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⑩太田昂志氏に聞く採用戦略(全4記事)

採用は大企業に正攻法で挑んでも勝てない ゆめみCHROが語る、「弱者の戦略」の3つの基本 [1/2]

人事領域の専門家の株式会社壺中天 代表取締役の坪谷邦生氏と採用市場研究所 所長の秋山紘樹氏が、毎回ゲストを迎えてトークセッションを行う「採用入門」シリーズ。今回は、株式会社ゆめみ 取締役 CHROの太田昂志氏を迎え、同社の採用戦略について鼎談します。本記事では、採用市場における「弱者の戦略」と、組織文化が大きく変わったきっかけについて語りました。

ゆめみが掲げる「弱者の戦略」

坪谷邦生氏(以下、坪谷):こんにちは。今回は全10回の『図解採用入門』対談の最終回ということで、ゆめみのCHRO太田さんに、採用初学者の方向けにお話をお聞きしていきたいと思っています。

太田さんとは壺中人事塾でのお付き合いですが、ゆめみ社がエンジニア採用で人気企業となっているのを拝見して、素晴らしいと思っていました。

太田昂志氏(以下、太田):機会をいただきましてありがとうございます。秋山さんもはじめまして、ゆめみの太田です。

秋山紘樹氏(以下、秋山):よろしくお願いします。

太田:それでは、まずはゆめみの採用ブランディングの戦略について解説させてください。まず、ありがたいことに、ゆめみは近年、Techブランドのランキングで上位にランクインする機会が増えてまいりました。

例えば、昨年2024年に日本CTO協会が実施したランキングでは、メルカリさんやGoogleさん、LINEヤフーさんに続いて、今は日本マイクロソフトさんと同率4位に来ています。



また、サポーターズさんが実施された「ITエンジニアの就活人気ランキング(2026年卒対象)」において、特にハイクラスエンジニア学生では9位にランクインするなど、高い評価をいただいております。

採用人数も、事業の状況に応じて柔軟に行っています。近年は、毎年少しずつ採用基準を引き上げており、それに伴ってお迎えできる方の数が限られてきている状況です。

ただ、その分、非常に才能や個性に恵まれた方々とのご縁をいただく機会も増えてきており、ありがたく感じております。

おかげさまで採用面では手ごたえを感じておりますが、私たちのような400名規模の会社が正攻法で挑んでも、資本力のある大企業にはなかなか太刀打ちできないのが現実です。ですので、ゆめみでは一貫して「弱者の戦略」をコンセプトとして掲げております。

3つの基本戦略

太田:「弱者の戦略」の基本戦略は大きく3つあります。1つ目は「大きな市場を選ぶ」、2つ目は「戦いが少ない空白地帯を狙う」、3つ目は「戦う意欲をくじく数的・量的優位を築く」です。

1つ目の「大きな市場を選ぶ」という点ですが、まず大事なのが、応募者のみなさんのニーズを的確に捉えることです。

採用における競争環境において、私たちは強者ではありません。ただ、だからと言って、強者が選ばない小さな市場を選ぶのではなく、大きな市場の中でしっかり価値訴求を行うことが、結果的に良いご縁につながると考えています。

この観点で、応募者であるエンジニアの方々のニーズを探ると、総じて成長意欲が高い傾向にあることがわかっています。ですので、ゆめみではその大きな母数の中でも、特に「より高い成長を求める応募者のみなさん」をターゲットとしています。「成長環境No.1」というメッセージを打ち出しているのも、成長意欲の高い応募者の方々に伝わることを意識したものです。

坪谷:なるほど。

太田:2つ目の「戦いが少ない空白地帯を狙う」という点ですが、大きな市場の中でも、採用競争が激しくない地帯を見極めることが重要だと考えています。そこで大事なのが、存在感を発揮していくことです。

ただ、大企業に比べて、採用広告費に十分な投資ができない中で、強者と同じ競争環境で存在感を発揮するのはなかなか難しい問題です。

そこで私たちが注目したのが、社員一人ひとりが自らの言葉で発信を行う、ということでした。ただ、ここでもう一つ大きな壁に直面しました。それは、エンジニアの業界では、「現場のエンジニアが積極的に発信をしている会社は良い会社だ」という認識が一定あるにもかかわらず、2018年以前のゆめみでは、外部に向けた技術的な発信が十分にできていなかったということです。

この課題を、私たちはむしろ「機会点」として捉えました。どうすれば社員一人ひとりが社外に向けてアウトプットできるようになるのか。この問いに向き合い、組織全体で変革に取り組んできたのです。

結果として、エンジニアのみなさんがよくご覧になっているQiita、最近ではZennといったプラットフォームで、ゆめみのエンジニアが執筆した記事がトップにランクインされることも増えてきました。「どうやらゆめみって、こうした記事も発信していて、技術力も高いみたいだぞ」と受け止めていただける機会が徐々に増え、それが採用にもつながってきたという状況です。

ゆめみの“アウトプット文化”はどう作られたか

坪谷:ありがとうございます。アウトプットがない文化からある文化に持っていく。しかも他社が狙っていないところをやるのは、けっこう大変だったのではないかと思うのですが、どう変えられたのですか?

太田:ポイントとなったのは、「発信」が自身のキャリアにとっていかに重要か、ということを外発的・内発的な動機づけの両面から働きかけたことです。

エンジニアの方々は、多くの場合、1つの会社にとどまらずに、転職などを通じてステップアップしていくものと考えています。

この時、自身の技術力の高さを会社に知ってもらうことが重要になりますが、こうしたスキルを言葉で伝えるのは簡単ではありません。だからこそ、Techブログなどを通じた対外的な発信が、有効な手段となるのです。

こうした点を踏まえ、ゆめみでは発信名義は基本個人アカウントでしてもOKにしました。それは、仮にゆめみを辞めたとしても、その活動はキャリアに結びつくという認識になるためです。発信先も、Qiitaやnote、Zennなどのプラットフォームを使って、アウトプットを「業務」として位置付けたところがけっこう大きいですね。

また、アウトプットを行うことに対して金銭的なインセンティブも提供しました。例えば、書籍を購入してその感想を発信した場合、会社が書籍購入費用を全額補助する仕組みを導入しました。感想は一言でも大丈夫ですし、一人当たりの年間上限金額も設けていません。

アウトプットのハードルを低くし、外発的・内発的な動機付けを行うことで、より多くの社員が積極的に発信を行うようになりました。

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