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パネルセッション「女性と経営 IWD2025に寄せて」(全3記事)

管理職が実力のある部下に気づいていない? 優秀な人材を見逃す「無意識バイアス」の落とし穴 [1/2]

「スモールビジネスを、世界の主役に。」をミッションに掲げるフリー株式会社が国際女性デー2025を記念して開催したイベント『女性と経営 数字で見るスモールビジネスとDEI』より、エール株式会社 取締役の篠田真貴子氏、公益財団法人山田進太郎D&I財団 COOの石倉秀明氏をゲストに迎えたセッションの様子をお届けします。女性リーダーの育成をトピックに、女性管理職を増やすために意識したいポイントを語り合います。

なぜ女性リーダーが少ないのか?

吉村美音氏(以下、吉村):ありがとうございます。ちょっと盛り上がりすぎるので、次の話題にまいります。その2、「起業家・社長・役員など経営における女性リーダーの育成について」というテーマで、お話をうかがっていきたいと思います。

前提として、弊社で出している雑誌『起業時代』のデータなんですが、20代・30代の女性に「実際に起業をしたいと思いますか? 理由は何ですか」というデータを取っています。

その中で実際に起業したい女性はやはりいらっしゃるんですけれど、ほとんどの場合が「時間がなくてできない」ことで諦めているデータがあります。

ということで、石倉さん。女性リーダーの育成ってけっこう難しいんじゃないかなと思われるんですけれど、前職でも女性のマネジメントをかなり担当していらっしゃいました。そのあたりから、少しご説明いただいてもよろしいでしょうか。

石倉秀明氏(以下、石倉):はい。さっきの自己紹介でもちょっとお話ししたんですけど、私はもともとキャスターという会社の取締役をやっていました。この会社は2014年に設立して、当時から全員がフルリモートワークで働いているんですね。

なので行く場所がない。一応、オフィスは登記としてあるんですけど、ぶっちゃけどこでもいいという感じでやっています。そうすると、従業員の方も応募者の方も、9割ぐらいが女性でした。さっきの時間(柔軟性)みたいな話で、必然的にリーダーもほとんど女性になっていったんです。

その前まで僕はIT企業のディー・エヌ・エーにいて、非常に男性社会だったんですが、じゃあ優秀さで何か違うのかと言われると、「別に違わないな」という感じはまったくしますし。

女性は管理職になりたがらないわけではない

石倉:でもなんでそういう人たちがキャスターに来て、リモートワークを選んでいるのかを聞くと、例えばご結婚されて普通に働きたい女性がいましたと。その人がもし出勤の仕事だったら、時短勤務になったりするんですよ。なぜならお母さんがお迎えに行くことが多いから。

そうすると、通勤があると往復でだいたい2時間ぐらいかかりますよね。ですが、リモートワークだとそのぶん働けるので、フルタイムになるんです。キャリアが継続できるから、そのまま働いたりとか、リーダーになっていく方が多くて。

やはり今、女性がリーダーになるかならないかの壁の1つに、残念ながら労働時間の課題がある。

そう考えた時に、労働時間を伸ばす解決策の1個として、場所を問わず働けるようにするとか、さっき言ったとおりフレキシビリティ。仕事を始める時間を早くできるようにする工夫だけでも、女性でリーダーになれる人が増えていくと思います。

よく女性は管理職になりたがらないって言うんですけど、女性ばっかりの環境だとそんなことまったくなかったので。むしろ「チャレンジしてみたいんですけど」「君、そうなの?」みたいな人がいたりするんですよ。

なのでやはり「私たちはあなたたちのような“毎日飲みに行って、週末はゴルフに行っての”管理職は無理です」という、カッコの中がないだけでぜんぜんなるんだなっていう感じはしました。

吉村:ありがとうございます。そういう意味では、女性の中で女性リーダー像が確立されていれば、そんなことはないはずだというお話につながりますね。

石倉:残業時間も、会社として平均9分とかだったんですよ。なので普通にできるよね、みたいな。

マネージャー以上の女性管理職をどう増やすか

吉村:すばらしいですね。そういったロールモデルの観点も含めて、篠田さん、いかがでしたか。

篠田真貴子氏(以下、篠田):ありがとうございます。すごく納得感があるなと思いながらうかがっていました。今、女性の登用率を上げていこうと努力している大企業のみなさんのお話をうかがう機会がよくあるんですね。

その中で早めに取り組んできたところは、いわゆるマネージャー層はある程度、適切な人材がなってくださって、女性比率3割は見えてきたんだけど、さらにその上のところで「けっこう困っています」と。

その話が今の話とつながるんですが、部長とかになると「こうじゃなきゃいけない」という過去からの伝統芸能的な、無意味な何かがあるんですね。

努力をされている会社だと、課長としてすごく優秀でがんばってらっしゃる方を部長に登用する時に「いざという時にすぐ駆けつけられるのか」みたいなことを……。

石倉:それすごく言いますよね(笑)。

篠田:言うでしょう。一例として私がうかがった会社の人事のトップの方は、昇格を決める会議で「その『すぐ駆けつけなきゃいけない』事案って何回あるんですか」と。「そんなにしょっちゅうあったら、そもそもその事業部がヤバくないですか」という逆突っ込みをして「いや、うん……」みたいな。

つまり管理職、部長なら部長が、本当は何をしなきゃいけない人なのかを経営者がもう1回解きほぐして「これが必要だよね」ということの目線合わせができると、さっきのキャスターさんのようなことが起きやすくなる。ちょっとずつですけど、日本の大企業でも起きていますね。

篠田:私自身で言うと、30代は外資系の大きい会社で、40代はほぼ日というスモールビジネスで働いてきたので、いわゆる日本の大きい会社の価値観とは違う環境にいられた。

だからわりと素直に「がんばります」「よしがんばった、はい」ってポジションが来るような経験ができて、自分が女性だから特別難しいとは思ってこなかったので、やはり環境ってすごく大事だなと、個人の実感も含めて思います。

吉村:ありがとうございます。役職者に関しては、役割の定義と合わせて、実際の機会も大事だというところでお話をおうかがいさせていただきました。ではそのあたりも含めて、次のトピックにいきましょう。

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