PR2025.11.27
数理最適化のエキスパートが断言「AIブームで見落とされがちな重要技術」 1,300社が導入した「演繹的AI」が意思決定を変える
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前田鎌利氏(以下、前田):いろいろ(質問が)きてるんですが、もう1個。「1on1の意味合いが感じられるのはいつくらいからでしょうか? 最初から意味深い1on1になるのは難しいなと思ってます。根気よくやっていこうと覚悟を決めたいのですが、3年かかると悲しいなと思ってしまいます。1年ぐらいだったら関係の変化は見えてくるでしょうか」。
世古詞一氏(以下、世古):ありがとうございます。何を目的にしてるかだと思うんですが、お互いのいろんなことを知っていけば早いかなって気はするんです。
毎回、意味深い話にもそうそうならないと思いますし、普通だと思うんですよ。1on1の成果って何かというと、終わったあとに、特に部下の方は大事なことはメモに残していってほしくて。上司の方も一緒に手伝ってあげてほしいんですが、今日の(1on1の)中で自己理解の解像度がちょっとでも高まったこととか、気づいたこと。
例えば「この業務を新しくやってみたんですが、私けっこうこれ好きかもしれません」「これをやってみてけっこうスムーズにできました」とか。もっと掘れば、「なんで好きなのかなと思ったんですが……」「こういうところの業務、私はけっこう苦もなくやれるんだなと思いました」とか、そういったことを本当に一言二言でもいいので書いておく。
これがずっと継続して、半年、1年続いていくと、自己理解の解像度、あるいは組織理解の解像度、人間関係の解像度がこれだけの分量貯まってくるということですね。
これが、その人の今後のキャリアを作っていく上での1つの土台になってきたり、あるいは能力を開発していく土台になってきたりする。「こういう業務が好きってことは、社内で言うとこういうことにもつながるな」とかいうことが見えてきたりするんです。
だから、その人が考えていることや感じていること、こういう業務が好きとか嫌いとか、そういうことこそ大切にしてほしいんですね。
世古:人の世界で言うと「感情」とかなんだけど、コトの世界で言うと「好きとか嫌いとか言ってんじゃねえ」って話じゃないですか。
「いいからやるべきことをやれよ」って話なので(笑)。だけど、1on1の時にはそういう話を大事にしながら自己理解に努めていく。あるいは他者理解とか組織理解に努めて、それが積み重なっていく。
たまには「おもしろかったね」でも、そういうことがあってもいいんです。ただ、1on1がフローになっていないか、ちゃんとストック化して積み重なっていってるかどうかは、その人にとってすごく重要なことだなと思いますけどね。
だから(1on1の意味合いが感じられるのは)いつかというのは、人によってかもしれませんが、積み重ねていくという意識を持つかどうかが大事かなというところですかね。
前田:ありがとうございます。いやあ、深いね。今日、この会に入る前にちょっと世古さんとも話しましたが、やはりみんな違うから「これをやればうまくいく」っちゅうのもなかなかね。あるようなないような、基本ないよな、みたいなところだという感じなんですが。
でも、それだけ僕らもいろいろと経験して引き出しが増えていくと、ちょっと打ち手が増えてくる。そういう経験値は、少なくとも管理職サイドになればなったで経験値は増えるから、それもそれで僕は1つの成長につながってるのかなって気がするんですけどね。
前田:世古さん、どうですか? 世古さんが見られた中で、1on1をやってる会社さんとやってない会社さんで、管理職レベルはけっこう違ってたりしますか?
