2024.12.24
「経営陣が見たい数字」が見えない状況からの脱却法 経営課題を解決に導く、オファリングサービスの特長
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若山幹晴氏(以下、若山):我々が選択と集中を繰り返しながら注力しているのは、この4つの分野となっています。4つ目の「人道支援」に関しては、先ほど申し上げましたとおり、コロナ禍においての医療機関への支援。
あとは、ウクライナ有事が起きた時に、日本にもウクライナからかなり多くの避難民がいらっしゃったので、そういった時にウクライナの避難民の方にポケトークをお渡しする人道支援も行っています。今日はほかの3つである、観光、企業・公的現場、グローバルイベントに集中してお話をさせていただければと思っております。
まず1つ目が企業・公的現場です。我々ポケトークは日本で生まれたんですが、この直近では、ポケトーク株式会社連結の売上の半分以上をアメリカで出しています。
前期比でも2.5倍で売上がどんどん伸びていっております。我々は日本生まれのスタートアップなんですが、まさにスタートアップとして創業した時からグローバルで展開していこうといったところが、ようやく芽が出始めているところです。
2024年2月に初めて黒字化しまして、四半期黒字化や半期黒字化、そして営業利益率も17パーセントになってくるというかたちで、通期黒字化の見通しでアメリカ事業が成長しているところです。
どういった背景かというと、4つの軸がありまして、まずは教育機関ですね。先ほど申し上げたとおり、アメリカの約20パーセントの方が移民なんですね。移民のお子さんが学校で英語教育にキャッチアップしなきゃいけないということで、政府が英語での公平な教育の提供を推し進めておりまして、そこにポケトークのニーズがあります。
学区単位で1,000台、5,000台という大きな受注があるのが、この教育機関になっています。アメリカには1万4,000学区あるんですが、今、我々が取引できているのはこのうちの5パーセントぐらいです。単純計算でまだまだ20倍ほどのポテンシャルがある、本当に大きな分野かなと思っています。
若山:そしてヘルスケアですね。移民の方がとても多く、みなさんご存じかはわからないんですが、実はアメリカのGDPの約20パーセントは医療の分野で構成されていると言われています。相当大きな産業なんですが、コロナ禍でも移民の方が公平、かつ正確な診療をいただけるということで、ポケトークがどんどん導入されているところです。
そして物流の現場、また公的機関ですね。この公的機関は、我々としてもアメリカ全土に広がっていく1つのきっかけになったので、直近のアメリカ大統領選挙でもポケトークが使われているというニュースをちょっとご覧いただきたいなと思っています。
【動画が再生される】
若山:実はアメリカの大統領選は身分証明をしなきゃいけないので、コミュニケーションがその場で起こるところでポケトークが使われている。
こういう政府機関に導入が進んでいくことによって、先ほどご覧いただいたような教育機関や医療機関にも、「あそこで使われているんだったらうちも」ということで、アメリカの導入がどんどん進んでいるところです。
ポケトークが発売して以来、多くの投資家さんやみなさんによく聞かれるのが、「今はスマホの無料アプリがある中で、なんでポケトークは売れるんですか?」ということです。
例えば先ほどの教育機関でいきますと、お子さんのスマートフォンの持ち込みが禁止されている。あとは日本のJRさんにも各駅で使っていただいているんですが、駅員さんが外国のお客さんの対応をするのに、ご自身のスマートフォンを使うわけにはいかない。
ただ、社員さん全員にスマートフォンを提供しようと思うと、今はもうスマホは何十万円もする機械ですので、そこもコストがかかる。現場を見ていくと、専用端末であるポケトークならではの入る理由がかなりあるんですね。
若山:余談ですが、私はもともとファーストリテイリングでも働いていましたが、柳井(正)社長は本当に「現場・現実・現物」ということをおっしゃっていたんです。まさにポケトークの現場を見ていくと、スマートフォンではなく、専用機ならではの理由が隠されているなと痛感しているところです。
そこに関して、さらに今、風が吹いているのが、ヨーロッパやアメリカを中心にセキュリティへの感度がものすごく上がっています。翻訳、通訳を介した会話情報もかなり機密情報を含むデータだという見られ方をしていて、こちらをご覧いただいているように、教育機関も医療機関もいろんなセキュリティの法律やルールがあります。
我々は早くからそこに着目して投資していったものですから、こういったルールに準拠できている。競合はなかなかここに準拠できておらず、今、アメリカでもポケトークの競合はほとんどいない状況になっているところです。
教育機関も児童のオンラインプライバシー保護法とか、本当に細かいいろんなルールがありまして、そこを1個1個我々が準拠していっているというのが現実です。
このポケトークアナリティクスは、AI通訳を行っている会社としてはめずらしいMDM(モバイルデバイス管理)や分析機能になっていまして、こちらもちょっとご紹介できればなと思っています。
【動画が再生される】
若山:こんな感じで、要は通訳をするだけでなく、通訳を通したデータも経営やいろんなところに使っていただけるのがポケトークアナリティクスです。
(ポケトークアナリティクスの画面は)このような見た目になっています。我々はハードウェアとソフトウェア、どちらも開発の組織とノウハウを持っていたので、他社さんができないようなハードウェアだけでないソフトウェアのソリューションも提供できているのが、今の強みになっています。
若山:これらが功を奏しまして、アメリカではどんどん導入が進んでいるところです。一方で日本でも、企業・公的現場以外にも、観光やグローバルイベントでどんどん導入が広がっているところです。
