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新入社員の定着と活躍のために知っておきたい! 退職代行を使うvs踏みとどまる そのインサイトに迫る(全4記事)

部下の転職を引き止めたいのに逆効果… 上司がつい言いがちな2つの“禁じ手”

Zenken株式会社 ヒューマンキャピタル事業部長の松島一浩氏、株式会社Work with Joy 代表取締役の新保博文氏が、早期離職を引き起こす要因を心理・組織の観点から分析。Zenken社で実際にあった“踏みとどまり”のエピソードを通じて、感情に寄り添うマネジメントが、なぜ部下の意識と行動を変えたのかを紹介します。

“年収アップのための転職”のパターン

司会者:(部下が退職を踏みとどまったエピソードを)もう1ついきましょう。企画職、中途入社3年目の方です。「爆発的な成長ができていない自分でも、今の市況感だと、場所を変えたら『今』もっと稼げる可能性があると思い、早く稼ぎたいと思っていたため、転職を考えている」と。

松島一浩氏(以下、松島):今は「転職すれば年収が上がる」って理由で転職を考えている人、多いですよね。

司会者:多いと思いますね。「転職を考えていると伝えた日、すぐに上司のAさんが夜ご飯をご一緒くださり、私の話にひたすら耳を傾け気持ちを受け止めてくださいました。その上で『私の思考が甘い』と、しっかりと叱ってくださった時間が、私が踏みとどまる決め手となりました。

その言葉は、会社のためや引き止めるための耳障りのいいものではなく、人生の時間が重なり合った、人として向き合ってくださっており、私のビジネスパーソンとしての将来を真剣に考えて伝えてくださっていると感じるものでした。私も最初は『でも……』と思いながら話を聞いていましたが、途中からじんわりと言葉が沁み、自分の甘さを認識して恥ずかしく思ったのですが。

その上司は私の未熟さを非難するでもなく、ひたすらに受け止めてくださったのを覚えています。また、『仕事ぶりに対して給与が支払われる』というお話をうかがい、自分の成長に向き合ってくれる上司や環境がある中で、結果が出ていないのは、自分のスキルや努力が足りないからだという自責の視点も持つようになりました。

その時、環境を変えれば状況が良くなるかもしれないと考えるのは、当時の私にとって『逃げ』だったのだと気づくことができました」。すごいですね。解説いただけますか?

良くない引き止め方、2つの代表例

新保博文氏(以下、新保):ここも僕がいいですか? 3つ見て、みなさんたぶんいろいろと感じていると思うんですけど。共通して僕が思ったのは、一般的にいわゆる「引き止め」と言われるものだと失敗する。僕もそういう引き止めをされたことがあるし、しちゃったこともたぶんある。

1つ目は、相手の話を聞かない。「退職したい」と言われて、「なんで、なんで?」って、こっちがバーッとしゃべっちゃう。ちょっと言われたら、またワーッと返しちゃうみたいな。そういうことが一切ないのが、よくある失敗の人がいない理由の1つ目。

2つ目が、やはり会社の都合がちょこちょこ出てきていますけど。「俺が困る」とはさすがに言わなくても、「周りのメンバーが困るじゃん」「他の人に迷惑かけていいの?」みたいな。

でも実は、自分の課は困るってことがわかって、伝わっちゃっているんですよね。僕もやっちゃったことがあると思います。それがないんですよ。いろんな登場人物がいる中で、こういうふうにできているのは、おそらくそのポリシーとかが浸透している。

まぁ、どうやって浸透しているのかなというか。そこを僕が聞きたいと思ったし、やはりその2つはすごく大きいなって思いましたね。

マネージャー層が共通認識を持っているか

司会者:松島さん、いかがですか?

松島:そうですね。いろんな考え方があるかもしれませんが、結局、1つのポリシーでみんな動いていることがすごく重要ですね。

司会者:マネジメントポリシーの例は、今日1ついただきましたね。上司かつ人間としての向き合い力。

松島:いや、これ言っちゃいますよ? これは1つの例というか、Zenkenの中のある部署の中での話なんですけど。

上司としては当然、成果を出してもらうことが大事なわけなんだけど、上司としての向き合い方だけじゃなくて、「人間として向き合いましょう」ということが、合意されていると思いますね。

自分を見せ、部下を知り、裏切られることを恐れず、部下の人生の幸せを本気で考えて行動することを合意しているので、そういう動きになるよねと。

司会者:なるほどです。みんなで決めた、作ったということですか?