世古:正直な話で言うと、会社単位ではよくわからないんです。結局、人なんですよね。会社の中でも「この人とはうまくやってる」「ここはうまくいってる」というのが点在してる感じはあるんですよね。だから、ちょっと一概に言えないことはあるなって。人レベルで言うと、そういう違いはある感じはありますけどね。
森本千賀子氏(以下、森本):(1on1を)やってる会社はだいぶ増えてきてると思うんですが、やはり世古さんも言ってらっしゃるように、圧倒的にコトの1on1のほうが多いような気がしますね。
世古:実態、そうでしょうね。
森本:だから人にフォーカスをして、その人の成長を促す1on1になっているケースは、個人の方のコミュニケーションのセンスとか、寄り添うその人のキャラクターとか、センス(次第)みたいな感じ。
世古:そうですね。センスとキャラクターと、やはり1回(1on1について)学んできた人はそういうことをうまく活用されたりします。そこを1回ちゃんと勉強してみる期間が、これからのマネージャーには必要なんじゃないかなと、個人的には感じてますけどね。
森本:リクルートは、1on1という言葉がまだぜんぜんない時代から脈々と、本当に入社したタイミングからそういうスタンスで向き合わされてきたんですよね。
だから、自分は上司からそうされたから、自分もメンバーにそうするみたいな。それがずっと、おそらく今もつながってると思うんです。
究極で言うと、それが今のリクルートの強さだと思っていて。私もこの間時価総額を見たらびっくりして、もう(国内)4位とかになってるんです。本当に地味なんですが、実はそれがリクルートの強さじゃないかって、私は本当にそう思います。
前田:なるほどね。
前田:一方で、例えば去年もベストセラーになりましたけど『リーダーの仮面』みたいな、いわゆる「コトと向き合いなさい」ということを、けっこうシステマティックにやっていくマネジメント手法もあると思うんです。
コトと向き合うことだけだと、やはりピープルマネジメントにはちょっとつながりにくいなって、今日うかがっていていろいろと思ったんです。ピープルマネジメントをやっていく上で、「ここは注意したほうがいいよ」みたいなものって何かありますか?
世古:繰り返しになっちゃうかもしれないですが、やはり問題解決思考がピープルマネジメントを邪魔するんですよね。無意識のうちに、自動反応でずっと問題解決思考にいるので、そこを自覚できるかどうかなんですよね。
前田:そう。僕がそれでうかがいたかったのが、これって上司も部下もそうじゃないかなって思うんですよね。
世古:そうです。
前田:その概念自体を変えていくのって、何か(方法は)ありますか?
世古:変えてくというか、気づくことなんですよね。つまり、お互いにそのコミュニケーションに無意識で自動反応でやってるので、そうじゃないやり方があるんだということに気づく。
部下からすると、上司に聞いて上司が答えを言ってくれて、それを待つ。そういう反応じゃなくて、上司を活用して自分でいろんなことを考える。
「自分の考えを整理していくんだな」という意識って、そんなコミュニケーションは今までなかったんですよ。部下にとってみるとすごく贅沢なんです。だから、そういうものなんだっていうことを、部下側も理解していかなきゃいけないんですよね。
前田:僕、最近は小中高の学生さんと触れる機会がすごく増えてきてるんです。今は学校で探究学習をすごくやってたり、総合的時間というのを持ってるので、問いを立てたり自分で深掘りをしていくことが、だいぶ今の子どもたちは日常になってきてるんですね。
こういう子たちが社会に入ってくると、いろいろと自分で課題を見つけて、自分にいろいろと言ってくるのはすごくウェルカムだなって思う。その反面、さっき言ったように管理職の方が課題解決のコトにばっかり向き合ってると、「うるさいな」とか「うざったいな」って思っちゃう人もたぶん出てくると思うんですよね。
このギャップを埋めていく、なにかしらの啓蒙活動をしていく。もう本当に、世古さんの本を読めっていうのが一番いいんだと思うんですが。
森本:(笑)。そうですね。
前田:先ほどどなたかも書いてたんですが、「ピープルマネジメントを勉強することがこれからの管理職に必須だなと思います」って、まさにそうだなって思ったんですね。
世古:そうなんですよね。そういう人たちがどんどん入ってきたり、少子化なのでその人たちに一定活躍してもらわないと困るとなった時に、管理職側が変わっていかないとうまくできないです。
森本:それで言うと、人の気持ちや心理の原理原則を学ぶ意味では、みんな心理学とかをもうちょっと学んだほうがいいんじゃないか? と思ったりするんですよね。
前田:(参加者の質問で)「いろんな方とお話しする経験で1on1はうまくなるかもですが、どんな資格・考え方が役に立ちますか?」ということで、コーチング、エニアグラム、NLP、MBTI、いろいろ出てますね。「世古さんの本を読めばいいんです」(笑)。
世古:(笑)。
前田:でも、この中でおすすめはありますか? 「こういうのをやっといたほうがいいよ」みたいな。
世古:とにかく自分が興味を持てるもの。いろいろ見てみて、自分が興味を持てるものを探求していくのが一番だと思うんですよね。
中でも僕はエニアグラムがすごく好きで、もう17年か18年、ライフワークとしてずっと探究をしてるんですが、エニアグラム学会というところの役員もしてるんですね。エニアグラムはやはり深くて、人間というものを本当に筆舌に尽くして語ってるというのは、なかなかすごいなと思ってるんです。
結局テクノロジーって、この10年、20年、50年でえらく変わるじゃないですか。ぜんぜん違う世界になってますが、人間って2,000年以上前から変わってないんですよね。なんていうか、ずっと不倫するし(笑)。
人間って本当に、もうずっと同じことを繰り返してるんですよ。だから、もっと学べばうまいコミュニケーションができるのに、先人たちがいっぱい失敗してきたコミュニケーションがあるのに、思うほどみんな学んでないんですよね。
だから、人を理解していくってすごく重要なことで、これからますますそう思いますが、本当にもったいないと思います。
前田:確かに。ある意味、人間ってかわいいですね。
森本:そうなんですよ(笑)。
世古:本当そうなんですよね。それは、まさに人間理解が進んだ人しか出てこない言葉です。
森本:かわいいです(笑)。
前田:最近、「かわいい」って言われるのっていいなって。それ、ちょっと初老が入ってきてるってことなんですかね。大丈夫ですかね?
