株式会社らしさラボ 代表取締役 伊庭正康氏の『研修トレーナー伊庭正康のスキルアップチャンネル』では、業績の悩み、効率の悩み、マネジメントの悩み、コミュニケーションの悩み、モチベーションの悩みなど、仕事の悩みを解決できるビジネスメソッドを紹介しているチャンネルです。今回は、部下を本気にさせる説得力のある上司になる方法をお届けします。
20代〜50代に聞いた、「理想の上司像」ランキング
伊庭正康氏:今日のテーマは「理想の上司になるため」に、ある1つの要素を絶対に押さえていただきたい。そんなお話をしていきます。
こちらです。もはや計画を実現するとか、「我々はナンバーワンになるぞ!」といったことだけでは、メンバーはついて来ないですよね。それではもう通用しないんです。もう時代が変わりました。じゃあ、どういったリーダーであれば、メンバーをワクワクさせられるんでしょう。それを今日は紹介していきます。
今日のメニューはこちらです。理想の上司像とは? 2つ目、一流のリーダーに共通するメッセージとは。そして3つ目、説得力のあるリーダーになるために何が必要なのか。そして最後にリーダーシップを高めるために、この習慣を身につけておくと完璧だっていう話をしていきます。なので、さらにリーダーシップを高めていきたい方は、ぜひ見ておいてください。理想のリーダー像になれるヒントが満載です。
このチャンネルは年200回登壇する研修講師の伊庭だからこそお伝えする、明日からやってみたいなと思える、そんな本物のヒントを紹介していきます。ぜひこちらからチャンネル登録をよろしくお願いします。
さぁ、ではいきましょう。1つ目、ドン! まず理想の上司像が変わってきましたという話をしていきます。あなたはどれに近いですか? そして、あなたの上司はどれに近いでしょうか。エン・ジャパンさんの2024年の調査です。20代から50代の1,838人に聞いた調査。では、5位から1位まで順番にいきますね。
部下の意見を「尊重しすぎ」もNG

第5位、強制型。「あれやれ」「これやれ」「つべこべ言うな」。たった1パーセント。もう話になりません。第4位、先導型。「ついて来い!」。ついていく人は11パーセントしかいません。第3位、民主型。「みんなの意見を尊重するよ」。尊重しすぎは18パーセントしかいませんという話です。このあたりはちょっと気をつけないといけないですよね。
第2位、コーチング型。これはもうやったほうがいいですよね。あれやこれやとマイクロマネジメントをするのではなく、考えさせるんですよね。「何があればいいと思う?」「じゃあ、どうしていこうか」「でもこの観点から見たらどうかな?」と気づきを与えるのはコーチング型なんですよ。これはもうやったほうがいいですよね。
さぁ、第1位はビジョン型です。何これ? ですよね。このように説明されています。リーダーの夢をチームの共通の目標にする。達成の方法は部下の主体性を尊重する。
どこを目指しますか? とみんなで決めるのが民主型ですよね。そうではなくて、リーダーが「自分は、こうしたいんだわ」ということをきちんと語れるということです。「達成の方法は任せるんだけど、ここを目指したいんだわ」と。これは民主型との違いですよね。じゃあ、ちょっと考えてみましょう。
あなた、そしてあなたの上司は、目指したい夢、ビジョンを語っていますか? これを語ってないと、第1位にはなれないんですよ。実は私も、かつてを振り返った時に語っていませんでした。最初の頃、目標達成とか「一番になろうぜ!」とかしか言っていませんでした。
当時はまだギリギリ通用したかもしれませんが、あるタイミングから「あ、なんかこれではダメだな」と私も気づきました。それで、世の中のいわゆるすごいリーダーたちはどんなことを言っているのかを研究し、わかったことがあります。
一流のリーダーに共通するメッセージ
こちらです。ドン! 一流のリーダーに共通するメッセージが、実はあったんです。事例も後からお話ししますが、まず法則を確認していきましょう。これは私が企業研修や「Udemy」で紹介している、ある図です。この図を押さえておいてください。

