これから本格化する採用に向けて、本セミナーでは「26卒の市場トレンドと最適アクション」を解説します。直近の学生/企業の動向データから読み解く傾向や、26卒採用で押さえておくべき動き方のポイントについて語ります。本記事では、26卒の市場トレンドから見る採用戦略についてお届けします。
26卒の市場トレンドと最適アクションについて解説
前本貴生氏(以下、前本):前本と申します。私はi-plugに2022年10月に入社しまして、最初はカスタマーサクセスとして仕事をしていました。前職では採用担当もしていましたので、今日は採用担当者の方に寄り添って、登壇者に質問しながら進めていきたいなと思います。どうぞよろしくお願いします。
そうしたら、今日登壇いただく鷹野さん、自己紹介をお願いします。
鷹野翔太氏(以下、鷹野):みなさまこんにちは。株式会社i-plugのCS2部という営業部に所属しております鷹野翔太と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
私は最初から人材(採用支援の会社)にいたわけではなくて、最初は通信端末を取り扱う商社におりました。自分自身も新卒入社で、簡単に言うとミスマッチを経験をしたタイプでございます。
やはり、学生さんと企業さんのより良い採用のあり方を広げていきたい、作りたいという思いがありまして、そこから「OfferBox」を運営している弊社i-plugに2019年に入社いたしました。
約5~6年経って、ずっとこの営業にいるんですが、誰もが知る大手企業さんや、あとは(従業員が)5人未満の小さい企業さんに関しても幅広く採用支援をさせていただきましたので、そこの知見を基に本日はいろいろとご案内をできればなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
前本:よろしくお願いします。鷹野さん、CS2部ということは成功報酬でご利用いただく企業さんのサポートの部署にいらっしゃるってことですね?
鷹野:そうですね。今はその立ち回りではあるんですが、過去に早期定額型プランという定額型の中長期でご支援する部署にも並行して(所属して)いた者でもあるので、早期の動き方や、あと中・末期の部分での採用の手法等々でもご案内は可能かなと思います。
前本:ありがとうございます。今日はよろしくお願いします。
内定辞退で取り逃し…企業が抱える採用課題のアンケート
前本:早速本編に入っていきたいなと思うのですが、みなさま、こんなお悩みはありませんか? ということですね。
今は、売り手市場、超売り手市場とも言われていますし、就活の早期化と採用活動の長期化で広報解禁後も採用獲得競争が激化していくわけなんですが、なかなか目標採用人数を確保できないとか、例年よりも辞退が増えているとか。そもそもこのタイミングの時期で学生さんが気になっているコンテンツ、コミュニケーションって何なんだろう? みたいなこと(にお悩み)ですよね。
お悩みはいろいろあるかなと思うんですが、今日は学生さんの動き・傾向を理解して自社の採用を成功に導くプロセスやコンテンツを最適化するための情報を入れて帰っていただけたらなと思います。
そして、今日のトピックは3つあります。まず1つ目が「26卒採用活動状況調査」。なので、企業さんの動きですね。そして2つ目が「26卒就職活動状況調査から読み解き」なので、学生さんの動きになります。そして3つ目が「フォローや人事の対策について」という流れでお話をしていきたいなと思っております。
まず1つ目の「26卒採用活動状況調査」からです。これは企業さんへのアンケートになるんですが、「現在抱えている採用課題を選択してください」というご質問への回答ですね。いかがでしょう、鷹野さん?
