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個人と組織とブランドを調和させる、オルビス社の組織開発を完全解説(全3記事)

会社の飲み会に社員100人が参加する理由 オルビスのエンゲージメントを高めるマネジメント術

組織開発をテーマにしたオンラインイベント「組織開発×スキル成長 DO-OD -OD(組織開発)をDOせよ-」より、オルビス株式会社HR本部 本部長の岡田悠希氏によるセッションをお届けします。オルビスが行った組織開発に関して、社内の一体感を醸成するための施策や、組織文化の変革に対応できない社員が生まれた場合について語っていただきました。

「お茶会」で対話を生む

谷本潤哉氏(以下、谷本):ありがとうございました。いや、めっちゃ勉強になりました。今、質問が来ていまして、オルビスさんのファンの方ですかね? 「火曜日のお茶会についてメディアで拝読して気になっているんですけど、どういった背景で実施されていたのか、差し支えなければお聞きしてもよろしいでしょうか?」とのことです。

岡田悠希氏(以下、岡田):ありがとうございます。火曜日のお茶会は、当時は毎週火曜日の14時45分から15時15分の30分間に、本社の食堂でちょっといいお菓子をみんなに配るという取り組みですね。やり始めた背景が、コロナ禍なんですよ。

谷本:なるほど。

岡田:私たちは、出社する方針をベースに置いているので、週3日の出社にしているんです。火曜日と木曜日は「ONE ORBIS DAY」として、全員出社のルールにしていて。コロナ禍の時に、緊急事態宣言下ではオールリモートだったんですけど、やはり生産性が落ちちゃったんですよね。

決めたアジェンダは進んでいったんですけど、新しく決めるクリエイティブなほうの生産性がすごく落ちて。

やはりお互いのことをもっと知らないといけないし、トランザクティブメモリー、誰がどの仕事をしているのかを知ることも大事にしたかったので、出社してコミュニケーションを取るようにしたんですね。でも、オールリモートで働けていたのに、出社するってなんか嫌じゃないですか。

谷本:まぁ、そうですよね。人間の感情として。

岡田:出社しても対話が行われなければ人間関係もできないということで、ちょっとした楽しみとか、コミュニケーションを取る1つの機会として「火曜日にお菓子を渡すから、みんな来て」みたいな会をやり始めて、対話を生む装置にしたのが背景ですね。

200人以上が参加し、企画リサーチにも活用


谷本
:ありがとうございます。過去形ということは、今はもう、やられていらっしゃらないのでしょうか。

岡田:いや、今もやっていて、月1回の頻度にしています。他部署のお茶会とコラボしたいというリクエストが多くて。

例えば「販促キャンペーンで商品を買ったらおまけでつけるポーチ、どれがいいですか?」とか、「新商品、こんなものを作りたいと思うんですけど、どっちがいいかな?」というようなアンケートをお茶会に来た人たちからもらったり。他部署はリサーチに使えるみたいで、「火曜日のお茶会とコラボしたいです」みたいな話が、毎月埋まっていますね。

谷本:すばらしいですね。会の運営自体はどういったチームがされているんですか? 自然発生みたいな感じなんですか?

岡田:いや、これはHRのエンプロイサポートグループという、総務的なチームのメンバーがやってくれていますね。

谷本:なるほどですね。確か、別で「木曜の飲み会」もありますよね。それはまたぜんぜん違う目的なんですか?

岡田:従業員同士の直接対話をしっかり生み出したいという目的があります。お茶会だと、お菓子だけ取りに来てすぐに帰ってしまうことも多かったので。

谷本:(笑)。

岡田:滞在時間を延ばさなあかんな、となって、「みんなでお酒を飲むのもいいよね」ということで、たまに木曜日の飲み会をするという感じですね。

谷本:それは、どれぐらいの人数なんですか?

岡田:この本社のビルで働いているのが300人と少しなんですけど、火曜日のお茶会で200人ぐらい来るので。木曜は100人弱ぐらい。

谷本:すごい。お店を探すの、大変ですね(笑)。

岡田:社内にけっこう大きい部屋があるので。

谷本:なるほど。参加費も会社が負担されるんですか?

岡田:そうです。

「トップが来ないと説得力がない」

谷本:おもしろいですね。

岡田:木曜の飲み会とかは、社長にも絶対に来てもらいます。トップが来ずに「従業員の直接対話を増やせ」は良くないですよね。

谷本:良くないですよね。

岡田:こういうのは「トップとか経営陣はちゃんと来る」が……。

谷本:やったほうがいいですよね。もう1つ別の観点のご質問で、「目標に真摯に向き合っていらっしゃる中で、目標設定とか進捗の確認は、どなたがされているんでしょうか?」というご質問をいただいています。

岡田:基本は、上長なり部長なりが目標を設定します。ただ、目標設定確認会というのを部署ごとにするので、私も全部の部署に入るんですけど、そこで成果に向かった目標になっているのかどうかを1人ずつ全部チェックして、承認を経たものが目標になる仕組みです。

谷本:なるほど。

岡田:ちょうど先月にやっていたんですけど、HRで全員分チェックしますね。目標設定確認会ウィークは大変です。

谷本:(笑)。デイじゃなくてウィークなんですね(笑)。

岡田:ウィークですね。いわゆるその部の課長と部長と役員とHRの部長、役員は全員参加ですね。

谷本:でもそれ、けっこうな人数ですよね。その目標設定確認会ウィークはどれぐらいの頻度であるんですか?

