これから本格化する採用に向けて、本セミナーでは「26卒の市場トレンドと最適アクション」を解説します。直近の学生/企業の動向データから読み解く傾向や、26卒採用で押さえておくべき動き方のポイントについて語ります。本記事では、新卒採用で知っておきたい学生心理と効果的なフォローについてお伝えします。
54.3%の学生が企業や人事の対応で志望度が下がった経験あり
前本貴生氏(以下、前本):そうしたらこの後は、けっこう具体的に自社の採用に取り込めるような内容もお伝えしていくところになるかなと思っています。
「フォローや人事の対策について」というところになるのですが、こちらも学生さんのアンケートを基に自社でどのような対策を打って、どういう打ち手ができるのかを具体的にお話ししていけたらなと思います。まず1つ目。「企業や人事の対応で、志望度が下がったことはありますか?」ということですね。
鷹野翔太氏(以下、鷹野):これ、企業側からするとぐっと来るデータですよね。先ほど軽く触れたとおり、インターンシップを開催したけども現場の受け入れの都合で学生さんの意欲が逆に下がってしまったということもあります。
なので、やはりコンテンツの設計や誰がどう対応するかはめちゃくちゃ見直しをしないといけない。入念に計画をしていかないとけっこう失敗しちゃうパターンもあるので、ここは私自身もご相談に乗る機会が多いです。
会話の態度や学生への興味が感じられないと志望度が下がる
前本:そうですよね。志望度が下がったら辞退されるわけなんですが、サイレントで辞退されて理由がわからないこともあったりします。今回もう1つ質問があります。「その際の対応の内容を教えてください」ということですね。
鷹野:「何があかんかったの?」っていうところで、先ほどちょっと触れたような内容ですが、「会話の態度が(良くなかった)」とかが挙げられます。
あとはけっこうZ世代でよく言われる特徴としては、承認欲求が少し強いという傾向もあります。ある種、自分への興味・理解が感じられなかった。本当に自分を欲しいと思って言ってくれているのかというところです。思いやりがあるのかであったり、誰でもいいと思っているんじゃないかと感じてしまった時に、少ししょんぼりしちゃうという傾向もあります。
なので「あなたに本当に来てほしいんだよ」というところは丁寧に伝えたり「あなたの人生をちゃんと思って伝えています、向き合っています」というところを意識すると、それで大幅に改善できるかなというところですね。
前本:全員に同じことを言うのではなくて、パーソナライゼーションというか個別最適化をして、ちゃんとその人に合った話をしていこうということですよね。
鷹野:おっしゃるとおりですね。
オンラインでのコミュニケーションの打ち手
前本:ありがとうございます。そしてここで大事なのが対策や打ち手ですね。「何を」というところですが、いかがでしょう?
鷹野:そうですね。「ここまでせなあかんか?」って思われる企業さんも多いと思うんです。
前本:(笑)。
鷹野:すごくわかるんですけど、やはり特に今、オンラインでのコミュニケーションが主流になってきています。自分も本日のセミナーでも少し意識している点ではあるんですが、声のトーン・頷き・相づち・ジェスチャーの部分とかを少し大きめにしていく。丁寧に伝えていこうとする姿勢を持とうとするだけでも、かなり印象は違ってくるかなぁと思います。
オンラインで強い方は、やはりオフラインになった時にも魅力が最大化するところもあるので、パーソナリティーとしてどなたが適任かも少し見直していただければと思いますし。お一人でされている方に関してはちょっと練習が大変だとは思うんですが、少し自己表現のところを見直ししてみる、トレーニングするのも大事だったりします。
前本:ありがとうございます。話す内容もそうですけど、非言語情報もけっこう伝わりやすいですよっていうところですよね。
鷹野:おっしゃるとおりです。
企業や人事の対応で、志望度が上がったコミュニケーション
前本:続いて、「企業や人事の対応で、志望度が上がったコミュニケーション内容は次のうちどれに当てはまりますか?」ということですね。
鷹野:そうですね。丁寧・誠実というところになるので、いかに清らかかつホスピタリティがあるかに尽きるのかなぁと思います。自分が他の企業さんのお手伝いをさせてもらった時には、例として「高級ホテルのホテルマンさんのような対応ができたら理想です」とお伝えしています。
もちろんそこまでやりきらなくてもいいと思うんですけど、それに近しいような受け答えであったりとか、対学生さんだからというよりは、1人の大人として少し話していきつつ(対応するといいと思います)。
ただ、親密になればもちろん少しフランクになって、心と心を通わすような動きでもいいのかなと思うので、ここはもうケースバイケースかなぁとは思います。
面接官によって結果が左右されない「構造化」
前本:丁寧・誠実な対応(をすることは)、もう「そうですよね」という感じではあるんですが、実際にどんな対策・打ち手があるのかみたいな話はいかがでしょう?
