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新入社員の定着と活躍のために知っておきたい! 退職代行を使うvs踏みとどまる そのインサイトに迫る(全4記事)

退職代行ブームの裏で後悔する若手社員も… 辞めても消えない“モヤモヤ”のワケ [2/2]

退職代行を使われた企業は右肩上がりで増加

新保:そうですね。最近はフリーランスでやっている人もいるという話もあります。このような基本情報から、実際にどれだけ使われたかを見ていきます。

先ほど冒頭に松島さんから2倍だなんだとありましたが、一番N数が多かったデータをちょっと持ってきました。

マイナビさんのデータで、転職した人が退職代行をどれだけ利用したかを見ると、16.6パーセントです。なので、「もう半数以上が使っている」とかいう数字ではない。

一方で、いろんなサービスの普及理論的には、いわゆるアーリーアダプター。イノベーターの次の、早く動く人たちがある程度使っているレベルです。じゃあ、さらに普及するのかは見物なところですが、そういったデータになっています。

次に企業側目線ですね。こういう言い方をしていいかわからないんですけど。使われた企業は、徐々に右肩上がりで、2024年のデータでいくと23.2パーセント。まぁ、これは自己申告ですので「気づいていない」とか「把握していない」を含めると、ひょっとしたらもうちょっとあるかもしれませんが、4社に1社ぐらいです。

次のデータ。どれぐらいじゃなくて、いつ使われるかと。これもみなさん薄々感じていると思うんですけど、一言で言うと休み明けです。特に大型連休明け。ゴールデンウィーク、お盆、正月明けに波が立っていますね。もう1個、ボーナスを終えたあとの最初の土日にも波が立っています。これからゴールデンウィークでございますので、「ちょっと危ないな」と思っている人は、今日の話を聞いていただいて、踏みとどませにいきたいですよね。

LINEの無料相談がきっかけに

新保:そうやって使われているとして、じゃあここから、なぜ使ってしまうのかですね。もう「使ってしまうのがいい」対「そんなもの使うな」という話じゃなくて、使ってしまっている実態を見ていただきたいなと思うんですけど。

まず退職代行ってそもそもビジネスになるので。ビジネス化するとどうなるかというと、私も企業を経営しているからそうですけど、売上に連動するようなものをKPIにしますよね。それって、退職人数なので、退職者が増えれば増えるほど、売上が上がる。じゃあ売上を上げるためにどうするかというと、当たり前なんですけど、マーケティングをします。

ターゲットとなる人がどこにいるんだろうって探します。マーケティングはやはり、不安を煽るやり方がいっぱいあって、特にこの事例については不安を煽る心理学と、めちゃくちゃ相性がいいです。

2つ目。ビジネスなのですごく効率的にやって、なるべく早くクロージングしたいですよね。なので、退職って普通だったらいろいろ思ったり、言うのをためらったりするんですけど、退職代行に連絡したらすごく早くなります。じゃあ、今ちょっと少し触れちゃいましたが、不安を煽る心理学がどう影響するのか。

モヤモヤしている人が、その状態が続くんじゃなくて「あ、自分も辞めるべきかも」という心境に変わって、ちょっと連絡してみようと思った、次のところですね。無料相談で軽く連絡したLINEでいろいろ質問されて「いつ辞めるんですか?」「どの会社ですか?」という話をしているうちに、あれよあれよと決まっちゃうみたいな話ですね。

目立つ要素に影響される「ハロー効果」

新保:これをもうちょっと詳しく見ていきたいと思います。先ほど言った「使ってしまう」という心理学で言うと、バンドワゴン効果というものがあります。これは「みんなが使っているからOK」とか「みんなが使っているからほしい」みたいな感じなんですけど。

右のツイートを見ていただくと、退職代行の会社さんって毎日こういう投稿をされていて、「今日、これだけ使っていますよ」と。「62名使っているんだ。じゃあ、自分も使っていいや」って思いますよね。