(一同笑)
森本:大丈夫ですよ(笑)。でも私は、あんまり深く考えるとより複雑になるので、単純に気持ちのままに動くというか。素直にそう思ったとか、素直になんでそうやりたいと思ったかとか、そういうのを壁打ちで聞いてくれるようなタイミングってそうはないですから。
だからそういう意味で言うと、本当に1on1は贅沢な時間だし、逆に言うとそれさえやってれば人は意のままにというか、意欲のままにちゃんと動ける環境さえ用意しといてあげれば、勝手に動くと思ってます。
前田:さあ、じゃあ時間的に最後の質問にしましょうかね。「部下と1on1をしていて、ある程度相手のことを理解できていて話しやすい部下の場合と、そうでない場合があると思います。それぞれの場合において1on1で工夫すべきことを教えてください(1on1以外の場面でも活かそうと思うので、ぜひうかがいたいです)」。
世古:確かに、人間なのでそれぞれ相性もあると思います。だからこそ理解できて話しやすい人は、そこに甘えすぎずに厳しいこと(を言う)とか、向き合うことを意識してやっていったほうがいい。
せっかく理解できて話しやすいとか、信頼関係がいいとは書いてないですが、もしそうであれば、だからこそそれが土台になって少し次の話ができるんじゃないかなと思うので。そうでない場合は、これはもう自分の修行だと思って(笑)、ちょっと1回分析してみるといいと思うんですね。
「なんでうまくいかないのかな?」「私の中でどういうパターンや問いかけ、バリエーションが使えるかな?」「こういうタイプの人とはどうやったら話すことができるんだろう?」と、その方を1つの良い成長機会ととらえてチャレンジしてみる、実験してみる。こういうことを試していかれるといいかなと思いますね。
前田:いいですね、ありがとうございます。引き出しが増えてくということで、いろんなアプローチの仕方も増えてくると、またいろんな人に合わせられるようになるかもしれません。ぜひぜひそういうのも積んでみてください。ありがとうございます。
前田:ということで、最後に世古さんからぜひみなさんにメッセージを。「これだけは今日は伝えたいな」というのを1つピックアップしてお伝えいただきたいと思うんですが、よろしいでしょうか。
世古:はい、ありがとうございます。質問をいただいてても返せない方もいらっしゃったかもしれませんが、すみません。短い時間ですが、今日はみなさんありがとうございました。
私も7、8年前から1on1をずっとやって伝えてきているんですが、ちょっと1on1バブルが弾けた感じがあるんですよ(笑)。いったんバズワードとしての1on1があって、ちょっとレギュラー化しているという意味ではそうなんですけどね。
そういう意味では、すごく広くいろいろやられることがなくなってきて、それとともにちょっとなされなくなってきてる、なんてことも出てきたりするんです。
ただ、これからたぶん第二次ブーム、第三次ブームが起こると思っていて(笑)。結局みんな困って、「話をするしかないよね」に行きつくと思っています。1on1、対話、人間同士での話は、やはり本質的な話なので。
ぜひ諦めずに、火種が消えないようにいろいろとがんばって、みなさんでがんばっていろんな組織に導入していってほしいな、いきたいなというふうに思っております。
前田:世古さん、ありがとうございます。
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