ソニックガーデン代表・倉貫義人氏と仲山考材の仲山進也氏が、毎月さまざまなゲストを迎えて「雑な相談 = ザッソウ」をするポッドキャスト『ザッソウラジオ』。今回は成功した起業家に共通する行動パターン「エフェクチュエーション」について語り合います。
成功した起業家に共通する原則:エフェクチュエーション
仲山進也氏(以下、仲山):僕は最近、積読がどんどん溜まっているんですけど。最近じゃないな。しばらくですね。
倉貫義人氏(以下、倉貫):相変わらず(笑)。
仲山:ぜんぜん本が読めていない。最近、読んだ本はありますか?
倉貫:忙しい中でも、飛行機で本を読んだりするので。最近読んだのは、黄色い鳥の絵が載っている『エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」』。日本語の解説というか、初心者向けの本ですね。
仲山:最近出たやつですよね。
倉貫:サラスバシー教授の書かれたやつは、ちょっとアカデミック過ぎて読み解くのがしんどいので。『エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」』は神戸大学の吉田(満梨)さんが書かれたんですけど(中村龍太氏との共著)、すごくわかりやすくエフェクチュエーションを説明されていますね。
仲山:エフェクチュエーションは、うまくいっている起業家をいっぱい調べていったら、共通の在り方が5つほど見つかりました、みたいな話ですよね。
倉貫:そう。「原則があったんじゃないか」みたいな。原則の名前が「手中の鳥の原則」とか、「レモネードの原則」とか、けっこうおもしろい。
仲山:ちなみに僕も今、手元に本がありまして、まだ読めてないやつ(笑)。今初めて開いて、パラパラしながらしゃべっています。
今あるリソースを活用する「手中の鳥の原則」
仲山:手中の鳥の原則は、自分の手持ちのリソースでなんとかしようみたいなやつですよね。「あれがない、これがない」とか言ってないで、とりあえずあるものでやる。
倉貫:「実は手元にいいものがあるんじゃない?」みたいな。
仲山:「自分の強みとかを活かして、いろいろやるんだよ」みたいなかたちですよね。
倉貫:2つ目は「許容可能な損失の原則」。要は失敗しても死なない中でやりましょうと。失ってしまっても大丈夫なところでやる、みたいなやつですね。
仲山:命がけでチャレンジをしないという。『GIANT KILLING』でいうと達海監督のセリフの「俺、解任まであと何連敗できる?」みたいな。
倉貫:はいはい。チームビルディングも何回か失敗して学びがあるみたいなこともそうだと思うし。
仲山:ディレクターさんから「シチュー?」って書かれてきたんですけど、「手中」です(笑)。手の中ですね。
倉貫:僕ら、活舌が悪いのでね。
仲山:そう(笑)。手の中の鳥ということですね(笑)。
(一同笑)
「予測ではなくコントロールによって対処する」
倉貫:シチューの鳥って、怖いよね(笑)。なんか、おいしそう(笑)。3つ目が。
仲山:「レモネードの原則」という。
倉貫:「酸っぱいレモンしか手に入らなかったら、レモネードを作ればいいじゃない」というやつですね。
仲山:良くない結果が出てもいいように。
倉貫:そうそう。手に入ったら、偶然でうまくやろうねみたいな話ですかね。
4つ目が「クレイジーキルトの原則」。これはその時その時でパートナーを作っていきましょうみたいな。競合とか、お客さんも含めて全部パートナーとしてやっていく。「クレイジーキルトの逆はパズルだ」って書いていましたね。パズルは全部マスが決まっているので、人を当てはめていく。
仲山:なるほど。
倉貫:ピースが埋まる感じで作っていく組織や関係者みたいな。それに対してクレイジーキルトは、切れ端の大きさやかたちがバラバラで、何が来るかはわからないけど、うまくつなぎ合わせて作ろうという話ですかね。
最後が「飛行機のパイロットの原則」。まぁ、飛行機のパイロットなので、要は進路を決めてそのとおりに真っ直ぐ進むだけではなく、飛びながらちょっとずつ調整していきましょうみたいな。
仲山:不確実性の中で、チューニングしながら進んでいきましょうと。
倉貫:できる範囲でコントロールしていくと、うまくいくんじゃないか。20ページ目の、第1章の最初に書いてあるんですけど、「エフェクチュエーションとは何かを一言で言うならば、それは熟達した起業家に対する……」。
仲山:お! 熟達!?
倉貫:そうなんですよ。「……意思決定実験から発見された、高い不確実性に対して、予測ではなくコントロールによって対処する思考様式です」ということが書いてあります。要は「不確実に対して予測するんじゃないよ」みたいなことを言っていて。
これも僕がよく言う「アジャイル」とかと一緒だなと。この間の本(『人が増えても速くならない──変化を抱擁せよ』)も、「変化を抱擁せよ」というキーワードをサブタイトルに付けてるので、同じスタンスというか。エフェクチュエーションの逆がコーゼーション(Causation)。日本語でいうと、因果論ですね。
アジャイルだけど、“行き当たりばったり”ではない
倉貫:「こうなるためには、こうするべきだろう」みたいなことを、ゴールから逆算するのがコーゼーションだとしたら、それの逆がエフェクチュエーションになる。
ということは、「今あるものから進めていく、とりあえずやってみる」みたいなものですかね。積み上げ型でやっていく感じは、読んでいて「知ってる、知ってる」という感じでしたよ。
仲山:「やってる、やってる」みたいな。
倉貫:そうだし、逆にこれしかできなくない? と思っている。そんなにできる?
仲山:まさに、ニアリーイコールでアジャイルですよね。
倉貫:という感じはしていますね。「決めてやるだけじゃないよ」と言っているので。
仲山:ザッソウラジオのゲストに来ていただいた、しーさんこと竹林一さんが、この著者の吉田満梨さんと、よくイベントをやっている気がする。
倉貫:はいはい。しーさんは、エフェクチュエーションを「わらしべ長者」って言っていましたね。
仲山:めちゃくちゃわかる。展開型ですね。
倉貫:だから、がくちょが言う「展開型」もアジャイルだし、エフェクチュエーションという感じがしますよね。
仲山:目標を決めて達成するやつ(目標達成型)じゃなくて。
倉貫:その「展開型」とか、「アジャイル」とか、エフェクチュエーションをやる人たちって、行き当たりばったりかというと、そうではないじゃないですか。それこそ無為自然みたいな、あるがままみたいなことでもなく。何かしらにはフォーカスをしている感じはするんだけど。
鎧を着ることが準備ではない
倉貫:アジャイルの文脈ということは、ものすごく怖い敵が来る時に、立派な鎧を着るのか、なるべく身軽にして、どんな方向から来ても避けれるようにするのか、みたいな。
仲山:はいはい。
倉貫:鎧を着るほうが、いわゆる昔ながらの計画主導なのか。究極的には「身軽にしておけば、避けれるじゃん」という、リアクションの力を高めておくことが大事な気がしますよね。何かあった時になんとでもなれるだけの鍛錬は積んでおく。
仲山:とりあえずね。会ったこともないものが襲ってきたと思ったら、鎧を貫くような爪を持った熊で、「鎧を着てもまったく意味がなかったね」とか。
倉貫:洪水だったら、実は鎧を着ていたから逆にダメだったみたいなこともあるので。
仲山:はいはい。