みなさんご存じのようにインバウンドに関しては、(スライド)一番右側の2024年9月時点でこれだけの人数が回復している現状ですが、今、ポケトークは接客の現場で使われていますので、ちょっとこちらもご覧いただければと思います。
【動画が再生される】
若山:我々はミッションとして「言葉の壁をなくす」というものを持っているんですが、痛感しているのは、言葉の壁は心の壁になっているということなんですね。ポケトークがあると、コミュニケーションが取れるだけでなく、「コミュニケーションを取ろう」と思う姿勢ができるところが本当に現場では大きい。
1台だいたい3万円ぐらいの製品なんですが、「こういう接客を通して売上がどんどん上がっていくので、簡単にペイしちゃうよ」というのは、本当にお客さまからいただいているお言葉でございます。
先ほどのアナリティクスと組み合わせることによって、例えばビックカメラさんでは、ポケトークを店内で無償でお貸しいただいています。外国人のお客さまがビックカメラさんに入る時に、ポケトークを持ってお買い物する。そうすると、自国にいるようなかたちで言葉の壁なくお買い物ができるので、売上は上がっていく。
さらにどのように使われているのかも分析しながら、各国のお客さんの傾向を見ることができます。多くの外国のお客さまがいらっしゃっているんですが、その中でもとりわけベトナムのお客さまは、免税に関してのご質問をされることが多いぞという傾向がわかるんですね。
そうすると、あらかじめ免税処理の仕方をベトナム語の販促物で用意しておくことによって、スタッフさん、社員さんとのコミュニケーションの時間も短縮できます。さらに売り場の効率が上がっていくという使われ方をしているのが、家電量販店や小売の現場ですね。
そしてGINZA KABUKIZAでは、商売だけでなく、日本の文化の伝統を継承していく使われ方をしています。
さらに小豆島では、観光地の持続可能な発展のために使われています。多くの外国の方がいらっしゃると、地域住民の方は必ずしもメリットだけではない。ポケトークを持ったコミュニケーションによって、地域住民の方の理解も得ながら観光地として発展していくところにも使われています。
若山:インバウンドだけでなく、現在日本は人口がどんどん減っていますが、実は日本に住まわれる外国人の数はどんどん上がっていっています。
日本の人口が減っていく中で、労働力として外国籍社員を抱えていらっしゃる方が多くなっているかなと思います。しかしながら、ちょっと(スライドの字が)細かくて申し訳ないんですが、在留外国人の7割が日本で働いているんだけれども、言葉の壁がハードルになっていると答えられています。
企業における取り組みとしては、安心して働ける(労働環境の確保)。モスフードさんや玉三屋食品さんをはじめ、外国籍社員さんのトレーニングや研修、日々のコミュニケーションでも使っていただいているところです。
お聞きしておもしろかったのは、外国籍社員はコミュニティがあるので、例えばベトナム人の社員さんのご友人のコミュニティで「あそこの会社はすごく丁寧な扱いをしてくれるよ」「あそこの会社はすごく適当に扱われたよ」みたいな情報もすごく回ってしまう。そうすると、今後の採用活動にも影響してしまう。
なので、安心して働ける環境の準備はすごく重要だというお話をいただいています。外国籍社員がいるということは、そのお子さんも日本に来て勉学に励まれるんです。ただ、やはり教育の現場も、言葉の壁をなくすというところが今は完璧ではないです。
この「ポケトーク for スクール」というプロダクトを出して、GIGAスクール構想で生徒さんはパソコンをお持ちなので、先生が話される授業の内容を同時通訳で流していくことによって、日本語の教育にもキャッチアップできるという取り組みが進んでいるところでございます。
外国籍の社員だけじゃなくて、実は日本人のお子さんの語学学習にも使っていただいている事例がありますので、こちらもちょっと動画をご覧いただければなと思っています。
【動画が再生される】
若山:最後にアンケートが出ていましたが、日本人のお子さんも語学力アップだけでなく、「ポケトークを通じて英語を学ぶことに興味が出た」「楽しくなってきた」とお答えいただいています。教育の現場でも、先生方がネイティブな英語を教えるのはなかなかハードルが高かったりするので、そういった場面でも使っていただいています。
そして最後が「ポケトークカンファレンス」です。このようなイベントを含めて、コロナ以降は国際的なイベントもかなり増えていますので、こういった導入事例が多く出てきているところでございます。
若山:というわけで、「言葉の壁をなくす」というのをミッションに掲げているんですが、冒頭で申し上げましたとおり、我々もスタートアップとして人的リソースやお金もかなり限られます。こういった領域に絞って注力していても、言葉の壁がある現場はかなり多いなと思います。
そして、現場・現実・現物で物事を見ながら、我々の強みを発揮していっているというのが、少しずつ数字にも表れているところかなと思っています。
もともとはハードウェアと個人・観光が主だったところから、ソフトウェアや法人・ビジネス。そして、日本だけでなくグローバル(への展開は)は、たまたまなったわけでないです。
「散歩の途中で富士山に登っている方はいらっしゃらない」ということと同じで、本当に我々は「ここに広げていこう」「こういった会社になっていこう」というところを意識をしていることが、実を結んでいるのかなと思っています。
最後に、まだまだ我々も成功までは行っていない、本当にその途中段階にあるんですが、顧客の時流を掴んで、全社一丸で同じ方向を向くというのは、スタートアップとしてすごく重要な点かなと思っているところでございます。みなさん、今日はご清聴、本当にありがとうございました。
(会場拍手)
司会者:若山さま、ありがとうございました。それではみなさま、今一度大きな拍手でお見送りください。
(会場拍手)
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