次が2つなんですけど、ちょっと時間がないのでハロー効果だけ説明します。ハロー効果は、何か大きい特徴があった時に、それに引っ張られるみたいな感じですね。

これの右側を見ていただくと、下のほうに特記事項というのがあって、退職代行企業が辞めた理由をうかがったと。「10時間を超える研修でその間、休憩なし」「食事以外の水分補給禁止」「家族、友人と連絡を取らないように命じられる」って、けっこう強烈なことを入れていて、「あー、それは辞めるよね」と思いつつ。

その下のほうを見てみると「勤務時間外で掃除を命じられる」「3時間の講義のあと、その内容を最後まで思い出して、そのまま書き起こす課題がある」。

これ、別に掃除をやる文化だったり、オフィスに感謝をして仕事をしましょうって、なんだったら美談として言われることもある。下の書き起こしなんて「議事録を書け」っていうことであれば、別にビジネススキルとして当たり前といえば当たり前だなと思って。まぁ、今はAIがあるから「いらない」っていう意見もあるかもしれないですけど。

別にブラックじゃないものもいっぱい出すことによって、モヤモヤが「自分もそうかも」って思っちゃう感じですかね。

退職代行業者の投稿が2200万回以上閲覧

新保:それを連続した体感値で見ると、例えばモヤモヤしている若手がおりますと。それで、その人が「X」を見ると、だいたいそういう人にはアルゴリズム上、タイムラインに「ブラック企業の特徴10選」みたいなものがおすすめとして表示されます。10個もあれば、なんとなく「自分の会社もそうかも」って、なってきます。

そういうのを見ていると、当然モームリさんのPV数はすごいですから、タイムラインに出てきます。「あぁ、92名も使っているのか」と。実際にモームリさんってどうなんだろうと思って、このアカウントを見に行くと、モームリさんの紹介があり、「弁護士監修」「100パーセントの成功」。

それで「無料相談」で、この「LINE」って選択肢をクリックすると、LINEになって、すぐに連絡するという感じですかね。

それで先ほど言ったように、モームリさんの4月3日のポストはPV数が2,282万ですよ。僕、目を疑いました。(日本で)Xを使っている人の3分の1、(月間)アクティブユーザーの半分ぐらいが見ている。まぁ、ユニークユーザーじゃないかもしれませんけど、これはかなり広がっている。

松島:そうなんだよなぁ。

8割〜9割が「退職代行を使って後悔」

新保:なので、すごく大事なところなので説明するんですけど、先ほどの体感をして、ある不動産会社から広告会社へ行って、最初は良かったけどモヤモヤして辞めちゃった人。この人は辞めようと思ったら同期が先に辞めて「お前らは辞めないよな」って言われて、ますます言えなくなっちゃって。

それで「あ、退職代行っていうのがあるよね」となって使いました、という話なんですけど。これ、(スライドの)一番最後の「後悔がある」というところを一番お伝えしたくて。2ヶ月後に、僕が聞いたら「お世話になったのに、直接言えなかったことを今も後悔している」と言っていて。要はモヤモヤを解消したつもりだけど、結局解消しきれていないんですよね。

もちろん救われた人もいるっていうことはわかっているので、全否定するつもりもないし、ビジネスとしても成り立っていて、それを利用している人がいることは理解しているんですけど。

松島さん、こういう人、けっこう多くないですか? 僕らもいろいろ聞いているじゃないですか。

松島:いや、本当にそれ。退職代行ウォッチャーとしてはね。

司会者:(笑)。

松島:僕らは退職代行を使った人たちの声って、かなり聞いていて。8割〜9割の人が後悔していますね。

新保:そうですね。

松島:これを減らしたいんですよね。退職代行がダメというか、退職代行を使ってハッピーになった人はいいんだけど、やはり、後悔する人は減らしたくないですか?

新保:減らしたい。

松島:というのは、思いますね。

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