岡田:半年に1回ですね。

谷本:なるほど。そこを決めて、あとは本部長以下のみなさんでちゃんと達成に向けてやっていくモデルということですかね?

岡田:そうです。目標設定をやる場合もちゃんと修正してもらうという感じですね。

社長がオンボーディング研修に参加

谷本:ありがとうございます。じゃあ、本筋に戻しまして、ここからパネルディスカッションで、私から用意させていただいた質問になりますけども。

ブランドに対して、カルチャーをいかに醸成するか。この意識を浸透・体現するために、最も力を入れられたことは何でしょうか? 会話の中で答えもあったかと思いますが。

岡田:ミッション・ビジョン・バリューとか行動指針とかも含めてですけど、ブランドに対する意識を大事にしているとか、それを実施するのは「なぜなのか?」とか、そういった思いを従業員にコミュニケーションしていくことです。経営カラーの発信が大事だなと思っていて、注力しています。

既存の社員は共感してくれている方が多いですし、浸透しているし、ブランドに対してのロイヤリティも高いんですね。だから、新卒の新入社員を含めた中途でジョインしていただく方にも、私たちがどれだけブランドを大事にしているのかを初期のオンボーディングでちゃんと伝えるというのは大事にしていて。

谷本:なるほど。

岡田:なので、社長自ら2時間ぐらいコミュニケーションを取ったりとか、新規で入っていただく方に対しての共有とかインプットを大事にしていますね。

谷本:代表自らがやられているのは、けっこう珍しいというか素敵ですね。

組織文化の変革に対応できなかった人

谷本:今の話に通ずる2番目の質問で、2018年からリブランディングされる中で、思い入れが強ければ強いほど、反発があったと思うんですけども、変化に対して対応できない方はいらっしゃったんですか?

岡田:そうですね、いました。もちろん、なぜリブランディングしていく必要があるのかとか、そういったことの説明はした上で、合わないという方ももちろんいて、一定は退職しましたね。

谷本:そうですよね。

岡田:ちゃんと評価もしていきました。例えば行動指針を実践できないような方を管理職のまま置き続けることはできないので、そういったところも含めて評価して、ポジションを変えたりとか、セットでやっていきましたね。

谷本:すばらしいですね。例えばさっきリテンションという言葉がありましたけど、わりと、他社さんの事例で、「社員に辞めてほしくない」が先に立つと、自分たちはこうあるべきとかこうしないといけないけども、妥協が発生しますよね。そこは初志貫徹というか、変わらなければいけないと貫いたところがポイントだったんですか?

岡田:そうですね、そう思います。

変革に適応しない社員が与える負の影響

岡田:ただ、貫けた部分と貫けなかった部分ももちろんあります。行動指針とかを含めて組織のことをあまり考えないけれど、能力が高いのでポストに置き続けたこともありました。

でも、その人の生産性より、組織をマネジメントしていることで組織全体の生産性の低さのほうが大きかったりもして。そういった失敗経験も踏まえながら、試行錯誤している感じですね。

谷本:ちなみに、最終的には辞められた方とか、新しい方針とすり合わせができなかった方の共通点ってあったんですか? 例えば年齢とか、部署とか。

岡田:そんなになかったですね。共通点を挙げるとすれば、私たちのミッション・ビジョン・バリューに共感できなかったというものですよね。

谷本:そこですね。あとは他社さんでも、リブランディングしようと思ってもうまくできない事例をお聞きしたりすることはあるんですけども、なぜオルビスさんはこれができた、できていると感じますか? 他社さんと何が違ったんでしょう?

岡田:他社との違いまではちゃんと分析できていないんですけど、私が実際に働いていてすごく思うことは、リブランディングしていくことで一定の血は流れるわけですが、経営の意思決定が揺らぐことはなかったので、そこはすごく強かったなと思いますね。

谷本:ありがとうございます。経営とおっしゃられますけど、代表だけじゃなく経営層全員がということですよね?

岡田:そうです。経営陣と部門長は一枚岩な組織だと思います。

谷本:ありがとうございます。

全員の方向性をそろえることが重要


谷本
:その次の質問なんですが、そういったリブランディングをやられて、オルビス社に対する生活者の意識がものすごいスピードで変わって。これはまさに狙いどおりだと思うんですけども(笑)、ほかの化粧品メーカーが今までできなかったことだとデータからも算出されています。今日のお話と含めて、何が起爆剤だったのでしょうか? ちょっと難しい質問ですが。

岡田:いえいえ。課題もたくさんあるので、どこまでできているのかは難しんですけど、リブランディングが今の状況に持ち込めている要因を組織開発と関連して考えていくと、「これをやっていく」と決めたことに対して、おおむね全員のベクトルがそろって走り出せたというのがやはり大きいなと思っていて。

2018年から方向性と戦略を打ち出して、共感できない人は離脱していったし、そういった紆余曲折を経ながらも、ここ2、3年は組織としてのコンディションもいいですし、一体感も持てています。「全員でやっていくんだ」という共通認識化ができていることが、スピードを高めているんだと思います。

谷本:なるほどですね。ありがとうございます。弊社としてもこういうカンファレンスをやらせていただいて、岡田さんのように「組織としてコンディションがいい」と自信を持って言い切れるHRの方は本当に少ないなと思っていまして、私にとってもすごく勇気がもらえました。

実際にそういった会社があるというのが、みなさんに伝わったらうれしい限りです。岡田さん、今日は貴重なお話、いろいろと突っ込んだ質問までお答えいただいて、ありがとうございました。

岡田:こちらこそ、機会をいただきまして、ありがとうございます。

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