
2025.03.19
ドバイ不動産投資の最前線 専門家が語る、3つの投資モデルと市場の展望
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司会者:セッション1「中小企業DX&AIの正攻法~リーダーシップがもたらす変革~」。最初の基調講演は「すかいらーくから高倉町珈琲へ 75歳で再起業した横川竟流の経営」と題しまして、株式会社高倉町珈琲の代表取締役会長であり、すかいらーく創業者の横川竟さんにご講演をいただきます。
本セッションは朝日インタラクティブ株式会社、ツギノジダイ・杉本編集長との対談形式で進めてまいります。それでは横川さん、杉本さん、よろしくお願いいたします。みなさま拍手でお迎えください。
(会場拍手)
杉本崇氏(以下、杉本):それではここから私、杉本が進行してまいります。よろしくお願いします。では、あらためてご紹介いたします。株式会社高倉町珈琲の代表取締役会長であり、すかいらーく創業者の横川竟さんです。横川さん、本日はよろしくお願いします。
横川竟氏(以下、横川):どうぞよろしくお願いします。
杉本:実はこのまま自己紹介をしていただこうかなと思ったんですが、できるだけお話をおうかがいしたいと思いまして、質問とプロフィールが少しずつわかるようなかたちで進行していきたいと思います。
まずは私の話からですいません。私は子どもの頃からずっと、おじいちゃんやおばあちゃん、親戚と集まる場所というと、ファミリーレストランのすかいらーくだったんです。横川さんを含めて「横川4兄弟」とうかがっているんですが、そもそもどんな思いで起業されたのかというところから、お話をうかがってもよろしいですか。
横川:長くなっちゃうといけないので短く話をしますと、僕は学校に行かなかったので、生きていくには商売の道だけかなということで、一番厳しい築地に入って商売を覚えました。
独立しようと思っていたら「俺も」「俺も」「俺も」と、気がついたら4人になった。お金がなかったので、4人で1人25万円ずつお金を出し合って会社を作ってスタートしたのが、ひばりが丘の小売店です。それがスーパーになって、あまりうまくいかなくて、新しい時代の先取りをしようと。
「今、一番遅れている業界がいいだろう」ということで外食(産業)へ出たって言うと、ちょっと怒られちゃいますが、そんなことがあって。
横川:外食に出る時にはラーメン屋や駅前食堂とか特殊な店しかないので、アメリカを見てきて「楽しい店を作ろう」と。だから、食べるだけではない、見えない価値をいくつか合わせて価値作りをしようと言ったんですね。
結果的には「ファミリーレストラン」と言われていたんですが、楽しい店を作ったらみんなが来てくれたので、ファミリーレストランという名前があとからついたんですね。
杉本:なるほど。
横川:最初からファミリーレストランを作ろうと思ったら、たぶん作れなかったと思いますよ。
杉本:少しお話を膨らませておうかがいすると、当時の外食というとどんな状況だったのかと、その頃では家族で楽しめるお店はどんなお店があったのか。もしくは、ファミリーレストランがそこに入ってきたことで新たな市場が作られたんでしょうか。
横川:レストランというと、ホテル系とデパート食堂ぐらいしかなかったですね。あとは駅前ですと、今流行っているような町中華とか。それから食堂って、当時で言うと(メニューは)サンマの塩焼きみたいなものを含めて、独身者が食べに行くような駅前の食堂ぐらいしかなかった。
したがって、食べるものの文化はあんまりなかったんですね。経済状態もそうだったでしょうから。だからアメリカを見て、「日本の10年後はアメリカになるだろう。じゃあ、アメリカの良いところを持ってこよう」と。
商売の基本の考え方はアメリカから持ってきて、食材は日本独特の食材があるので、日本の食材を使ってアメリカ的発想を合わせたんですよ。だから、きっと(お客さんも)楽しかったんじゃないですか。
杉本:その頃で言うと子どもが楽しめる場所って、僕らが子どもの頃もまだ少なかったですから、そこでだんだん拡大していったわけなんですよね。
横川:そうですね。はじめは子どもさんはいなかったんです。ディナーレストランを作ったんですが、お客さんがなかなか来てくれないので、お昼ももっと売らなきゃいけないということでランチのメニューが充実した。
今度は日曜日に売りたいということになって、じゃあ日曜日だったらお子さまメニューがいいかな? ということで、実はあの頃にはめずらしかったお子さまメニューを入れて。そうしたら家族で土日に来てくれるようになった。それがどんどん広がっていって、ふだん(平日)の夕方も来てくれるようになった。
その店を見たある新聞記者の方が、「最近は国立に子どもがいっぱいいて、ファミリーで食事をして楽しい店がある」という言い方をされたので、その「ファミリー」という言葉をいただいて、自分たちで「ファミリーレストラン・すかいらーく」と言ったのが始まりですかね。