鷹野:そうですね。けっこう漢字が列挙されているんですけども。
前本:(笑)。
鷹野:構造化面接、半構造化(面接)、非構造化(面接)という、ここの部分を「使い分ける」というとあれですけど、企業さんによって合う・合わないがあるので、自社に落とし込んだ時にどれが合うかをご検討いただければなぁというところですね。
簡単に言うと構造化というのは、面接の質問内容からその判定基準までしっかりと決めておくことです。誰が面接官であっても絶対にこういう質問を投げかけて、こういう回答が来たら二重丸、逆にこういう回答が来たらNGみたいなものを設けておく。
非構造化というのはもう完全にフランクなパターンですね。面接官の方にすべてを委ねて、「質問として何を聞いてもらってもいいです。その中で学生さんを見極めてください」という動きです。
半構造化はそれのミックスになります。「ここは絶対に話さなあかん、聞かなあかん」というところもありつつ、あとは面接官の方の裁量に合わせて進めていくというところです。
構造化が必ずしもいいかというと別にそうではないとは私個人も思っています。本当に型化すべきかどうか。(しかしながら)今まで面接官によって結果がかなり左右されている場合は、構造化面接をしっかり採り入れてみるのが大事だったりします。
前本:ありがとうございます。逆に、すでに構造化面接をされている企業さんで、選考通過率がいつもより悪いとなったら、(原因を)ひもといてあげることもしたほうがいいですよね?
鷹野:そうですね。ここは見直しをしていって「なぜバンバン落とされるのか」、もしくは「なぜかこのタイミングですごく選考辞退が多い」というところがあれば、この面接の中身をちゃんと見直しするのがけっこう大事だったりします。
半数近くの学生が希望する「内定後のフォロー」
前本:ありがとうございます。続いていきますね。「内定後のフォローで具体的に欲しいものは以下のうちどれですか?」という質問です。
鷹野:そうですね。けっこう学生さんは個々で話がしたい方が多いです。特に人事の方は会社と学生さんの架け橋になるような存在として学生さんも認識されていることが多いので、ここの打ち手の部分も、やはり人事面談の時間だけでなくて中身をしっかりと見ていきましょうというところです。
口説き系でいくのか、悩みを聞いて学生さんのモヤモヤを払拭するのか。これはどちらにしても掛け合わせていただきたいなと思うんですけど、自社の魅力をちゃんと伝えましょうということです。「あなたとうちと、どこが合うのか」をちゃんと認識をすり合わせしておいて、最終ジャッジを促すのが大事かなぁと思っています。
特にゴール設定は大事なので、「このことを話してこういう状態にできるようになんとか会話を持っていく」と、ある程度目標を定めて進めていったほうがいいかなというところですね。
学生に「どんな会社で働きたいか」を聞くのはNG
前本:ありがとうございます。続いて、「就職活動において最も課題に感じる点は以下のうちどれですか?」という質問なんですが、面接対策という回答が一番多いです。
鷹野:そうですね。ここに関してはわりとSNSの発達で、いろんな就職に関してのスキルアップとか、こうやれば間違いなしの回答集とかいろいろ出てくるので。変な話、やはり小手先で面接を突破しようという学生さんも少なくない。
ただ、実際面接に進んでみると、そんな質問が飛んでこなくてしどろもどろになっちゃったっていうパターンも多いので、けっこう企業の見つけ方とか選考の対策に対して過度にビビってしまっているとか、不安がっている学生さんはすごく多いなという印象ですね。
前本:そうですよね。で、対策や打ち手ですね。
鷹野:これはけっこうやってしまいがちなところだと思うんですが「どんな会社で働きたいですか?」と、悩んでいる学生さんに対して言うのはあまり良くなかったりします。
「どのように」というところにも書かせてもらっているんですが、「やる気の源泉」というところです。
