最終面接で社長が見ているものは
坪谷:カルチャーフィットのミスマッチを減らす前提で、アトラクトを中心とした面接があり、技術力をしっかり見るという判断がある。合理的でもあり、かつ哲学的でもあるのが、非常におもしろいなと思いました。
気になるのは、やはり「最終面接で片岡さんは何を見ているんだろう?」というところですね。半分ぐらい落ちるということですが。
太田:ゆめみが大事にしてきた考え方や価値観に照らして判断されていますね。ただ、あえて明確に言語化していない領域もあります。
これは、代表の片岡がその情報を握っておきたい、という意図ではなく、「経営とは連続性である」という哲学に基づいた姿勢なんですね。人も組織も、常に変化し続ける流れの中にある存在だからこそ、すべてを言葉で固定せず、その流れの中で判断すべきものは判断をしていく。
だからこそ、創業から今日までの組織全体を一貫して見てきた人がその判断を担うのが自然であり、結果としてそれが片岡である、というだけのことなんです。
実際に過去には、技術的にも人間的にも優れた方がいらっしゃったのですが、「この方のキャリアも考えると、今のゆめみよりも、ほかの環境でこそ力を発揮されるのではないか」と判断し、ご縁を見送らせていただいたケースもありました。
坪谷:そこも含めて合理的な感じがしますね。「言葉にならない領域」をちゃんと担保しているんだなと思いました。片岡さんはおいくつですか?
太田:40代後半ですね。
坪谷:じゃあ、まだまだ……。経営者交代の時、次にどう渡すかという時に、そこが問題として出てきそうな気はしますね。
太田:サクセッションという点では、たしかに課題としてありますね。
坪谷:そのあたりを考えると、ソース継承の話になってきますね。
太田:そうですね。ソース理論はうちにとっては、めちゃくちゃ重い課題だと思います。
坪谷:業種・業態からいって技術力がないと生きていけないから、試験でしっかりそこを見るし、カルチャーフィットも見る。最後に経営者が全体の連続性を見た中で、言語にならない暗黙の領域をしっかりと判断している。考え得る中ではとても理想的だと感じました。
「すごいですね」よりも適切なフィードバックの伝え方
秋山紘樹氏(以下、秋山):今のような採用の質を高く保つためには、フィードバックが非常に重要だと思うのですが、具体的にはどのような形でフィードバックを実施されているのでしょうか? 例えば、先ほどお話しされた課題や面接で不合格になった場合に、どのような点が足りなかったのかを伝えているのかについて、もう少し詳しく教えていただけますか?
太田:私たちが大切にしているのは、フィット理論に基づいたフィードバックです。フィードバックする時、つい「〇〇さんの能力ってすごいですね」とか「経験が豊富で素晴らしいですね」といった、褒め言葉を伝えたくなることってありますよね。
こうした、相手に良い気持ちになってほしいという想い自体は自然なものだと思っています。
ただ、こうしたフィードバックは、時には相手に過度な期待を持たせてしまい、思ったような結果が得られなかったときに、ガッカリさせてしまうことがあると感じています。こうした事態は、採用体験として良くありません。
だからこそ、フィードバックをするときは「すごいですね」ではなく、あらかじめ公開している基準に照らして「今のゆめみにマッチしている」といった伝え方を大切にしています。
秋山:ありがとうございます。フィードバックの観点でもう1つ、片岡さんの最終面接で落ちてしまった方に対して、どんなかたちでフィードバックをされるんですか?
太田:最終面接であっても、フィードバックを誰かに任せることはせず、片岡自身が責任を持って丁寧にお伝えしています。
たとえば、「お話ししていて、たくさんのご経験や高いスキルをお持ちなのは感じましたが、今のゆめみが求めている方向性とは少し違うかもしれません」といった形でフィードバックをしています。
秋山:面接などのフィードバックひとつ取っても、徹底ぶりがすごいです。先ほどは最終面接の話でしたが、もう少し具体的に伺ってみたいのですが、エンジニアを含めた会社全体として共通の採用基準はあるんでしょうか?
太田:そうですね。コーディング試験は間違いなくあります。試験なので、全部は明かせないんですけど、基本的にはやはりコーディング試験って、「良い・悪い」がはっきり出るものだったりするので。面接のところでも、明らかにゆめみと合わなそうな人は見ていますね。
不採用基準を公開しているメリット
秋山:明らかなNG要件があるとしたら、どうやって見落とさないように選考を進められているんでしょうか?
太田:そうですね。実は、ゆめみの不採用基準を出しているんですよ。
秋山:すごい(笑)。
太田:例えば、短期的なキャリア志向の方、自社サービスに関わりたい方、メタ認知やメタラーニングが低い方、ふだんから学習やアウトプットを怠っている方など、その背景も含めて公開しているんです。
秋山:なるほど、わかりやすいですね。だからフィードバックに関しても、ここに書かれている部分で、引っ掛かるところがあったら、「こういう理由でこのタイミングでは合わないと思いました」とストレートに伝えられるんですね?
太田:そうですね。私たちは事前に明確に不採用基準を出しているので、応募される方もそれを読んでいる前提でお話ししていますね。
坪谷:なるほど。 続きを読むには会員登録
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