鷹野:けっこうこういうデータはいろんな調査機関も出されているものだとは思うんですが、とにかく(母集団人数が)集まらへんと。
(一同笑)
鷹野:そういうところでよく出る部分です。弊社の調査では、単純に数が集まらないのか、質が集まらないのかというところもちょっと分けてご回答いただけるようにご用意しているんですけども。
単純に数が集まらへんというのはもう毎年よく聞くお声なんですが、それに加えて、やはり「うちが本当に欲しい学生さんがそもそも来てくれない。どうしても選考の途中で落とさざるを得ない」というお声も多くいただいています。
それに次いで、やはり内定辞退ですね。「せっかくいい学生さんが採れたと思ったのに他に流れてしまった」とか、「しっかり魅力訴求をしきれずだったのか、学生さんにご納得いただけなかったのか、内定辞退などで惜しくも取り逃してしまった」というお声がかなり増えてきたなぁというところですね。
「学校訪問」を希望する企業が増加
前本:ありがとうございます。ここに加えてこういった課題があるということなんですが、「採用課題に対して追加で取り組むことを検討していますか?」という(質問に対する企業からの)回答ですが、これは意外ですね。
鷹野:そうなんです。学校訪問という選択肢がここまで高い得票数になったのってあまりなくて。正直ここって、毎年だいたい採用のスケジュールや媒体の見直しといった、今このトップ2・3で出ているご回答が多かったんです。
ただやはり「もう直接学生に会いに行ったほうが早いんちゃうか?」という企業さんがかなり増えてきました。
ただ一方でこれは難しいところで、大学さん側としてもけっこうこういうお声が増えてしまったが故に、どうしても門前払いせざるを得ない事態が発生しています。
自分もけっこういろんな企業さんとお話しする中で、「大学訪問に行こうと思っていたんやけど、結局『もう枠がいっぱいなんですわ』と断られたので採用手法を、別で見直したほうがええかなぁ?」とご相談いただくケースはすごく多いですね。
前本:そうですね。学内合説(学内合同企業説明会)は枠が埋まります。学内合説ってだいたい過去に卒業した方が就職先に選んだ会社さんが、けっこう先に採択されていますよね。
鷹野:そうですね。おそらくお得意先があると思うので、どうしてもそこに新規参入するのは難しいのかなぁと思いますね。
前本:ただ手法としては1個あって、もし仮に、もうそれもやらなくちゃいけないんだとなったら、大学のホームページから問い合わせてみるのがいいんですかね?
鷹野:そうですね。それかキャリアセンターさんの連絡先があれば、そこに直接ご連絡いただいて、ちょっとお試しで攻めてみるのも1つだと思います。
早期選考や付加価値をつけた説明会が増加
前本:なるほど。ありがとうございます。続いていきましょう。「1月以前の学生との初回接触方法は以下のうちどれですか?」という質問です。
鷹野:そうですね。ここに関しては、会社説明会が最多というのは、ここも例年どおりかなというところですね。
ただやはり早期選考やそれに絡めた説明会がすごく増えてきています。例えば「ここに参加してくれたらすぐに1次選考のご案内をします」「もう免除して2次選考に進めますよ」「当日にグループ面接をやります」みたいな、ちょっと付加価値をつけたものが増えてきているかなと。
そもそも数が集まらないという課題感も一定あるので、いっそ個別面談というかたちで、1対1で「どういう就職軸なの?」「自社の魅力ってこういうところがあるよ」と、カスタマイズしながら説明をしていくような面談形式のものもかなり増えてきているかなぁという印象ですね。
前本:なるほど。やはり夏にインターンとかをしていると、9月~10月ぐらいに会社説明会や選考に乗っかったり、あるいは個別面談(をする機会があったりするん)ですけど、最終的に決めてもらうまでの期間とか、コミュニケーション醸成とかで言ったら、やはり個別面談のほうがまだベターな感じですかね?