例えばアルバイトとか学業もそうですし、「いざ社会人になった時にどういう社会人であれば仕事をがんばれるんだろうね?」とか、ご自身に置き換えた時に「何が楽しく過ごせる源泉なんだろうね?」というところを棚卸ししてあげる。
そうすると、学生さんのやりたいことや、いざ仕事というところで割り引いた時に、どういうことをしたいのかが見えてくるかなぁと思いますね。
面接のフィードバックを希望する学生が多い
前本:なるほど。ありがとうございます。一緒に整理をしながら進めていくというところもそうですし「企業さんとの選考の中で企業にサポートしてほしい内容はありますか?」という質問です。
鷹野:選考に関してやはりフィードバックが欲しいという方が多いですね。学生さんが安心したいポイントというのが、結局自分がいろいろ話した中で、「本当に(話した内容は)良かったのか」がすごく気になっている傾向があります。
特に面接の時、合否判定を出される際に、合格の通知を出す時にも、面接官の方が評価したポイントを箇条書きでもけっこうなのでお伝えいただくと、学生さんの自信になったり、「この会社の選考をもっとがんばって受けよう」という意欲向上にもなるのでおすすめですね。
なので、打ち手にも書かせていただいているとおり、やはりフィードバックを徹底しましょうというところです。「あなたのこういうところを会社として特に評価しました」と。かつ、それに加えて自己肯定感を上げる一環でもあるので、プラスで人事の方や面接官の方の「ぜひ仲間になってほしいなぁ」という思いも少し乗せてあげるとより効果は高まるかなぁというところですね。
採用に強い会社になるための対応策
前本:ありがとうございます。ここまでにいろんな対策とか打ち手をお話しさせていただきました。最後のおさらいのところになります。鷹野さん、お願いします。
鷹野:傾聴姿勢をとにかく見せつけましょうというところですね。学生さんのご意見であったり、不安がっているところはちゃんと聞いているよと。その上で自社に来てほしい理由であったりとか、「あなただからこそこういう仕事を任せたいと思っている」というところをしっかりと伝える。
かつ、そこはオンラインであればしっかりと、身振り手振りもそうですし、人事の方が前のめりになっている姿勢を見せるだけでも、学生さんとしては「ここの仲間になりたいな」という意識につながってくるので、少し意識づけて取り組んでいただければなぁと思います。
採用において集まらないところもそうなんですけど、「集まったのに、あとに何か不安がある」とか「ここで辞退がある」みたいな課題感がもしあれば、必ずその選考フローの中やフォローの部分で糸口があると思っています。
なので、どこでその学生さんの意欲が下がっているのか、出ていってしまっているのかをしっかり棚卸しした上で、面接の仕組みを変えるのか、内定者さんのフォローとして懇切丁寧な部分を少し加えるのか。
そういうところをしっかりと見つめ直していただくと、(就活生の採用市場への)流入後、母集団形成ができた後の部分では採用に強い会社になるのかなと思うので、そこをぜひ徹底して実践いただければなと思います。
前本:ありがとうございます。ちなみにこれ、チェックシートもございますので、もしよかったらご利用いただけたらと思います。そして最後にですね……鷹野さん、最後の最後になりました。
鷹野:これは大事なところなので、音読します。
前本:(笑)。
鷹野:「学生の心境から逆算をしましょう」と。かつコンテンツや時間の構成をしっかり考えることで、学生さんとの相互理解が深まって、採用の糸口から成功というところにまでつながるのかなと思うので、ここの実践をぜひ意識していただければなと思います。
前本:ありがとうございます。これまで2026年卒の採用市場、そして就活の市場を基に対策や打ち手をお話しさせていただきました。鷹野さん、ありがとうございます。
鷹野:ありがとうございました。