女子の理系人材を増やすための取り組み
吉村:ありがとうございます。じゃあ教育について、石倉さんからお話をぜひ。このあたりは本業でもあられるし、大学院でも勉強されているとうかがいました。
石倉秀明氏(以下、石倉):そうですね。しかも大学院の研究室が教育経済学なので、専門っちゃ専門なんですけど。さっきのお話でもあったんですけど、例えば今、大学だと女子枠の入試がちょっと話題になるんですよね。
ご存知ない方のために言うと、今、理系の学部って女性が非常に少なくて、すごく男社会というか。でも社会としてはデジタル系とか理系の人材を増やさなきゃいけない。その中でも女性の比率も増やさなきゃいけないということで、いろんな所で女子枠入試ができています。
女子枠入試という名の総合型選抜とかAOなので、ふだんのAOとあんまり変わらないんですけど、そういうのができています。
おもしろいなと思ったのは、それができると応募してくるんですよね。この間、東大の総合型選抜の結果がちょっとニュースになったんです。東大って、みなさんご存知かわからないですけど、ずっと女子比率20パーセントで、「なんとかしなきゃいけない」ってずっと口だけ言ってるんです。
吉村:(笑)。
石倉:それは置いといて、総合型選抜だと法学部でも半分女子だし、教育学部は確か全員女性だったはずなんですよね。なので、実は「そこは女性のための枠だよ」と言わなくても「ここは比較的、女性が安心して受けられるものです」となると、受けてくるんです。
なのでやはり、入口をちゃんと示すとか、フレンドリーであることを示すことはシンプルなように見えるけど、行動を変えるために非常に重要だなと思っているのが1個。
女子の応募が増えると男子も増える

石倉:もう1個は、女子枠入試が非常にうまくいって、何年もやっている大学さんがあって。知っている中でも3つぐらい非常にうまくいっている有名な大学があるんですけど、その大学は今、1年生で入ってくる人たちが、理系だと3割ぐらいが女子になっているんですね。なのでその大学では、実はOECDの平均ぐらいまできているんですよ。
おもしろいのは、すべての大学の方が言っていたんですけど、男子の応募も増えたんですって。
小泉:おもしろいですね。
石倉:女性の応募が増えて比率が増えれば増えるほど、男子の応募数が増えて倍率が上がるらしいんですよ。
吉村:それ、なんでですか?
石倉:たぶん理由は2つあって、女性でも研究しやすい、勉強しやすいってことは、例えば研究室で徹夜するような環境じゃなくなっているだろうと。要は男性にとってもシンプルに勉強しやすいよね、みたいなことがたぶん1個。
もう1個は下世話な話で、高3の男子が考えるとすると「男だけよりは女の子もいたほうが勉強のモチベーションが上がるよね」みたいな話なのかなっていう(笑)。
(一同笑)
広島県で女性の大学進学率が高い理由

篠田:モテ、めちゃめちゃ大事だと思いますね。これは若干の感覚値も含めたお話なんですが、まさに思春期から20代って、当たり前ですけどモテるかどうかってある種、人生の死活問題じゃないですか。
その時に勉強ができる女の子がモテるか、仕事をバリバリやっている女の子がモテるのかっていうと、少しずつ変わっているかもしれないんだけど、日本だとまだそうではなかったりする。
わりとシンプルにそういうところで、例えば若い女性たちが自分の能力を花開かせることにブレーキをかけちゃう。お勉強ができることでモテなくなるんだったら、それは当然モテを選ぶと思うんです。
そこに、実は大人とかメディアの影響ってめちゃくちゃ大きくて。これは実際に裏付けがある研究なんですよね。なので、例えば若い方々が接するようなコンテンツで、勉強できる女性、仕事がバリバリできる女性のほうがモテるとなると、今の力学もすごく健全化していくんじゃないかなと感じました。
石倉:見えるところにあるのはすごく大事なんだと思うんですよ。47都道府県で男性と女性の4大進学率で、女性が男性よりも高いのは1県しかないんですけど、これは広島県なんですね。
広島県って実は、女性の小学校の校長先生の比率が日本で一番高いんですよ。教育機関って不思議で、幼稚園・保育園から小学校、中学校、高校、大学っていくじゃないですか。上がれば上がるほど教員の女子率ってどんどん下がっていくんですね。なので小学校で女性の校長先生を見なかった人は、だいたい一生、校長先生は男のままなんですよ。
なんだけど、広島県は女性の校長が中学校に行ってもけっこういるから。女性がトップに立つとか、バリバリ進学して学びに行って、高い位置を取りにいくことが根付いているんじゃないかって言われている研究が1個あって。広島県だけなんですよ。なので、そういうのはわりと影響しているんじゃないかなっていう気がしますけどね。
吉村:ありがとうございます。先ほどのお話のロールモデルというところにもつながってまいりますね。
だいぶいいお時間になってきてしまいました。もしこのあと懇親会にご参加いただく方は、ぜひ登壇者のみなさんにもご質問をしていただけたらなと思います。
今日はお時間をいただいて、みなさんありがとうございました。
石倉:ありがとうございました。
篠田:ありがとうございました。
小泉:ありがとうございました。