まず誰のために、我々はここまでしてがんばらないといけないのか。例えば私は営業課長、営業部長をやっておりました。
じゃあ、営業課長としましょう。この営業目標を必ず達成させよう。「この営業所の数字、あるからね。数字を達成させるぞ!」。これは誰のためなんですかね? 会社のためですか? 課長であるあなたのためですか? 実は誰のためでもなくて、「責任」ってことですよね。これでは人は熱くなりません。
じゃあ、あなたがここでがんばれば力になるよ。あなたのためにがんばろう。あなたの昇級のため、あなたのチャンスのためにがんばるべきだよ。これは余計なお世話です。そして次にこちらです。「We」、私たちのためにがんばろう。これは「我々が一番になるためにがんばろう」とか、「何がなんでもあそこに負けてはダメよ」みたいな話なんですよ。
これでは、もうがんばれない時代なんですよ。かつてはがんばれましたが、全員ががんばれるってことじゃないんです。じゃあ、どうすればいいか。この社外と社内を分ける円をご覧ください。YouとかWeは、社内ですよね。「社内の何かの論理のためにがんばりましょう」というのでは、ないんですよ。
この円の外にあるものは、社外なんです。WeじゃなくてTheyなんですね。見ていきましょう。このTheyというのは「〇〇の方々のために我々はやらねばならない」という構造なんです。〇〇の方々のためにやらねばならないということは、どういうことなんでしょうね。もう少し見ていきましょう。Beforeは、この人たちの、この状況を放っておけないということなんですよ。
事業にとっての「They」を軸に考える
そしてAfter、ドン! この方々のBeforeをAfterにした状態を一緒に作りたいと思ってるんです。「だから我々はがんばりたいんです」という構造になっているんですね。私は求人広告の営業の課長をやっていたことがあるのですが、その時にこんなこと言ってましたね。
途中でこれが通用しないなと思いました。それで、考えに考えました。その時のTheyというのは、この事業にとってのThey、人不足で困っている会社さまもそうですし、仕事を見つけたいけれども、なかなか見つからないという求職者の方々もいらっしゃるわけですよね。どちらもTheyなんですよ。この方々のためにがんばっている。例えば人不足で困ってる企業さまを、やはり放置できないんです。
でもBeforeは、いい人が入らなくて、本当に困っていらっしゃる会社さまもいらっしゃいます。その状態を何とかしたいんですよね。なのでメンバーさんには、こう言っていました。「我々は人不足で困っている企業さまのために、まだまだやることがある。例えば今人不足で残業が起こってる。もしくは社長さまが後継者不足で頭を悩まされている。こういう状況を私は何度も見てきている。この状態を私は許せない。
なので、少しでも安心して経営に従事していただけるように、私は全力を尽くしたいと思っている。後継者が見つかる、人不足で残業がなくなるということを、少しでも早く解消したいと思っている。そのためは1件1件求人広告を集め、人をちゃんと入れるお手伝いをしないといけない。それが今我々が掲げてる営業目標なんだよ」という話を、何度も何度もしておりました。
なので、こういった構造をちょっと整理をするだけでも随分と変わるんです。ぜひBefore、Afterで考えてください。あなたが尊敬する一流のリーダー、アニメのヒーロー、政治家もしくは歴史の偉人たち、経営者は、まずThey、Before、Afterになっているはずです。これは現場リーダーも知っておかねばならないことなんです。
口先だけではない、説得力のあるリーダーになるために
さぁ、では3つ目。説得力のある人になるためには、ある条件が必要なんです。メンバーは口先だけで言っても「あぁ、なんか言ってるね」となってしまいます。1つ目、Theyのリアルを代弁する人になる。口先だけじゃなくて、Theyの事実を知り、誰よりもTheyの幸せを考えている人になるということなんですよ。

例えばスティーブ・ジョブズさん。「こんな事務的なパソコン、ダサいパソコンで何がいいんだ。もっとスマートなかっこいいオフィスで仕事してほしいですよね」みたいなところから、デザインという要素を取り入れたんですよね。
あと、星野リゾートの星野社長もTheyのリアルをよく語ってらっしゃいます。我々はリゾートの達人になる。日本の人たちはリゾートを楽しむということを知らない。でも海外の人たちのような楽しみ方をもっと広めたい。
そんなことをよくおっしゃってるように、私は耳にしております。だとすれば、あなたはお客さま、もしくはまだお客さまになってくださっていない方の「不」、Before(を知ること)ですね。「不」っていうのは、不満とか不安とか、不便ですよ。そこに対して事実知ってください。これだけでけっこうです。お客さまのこと、お客さまにまだなっていない方の事実をどれだけ知っているかなんですよ。もし知ろうとしていなければ、口先だけになっちゃいます。
自分の生い立ちや経験を語る
では、もう1つが、自分の生い立ちや経験を語る人になるというアプローチ。これは選ばれし人だけになるかもしれません。そういう経験をしていればですよね。例えば、孫正義さんは「情報革命で人々を幸せにしたい」と、よくおっしゃっているんですよね。
「まだ情報革命で、情報が行き届かない人たちがいる。それが私は許せないんですよ」と語ってらっしゃいました。でも「なんでそこまで思うんですか?」といったら、「かつて私たちの家族がそうだったんです」という話もされている映像もあります。ご苦労されてるんですよね。まぁ、これは割愛しますけれども。
あと、ニトリの似鳥(昭雄)会長。あの似鳥会長の著書を読んでいると、もうことごとく出てきますね。「自分が貧乏だった。こういう暮らしはやはり良くない」と。でもアメリカに行ったら、もう本当に大衆の方がすばらしい生活をしていると。
これを日本に届けたい、安い最高の家具を届けたい。「お、ねだん以上」のニトリの出来上がりなんでしょうかね。ということを考えた時に、生い立ち、経験を語れる人は、やはり説得力があるんですよね。
さぁ、こう考えた場合、どちらでもけっこうです。Theyのリアルを代弁する人になる。これができないと、ただの役割リーダーなんですよね。役割だから言ってるんじゃなくて、1人のリーダーとして、それを語れる人になるということです。
「そんなことやってる人いるの?」と思われるかもしれませんが、現場リーダーでもこれを語っている人は、実は多いんですよ。これは研修で、いつも私が言ってることなので、力強く言います。やってないと、主任も課長も今の時代はダメなんです。