ソニックガーデンの代表・倉貫義人氏と仲山考材の仲山進也氏が、毎月さまざまなゲストを迎えて「雑な相談」をするポッドキャスト『ザッソウラジオ』。今回は株式会社クラシコムの代表取締役・青木耕平氏がゲストとして登場。青木氏が一緒に働くパートナーを選ぶ基準や、組織に合う人材を見極めるコツを語りました。
最近は「希望」を掘っている
倉貫義人氏(以下、倉貫):倉貫です。
仲山進也氏(以下、仲山):仲山です。
倉貫:『ザッソウラジオ』は、倉貫と「がくちょ」こと仲山さんで、僕たちの知り合いをゲストにお呼びして「雑な相談」のザッソウをしながら、ゆるくおしゃべりしていくポッドキャストです。
ありがたいことに、なんと2022年2月から始まったザッソウラジオは、この2025年2月で4年目に突入したということです。いや、ありがたいですね。
仲山:ありがたい。
倉貫:4年目に突入した記念すべき回にもはや準レギュラーと言ってもよい、ザッソウラジオ最多登場回数記録を持つ、クラシコムの代表取締役社長の青木さんに来ていただきました。よろしくお願いします。
青木耕平氏(以下、青木):準レギュラーの青木です、よろしくお願いします(笑)。
(一同笑)
倉貫:青木さんはでも、準レギュラーと言いつつ2024年は登場がなく、なんと2022年の3月の老荘思想ぶりのザッソウラジオということになります。僕は青木さんと毎週しゃべっているので、なんとなく毎週ザッソウラジオをしている気持ちですが。
青木:(笑)。
倉貫:がくちょと青木さんはでも、この間かなり久しぶりに会ったんですね。
仲山:そう。2週間前に尾原(和啓)さんとかが企画をしているすごい集会があったんですけど。
青木:怖いよね、こういう言い方だと。「すごい集会」(笑)。
倉貫:(笑)。前回もちょっと言ってたやつですね。
仲山:すごい集会に誘っていただいた時に「ちょっと早めにお茶しますか」って言って、青木さんと2人で。青木さんが「最近希望っていうのを掘ってる」って言っていたところでした。
青木:本当マジであれ、希望の話をしまくってさ。ちょっと隣にいた人とか、どうかしてると思ってた可能性あるよね。「あいつ大丈夫かな」みたいな。
(一同笑)
仲山:あんまり近くに聞いてそうな人はいなかった気もしますけどね。
青木:そういう話になるだろうなと思って、そういう席を選んでおいた。
仲山:やっぱり、さすがです(笑)。一番端っこのほうのね。
青木:マルチの人とかと思われちゃうと困るから。
仲山:危ない勧誘だと思われたら。
青木:そうそう。2023年だから、2年弱ぶりぐらいなんですかね、この登場回が。
仲山:そうですね。前回はテーマ回も挑戦していこうって言って、じゃあ老荘思想がテーマで、みたいな。
青木:マジで本2冊ぐらいしか読んでないのにさ、老荘についてまあまあな時間語るみたいな。にわか回でしたね、あれは。
倉貫:かなり語りましたね。
仲山:おもしろかった。
青木:すごく楽しかったですけどね、出ると毎回。
社外取締役から執行側へ変わった経緯
仲山:あとはさっき楽屋でちょこっと話が出た、その間に倉貫さんがクラシコムの社外取締役から執行側(取締役CTO)にポジションチェンジをした話。あれを青木さんは良いと思ってるって言ってましたよね。
青木:2024年の10月末の株主総会で執行取締役になってもらったんですよ。珍しいケースというか、うちは今のところ実はCFOの山口(揚平)さんも、もともと常勤監査役から監査等委員になって、そこから上場後に執行取締役になるっていうプロセスでCFOになってもらっているんです。
そのステップに倣って倉貫さんにも社外取締役、監査等委員、執行取締役みたいな感じで執行側に回ってもらったんですよね。
倉貫:すごいですよね、みんなだんだん取り込まれていくっていう。
仲山:取り込まれていく(笑)。
青木:そうなんですよ。次どうなるのかなって自分でもちょっとわからないけど(笑)、毎回最初からそれを狙っているわけじゃなくて。やはり切実に必要になってきた時に「誰がいるっけ」みたいな話になるじゃないですか。「どういう人だったらいいのかね」とかって。
もちろんその時の社内の状況とか、自分と関係値がある人たちを思い浮かべていくんだけど。やはりクラシコムという会社の1個の特徴って、いわゆる世の中的なベンチャーとかスタートアップとか、あるいは逆に伝統的な企業とかの意思決定とか判断基準からすると、ちょっと離れたところでやっている部分も多い。
そうすると既存のコンテクストを十分理解してくれていることが、やはり機能する上ではすごく重要じゃないですか。そうなると必然的に付き合いの長い人が最後まで残って、例えばCFOだったら「山口さん、もうずっと見てくれてるもんな」みたいな。
