2024.12.24
ビジネスが急速に変化する現代は「OODAサイクル」と親和性が高い 流通卸売業界を取り巻く5つの課題と打開策
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司会者:それでは、さっそくセッションを始めてまいります。続いてのセッションのテーマは、「孫正義から事業承認を勝ち取った経験から語る、新規事業から得られる"本質的な学び"」です。
新規事業開発で得られる本質的スキルをテーマに、イントラプレナー歴16年の講師が自身のキャリアを振り返り、企業で働く方々が新規事業をキャリア形成にどう活かせるかを語ります。ソフトバンク時代の経験や人材育成についての洞察も必見です。
講師から、ここでしか聞けない貴重なお話をどうぞお聞きください。ご登壇者は、ユビ電株式会社 プリンシパル、坂井洋平さま。モデレーターは、株式会社アルファドライブ マーケティンググループゼネラルマネジャー、坂村聖佳さま。どうぞよろしくお願いいたします。みなさま大きな拍手でお迎えください。
(会場拍手)
坂村聖佳氏(以下、坂村):こんにちは、よろしくお願いします。みなさんありがとうございます。
坂井洋平氏(以下、坂井):よろしくお願いします。
司会者:それではここからはモデレーターの坂村さま、どうぞよろしくお願いいたします。
坂村:ありがとうございます。本当にお集まりいただいてありがとうございます。坂井さん、ものすごいタイトルをつけられちゃいましたね(笑)。
坂井:虎の威を借りすぎていると言うんですかね。
坂村:(笑)。
坂井:Sansanさんには「ちょっとこれは勘弁」って言いたいところではあるんですが、みなさんのご期待に応えられるようにしていきたいと思います。
坂村:今、アナウンサーの方の事前説明にだいぶ震えながら裏にいましたが、坂井さん、実際はどうなんですか? ソフトバンク時代は何回事業承認までいかれたんですか?
坂井:3度だと思っていますね。
坂村:実際に3度(事業承認を)取られているということで、どうやってそこをやられたのかというところを、今日は具体的に30分間聞いていきたいなと思います。
坂井:お願いします。
坂村:今日聞いてくださっているみなさんで、今、新規事業を担当していますという方はどれぐらいいらっしゃるんですかね? あっ、めちゃめちゃいらっしゃいますね。手も振ってくださっている方もありがとうございます。
坂井:ありがとうございます。
坂村:じゃあ、具体的に「坂井さん、どんなことをやってきたの?」と聞いていきたいと思うんですが、自己紹介をお願いしていいですか?
坂井:はい。あらためて、ユビ電株式会社の坂井洋平でございます。2001年から通信会社ジェイフォンにネットワークエンジニアとして勤めて、後に起業して、その後ソフトバンクに入社しました。
ソフトバンクに「SBイノベンチャー」という名前で社内起業制度があるんですが、そちらに3度ほど合格して、その後に事業化をして、スピンオフした時にはそちらの会社の代表を務めるなどしていました。
今日もご縁をいただいていますが、その後に聖佳さんと同じくアルファドライブに入って、事業開発のご支援をさせていただいて約2年になりますかね。今は、イノベンチャーの1回目で優勝した案件のユビ電で、事業開発・事業戦略をやらせていただいています。
具体的には、ご覧いただいている案件を事業化をしていました。ソフトバンクだと、基本的には全部ITがかかってきます。
まず1つ目が、(スライド)左の農業IoTの「e-kakashi」。真ん中が、電気とITを組み合わせた電力認証の「ユビ電」。3つ目が、昨今だとノーコードツールと言われますが、IoTでSaaSでソフトウェアが作れる「conect+」というものを事業化してきたという経緯です。
世間一般的にソフトバンクって、新規事業や事業提案をしやすいんだろうなと思っている人も多かろうとは思っていて、実際にどれくらい簡単なのかを調べてみたのが次です。どうも応募件数は7,800件と、これはすごいですね。事務局さんがすごい。
坂村:めちゃめちゃ盛り上がっていますね。
坂井:合格と事業化は違うので、合格した後に実際に事業化検証して、事業化承認を取るというかたちで、それが21件です。その内数で会社化は7件ということで、私はこの事業化21件のうちの3件、会社化7件のうちの1件をやっていて、会社化率で言うと約0.1パーセント。狭いのか広いのか。
坂村:0.1パーセントだし、3回やっているしということだと思うんですが、最後に承認を得る時ってどんな方々が並んでいるんですか?
