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Z世代を激的に伸ばすマクレガーのXY理論(全3記事)

若手社員が“漠然とした不安”を抱えて退職してしまう理由 企業はどう対応する?Z世代に効果的な育成方法とは

組織行動論の金字塔であるマクレガーの「XY理論」と、ハーツバーグの「動機づけ衛生理論」を基礎に、Z世代の特性を踏まえた育成方法について紹介するウェビナーが開催されました。本記事では、若手社員を育成するための対応策4選、企業側に取り組んでほしい課題などを解説します。

マクレガーの「X理論」と「Y理論」とは?

宮地尚貴氏:X理論に関しては、マズローの5段階欲求に重ねてみると、生理的欲求・安全欲求しか持っていないという前提のものです。ですので、仕事の生産性を高めるためには命令や統制が必要。

そもそも人間は生理的欲求と安全欲求しか持っていないので、仕事に対しての目的や意義を持っていない。なので、命令・指示をしていかないといけないというのがX理論です。

Y理論はどちらかというと、社会的欲求、承認欲求、自己実現の欲求を持っていて、満たされている。なので、高次元の欲求を満たせるようなアプローチ、特に一番上の自己実現を満たせるようなアプローチをしていく必要がありますよというのがY理論です。

X理論における人間観みたいなところも共有できればなと思います。「できれば仕事をしたくない」(笑)。誰でもって言ったら失礼かもしれないですが、働かずに稼ぐことができれば最高かなと思いますが、できることなら仕事をしたくない。命令され統制されないと能力を発揮できない。指示されないと動けないとか、命令されることを好み、責任を取りたくない。

X理論・Y理論を私からつらつらお伝えさせていただきましたが、「どちらかというと今の若手はY理論なんじゃないか?」と思われた方が多くいらっしゃると思います。ただ、X理論にも当てはまりそうなところがございませんか? 仕事に意欲的じゃない、指示されないと、目標を与えられないと動けない、納得感のある指示がないと動けないとか。

上の役職に就きたくない、責任を取りたくないというお話を他社さんから聞かれた方、もしくは社内でお話を耳にした方は多くいらっしゃるんじゃないかなと思います。X理論の要素も、多少なりとも持ち合わせている方が今は多いです。

ですので、X理論においては指示・命令、徹底的に細やかな行動管理が求められる。どちらかというとマネジメントの中ではアメとムチじゃないですが、褒めて時には叱ってあげるというのが必要ですよ、というのがX理論です。

性善説であるY理論的マネジメントを実行すべきなのか

一方でY理論は、そもそもモチベーションを持っています。「目標達成するために動けます。条件次第では自ら責任も取りにいけます」という、要は優秀な人材だなというところです。

「優秀」というワードが出ましたが、今の若年層の方々はニーズとしてはY理論の方が多くなっているんですけれども、X理論に当てはまる方も多くいらっしゃるんじゃないかなと思っています。

ですので、企業は性善説であるY理論的マネジメントを実行すべきなのかどうなのかというところなんですが、最終的にはY理論的マネジメントですね。いわゆる高次元の欲、自己実現を満たしていくような指導が求められると思います。

今、社員の方々の一定層は仕事に対しての目標を持っていないとか、「仕事においては将来どうなりたいとかわからない」という方も多くいらっしゃいますので、目標を与えられたいというニーズが多いです。仕事においては目標を与えられたい。その目標を達成するために何をすべきなのかもできればヒントが欲しい、ぜひ具体的に教えてほしい、というニーズがある。

弊社も特に新入社員の方に目標は掲げさせますが、やはり半分ぐらいは……本当に口調が悪くなって大変恐縮なんですけれども、ちょっとトンチンカンと言ったらアレなんですが「え、その目標でいいの?」みたいな目標を立てられる方が多くいらっしゃいます。

「これは会社から求められているものじゃないし、その目標のレベルでいいのか?」という目標を立てられる方は多くいらっしゃいますので、そういった方々にはまずはX理論的マネジメントが求められる。なので、実際にヒアリングをしてみてほしいなと思います。

「仕事で1年後、2年後、3年後にどうなりたいか」という話をした時に、あまりにも漠然とした回答が出てきたらイメージができていないと思います。

「社会貢献したいです」「認められたいです」「役に立ちたいです」「一人前になりたいです」ぐらいしか出てこないと、仕事に対しての目的・意義を持たれていない方が多いので、それは会社から提示してあげる必要がある方なんじゃないかなと思います。

「君にはこういうふうに育ってほしい。こういうふうに育つと、もしかしたらプライベートでこんな良いことがあるかもしれない」という、自己実現のところも兼ねてお伝えしていくことが求められるなと思います。

なので、最終的には自律を促していく、自己実現を促していくことがゴールではあると思うんですが、社員さんそれぞれの能力や仕事に対する意欲、エンゲージメントによって使い分けていく必要がある。