松島:そうです。これは、その時の15〜16人で決めたんじゃないですか。「これ入れる?」「人間のところを入れる・入れない」っていうのは、やはり喧々諤々ありましたよ。

司会者:そうですよね。

松島:「これを入れるんだったら、みんなやるよ」っていうようなところで合意しましたね。

「成果を出す組織は人の弱さを切り捨てないんじゃないか」

司会者:ちなみになんですけど、ここまで話を聞いていると、やはり「感情に向き合う」という話がけっこうあるなと思っていて。でもマネジメントの話をする時に「あえて感情を引き出すべきかどうか?」という議論もよくありますよね。そのあたりをどう考えているのかが、すごく気になっています。

松島:来ました。

新保:モチベーションとかね。

司会者:まぁ、はい。

松島:そうそう。人間を合理的に管理しようと。そっち側の流派の方々ともよく話をするんですけど、話をすると、目的は一緒だと思うんですよね。ただ、その登り方、アプローチの哲学が違うと思っていて。短期的な成果 VS 中長期で安定した組織というのもあるし。

僕は、成果を出す組織って、人の弱さを切り捨てないんじゃないかなって思っていて。だって、この3人の話で言うなら、めちゃくちゃ活躍している人材なんです。ということがあると、余計に、これが組織の成長に必要なことだってどんどんなっちゃうので。

ある意味そっちの流派の方とまったく別の方向にいっちゃうのが、うちかなと思うんですけど。踏みとどまりというのは、まさに弱さの中から強さを育てるプロセスだと思っています。

モチベーションに向き合わざるを得ない

司会者:このあたり新保さんは、どうお考えですか?

新保:例えば、「モチベーションで仕事をするな」という考え方ってすごくあると思っていて。それを僕は自分自身に言うのはぜんぜんあり。プロだから、お客さんの仕事があれば、「モチベーション関係なくプロとしてやるよね」って、言い聞かせるのは大賛成なんです。

だけど、メンバーに「モチベーションが落ちても関係ない。これは仕事だからやれ」と言うんだったら、その一言だけで全部終わるので、マネジメント理論っていらないんじゃないかなと思っています。もっと言うと、モチベーションとか感情は、生きていくために必要な機能だから備わっている。だとすると、そこに向き合わざるを得ない。

すみません。ちょっと哲学的な話になっちゃいましたけど(笑)。それがあるんだったら向き合うしかないよねというシンプルな話ですね。モチベーションや感情は消せることがないじゃないですか。そう思っています。

司会者:ありがとうございました。

「Z世代にビビりすぎなんですよ」

新保:いいですか? ここ、ポリシーで1個だけ言いたいんですけど。

司会者:はい、どうぞ!

新保:ポリシーとしてはっきりとしたスタンスが大事だなって思いますね。今、何が起きているかというと、「Z世代や若い世代って飲みニケーションとか、踏み込まれるのが嫌いだよね」と思って距離を取っている。それに加えて、上司側は”ハラスメント”を恐れている。要は距離感があって踏み込まない状態なんですよ。

でも、今ポリシーにそって、仮に、本気で向き合ってZ世代がいなくなったとしても、会社の人たちは誰も責めないと思うんですよ。「それは向き合った結果だよね」ってなる。このポリシーがあることで、踏み込み距離を縮めることを恐れなくなると思うんですよね。

逆に、距離を取るんだったら、距離を取ることに合意したほうがいい。なんか、そこが曖昧なケースが多い。Zenkenさんの事例は、人それぞれの曖昧さにするのでなく、共通認識を持ち、みんなで踏み込んだことが、すごいなって。だから、踏みとどまる事例のような話になったんだなぁって学びました。

松島:「Zenkenのマネジメント、ドヤ!」みたいな話はイヤなんですけど、1つあるのは、みなさんに勇気を感じてほしかったというか。もうね、みんなZ世代にビビりすぎなんですよ。ハラスメント、ビビりすぎ。この発言も問題あるかもしれないけど。「なんか、こうらしいよ」っていうことに踊らされすぎてて。

新保:わかる。

松島:それは本当にVOiCEのお客さまも困り果てている感じがしてね。でもポリシーって、信念ってあるじゃん。大人として大事にしてきたことがあるじゃんって。その伝え方は変わってもいいんだけど、「辞めさせない」がゴールだったら絶対に人が育つわけないんですよ。

司会者:そうですね。

ポリシーを定義し、対話を恐れない

松島:なので、どういうかたちでもいいんです。飲み会をどう定義するかも、今はちゃんと考えなきゃいけない時代だし。飲み会を強制するとか、飲み会の場で、評価に関わる何かがあるのはダメ。でも、そこで大事なことを学んだよねっていう上司が、本当に心から「飲み会は悪だ!」って言えますか? って言ったら、ちょっと違うと思うし。

そういうポリシーとか、信念をしっかり再定義して。「このポリシーのもとに、みんなで向き合おう」ということが必要なんじゃないかなと思いますね。

司会者:ありがとうございます。けっこう難易度が高い話もあったと思うんですけど、今スライドでお見せしているのは、すぐにできることとして、私たちは「リアリティショックチェックリスト」を作っています。ぜひこちらもご覧ください。

今、松島さんからお話がありましたが。まとめとして、マネジメント理論と他の人との対話の大事さ。ここを最後に触れて終われればなと思っています。

松島:理論と対話が大事だと思っています。まぁ、理論というのも体系的理論もありますし、持論的なものも含むと思うんですけど。やはり「組織としてちゃんと理論を持ちましょう」ということが大事かなと思います。僕のチームでは自己決定理論で、つながり、有能化、自律性というところが一番引き出しやすいので、そこでいろんな会話をしています。

あとはやはり対話ですよね。マネジメントの対話をみんなでもっとしていかなきゃいけないなと。社内はもちろん、社外でも、そういう人に出会ってほしいし、マネジメント友だち、マネジメントメンターみたいなものが、今の人事の方や管理職の方に必要なんじゃないかなと思っています。

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