坂井:1回目のe-kakashiやユビ電の時は孫正義ですよ。だから、タイトルに嘘はないというか(笑)。
坂村:孫さんが最終審査員として。
坂井:はい。conect+の時はもうちょっと制度もこなれてきて、意思決定はソフトバンクの担当取締役以下の主要経営陣になっていますが、そういったプロセスでやってきていました。
坂村:ちなみに話せればなんですが、最終審査の時に孫さんには何を突っ込まれましたか?
坂井:審査もそうですが、その後の事業化を取りにいく時だと、わりと普通に「損益分岐点はどれくらいなのか」「1人あたりのLTVがどれくらいなのか」「固定費をもっと削減できるアイデアがあるだろう」とか。みなさんもそうだと思うんですが、経営としていかに投資を回収していくか、そのプランが具体的かは普通に問われます。
坂村:孫さんにそれを聞かれるの、めちゃめちゃ怖いです。
坂井:はい、怖かったです(笑)。
坂村:(笑)。そうですよね。
坂村:ということで、そんな坂井さんですが、0.1パーセントというのは実はこれぐらい低いです。
坂井:やはり、数字は比較してなんぼ。これも孫さんの教えの1個ですね(笑)。0.1パーセントはどれくらい低いのかといったら、どうも全国の高校・大学の野球選手がプロになるぐらいの確率だったりします。
何事も野球にたとえてしまうのはおっさんの悪い癖だと思っていて、若い世代にも通じるように言うと……NiziUの選抜倍率ぐらい。逆におっさん世代にはNiziUがわからないかもしれないんですが、こう見るとあんまり簡単ではなかったかなと思いますね。
坂村:ソフトバンク時代に加えて、今は計16年新規事業をやられていると思うんですが、その後のご活動は今(スライドに)あるような。
坂井:そうですね。ソフトバンクじゃないところだと、まさに山本(将裕)さんが映っていますが、ドコモさまとジョイントベンチャーで中高生向けのキャリア教育事業の「はたらく部」の仮想出島のスキームをやって、一緒にシード、アーリーステージをやらせていただいています。
はたらく部は、前にSansanさんのイベントでもグランプリを取られているということで、あらためてすばらしいなと思っています。
坂村:今日も出展されていますね。
坂井:そうですね。そんなことをご評価いただいたのか、経済産業省さん、あとはドイツといったところで、いろいろと事業開発の歩みをご評価いただいたという次第でございます。
坂村:今はユビ電さんで、ソフトバンク時代に承認を勝ち取られた中の1つの会社を引き続き拡大されていると思うんですが、どんな事業をされているのかをもう少し(説明をお願いします)。
坂井:ありがとうございます。ユビ電では「WeCharge」という、いわゆる電気自動車、あとはプラグインハイブリッド自動車の充電サービスを展開させていただいています。
特にマンションや集合住宅の場合は合意形成がすごく難しくて、屋外に簡単に電源環境を置くとか、「誰がお金を払うの?」といった課題がバーニングニーズとしてすごくあります。そういったところでのソリューションを提供して、地球というか日本の脱炭素に向けて、この事業を展開させていただいている次第でございます。
坂村:今は、起案されたところからだいたい何年ぐらいされているんですか?