若年層が漠然とした不安を抱えて退職する理由

今の新人は自己成長意欲が高いのかとか、Z世代の特徴の中でそうなんじゃないかというのを挙げさせていただきましたが、X理論・Y理論的に言うと、やはり全員が全員そうではないので個別に対応していく必要があるんじゃないかなと思っています。

なので、XY理論を踏まえたZ世代へのアプローチがぜひ参考になればなと思います。新人層、特に大学、高校から卒業してきた入社したてのまっさらな方には、具体的な目標を与えて、どんな行動が好ましいのか示してあげる。

ある程度業務に慣れて、仕事に対する全体感をつかめてきた段階で、目標を自分で考えさせる。そして、目標に対しての行動も自分で考えさせる。成長できている実感を与えることが求められるのかなと思います。ちょっとでも階段を上がれているのか、上がれていないのかという成長実感ですね。

ここ3、4年ぐらいで、製造業の企業さまからの若年層の離職を防ぐ依頼だとか、管理職のマネジメント研修の依頼が弊社に急増してきているんです。工場・製造現場だと、モノが適切に作られるのが当たり前。欠品が出たらまずい、モノがちゃんと作られないのがまずい状況だと思うんですね。モノをちゃんと作るのが標準、スタンダードだということです。

10年、15年、20年働いてる方はそれに慣れているので、作られるのが当たり前。ただ若年層からすると、今までできなかった業務ができるようになった時って、褒めてほしかったり認めてほしかったりするじゃないですか。

だから、そういった製造現場の業務・業態上、できたことに対しての「認める」というアプローチがあまりにも少ない。なので、若年層が成長実感を感じることができにくく、「大丈夫なのかな?」という思いを漠然と抱えて辞められるということが、増えている企業さまはあるんじゃないかなと思います。

なので、このあたりは製造業の企業さまは押さえていただくといいのかなと思います。実際に製造現場の上司の方々に確認をしてみると、「そういえば新人に声をかける時って『お前、これができてないじゃないか』って、確かに指摘する時だけだったな」「できていることは当たり前だからその認識はなかった」と、言われる方がけっこういらっしゃいます。

このあたりが当てはまる企業さまは改善に向かう。認めるのがいかに大切なのかというのは、若年層のニーズからも表れているのかなと思います。いつでも相談できる体制、関係値を構築していくとか、自分自身の目的・目標と組織目標とを関連付けさせる、意識させることが大切になるのかなと思います。

X理論、Y理論を踏まえた対応策4選

実際に若年層を具体的にどうしていくのかという、ハーツバーグのモチベーション理論というのがございまして、こちらは別の「若手のモチベーションマネジメント」というものでもご紹介しております。

ご興味ある企業さまは、ホームページの「DL」と書いてあるダウンロードページがあったと思いますし、今後もこのWebセミナーを予定しておりますので、セミナーページからも予約いただければなと思います。

ということで、X理論、Y理論を踏まえた対応策もお伝えできればなと思います。重ね重ねになりますが、絞っていくとこの4つになるのかなと思います。採用の精度を高めていく。入社直後の初期教育を充実させる。あとは定期面談ないし相談環境の醸成。そして上司の方の育成。

具体的にお伝えしますと、弊社もそうですが、前提として中小企業はエリート人材が集まりにくいなと思います。ただ、ミスマッチを防ぐことはできると思います。マッチしているか、マッチできていないかですね。

どんな人が自社に合うのか・合わないのか、若手も千差万別といいますか、人それぞれでいろんな方がいます。なので、どんな人が合うのかをあらためてきちんと定義して、それを採用のクオリティに直接的に関連付けていかないと、入社後のギャップに苛まれて辞められるという方も多くいらっしゃいます。

なので本日のお話で言うと、X理論的な人が合うのか、Y理論的な人が合うのかというのも含めて、再検討いただけるといいなと思います。

あとは、入社直後の教育の充実ですね。特に新入社員の方であれば、今は初期の教育はけっこう丁寧にやらないといけないなと思いますし、社会人としてのマインド形成がより色濃く求められていると思います。

初期の教育が簡単すぎるなとか、OJTだけになってないか? という企業さまは、あらためて見直されるのも1つかなと思っております。

あとは定期面談ですね。それこそ初期の教育をしっかりすることが必要です。ただ、初期教育の内容を本人の中に理解・浸透させていくには時間がかかりますので、じゃあ4月に初期教育を徹底的にやったからといって完璧なのかというと、そういうわけではない。

5月、6月、7月と時間が経っていくにつれて、忘れ去っていくところもございます。そこからの定期的なフォローないし面談、相談機会を作っていかないと、初期に教えた内容が定着しづらかったり、メンタル状況の把握だったりもできなくなっていきます。なので、こういった面談も求められていると思います。