鷹野:そうですね。
一概にインターンシップをやればいいというわけではない
前本:ありがとうございます。そして、今後計画している学生さんとの接触方法ですね。
鷹野:そうですね。ここに関しても、おそらくここをご回答いただいた企業さんの頭の中では、おそらく3月以降とか、その前後での開催予定のものだとは思いますが、やはりそこも会社説明会が多く占めています。

インターンシップという選択や職業体験、会社見学や工場見学ももちろんそうなんですけど、実体験を基に会社の魅力を知ってもらうという切り口で学生さんを集めていらっしゃる企業さんもやはり増えてはきているかなぁと。
ここも受け入れ体制がいい状態であれば功を奏すこともあるんですけど。ただ一方で、現場の社員さんがなかなか学生さんのフォローに労力を割けないとか、口下手な方が多くて学生さんが楽しいと思えるような雰囲気作りがどうしてもできなかったというところで逆効果になるパターンもあります。
ここは入念にご計画を進めていただく必要はあるかなというところなので、一概にインターンシップをやればいいというわけではないのが難しいところですね。
1月後半の時点で、約7割の学生が選考過程〜内定承諾
前本:そうですね。ありがとうございます。ここまでが会社さんへのアンケートの調査でして、1社1社におそらく(採用の)やり方とか、どういうふうに進めていけばいいのかというのはあったりするんでしょうけど。
ここからは2026年卒の学生さんの状況調査から読み解いて、どういうことをやっていけばいいのかみたいなお話に進められたらなと思います。
そうしたら、まず1つ目ですね。今の学生さんの状況なんですが、「現在最も選考が進んでいる企業における選考状況を教えてください」ということですね。
鷹野:我々も採用媒体を運営している会社ですけど、1月後半の回答でこれだけ選考過程が進んでいるというのはやはり早期化の波は本当に進んでいるんだなぁと思いますね。大変な時代になったなぁというのが正直なところです。次のページに確か内訳のところが出ているのかなぁと思うんですけれども。
前本:そうですね。「現在選考に進んでいる企業はどれぐらいありますか?」というかたちですね。
鷹野:逆に選考に進んでいない学生さんは5人に1人だけです。24.6パーセントで、もうほとんどの学生さんは何かしらの企業さんの選考に進んでいると。これが思惑として、「物は試しや」というかたちで進んでいるのか、本命のところを受けているのかはなかなか定かじゃないんですけども。
ただ、もう3~4社、2~3社以上進んでいる学生さんは、おそらく本命のところも受けている状態だと思うので、ここの市場感はかなり目まぐるしく早期化が進んでいるのかなと思いますね。
7割以上の学生は2024年12月以前に選考を受けている
前本:そうですよね。ちなみにこれは、学生さんがいつ初めて受けたのかという、「初めて選考を受けた時期はいつですか?」という質問ですね。
鷹野:そうですね。年越す前にはほぼすべての方がもう選考を受けている状態になっています。それこそ少数ではありますが、もう1~2回生で動いている学生さんもいれば、夏休みのインターンシップに参加した後に選考を案内されたというケースが最近すごく多くなっているので、そういうところから早期化が加速しつつあるのかなぁと思いますね。
前本:こんなに選考参加時期が早くなると「これから始めるんだぜ」という企業さんからすると「いや、もう学生さんいないんじゃない?」みたいになるんですけど、どうすればいいんでしょうね? ざっくりな質問になりますけど。
鷹野:そうですよね。そこはめちゃくちゃ不安に感じて当然だと思っています。ただ一方でインターンシップに参加して言われるがままに選考に進んだという学生さんもけっこう多いのかなぁと思うんです。
なので一応選考には進んだけども、並行して「自分に合う企業さんってどこにあるのかな?」というのはちゃんと探している状態でもあるのかなと思います。
「OfferBox」でもこの時期でけっこうアクティブな学生さんが多くいらっしゃるところもありますし、あとは秋・冬あたり、年を越す前後でもけっこう企業説明会に多く参加している学生さんも見受けられます。なので、早期に出会った学生さんがみんな他社に流れてしまったら「もう2~3月以降もあかんよね」というわけでもないとは思っています。
優秀な学生を確保するため、早期に内定を出す企業
前本:ありがとうございます。ここから続いて「初めて内定をもらった時期はいつですか?」ということで内定をもらった割合もいつもよりも非常に多くなっていますが、いかがでしょうね?
