分けるという、「アイスバーグモデル」「氷山モデル」と言うんですが、知っている人はいますか? 知っている人がいたら、いいねボタンでリアクションをしてみてください。あ、いますね。すばらしい。さすがですね。システム思考のフレームワークで氷山モデルというものがあって、事例で具体的に紹介しますね。

例えば、架空の自動車メーカーZさんで事象としてわかりやすい切り口を挙げると、毎日、新聞・メディアを賑わしているEVの開発で中国メーカーに大幅な遅れを取ってしまっている、ということをまずは事象とします。事象はあくまで表層の上に出てきた事象ですね。

その事象が出てくる原因となっているものは、当然その表層の下にいろんな要因が重なっています。その重なりを、さらに3レイヤーに分けて分析しましょうというのが氷山モデルです。「イベント」に対して、1個下は「パターン」ですね。その事象がどういったパターンによって起こっているか、どんなパターンが観察できるかという部分です。

例えばぱっと見た時に、「企画・設計・開発のスピードがちょっと遅いよね」「むしろ生産から販売のプロセスがけっこう遅延する」とか。もしくはそもそも「新規企画が通らない」みたいなパターンが考えられます。さらにその下には「じゃあ、このパターンを表出させるような構造が何かあるんじゃないか?」と、より深掘っていきます。

その時に、そもそも構造として「企画・設計・開発はだいぶウォーターフォールだよね。中国のEVメーカーはITのソフトウェアのようにアジャイルでやっているけど、うちはウォーターフォールじゃん」みたいな構造があったりします。

もしくはこれも大きな企業あるあるですが、部門間がサイロ化してしまう。ゆえに、横の連携が不足してしまう。これもけっこう構造の話ですね。あとは、例えば「上層部が保守的である」とか。上層部の考え方とそれ以下のレイヤーで考え方が違うといったものは、これも構造の話であるという感じですね。

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