「今さら学びたくない」という管理職の本音

そもそも育成の仕方を学んでいない、今の若年層に対してどんな指導の仕方が合うのかという意味で理解されていない方も多くいらっしゃいますので、そのあたりは対応できるように指導者の指導機会を作っていく必要もあるかなと思います。

管理職研修をはばかられる企業さまもいらっしゃると思います。管理職になって、いろんな経験や体験も積んできて、「今さら学びたくない」という管理職のニーズもあったり。あとは、そもそも今までの実体験だとか経験が邪魔をして新しい知見が入りづらいとか。

そこへのアプローチの方法として、「管理職の方がダメだから受けてください」というアプローチの仕方をすると、当然ですが入りにくくなっていきます。

なので、「指導者としての能力は十分だと思います。ただ、今は若手の傾向が変わっているので、若手がどんな傾向で、どういう対策をすべきなのかを一度聞いてみるのはどうですか?」みたいなソフトなアプローチをすると、けっこう積極的に受けてくださる方も多いなと思います。

弊社でも、若年層の指導を通じて管理職を育てる取り組みをやらせていただいているんですけれども、やはり「管理職研修を受けてください」と言うと、「なんか自分が今さら否定されてる気がする」ということで後ろ向きになる。

ただ、「若年層の教育のために、自分たちは押さえておくポイントがあるのか?」という視点だと、上司の方々も研修や弊社との打ち合わせに積極的に参画いただける機会もございます。なので、上司育成がなかなか進まない企業さまは、そういったアプローチの方法も検討されてみてもいいのかなと思います。

企業側に取り組んでほしい課題

会社としてぜひ整えておいたほうがいいのが、やはりキャリアを作っていくところですね。がんばると1年後にはどんな能力が身について、本人にとってどんな成果が手に入るのか。お給料だとか仕事のやりがいの側面、スキルも含めてですね。

がんばることによって、1年後にどんな能力・資格ないしスキルや給与に反映されるのか、どんな成果が上がるのかを提示していく必要があるなと思います。

それを提示する書類が、難しい文字になっていますが「能力開発体系図」と言われていたりします。このあたりは今、確か従業員300名以上の企業さまは「作らないといけませんよ」と言われていたりすると思います。

整備されていない企業さんはぜひ整備いただきたいと思いますし、もう整備されている企業さまは、社内に伝わっているのか・伝わっていないのかを確認いただきたいなと思います。作って終わりになると意味がございませんので、ちゃんと周知ができていて、社員それぞれがこれを認識できているのか。

この能力開発体系図も、教育計画、お給料、評価制度と連動していないと効果が出づらいので、最終的にはその連動を目指していただけるとうれしいなと思います。

これはほかのセミナーでも伝えさせていただいたんですが、何をどれだけがんばればどうなるのか、社員さん一人ひとりがちゃんとわかっていないとがんばれない。これは管理職の方もそうじゃないかなと思います。

「育成をがんばっても評価されない」というのが根底にあって、「結局は売上を上げるのが自分の管理職としての仕事で、育成は付随業務だ」みたいな認識になっていると、育成に対していくらやりなさいと言っても取り組めないので。

何をどれだけがんばれば自分がどうなるのか。もしくは自分の評価にどう反映されるのかが全社的に周知されていないと、管理職の方も若年層の方も、求められている行動が取りづらくなるんじゃないかなと思います。

若年層を育てるための3つのキーワード

余談になって大変恐縮ですが、この間、プロ野球の12球団の満足度調査みたいなところがあったんですが、球団に対する満足度の1位が阪神。最下位は失念してしまったんですが、下から2、3番目に楽天がきていました(データはイベント開催時のもの)。

ただ、球団別のお給料ランキングでは阪神は7、8位とかだったんですよ。逆に楽天は3位だった。ただ、満足度・やりがいで言うと阪神が1位で、楽天が下から3番目だった。

中日は2022年が最下位で、2023年が9位から8位、7位ぐらいになっていたんですが、お給料が高ければ従業員、それこそ今回で言うと選手たちの満足度が高まっているのかというと、そういうわけでもなかったということです。

中日もお給料ランキングは確か2023年が中位、もしくは上位だったんですが、選手会満足度ランキングが最下位だった。それで、選手が球団に意見書を出した。「結局、どの成果を出せば評価されるのかがわからないから取り組みようがない」と意見書を出して、集団がそれを改善して、満足度ランキングが2023年には中位に上がっていたということがありました。

やはり、どの業界でもそのあたりがきちんと提示されていないと、社員一人ひとりががんばれないところがありますので、このあたりの提示ができているのかできていないのかは、ぜひ社内でチェックいただけるとうれしいなと思います。

ですので一般的には、まずは相談できる環境を作る、仕事での成長実感を体験させる。あとは働きがいを認識させる。このあたりがキーワードとしては入ってきますので、ぜひ参考になればうれしいなと思います。

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