鷹野:そうですね。ここに関しては企業さんが焦って内定を出すパターンもかなり多くなってきたのかなぁと思います。やはりお話をおうかがいする限り、とにかくいろんな方に内定出ししようというわけではなく、「特にこの学生さんは優秀だから採りたい」とか欲しい人材要件がかなり固まっている企業さんがしっかり早期選考を進めています。
言い方はあれですけど「いい学生さんに先に唾をつける」、確保しておきたいという思惑で進んでいる傾向なのかなぁとは思いますね。
前本:それこそ早期に出会った学生さんを、例えば10月に選考開始した時に流動的にいかないと、選考と選考のリードタイムが長すぎたら辞退される可能性もあったりするので、企業起点で早まっている部分もありそうですね(笑)。
内定までに3回〜4回の接触を希望する学生が多い
前本:続いていきますね。「内定までの企業との接触回数」。これはすごく気になりますね。「内定までの企業との接触回数(面接や面談、座談会など)の希望はどれぐらいですか?」ということですね。

「内定までの企業との接触回数の希望」は、だいたい3回から4回の接触を希望する学生さんが顕著に多いということですね。鷹野さん、いかがでしょう。
鷹野:今のこのスライド(「内定までの企業との接触回数の希望はどれぐらいですか?」)ですよね。やはり学生さんも端的に内定を欲しいわけではなく、ちゃんと吟味はしておきたいという意向もあるので、単純に接触回数を増やせばいいかというともちろんそうじゃないんです。
その3~4回の中でどれだけ自分に合っている会社なのかという、ある種の相互理解の部分であったりとか。
あとは人で判断する学生さんも少なからずいるので、しっかり寄り添ってくれたかどうかとか、今後自分が入社する上で社会人になるビジョンが明確に描けるかを、この3~4回という回数の中で見ているのかなぁというところですね。
前本:やはり仕事内容もそうですし、その他、学生さんが持つ就活軸というのもそうですけど、カルチャーフィットみたいなところを重視されている学生さんも多いですよね。
鷹野:めちゃくちゃ多いですね。言語化できている学生さんももちろんいるんですが、やはりちょっとフィーリングの要素というか、この人の雰囲気であったり、自分が身を委ねたいなと思う組織みたいなところがなんとなくフィットしていればめちゃくちゃ好きでいてくれます。
逆に「ちょっとモヤモヤするな」というところがずっとクリアにならず、うやむやにされた状態で進んでいくと、あっさりと内定辞退されたりとか選考途中からいなくなっちゃうケースもあるので、ここは個々に確認をしておいたほうがやはりいいかなと。それが理想ですね。
追加で業界研究、ガクチカの見直しも…安易に就職先を決めない学生たち
前本:ありがとうございます。ここまで内定までの接触回数についてだったんですが、続いて「今後の就職活動において何か追加で取り組むことを検討していますか?」という質問ですね。
鷹野:そうですね。ここでちょっと過去の傾向からすると意外だったなと思うのは「あらためて自己分析しよう」という学生さんが多いんですよね。(現在は)一定、企業さんと出会いやすい市場だと思います。やはり有効求人倍率がかなり高まっている以上は、学生さんが優位になっている市場なんですよね。
ただ企業さんは会いやすいものの、果たして自分はどういう企業さんにお世話になるべきかとか、3回生の時にはこの業界に行きたいって一応決めていたけども、いろんな企業さんの話を聞いていく中で「本当にいいのか?」と自問自答をするフェーズに入っているところなので、ガクチカがころっと変わる可能性が大いにあると。
むしろそのタイミングで個別面談をしたり、一人ひとりに寄り添うような動きを企業側から働きかけることで学生さんとの相性をしっかり確認できたりとか、自社の魅力を素直に聞いてもらえるタイミングだとも思います。
なので、欲しい学生さんがもう明確にいらっしゃる場合は、しっかりとここの魅力訴求であったり、学生さんとの相互理解を図るお時間を取っていただくのが一番いいのかなと思います。
前本:ありがとうございます。売り手市場にもなって、学生さんからすると企業に会いやすいからこそ、安易に就職先を決めないためにも棚卸しをするという感じなんですね。
鷹野:そうですね。
前本:いろいろ見ていくという感じなんですね。
鷹野:そうですね。5~6年前であれば、この時期ってひたすらエントリーしますっていう意気込みであったところがかなり変わってきているので、学生さんの動きはしっかり企業側がインプットしておくべきところだとは思います。
自社にマッチした人材を獲得するためには
前本:最後に「26卒就活状況調査 サマリー」について、鷹野さん、(ご説明を)お願いします。
鷹野:先ほどお話しした内容のおさらいにはなるんですが、もう(学生の)4割近くは3社以上選考が進んでいるという状況下にあります。ただ自己分析をしているような学生さんも多くいらっしゃるので、「しっかり個々のアプローチをしていきましょう」というところが企業さんにおすすめできる動き方になります。
一方でやはり早期化がかなり進んでいます。欲しい学生さんの人物像にもよるとは思うんですけども、7割以上はもう12月、年が明ける前から選考に進んでいるという状況下でもあるので。
ただ基本的には自社にフィットする学生さんをちゃんと獲得したいというご意向が強い企業さんであれば、やはり早期選考はしっかり視野に入れてコンテンツ設計をするべきかなぁとは思いますね。
前本:ありがとうございます。