彼はもともと会計士キャリアで、監査的な目線で関わってくれていたので……CFOってどっちかというと資本市場に対するマーケティングとか、そういうこともスコープに入れなきゃいけない仕事じゃないですか。
それは別に経験があったわけではないんだけど、十分にいわゆる管理部長的な、会計とか財務に対するリテラシーはありつつ、新たにCFOとして資本市場とのコミュニケーションみたいなのは「僕と一緒に学びましょう」みたいな感じでやってもらうことにしたんですよね。
そっちを学ぶほうが、クラシコムのこれまでのコンテクストとか文化みたいなものをキャッチアップしてもらうより、よっぽど楽かなみたいな。「そっちのほうが難しいよね」みたいな感じで山口さんには入ってもらったんですけど。
クラシコムは会社の「OS」が普通とは違う
青木:本当に倉貫さんもまったく同じで、2018年ぐらいから社外取締役としてやってもらってるんだけど、現実にはずっと一緒に経営していた感覚がある。
ただそこの部分に責任を持ってもらうことをしていなかっただけで、結局ある部分においては、倉貫さんの判断に従って僕が責任を持ってやっていただけのことだから。だったらそろそろ倉貫さんに責任持ってもらったほうが、余計なコストがなくなるんじゃないかな、みたいなのもあるし(笑)。
ちょうどソニックガーデンさんがうちの開発部門の、一緒に開発してくれるパートナーとしてがっちり仕事するようになった、ちょうどそういうタイミングだったのもあって。「じゃあもう倉貫さん、お願いできないですかね」っていうことだったんですね。経緯としてはそんな感じなんですけど。
倉貫:がくちょ的に言う「OS」、会社としてのOSが普通の会社というか、世の中の多くの一般的な会社で言われている常識みたいなものが、クラシコムだとちょっと違っているので。
たぶんほかの所からCTO経験、CFO経験がある人をスッと持ってきたら「これまでやってきた経験を活かしてください」って言われても、たぶん活きない可能性があるというか。
「なんか違うんだよな」って続きそうだから、たぶんフチのキワキワのところから、徐々にクラシコムのことがスッと入ってくる感じの人のほうがいいんでしょうね。
青木:長く見てくれているというか、観察してくれていたことはすごく良かったなと思うし。その上で一定「居心地良いな」と思わないと、やはり長くはやってくれないじゃないですか、社外にしても。
だから長くやってくれた人って見てくれているのもあるし、その人自身がわりとクラシコムのそういうあり方を心地良く感じてくれているっていう、その条件が揃うのってけっこう難しいなと思っていて。
「おもしろい」と「一員になりたい」は違う
青木:例えば「クラシコムっていいよね」みたいな感じで外から見て興味を持ってくれている人の中にも、いざクラシコム的なあり方とか振る舞いを自分も要求されるようになると、居心地悪いと思う人もいるじゃん、絶対。
「自分はそういう系じゃないんですよ」みたいな。それって別にぜんぜん悪いことじゃないんだけど、けっこうミスマッチが起こりやすいというか。興味を持つことと自分が一員になることってけっこう違うじゃん。
僕らも外国だとか、いろんな国とか地域の文化に興味を持つし「おもしろいな」と思うけど、その一員になりたいかっていうと、けっこうまた別の問題みたいなのってあるじゃないですか。そこのマッチングの見極めは本当はすごく時間がかかるけど、普通そんなお試し期間みたいなのは持てないじゃない。
倉貫:そうね。だから時間をかけると逆にわかるんですよね。
青木:わかる、絶対わかる。
倉貫:もうどっちかが「限界だ」ってなっちゃうっていうことですよね。
青木:そうそう。なんなら毎回けっこうそうなんだけど、お願いする・お願いしない以前に、ご本人自体も「そろそろ自分がやったほうがいいかな」っていう空気にもなってきちゃうというか。
だって僕がお願いするぐらいだから、基本その人の意見をほぼほぼ取り入れて経営してるから、しまいにはまどろっこしくなるっていうね。伝言ゲームみたいなことになっちゃうので。
ただ今までの「執行取締役とは」とか「入社とは」みたいなところを、やはりもうちょっと違うとらえ方ができるようにならないと。とはいえ働く時間のすべてをうちに投入してもらうわけではない人たちもいるから、そこに対していわゆる「経営者としてのコミットメントとは何か」みたいなことは、けっこう倉貫さんともディスカッションしましたね。
別に倉貫さんに入ってもらうことを前提としてというよりも、そうやって他社の経営に責任を持たれている方と一緒に経営をする経験を通して、僕もすごく学んだ感じはありますね。
よく頭では経営と執行みたいに言うけど、その線引きが「どのへんなのかな?」みたいなのが体でちょっとわかってきたというか。
Podcastはこちらから「青木耕平さんとザッソウ第1回 自走するゲスト」