坂井:恥ずかしいですが、14年ぐらいですね。
坂村:14年もずっと事業を拡大されている。
坂井:だからピボットも何度かしているというのはあります。合格した時からも、さらにまたピボットをしていっているところですね。
坂村:社員数で言うと、40人ぐらいが正社員でいらっしゃるような規模になられているということですよね。
坂井:はい、恐縮です。
坂村:私が今日うかがいたいなと思っていたのが、まずは3回承認を得られているということで、「そういうアイデアってどうやって見つけてくるの?」ということです。0.1パーセントしか通らない事業を作る時に、まず最初はアイデアが大事かなと思うんですが、アイデアを見つける時って坂井さんはどういう目で見ていますか?
坂井:(スライド)下のほうに、みなさんにお伝えしたいことというか、私なりのインサイトを書いています。
「発見とは、みんなが見たことのあるもので誰も考えたことのないことを見つけることである」というのは、ビタミンCを発見したセント=ジェルジ・アルベルト博士がおっしゃっていた言葉なんですが、本当にこのとおりだなと思っています。
突拍子もないアイデアが出る前に、日々歩いていても、いろんな課題とかクリエイティブが見える。そういったところから、見えるものが出てくる。
例えば具体的に言うと、ユビ電のきっかけは、日経新聞の5面だか6面だかにあるすごく小さな記事に「1円で逮捕。陰で盗電」という(内容が書いてあったことでした)。
今みたいにバッテリーフリーの時代じゃないので、スターバックスかマクドナルドかはわからないですが、そういったところで電気を盗っていた。実際の被害金額は1円だというので逮捕されたという記事です。
この小さな囲み記事に、「そもそもこれってフェアに取引できればいいんじゃない?」というスタンスが見えるかどうかが(事業を生み出すうえでの視点として)違うんじゃないかなと。それで0.1パーセントになるかどうかわからないんですが、そういうところは少しインサイトの差に出てくるかなとは思います。
坂村:新聞の記事からアイデアを得たり、あとはプライベートでライフイベントがあった時のエピソードも、前にうかがった時にありましたよね。
坂井:そうですね。(スライドの文言の一番)下がそのニュアンスです。偉そうなことを言うつもりはないんですが、最初からそうだったわけじゃなくて、自分事でちょっと……。
坂村:どうぞどうぞ。
坂井:俺、若干恥ずかしがっていますよね(笑)。
坂村:たぶん、あんまりメディアでは言えないことをお話しいただいたほうがいいと思うので(笑)。
坂井:単純に私が26歳ぐらいの時に結婚していて、妻が妊娠したというのがあるんですが、その時から通勤で乗っている電車の中で、僕の目に妊婦さんがすごく増えたんですよね。
もちろん、それって昨日までと人数が本質的に変わっているわけでもなくて、単純に僕がそういったものを見ていなかっただけなんだなって。自分が本当に何も見えていないんだなということをちょっと気づかせてくれたのが、この原体験にあります。
たぶん人によって(気づきになる体験は)いろいろあるとは思うんですが、例えば大きな病気をされるとか、そんなネガティブな理由でなくても、刺激的なニュースを見てでもいいと思うし。
アイデアを探すというのもあるんですが、その前提には、自分の人間としての経験をいかに豊かにするかというか、いろんなものに興味を持つのがすごく大事なのかなとは感じている。
坂村:今、お話を聞いていて気になったのが、最初にユビ電さんのアイデアを思いついた時も新聞記事を見て(着想を得た)。「こういうことができるんじゃないかな?」と思ってから、実際にそれが儲かる事業なのかって、最初の段階ではなかなかわからないと思うんですよね。
坂井:はい。
坂村:孫さんには、やはり拡大性とかを聞かれるわけじゃないですか。
坂井:こと孫さんに関して申し上げるならば、孫さんはプレゼンのうまさやきれいな計画とかいうよりも、むしろもう少し根幹的なビジネスというか、世の中や市場に対してブレイクスルーする兆しや可能性があるかを、もっと問われているような気がしていて。
そうではない方のほうが、どっちかというとビジネスのスケールとか、もう少し上のレイヤーの話をやられる気がします。
坂村:ビジョンみたいなところも、けっこう評価されているんですね。
坂井:そう思います。
坂村:なるほど。
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