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Z世代を激的に伸ばすマクレガーのXY理論(全3記事)

若手が抱く仕事の不満、1位は「フィードバックがない」 マネジメント層に見直してほしい“時代錯誤な育成方法”8選

組織行動論の金字塔であるマクレガーの「XY理論」と、ハーツバーグの「動機づけ衛生理論」を基礎に、Z世代の特性を踏まえた育成方法について紹介するウェビナーが開催されました。本記事では、時代錯誤なマネジメントを脱却し、若手社員を育成するためのヒントを探ります。

Z世代の仕事上の弱み・強み

宮地尚貴氏:(Z世代の仕事上の弱みは)自分で考える力が乏しい、承認欲求が強い、打たれ弱い、リアルな関係構築が苦手、失敗を極端に恐れる、感情表現が苦手など。これらが業務上の弱みとなっているので、若年層の初期教育の段階でここらへんを押さえることが求められると思います。

大学を卒業した段階でここが備わっているとは思わないほうが吉かなと思います。あまりここらへんを期待しないほうがいいので、「ここはしっかりと社内で教育していかないといけないんだ」と割り切られたほうが、考え方として企業側が楽になると思います。

ただ、もちろんこれを備えている方もいらっしゃるので、そもそも採用の段階でスクリーニングをかけていくことができれば教育のコストが減ってきますので、ここらへんは採用の工夫かなと思います。

ただ一方で、こういった強みもあります。ネットリテラシーが強い、情報収集能力が高い。ただ、浅い知識を持ってくるかもしれないので、そこはちょっと統制が必要です。

あとは、効率的に仕事をこなす。一言で言うと、いわゆる「優秀」と言われる方も多かったり、社会問題にアンテナが高いとか、キャリアアップに意欲的、納得したらやり抜けるといった特徴がございます。

だからこそ指導の中で求められているのが、「とりあえずやってみよう」というよりは、意義・意図・目的を伝えた上での指示。ですので、丁寧な指導を求められると言われていたりします。

キャリアアップに意欲的なので、「本人のキャリア」と「会社がなってほしい像」を掛け合わせるような指導の仕方。要は、本人がどういうキャリアアップを望んでいて、会社的には5年後にこの状態になってほしいと望んでいる。

なので、「会社のこの業務をできるようになると、君にとってもこんな良いことがありますよ」という、本人にメリットを提示するような指導の仕方がとても求められていると言われていたりします。

若手が抱く仕事の不満、1位は「フィードバックがない」

ただ、「ええ、こんな特徴なの?」と思われたように、やはりここらへんがギャップだと思うんです。なので、このあたりの指導がなかなかできていないばかりに、Z世代の方々が不満を抱えていることが多いです。

驚きなのが1位ですね。「フィードバックがない」。業務上の自分の仕事の結果が正しいのか、正しくないのか、とにかくコメントが欲しいんですね。承認が欲しいというところにも関連付いているかなと思います。

あとは「キャリアプランが見えない」。「自分はこの会社にいて、1年後、2年後、3年後、5年後にどうなれるのか」という漠然とした不安を抱えるので、ちりが積もっていって離職につながっていく方も一部見受けられたりもします。

あとはOJT。先ほどキーワードとして「初期の教育が大事だ」というところが挙がっておりますが、初期教育のところで背中を見て学べと言いますか、なかなか丁寧に教える機会が少ないと「教えてくれないんですよね」という不満になったりします。

業務上の指示・指導だけのコミュニケーションになっていると、本人たちが求めている指導とはまた違ったりします。

業務上の指示・指摘、例えば「この資料を印刷しておいて」「ここが間違ってるぞ」というよりは、「1年後にこういう人材になってほしいです。そのために今、これをやっておこう」「それを考えると、ここができていないのはまずいよ」といった、先々を見据えた上での指導もけっこう求められていると言われていたりします。

ですので、まずはこのあたりが社内でできているかをご検討いただけるとうれしいなと思っております。

育成計画の作成でエンゲージメント・モチベーションをアップ

人事施策において、何か手を打たれていますか? やはり管理職の方が対応できるようにしないといけないなと思っています。ただ、弊社でもよく違和感を覚えるのが、「なんでこれだけ管理職層が若手に合わせないといけないんだ」ということです。