杉本:なるほどですね。じゃあ、すかいらーくというコンセプトもいろんな試行錯誤をしながら、ファミリーレストランという形態にどんどん進めていかれたわけなんですね。
横川:お客さんやみなさんがそうおっしゃったので、じゃあもっとファミリーっぽくしようと。お年寄りでもいいように、子どもでもいいように、それから体の不自由な人も来てもらえるように、入口にスロープを作って車椅子で入れるようにしたり。
あるいはメニューは点字が必要だろうということで点字メニューを作ったり、たまに外国人が来てくれたので外国人メニューを作ったり。いろんなことをしながら、一人ひとりのお客さんがどうやったら増えるかという中で価値作りをしていった。というのが、結果的に言えばそうなんでしょうね。
杉本:なるほど、ありがとうございます。
杉本:少し話を進めていきたいと思います。とはいえ成長をしていた日本が、バブル崩壊からデフレ経済に入っていきました。
すかいらーくは、その中でもずっと外食産業をリードする存在ではあったと思うんですけれども、デフレの中になるとやはり低価格路線にだんだんと入っていって、おそらくすかいらーくもある程度は経営環境が厳しくなったのではないかなと思います。その中で経営再建を目指しました。
みなさんご存知かもしれませんが、2008年にファンドとの意見対立によって(社長を)辞任されました。ただ、そこから5年後の75歳で、今は全国にある高倉町珈琲というものを起業されました。75歳から起業されたのはなぜなんですか?
横川:すかいらーくを作って、ファンドが入ってきて意見の違いがあって。細かくは抜きにして、僕と合わなかったので辞任をした。辞任をした理由は、立て直しをして良い店を作りたかったんだけど、ファンドは「良い店じゃなくていいから儲ける店を作れ」と言ったんですね。
「儲ける店」と「お客さんが喜ぶ店」は違うんですよ。したがって僕は喜ぶ店を作りたかったので、じゃあもう1回作り替えないと、僕が辞めた理由の意味がわからない。なぜレストランは「値段だけではないんだ」ということをやらなきゃいけないかという、見本を見せたい思いもありました。
だからたくさん(店舗を)作るよりは、レストランとはどういうものかということを、クオリティや品質として訴えておきたかったというのが、生意気なことを言うとあって。だから、数を作ろうと思っていないんですよ。
クオリティが守れる範囲の中で店を増やすので、店を増やすために何かを変えるんじゃないんですね。そのへんが普通の経営者の方とは違って、あんまり受け入れられないかもしれない。けれども、僕は僕なりの食べ物のビジネスをやっていて。
商売と経営って2つあるんですが、商売と経営をきちっとバランスよくやっていくような店作りをしたい。もう1つは、やはりサービス業というのは人ですから、働いた人たちの将来まできちっと会社が面倒を見られるような仕組み作りもしていかなきゃいけないので、今はそれに挑戦をしています。
杉本:なるほど、ありがとうございます。
杉本:実は私も「絶対にこれはリサーチに行かなきゃいけない」と思いまして、大井町店にお邪魔させていただきました。まあ、みなさん長居しますよね。私も3時間いたんですけれども、お客さんがみんなずっといらっしゃって、くつろいでいらっしゃる(笑)。でも、お話もすごく楽しいし、自分の時間として本を読んだりされている方もすごくいました。
くつろげる空間で、しかもあまり詳しくは言えませんが、ほかのお店と比べてもすごく広くてくつろぎやすい作りにしていると思うんですけど、そのあたりのこだわりはあるんですか?
横川:意識してやっていますね。見えない価値というのは難しいので、料理は「この料理が500円です」「ああそう」って、価格とモノしかないんです。価格とモノ以外の価値をいくつつけるのかがレストランなんですね。
そうすると接客の人も大事ですが、店舗そのものも商品なんですね。だから天井を高くしてありますし、通路は広くしてあるし、椅子を大きくしてソファーを柔らかくしてある。普通は長居ができないような椅子や通路にするのに、うちは長居をしてもらうように通路を広くしている。
空気は1時間で5.5回転しているんですが、そうすると10分ぐらいで1回転抜けるんです。人間って酸素が減ると気分が良くないんです。酸素を入れるためには空気を抜かなきゃいけないので、ものすごく空気を抜く設備がされているんですよ。
そうするとどんどん新しい空気が入ってくるので、(お客さんが店内に)いっぱいになっても爽やかでいられる。爽やかさというのは酸素の量なので、そういうことを含めて、天井、酸素、テーブル、音楽、幅とか(を決めています)。
それから問題は、接客ってしたほうがいい時としないほうがいい時があるんですよ。そういうことを含めて、指導をどこまでしていくかということが、たぶんこれからの会社のテーマになっていくんだろうと思います。
杉本:ありがとうございます。
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