もちろん若年層には、社会の現実や仕事とは何なのかとか、それこそマインドセットの側面プラス、ビジネススキルをしっかりと伝える必要がある。

ただ管理職も、どんな方が来てもいいように、対応できるようになっていく必要があるかなと思います。なので、ここはどちらかというとマネジメントの強化だけにとどまらず、やはり双方向への育成の強化が求められるなと思います。

あとは勤務時間の改善ですね。最近だとフレックスを導入されている企業さまもあったりしますが、働き方改革、DX、それぞれのワークライフバランス。

ワークライフバランスは、人それぞれとらえ方が違うところがありますけれども、それぞれの働き方や自己実現に対応できるような勤務体系をとっているのか。

マネジメントのところと関連付いてきますが、フィードバックの質。特にマネジメント力の中でも、フィードバックの質が求められてるなと思います。「社内での指導の声かけの質」ですね。将来の先々を見据えた指導ができるか・できないか。

あとは、育成計画の作成。育成計画を作って本人に見せるだけでも、満足度が若干上がります。満足度と言ったら失礼かもしれないですけれども、本人のエンゲージメント、モチベーションは多少なりとも上がります。

なので(育成計画を)作られていない会社さまは、付け焼き刃かもしれませんが育成計画を作ることがおすすめですね。本当に簡単なものでかまいません。「1年目の方にはこんなふうに育ってほしい」という、1年後、3年後、5年後の育成計画みたいなものを作る。

これから新入社員を受け入れる方ですと、受け入れるまでまだ少々時間がありますので、もし(育成計画を)作られていない場合は、次の受け入れにはそれが提示できるようにされておいたほうがいいと思います。

“相談できる環境”は離職率にも影響する

あとはメンター制度の導入ですね。昨今マネージャーの責任、管理職の責任の中で挙がってきているのがメンタルケアの部分です。部下の保護管理責任。大手だとか、会社さんによっては保健室を用意していたり。心身の健康状況が良好なのかというのも、上司の方の指導責任に入ってきたりしております。

ただ、上司の方が業務上の指導をしてメンタルのケアもして、中小企業さまだとプレイングマネージャーの方が圧倒的に多いので骨が折れる。大変じゃないですか。そのメンタルケアの負担を減らす点にもつながりますので、メンター制度を設ける。

先輩社員のほうが相談しやすかったりすると思うんですね。メンター制度を設けることで、先輩社員に気軽に相談できるような環境作りをする。

相談環境が離職率にも影響するというのは、弊社もよくデータでも拝見いたしますので、メンター制度というよりは相談環境を作ることが求められるのかなと思います。あとは「飲み会を増やそう」というわけではなくて、業務時間上でのコミュニケーション機会を増やしていく。

エン・ジャパンさんのアンケートなんですが、「部下が育っていない」と回答している管理職の方が、3年前に比べて確か3倍から5倍ぐらい増えているというデータがありました。

実際に「部下が育っていない」と回答している管理職の方の、部下との月間のコミュニケーション時間も出ていたんですけれども、けっこう少なかったですね。月間で5時間以下とかだったと思います。しかもそれは1人に対して5時間じゃなくて、複数人に対して5時間以下なのでめちゃくちゃ少なかった。

ですので、本人が業務の改善や業務上の課題を洗い出せるような、「今日どうだった?」「今日ここが良くてここは良くなかったです」「じゃあ次はどうしようか」と、本当にこういった会話でかまいませんので、業務の改善を促すようなコミュニケーション機会を創出する。

あとは、そもそもの採用でミスマッチを防いでいく。従業員満足度向上調査をしていくなどなど、いろいろ対策することが求められます。社内を見渡した時にどこが優先度として高いのかというのは、ぜひ優先順位をつけて一つひとつ潰していただけるといいなと思います。

見直してほしい育成方法8選

育成の観点で言うと、冒頭で「マネジメントや指導の仕方、フィードバックの仕方にテコ入れをしないといけない」というところがありましたけれども、ここが今は時代錯誤と言われていたりします。なので、こういった指導をされている方々は要注意です。「見て学べ」というような育成方法とか、努力、根性、気合い、みたいな精神論が入らなくなってきています。

ただ、(精神論も)大切だとは思うんですね。例えば弊社もコミュニケーションスキルの研修とか、PDCAサイクル、プレゼンスキル、自社の提案力向上の研修とかをやるんです。

例えば、弊社が伝えているコミュニケーションスキルを完全にマスターして実行すれば、仕事が100パーセントうまくいくのかとか、提案力をマスターすれば100パーセント売れるようになるのかというと、そういうわけでもないと思うんですね。

特に提案力なんかで言うと、根底には本当に自社の商材を良いと思っているかとか、会社に誇りを持っているか、自分の提案力に自信を持っているか。ここらへんでの自信や仕事に対するとらえ方、それこそ根性論・精神論みたいなものが大切になってくると思うんです。

ただ、表面上での気合いが大切だとか、努力が大切だとか、「根性を持て」みたいなコミュニケーションが入りづらくなっているという印象ですね。なので、気づかせる必要があるなと思います。

やり方やスキルは大切ですが、じゃあ、そのやり方を習得すれば何から何までうまくいくかというと、やはりそうじゃなくて。その根底には思いとか気持ち、情緒があるということに気づいてもらうような指導の仕方をする。弊社の研修の構成にも取り入れられておりますが、「技を磨いて心に至る」みたいな指導が求められているのかなと思います。

あとは雑用の押し付けですね。「背中を見て学べ」というリーダーシップ、長時間労働、飲みニケーション。厳しい叱責は時には必要かと思いますが、「集団の前での」厳しい叱責。あとは放任主義。要は放置しない、気にかけてあげる。ここらへんができているのか、できていないのかというところは、ぜひ見直していただければいいなと思います。

この1番から8番までで半分以上できていないところがあると、管理職の育成に多少なりともテコ入れをしていかないといけないかなと思います。このあたりも参考になるとうれしいなと思います。

「XY理論」と「5段階欲求」とは何か?

というところで、Z世代の特徴・傾向、それに対するどんな方法のマネジメントがおすすめなのかをダイジェスト形式でお伝えさせていただいたので、本題のXY理論をお伝えできればなと思います。マクレガーという教授の方の理論なんですが、どんな理論なのかというと、人間観に基づくモチベーション理論。X理論とY理論の2つがあります。

X理論とは何なのかというと、ちょっと消極的な説です。「人間は本来仕事が嫌いであり、仕事をさせるには命令・強制が必要である」という考え方。要は欲求がない。仕事の意欲や目的を持っていないので、とにかく命令して指示してあげる必要がある。

一方でY理論は高次の欲求と書いてありますが、目標を持っている。なので積極的に行動しますよという、いわゆる性善説的な考え方です。

このX理論・Y理論というのは、マズローの5段階欲求というのが関連付いています。この5段階欲求は何なのかといいますと、生理的欲求、安全の欲求、社会的欲求、承認欲求、自己実現の欲求。これがピラミッドになっているようなイメージです。

生理的欲求とは何なのかというと、要は生存本能みたいなかたちです。「生きたい」とか、睡眠や食事みたいな、生きていく上で必要な欲求というイメージですね。なので、一番低次元な欲求と言われています。

そもそも睡眠が取れていない、食事が取れていない状況だと、この上の欲求が湧いてこないということですね。安全の欲求、社会的欲求、承認欲求、自己実現の欲求がそもそも湧いてこない。人間の根底には、最初に生存の欲求がある。

この生理的欲求が満たされるから安全欲求がある。健康を維持していきたいとか、食事や睡眠もストレスなく取れている。「将来の健康を考えると、自分もそろそろダイエットしていこうか」となっていくようなかたちです。

そこから次のステップとして、社会的欲求。組織に所属して安心感を得たいとか、組織に受け入れられたいとか。生理的欲求、安全欲求があるからこそ社会欲求が生まれてきて、組織に所属したという感覚を得られた。社会的欲求を得られたからこそ、認められたいという承認欲求がくる。

誰かに認められてきたからこそ、自分の何かを実現していきたいという自己実現欲求が出てくるというかたちですね。昨今、やはり満たされている方が多い。そんなに生活に不安を抱えて育ってきた子は少ないということで、自己実現の欲求がある方が多いというのは一般的にも言われていたりします。

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